プレゼント

「は〜あ・・」
大きくため息をして、手に持った小さな箱に目をやる。ため息の原因はこれだ。
「買ったはいいけど、どう渡せばいいんだよ・・」
これまでのいきさつはこうだ、町について,タケシの提案で自由行動・・。
で、一人で町を歩いていたらハルカに似合いそうな指輪があったから、買っちゃって・・・。
かったはいいが渡し方が分からない・・。
「マサトやタケシ経由じゃ・・、冷やかされるのが落ちだ・・」
そんな独り言を呟いて、公園のベンチに腰を落とす。
何かイベントがあるわけでもない普通の日、いきなりプレゼントを渡しても不自然だ。
ふと時計を見てみる、時はすでに4時を指していた。確か、4時ごろまでにはセンターに戻る約束だ。
「戻るか・・」
ゆっくり腰をあげ、どうすれば渡せるかを考えながらセンターに戻った。

〜その夜〜

「サ〜ト〜シ〜」
ベッドに横になって昼間のことを考えていたら、ハルカが顔を覗かせてきた。こいつがもとはといえば悩みの原点である、正直、ハルカのことを好きになってしまった・・。それも急にだから困ったものだ。
「ナ、ナンだよ、ハルカ」
「今日昼間アクセサリー買ってたでしょ」
「な、なんでそれを?!」
「サトシの一日の行動を観察してたから」
観察って・・、って言うか付いてきてたのか・・
「ねぇ、何買ったの?見せて」
はぁ、と小さくため息をつく
「わかったよ・・」
ポケットから小さな箱を出し、中の指輪を、ハルカの指にはめる・・、左の薬指に・・・。
このときハルカが驚いた表情をしたのだが、大して気にしなかった。
何か深い意味でもあるのだろうか
「プレゼント」
「ア、アリガト・・」
改めて指に注目すると、自分の失態を知った、指輪がぶかぶか・・。
「ぶかぶかだな・・。」
「そ、そうね・・」
「サイズ間違えちゃったな・・」
「え、ええ」
恥ずかしさからそっぽを向く
「サトシ・・」
名前を呼ばれたので振り向くと・・、唇にやわらかい感触が伝わる。目の前にはハルカの顔。
「あたしの、ファーストキスプレゼント」
不意打ちだ・・
そうやって俺は、しばらく頭の整理が付かなかった・・。

「ねぇ〜まだ入っちゃだめなの?」
「もうちょっと待ってナ」(よくやったぞ、サトシ)

 

10万hit記念ということで頂きました、ありがとうございます。
サトシからハルカへのプレゼント、指輪っていいですね〜。
お返しのキスっていうのがまたたまりませんw
個人的に最後の二行がちょっと気になるところではありますが…(笑)

Commentator by 冬草


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