一緒にいたい

1.風邪

次のジムを目指すサトシ達は森の中を進んでいったが、ロケット団が襲ってきて
余計な時間をくってしまい日が暮れてしまった。

 
(夜明け前)
マサトがふと目が覚める。
隣ではハルカが上半身を起こし、目がうつろ状態だった。
マサト(以降マ)「お姉ちゃんどうしたの?」
ハルカ(以降ハ)「なんだか・・・ボーっとする・・・」
顔を赤くしているハルカの様子がおかしいと思ったマサトはすぐにタケシを起こし相談した。

 
(朝)

タケシ(以降タ)「風邪・・・だな」
タケシが体温計とハルカの様子を見て判断した。
タ「川に落ちたのが原因だろうな・・・」

 

それというのもいきなり現れたロケット団が
「すいすいランチャー1号」とか何とか言ってルンパッパそっくりのメカが
川からくみ上げた水で強烈な水鉄砲を浴びせられたのだった。
特にハルカはその攻撃で川に転落したのだった。
なんとかハルカを助け出し、ピカチュウの10万ボルトでロケット団をぶっ飛ばした。

 

ハ「・・・・・・・・・・・・」
ハルカの声も風邪によって枯れており喋る事もできない。
タ「喋ろうとしない方がいいぞ、余計に悪くなる」
ハルカはわかった、とコクッと頷いた。

ハルカはテントの中で横になった。
タケシの後ろで心配そうにのぞくサトシとピカチュウ
サトシ(以降サ)「どうする・・・タケシ」
タケシはテーブルに地図をひろげてため息をつく
タ「といっても病院のある町までは15kmくらいあるからな・・・マサトが俺の鞄から薬を持って」
そういっていると沈んだ顔のマサトが瓶を持って戻ってきた。
マ「・・・タケシ、これ・・・」
そういって差し出した瓶には風邪薬と書いたラベルが張ってあるが・・・
タ「これだけしかなかったのか!」
サ「え!?」
瓶の中には風邪薬のカプセルが1錠しか入ってなかった。

 

2.困惑

タ「せめて2錠くらいは残っていれば・・・」
タケシが瓶を見つめながらため息をつく
最後の1錠をハルカに与えハルカはゆっくり眠りについた。
しかし、当然1錠では風邪が治まるわけがない。
タ「仕方ない・・・」
そういってタケシはある本のようなものを取り出した。

サトシとマサトは遅い朝食をとっていた。
マ「お姉ちゃん・・・大丈夫かな・・・」
マサトは全く食事に手をつけていない。
サ「・・・大丈夫だよ・・・・・きっと」
サトシもパンを一口かじってからずっとうつむいている。
ピカチュウもポケモンフーズに目を向けず、じっとハルカのいるテントを見ている。
ハルカの事が心配で全然食欲が湧いてこない。
そこにタケシが入ってきた。
タ「サトシ!マサト!」
サ&マ「ん!?」

サ&マ「『薬になる木の実』!?」
タケシが持ってきたのは木の実リストだった。
欄には木の実の効果やら組み合わせによってできる薬など詳しく書いてある。
マ「これってあのハスボーの池の・・・」
タ「ああ・・・フラワーショップのお姉さんがお礼にって特別にくれたんだ」
サ「薬になる木の実かぁ・・・・・・あっこれか!?」
サトシはリストを見て風邪薬になる木の実のレシピを見つけた。
マサトも横からのぞく。
タ「そうさ、これらをブレンドして作るんだ。」
サ「えっと、必要な木の実はオレン5個、モモン7個、ラム10個・・・結構あるな・・・」
とマサトが気になるものを見つけた。
マ「ん?最後の『リチャのみ』2個っていうのは・・・」
タ「ああ、これは咽喉にとてもよくきくんだ」
サ「もしかして前にプリンに食べさせたアレか?」
タ「そうさ、それが『リチャのみ』さ」

カントーを旅していたとき、プリンが声が出なくて困っていて、
そのときに食べさせたのが『リチャのみ』(ということに・・・
咽喉に物凄くよく効く木の実、やや苦くてすごく渋い味
人には煎じて飲むといい。

