話せないサトシ

タ「今日はここらあたりで野宿だな」
マ「ええええ!!!」
ハ「こんな薄気味悪い森の中で!?」
サ「・・・」
ハ「もう!マサトがポケナビ持ってるんだから、ちゃんと案内してよね!!!」
マ「しょうがないじゃないか!!!県外になっちゃったんだもん!」
タ「・・・テント立てるからだれか手伝ってくれ」
マ「僕手伝うよ」
タ「・・・じゃあサトシとハルカは食料を探してきてくれないか?」
ハ「マサトと離れられて清々するかも!いきましょ!サトシ」
サ「・・・」
マ「へ!お姉ちゃんがいなくなって最高だよ!」
タ「・・・やれやれ」

食料を探しに出た二人
ハ「・・・何か食料ないかな・・・」
サ「・・・・・・」
ハ「・・・サトシ?」
サ「・・・・・・」
ハ「・・・ちょっと!なんかしゃべってよ!」
サ「・・・・・・」
サトシはジェスチャーで、自分が話せないということを教えた。
ハ「ど、どうして話せないの?」
それはサトシにもわからないようだ。首をかしげた。
ハ「・・・どうしてなのかしら・・・」
急いで二人は食料を見つけ出し、タケシ達のところヘむかった。
ハ「大変よ!!!」
タ「ど、どうした!?」
ハ「・・・サトシが・・・声が出せないの!」
タ「なに!?」
マ「ええええ!!!」
タ「いつからなんだ?」
マ「・・・そういえば、ランチの時は声が出ていたような・・・」
タ「・・・もしかして・・・あのキノコのせいか・・・」
ハ「・・・キノコってあのキノコ?」
サ「・・・・・・」
タケシはなにやらキノコの図鑑のようなものを取り出し開く。
タ「・・・これか」
マ「え?・・・このキノコはマツタケと間違えることが多く、味もとても似ている。食べると・・・声が出なくなる!?」
タ「それだけじゃない・・・悪化すれば死に至る恐れもある・・・さらに治す方法が問題だ」
サ「・・・・・・」
ハ「方法?」
タ「・・・キス・・・」
マ「え!?」
タ「・・・異性の女の人と・・・キス・・・すれば・・・治る」
マ「・・・ええええええええ!!!!!!?????」
ハ「・・・なんだか・・・白雪姫みたいな話かも・・・」
サ「???」
タ「さらに・・・同じくらいの年の女の人じゃなくちゃいけないそうだ」
マ「なんだか・・・現実離れした話だね・・・」
タ「ここにはそう書いてあるんだ、信じられないかもしれないが事実だ」
マ「・・・同じくらいの年の女の人・・・って・・・まさか」
タ「・・・・・・」
ハ「え?」
マ「お姉ちゃん!!!???」
サ「!!!!!!!」
タ「・・・ということになるな・・・」
ハ「・・・ちょ、ちょっと待ってよ、わわわわわわ・・・私!?」
タ「・・・あ、ああ」
マ「しょ、しょうがないよ、時間がたてばサトシが死んじゃうかもしれないんだよ!?」
サ「(・・・お、おい!マジかよ!)」
サトシも必死に首を横に振る。
ハ「・・・サトシと・・・キス・・・」
タ「・・・ハルカ、サトシのためにも・・・頼む!」
ハ「・・・」
マ「・・・サトシもかわいそうだね、お姉ちゃんにファーストキスとられちゃうんだもんね」
ハ「私、やる!」
マ「え?」
サ「!!!!!!!!」
タ「マサト、見ちゃだめだ!」
タケシは必死にマサトの目を隠す。

 

ハ「・・・どう、治った?」
サ「・・・あ・・・あ、あ」
タ「・・・治ったようだな」
サ「・・・でてる、声が出てる!」
マ「よかったねサトシ!」
サ「あ、ああ」
ハ「・・・・・・」
サトシとハルカは顔を真っ赤にしていたが、サトシはハルカの顔を見て一言。
サ「・・・あ、ありがとな・・・はっきりいって・・・嬉しかったぜ、ヘヘヘ!」
ハ「わ、私も・・・ちょぴり・・・いいかなって思ってたりして・・・」
タ「・・・ははは・・・」
 

ちょっぴり現実離れした謎のキノコ。そのキノコが、二つの唇を一つにし、一つの『愛』が生まれるきっかけとなった。


 

まるで御伽噺のような、面白い展開ですね。
治す方法がキスしかないと、成り行き上のことだったのが、いつの間にか愛へと変わっていく。
二人のきっかけになったのは、ある意味良かったことかもしれません。

Commentator by 冬草


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