クリスマス・イヴ

今日はクリスマス・イヴである。
サトシ一行がやってきた町は、さすがに大賑わいであった。
しかし、ハルカは今コンテストのスランプ中のスランプに居た。
アゲハントの銀色の風が失敗の連続なのだ。

アゲハントの寒さと緊張のせいであろうか。何しろ明日は
クリスマス。ではなくコンテストである・・。
クリスマスのコンテストは優勝で飾りたいと、ハルカは
ずっと願っていた。それはアゲハントだって知っている。
成功させなくては、そのプレッシャーとこの寒さのせいで
アゲハントがスランプに陥っているのだ。銀色の風が無くては
コンテスト優勝は難しいだろう。

「う〜ん・・。どうしようかなぁ。このままじゃ・・」
ハルカがアゲハントを抱えポケモンセンターに戻ってきた。
ハルカの白い息が、アゲハントを包む。
「お姉ちゃん。成功した?」
マサトに言われ、首を横に振るハルカ。
「元気出せよ!きっと大丈夫だ!」
そう励ましてくれる皆の声は、今のハルカには何の意味も
無いようなものだ。銀色の風が出来ない・・・
このピンチに直面したハルカの脳裏には不安と緊張しか
なかった。そしてその夜・・・

ハルカはテラスにでて、小さなため息をついた。
もうだめかも知れない・・ハルカはマイナス思考をやめ
プラス思考に変えようとする。
別に明日優勝しなくてもいい・・・
別に明日は特別じゃない・・・

「なんでだよ。あしたクリスマスだぞ?」
「ってうわぁ!!・・サトシか・・」
声に出ていたようだ、サトシはハルカの隣に来て喋りかける。
「成功させなくちゃ。ハルカ」
「でも・・」
「成功させるんだよ。絶対に」
「そんなこと・・」
「アゲハントを信じてみろよ」
「・・・・。」
黙り込んだハルカに、サトシは語りかけた。
「サンタクロースに頼んでみたらいいじゃん」
「え・・」
「ほら、手ぇ合わせて。明日成功しますようにってさ」
「え、あ、うん・・」

明日、アゲハントがリラックスして出場出来ますように・・

流れ星が、光った。そんな気がする―――
「おい、ちゃんとやったか?」
「もっちろん!」
「じゃあ、後はアゲハントを信じるだけだぞ」
「うん!有難うサトシ!おかげで頑張れるかも!!」
そう言うとハルカは、部屋へと戻って行った。

(サトシありがとう・・絶対明日は優勝するかも)

翌日・・・

 
ハルカが舞台に上がった。アゲハントは、朝は少し緊張気味で
あった。

「アゲハント、あなたを信じるわ!STAGE ON!!」

「フゥゥ〜ン!」

「(行けよハルカ!)」

 

「優勝は、アゲハントとハルカさんです!」
会場に響き渡る司会の声・・それはハルカとアゲハントに
とって最高の物だった。

 
「やったな。ハルカ」
「すごいよお姉ちゃん!」
「いや〜綺麗だったぞハルカ!」
「えへへ・・サトシのおかげかも・・」

「え?サトシのおかげなの?お姉ちゃん」
「い、いや。ずるとかはして無いわよ!」
「それは分かってるけどさぁ」

 
サトシ、ありがとう。昨日のが効いたのかも・・。
私、実はサンタクロース信じてなかったの。でも
今回で信じるようになっちゃった。今度は私が
貴方の力になれたらいいな・・・


 

ハルカの不安と緊張を、優しくカバーするサトシ。
理想的な光景ですね。
そのおかげで無事優勝もでき、サトシとの信頼関係もより深まることでしょう。
ハルカも、サトシのことをカバーする側にもなって欲しいです。

Commentator by 冬草


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