一通り確認したサトシ達は
サ「早速獲りに行こうぜ!」
タ「たくさんの木の実だ・・・森も広いから人手が足りん・・・」
サ「よ〜し、でて来いジュプトル、オオスバメ!!」
ジュプトル「ジュ〜〜ルッ!!」
オオスバメ「スッバーーー!!」
と同時にテントからアゲハントが飛び出した。
アゲハント「フゥ〜〜〜!」
マ「アゲハント!君も手伝ってくれるの?」
アゲハントは大きく頷いた。
タケシもリストと木の実袋を持ち支度を整えた。
タ「よし!行くか・・・・といいたいところだが、誰かハルカの元にいてやらないと」
その言葉にサトシはすぐにマサトを見て
サ「じゃあ、マサト
マ「サトシが居てよ!」
いきなりマサトが大声で答えた。
マ「だって、僕はポケモン持ってないし、野生のポケモンが来たってどうしようもできない・・・」
マサトは続けた。
マ「それにサトシがそばにいたらお姉ちゃんはより安心するだろうし!」
サ「??何故俺?」
タ「だろうな!ここ居てやりな、サトシ!」
タケシがサトシの肩をポンッと叩いた
サ「よ・・・よくわかんないけど、そうするよ」
ピカチュウ「ピッカ〜!ピカピカピカチューー!」
ピカチュウはサトシの足元に行った。
タ「ピカチュウも居てくれるらしいな。」
マ「これなら安心だ!」

タ「行ってくる!」
マ「頼むよ〜ピカチュウ〜!」
サトシはガクッとなった。
サ(俺じゃねぇのかよ・・・)
タケシ達は木の実探しに出発した。
サ「そういえば、俺はどうしたらいいんだ?」
ピカチュウ「ピ〜カ?」
サトシとピカチュウは悩んだ。

 

3.手料理

サ「う〜〜ん・・・・」
サトシはどうしたらいいか悩んでいた。
ハ「ゴホッ、ゴホッ」
ハルカの咳き込むのを聞いてサトシはすぐにテントに入った。
サ「大丈夫か?」
ハ「・・・うん・・・・しん・・ばい・・し・・ない・・・で」
ハルカの声はかすれていて聞き取りずらかったが、
サ「安心しろ俺がずっといてやるから」
サトシにとってこの何気に無い一言でもハルカにとってはとても嬉しかった。
ハ「あり・・・が・・・と・・」
ハルカはその後、安心しきった顔で眠りについた。

 
昼になってもタケシ達は帰ってこなかった。
グゥ〜〜〜〜
サ「腹減った・・・・・・」
ピカチュウ「ピ〜〜カ」
ピカチュウがタケシの鞄を持ってきた。
そこから鍋を取り出しサトシに渡そうとした。
サ「俺が作るのかよ・・・」
ピカチュウ「ピカピカ」
サ(そういえばハルカは朝から何も食べてないんだっけ・・・)
ふと思ったサトシはお粥を作り始めた。

30分後

サ「できた・・・味見っと・・・(パク)・・!?あっ・・あっちぃ〜〜〜!!」
ピカチュウ「ピカピ〜カ!」
ピカチュウが急いで水を出す。
サ「(ゴクゴク・・・)はぁ・・・・・・・」
自分の作ったお粥を見つめている。ピカチュウが覗き込む
ピカチュウ「ピ〜カ?」
サ「食べてくれるだろうか?」
サトシが自分でお粥を作ったのは生まれてはじめてのことだった。
そのせいか自信が無かった。
もしかしたら食べてくれない・・・それが一番怖い・・・
そんなサトシを見てピカチュウがパシッと背中を叩いた。
ピカチュウ「ピカピカ、ピ〜カピッカチュウ!!」
サ「俺を元気付けてくれるんだな、ありがとうピカチュウ!俺頑張るよ!」

 

4.優しさ

ハルカがふと目が覚めた。
ハ(なんか・・・いい匂いがする・・・)
寝たまま目を横に向けるとサトシが座っていた。
サ「おはよハルカ・・・どうだ具合?」
ハルカは少し笑みを浮かべた。
サ「ハルカ、まだ何にも食べてないだろ・・・俺が作った・・・お粥食べる・・・?」
ハ(サトシが・・・作ったの?)
ハルカは不思議そうにお粥を見つめた。
そしてハルカはためらうことなくコクッと頷いた。
その仕草にサトシは嬉しそうな顔をし、ハルカにお粥を食べさせた。
サ「(フーフー)・・・・はい、アーン・・・」
サトシはゆっくりハルカの口元にスプーンをもっていき、ハルカはゆっくり口を開き
一口ずつ食べた。
ハ(おいしいよサトシ・・・ありがとう)
そう伝えるようにハルカはニコッと微笑んだ。
サ「・・・ハルカ(かわいい)////////」
サトシは顔を真っ赤に染めた。
そうこうしているうちに

