知らない感情

「よう、ハルカ。どうしたんだ、こんなところで?」

 そう言って、俯いてる私に、彼は声を掛けた。
 私は、ぶるっと全身を震わす。彼の声を聴くと、いつもそうなる。
 胸の奥が苦しい。心臓が膨らんで、破裂しそうだ。

 彼は私の隣に腰掛けた。横目で彼の顔を見る。
 彼は私を見ている。一瞬、胸の奥がますます苦しく感じられたが、彼の言葉を思い出した時、なぜかそれは和らいだ。
 
 「別に……なんでもないかも…」

 静かにそう答える。どこか、気まずいような気がした。

 なんでもないわけない。そんなわけないけど、彼には言えない。
 理由は……自分でもよくわからない。
 彼には言えないなんて…おかしいかな……?

 後ろのほうで、マサトが騒ぐ声が聞こえる。
 多分、ピカチュウとじゃれているのだろうと思う。
 タケシは…昼ごはんを作っていた…。

 だから、今、サトシと一緒にいるのは私だけ……。
 私と二人きり……。


 ―――ドクンッ


 いやだ。まただ。この苦しみ……。
 見えない槍で、胸を抉られるような……それ。

 さっきよりも激しく、体が震える。
 無意識に両肩を抱きかかえる。いつの間にか、目を瞑っている。

 隣で、サトシの声を聞いた。
 最後に聞いたあの声より、焦っている様子だった。
 どうしたんだ?寒いのか?ハルカ―――
 彼の声はいつになく慌てている。私は今、そんなにおかしい様子なのだろうか。

 耳に入り込んでくる声を聴くまいとして、私は耳を塞いだ。
 彼の声は聴きたくない―――これ以上、聴きたくない。
 頭の中で、山彦のように、何度もその言葉は響いた。
 あの槍が、ますます深く抉っているから―――。

 「大丈夫だから…サトシ…放っといて」

 痛い事を隠し、私は彼に嘘をつく。
 いや……大丈夫というのは嘘ではあるが…放っといて欲しい気持ちは真実だ。
 彼に、これ以上ここにいてほしくない。
 私の傍に…いてほしくない。

 彼の所為で私がこう感じていることは、ずっと前から知っている。
 最初はあまり痛くなかった。我慢できる程度の痛みだった。
 でも、回を重ねるごとに、どんどん痛くなっていった。
 今じゃ、本当に出血しそうなくらい、痛い。

 だから、彼には、私の傍にいてほしくない。こんな痛みを覚えるくらいなら……。

 でも、彼は退かない。ますます心配そうに、私に声を掛ける。
 いくら耳を塞いでも、彼の声は、手を透き通ってしまうように、鼓膜に達してしまう。
 そして、彼の声を聴けば聴くほどに、槍が深く食い込んでくる。

 耐えられない……。こんなの…耐えられない……!

 「放っといて!」

 自分でも驚くぐらい大きな声を出して、私は走り出す。
 彼から遠ざかるため……もう、傍にいるのが耐えられない。
 後ろから、彼の声を聴いた。
 何を言ったかは知らない。知らなくていい。この痛みが和らぐのなら……。


 どうしてこんな事になってしまったのだろう。
 私は最初、彼の事を好きになったと思ったのに……。
 それが、今では、彼の為にこの心を傷つけるようになってしまった。
 好きじゃないとするなら……嫌い?
 でも、この感情は、嫌いなんかとは全然違う。
 嫌いではなく、好きでもないとするなら……一体なんなんだろう…。

 

なんじゃこりゃーっ!って感じになってしまいましたね。終わり方も不自然だし。
全然意味わかんない方が多いと思います。中には、アンサトハル小説だと思った方もいるかも。
―ハルカはサトシが「好き」―サトシはハルカが「好き」―
このパターンは飽きてしまったので、いっそ「好き」をすっ飛ばして「愛してる」ってことにしたくなったのです。
つまり、ハルカが感じてる感情は愛であって、覚える痛みはそれから生まれるもの(ナンデスカソレハ?
全然上手くいってないですね。作者自身、「愛」というものには詳しくないので……^^;

Commentator by マーディン

 

自分自身もさほど愛に対しては詳しくはないですが…(苦笑)
単なる(?)好き、を超えてしまうとこんなに苦しくもなるんでしょうかねぇ。
ハルカの心情描写が相変わらず上手くて、感情移入してしまいますね。
この痛み、なくなるんでしょうか。

Commentator by 冬草


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