ドカーーーーン!!!
ピカチュウ「ピ〜〜〜カ!!!」

サ「ピ、ピカチュウ!?」
サトシは外に飛び出した。

 

5.襲撃

ピカチュウが捕まった!
カプセルに押し込められニャース型の気球にぶら下がっている。

ロケット団「なぁ〜はっはっは!!」
ムサシ(以降ム)「なんだかんだと」
サ「ロケット団!」
ロケット団一同「ガクッ
ム「ちょっと!!決め台詞言い切ってないに」
コジロウ(以降コ)「ピカチュウゲットしたんだし」
ニャース「ここはさっさとおさらばするのニャ〜!」
サ「待て!ピカチュウを返せ!!」
ム「ヘン!!返せといわれて返す泥棒なんていないわよ〜!」
サ「こうなったら、ヘイガニ!!」
ヘイガニ「ヘイヘーイ!」
サ「ヘイガニ、気球に向かってバブル光線!」
ヘイガニ「ヘイガー!!」
ボスッ!!
バブル光線によって気球に穴が開き一気に落下した。

ヒュルルル・・・ボッカーン!!

 
衝撃によりカプセルが開きピカチュウは抜け出し、サトシのところへ逃げた。
ピカチュウ「ピカピ〜!」
サ「ピカチュウ!」
ヘイガに「ヘヘーイ!!」
倒れた気球からロケット団が顔を出した
ム「おのれ〜〜!」
コ「行けっ、サボネア!ニードルアーム!!」
サボネア「サボネッ!」
サボネアがコジロウに抱きついた。
コ「ちちち、違うってばァ〜!ジャリンコのヘイガニにだってば」
すぐにサボネアがコジロウ離れ、腕を振り回しヘイガニに向かっていった。
サボネア「サ〜ボ〜」
?「行け!水鉄砲!!」
すぐにサボネアの横に物凄い勢いの水鉄砲が命中した。
サ「タケシ!」
攻撃したのはタケシのミズゴロウとハスブレロだった。
マ「大丈夫?サトシ」
サ「ああ、サンキュータケシ!」
ム「小生意気なジャリめ!!行けッハブネーク!」
ハブネーク「ハップップルルプ〜!」
するとムサシはあることに気づいた。
ム(そういえばジャリガールはあのテントで寝ているのよね)
ロケット団は襲う前にハルカがテントで寝ていることを知っていた。
ム「ハブネーク!あのテントにポイズンテール!!」
サ「何だと!?」
タ&マ&ピカチュウ「え(ピ)!!」
コ&ニャース「な!?」
ムサシの意外な指示にサトシ達はもちろんコジロウとニャースもやばいと思った。
ハブネーク「ハッブネーーー」
サ「させるかぁあ」
サトシはハブネークの紫色に輝いた尻尾を受け止めた。
サ「グッ・・・・やあああーーー」

ドンッ

サトシはハブネークを地面に叩きつけた。ハブネークは気絶した。
ム「くっ!」
ムサシはハブネークをボールに戻した。
同時にムサシの指示に頭にきたサトシはよろめきながらも立ち上がった。
サ「も・・う許さないぞ・・・」
サトシはゆっくりとムサシの方へ歩きだしたがすぐに膝をついてしまった。
タ「サトシ!」
すぐにタケシがサトシの肩を持ち、支えた。
ピカチュウ「ピ〜カ〜ピカ!!」
サ「ピカチュウ・・・」
ピカチュウのほっぺからバチバチと電気を放っていた。
サトシの気持ちがわかるのだろう、ピカチュウもいきり立っている。
サ「ピカチュウ・・・10万ボ・・・ル・・・ト」
サトシは気絶した。
ピカチュウ「ピカピ〜〜〜〜〜ピィカッッッヂューー」
ピカチュウは泣きながら今までに無い放電をした。
ム「や、こっ来ないで」

ドッカンーーー!

ム「1人でやな感じィ〜〜〜!」
ムサシは空のかなたへ消えた。
コジロウもニャースもピカチュウの険しい形相にビクついてそそくさと逃げていった。

 
ピカチュウ「ピカピ!!」
ピカチュウはサトシの所へ走った。

 

6.複雑な想い

サトシは意識不明のままハルカとは別のテントにいる。
応急処置はしたものの意識が戻っていないので下手に体を動かせない
ハブネークのポイズンテールを受けていながら毒を受けなかったのは不幸中の幸いだ・・・

 
タケシは取ってきた木の実を調合していた。
タ「出来た」
タケシは風邪薬を完成させた。
だが、表情は浮かばない。
タ「マサト、これをハルカに飲ませてやってくれ。俺はサトシを診てくる」
マ「うん・・・わかった」

 
マサトはハルカがいるテントに入った。
ハルカはさっきの騒ぎで起きていた
何があったの?という顔をしていたがマサトは目を背けた。
マ「これ」
マサトは特製の風邪薬とぬるま湯をハルカにゆっくり飲ませた。
ハ「・・・マ・・・サト・・・ありがと」
マ「お姉ちゃん・・・」
ハルカの声は少しずつ元に戻っていった。
あまり見ないその優しそうな顔を見てマサトはサトシのことを話せずにいた。
しかし、ハルカは悲しそうなマサトの顔を見てすぐに気づいた。
サトシがいない・・・さっきから声がしない
とても不安になった・・・何があったのか気になった
ハ「何があったの?・・・話して・・・」
マサトは無言だった。
余計に気になった、もしかしたらサトシの身に何かあったのか?
ハルカはなにやら胸騒ぎを覚えた。
ハ「・・・お願い・・・話して!」
口調が強くなった。
今にも泣きそうな不安な顔をしていた。
そんなハルカをみてマサトは重い口を開いた。
マ「実は・・・」

マサトはさっきの騒ぎの事を話した、話してしまった。
ハ「そ、そんな!サトシ!」
ハルカは立ち上がった。
マ「うわあ、お姉ちゃん!」
ハルカはマサトを押し退けテントを飛び出した。

 
ハ「サトシ!!」
タ「ハ、ハルカ!寝てなきゃダメじゃないか!」
ハ「そんな事よりサトシは?」
ハルカの目の前には上半身裸で腰や腕に包帯をしたサトシが横たわっている。
サトシはまだ意識は戻っていなかった。
タ「命に別状は無いが攻撃のショックでまだ意識は・・・」
だが、ハルカの耳にタケシの言葉は入ってこなかった。
今さっきまで元気だったサトシが目の前で横たわっていた。
ハ「サトシ・・・サトシ・・・嘘でしょ、ねぇ・・・サトシィィ!」
ハルカはその場で泣き崩れ、ショックで意識を失ってしまった・・・

 
マ「ごめん・・・タケシ」
マサトがタケシの後ろで頭を下げた。
タ「仕方ないさ」
マ「何でサトシはあの時あんなことを・・・」
タ「好きだったからさ」
マ「え!?」
タ「前にサトシから相談を受けたんだ・・・

 

 

〜回想〜

 

 
ハルカとマサトが先に寝た頃
俺は片付けをしていたら、サトシが
サ「なあ、タケシ・・・相談があるんだけど」
タ「何だ?」

 
片づけを終わらせて
サトシと俺は腰をおろし夜空を見上げていた。
タ「で、なんだ?話って?」
サ「実は・・・なんか最近モヤモヤするんだ・・・
それもハルカを見ているときに・・・胸が熱くなるんだ」
タケシは少し笑って
タ「多分それは恋ってやつじゃないのか?」
サ「恋・・・?」
タ「まあ、まだサトシには難しいかもしれないけど必ずわかるようになるさ」
サ「なんだよ〜それ!馬鹿にしてるのか?」
サトシは少し顔を赤らめていた。
そんなサトシを見てタケシは笑っていた。

 
〜回想終〜

 

タ「・・・というわけだ」
マサトは不快感を覚えた、と同時に少しやるせない気持ちがあった。
自分がハルカに言わなければこんな事にはと罪悪感があった。
マ「僕がいけないんだ・・・・」
タ「マサト、自分を責めるな」
マサトの目には涙が浮かんでいた。
それを見たタケシは優しい顔でマサトを励ました。

 
マサトとタケシは2人をそっとしておいて
夕食の支度にいった。

 
7.夢・・・

・・・なんでサトシは私を・・・・

 

 

 

私は泣いていた
コンテストで大失敗して泣いていた
そんな私にサトシが声をかけてくれた
サトシのぎこちない気遣いの言葉でもとても嬉しかった
「ありがとう・・・サトシ」

 

 

私は怒った
サトシと些細な事で喧嘩してしまった
意地ばかり張ってしまって謝ろうとしているのにその言葉が出ない
でも、結局時間が経つといつのまにかサトシも私も
何で喧嘩したのか忘れてしまった
今なら素直に・・・
「ごめん・・・・・サトシ」

 

 

戦っている
サトシが戦っている
傷だらけの体で私の体をかばって
私は何も出来ない・・・・
謎のポケモンの攻撃がサトシに命中する
サトシが倒れる
「いやぁ・・・サトシィ!」

 

 

私は泣き崩れている
私は一番大切な人を失った
私のすべてを失ったと同じ
目の前にはサトシが眠っている・・・もう二度と目を覚ます事は無い
わかっている・・・わかっているけど・・・
「目を開けてよぉ・・・サトシィ・・・」

 

 

幻か・・・サトシが目の前にいる
優しく微笑んでいる
私はサトシの手を握った
不思議な暖かさがする
しかし、サトシの手は少しずつ消えていく
「サトシ・・・・・・いやぁ・・いかないで・・・・いっちゃやだぁ!!」

 

 

ハ「夢・・・・?」
ハルカは目を覚ました。
まだ、混乱している。
夢のことが頭によぎる。
ハ(私のせい・・・・私のせいでサトシは・・・・)
そしてハルカはある決心をした。

 
8.傷つく事は・・・

黙々と夕食の支度しているタケシとマサト
ハ「マサト・・・タケシ・・・」
マ&タ「!?」
タケシとマサトは思わず手を止めた
マ「お姉ちゃん!」
タ「ハルカ!風邪のほうは大丈夫なのか?」
ハ「だいぶ・・・それより話があるの・・・・」
 

ハルカ一言でタケシとマサトは驚いた
タ「本気か?」
ハ「そう決めたの」
マ「・・・」
ハルカはサトシと旅をするのをやめるという事を決めた。
タ「何故だ?」
ハ「・・私と一緒にいるとサトシは傷つく・・・私はサトシが傷つくのは見たくないのだから私は」
ハルカの言葉にマサトが顔をあげた。
マ「そんなの・・・そんなの酷すぎるよ!!」
ハ「ま、マサト?」
マ「お姉ちゃんは何にも分かってないんだ!サトシはお姉ちゃんの事が好きなんだよ!
 だからこそサトシはお姉ちゃんを守ろうとしているんだ!それをお姉ちゃんは・・・」
マサトはハルカにつかみかかった。
マ「もし、サトシが目を覚ましてお姉ちゃんが旅をやめるって言ったらどう思う?
 サトシはお姉ちゃんを止めるよ!絶対に!!
 どうしてお姉ちゃんはサトシと一緒にいてあげられないの!
 お姉ちゃんはサトシを傷つけたいの!」
ハルカはマサトの顔を見た。マサトの目から涙が流れる。
マ「サトシが怪我したのはお姉ちゃんのせいじゃないよ・・・自分を責めないで」
タ「・・・マサト」
ハ「・・・そう・・・だよね」
ハルカの目にも涙が溜まっていた。
ハ「馬鹿よね。私って・・・」
マ「・・・いってあげなよ・・・・そう思ってるなら早くサトシのところに行きなよ」
マサトは背中を向けたまま叫んだ。
ハ「わかった、ありがとねマサト・・・」
ハルカはサトシの元へ行った。
 

マサトの瞳からは涙がポタポタこぼれていった。
マ「悔しいけど・・・」
そのマサトの肩をポンとタケシが叩く。
タ「もう大人だな」
ピカチュウ「ピカァチュ・・・」
ピカチュウもマサトを励ます。
 

9.この気持ちを

ハルカはサトシを見ていた。
まだ目が覚めていない。
だいぶ時間が経ったであろう
いつもならおなかが空くはずだが全然関係ない。

 

ハルカはサトシの顔に自分の顔を近づけて

 
ハ「ごめんね・・・サトシ・・・本当にごめんね

こんな私のために体を張って・・・守ってくれて・・・

サトシのお粥おいしかったよ・・・でも、ありがとうって言えなかった

目を覚まして・・・この気持ち伝えたいから・・・お願い!」

 

 

ハルカの瞳から一滴の涙がサトシの顔に落ちた。
すると祈りが通じたのか
サトシの目がゆっくり開いた。
サトシのぼやけた視界に最初に入ったのは青い目をした少女だった
サ「ハ・・ハルカ?」
サトシの声に反応したハルカもはっと気づいた。
ハ「サトシ・・・・う、うわぁ〜ん、サトシィ〜!ヒック、ヒックえぅぅ」
ハルカはサトシに抱きつき泣き崩れた。
いきなり抱きつかれたサトシはきょとんとしていた。
サ「な、な、なんだよハルカ、いきなり・・・いつつっ」
ハ「あっ・・・ごめん」
力余って強く抱きしめすぎた。とっさに両手をパッと離した。
しばし沈黙が流れた

サトシが口を開く
サ「か、風邪は大丈夫か?」
ハ「あ、うん・・・あのサトシ・・・」
サ「え・・・」
ハ「ありがとう」
ハルカはサトシの顔に自分の顔を近づけてほっぺにキスをした。
サ「へ!?」
サトシの顔が次第に赤く染まった。
でも、いきなりの事で訳わかんないサトシの頭にはクエスチョンマークでいっぱいだった。
そしてハルカはサトシに抱かれながら幸せそうに眠った。

 

テントの外では
タ「やっぱりわかってないだろうな・・・」
タケシとマサトがこそっと2人の様子を見ていた。
マ「サトシは超鈍感だから・・・・」
タ「だろうな・・・(それがサトシらしくっていいんじゃないかな)」
そう言ったタケシはなぜか嬉しそうだった。
タ「さあて、今日は腕によりをかけるか!!」
 

10.気持ちは伝わる
 

ハルカは小高い丘で秋の夜空を見ていた。
月明かりで周りは明るく雲ひとつなく星がたくさん輝いている
ハ「私の願い届いたのかな・・・・」

サ「どうしたんだこんな夜中に? また風邪をひくぞ!」

ハ「へ?はわわさささサトシ/////」
ハルカが振りかえるとサトシが立っていた。
サ「さっきの・・・願いって?」
ハ「そそそんな事言ってないわよ!」
明らかに動揺しているハルカにサトシは少し笑った。
ハ「何がおかしいの?」
サ「別に」
ハルカは頬を赤らめている。
そういいながらサトシがハルカの横に座る
サ「まあ、普通言わないよな」
月を見ながらサトシは笑った。
ハ「・・・もう////」
サ「でも、俺は言えるぜ」
サトシの言葉にハルカはドキっとした。
ハ「え?」
サ「俺はポケモンマスターになる」
ハ(・・・やっぱり・・・だよね)
サトシらしい当然といえる言葉にハルカは少々残念に感じた

サトシは言葉を続けた。
サ「でも俺は他に叶えたいことがあるんだ」
サトシはハルカの方を向いた。
いきなりの事にハルカは焦った。
ハ「えっえっ!?」
サ「なぜだろうハルカといるとなんかドキドキするんだ・・・
 何故なのかわかんないけど・・・わかるようになりたいんだ・・・だから・・・」
ハ「だ、だから?」
サ「ずっと・・・ずっと一緒にいて欲しい」
サトシはハルカの両手を握りハルカを見つめた。
ハ(サ・・・サトシ?これってもしかして告白ぅ!?)
ハルカはサトシの顔を見た、真剣な表情だ
ハ「私もサトシとなら・・・」
そしてサトシの顔は月明かりのせいかいつになく輝いていた
その顔を見てハルカは顔を真っ赤にしながらサトシに寄り添って
ゆっくり目を閉じた。

 

きっと叶うよサトシ・・・
 

流れ星が一つ流れた。

 

2人の旅はまだまだ続く・・・いや、もしかしたら永遠に・・・・


 

この小説だいたい19時に投稿していましたね・・・
初小説だったのですが、いかがでしたか?

なぜほっぺにしたのか自分でもわかりませんが
寄り添った後、どうなったかは皆さんのご想像にお任せします。
今回は2人の思い、特にサトシ側をアピールさせて見ました。
マサトも2人の思いに気づいたという事できっかけ作りに
こんなサトハルもいいかなと
ムサシを非常に悪くさせてしまいました(ファンの方すいません

Commentator by キモりん

 

ハルカが風邪をひいたことにより、伝わってきたサトシの優しさ。
ハルカを守るために傷ついたサトシ。
そんな彼を支えてあげるのが、ハルカの役目なのかもしれませんね。
マサトの言葉で自分の過ちに気付き、サトシへの想いも届き、きっとこの後も幸せになれるでしょう。

Commentator by 冬草


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