キミガイナクナッタラ

「だから!そこはそうじゃなくてさぁ!」

「もぉ!サトシはだまっててよぉ!」

「なんだよ!せっかく教えてやってるのにさ!!」

「別に教えて欲しいなんて言って無いわよ!」

「んなっ!何か礼くらい言えねえのかよ!」

「言う気にもならないかも!サトシの馬鹿!」

森の中に響く2人の声。それはお互いを蹴散らすような
口調だった。アチャモを抱きながら怒鳴ってる少女と
ピカチュウを頭に乗せた少年が言い争ってる。
喧嘩・・と言うものが始まったらしい。
 

「おいおい。二人ともいい加減に機嫌直せよ・・」

「まったく。意地っ張りなんだからぁ」

あきれて溜め息をついているのはマサトであった。
何しろあの喧嘩がもう1週間ほど続いているのだ。
これにはタケシも頭を抱えている。
コンテストの時だって、サトシは会場に来ない。
ジム戦の時も、ハルカはコンテストの練習をしているのだから
困り物だ。いつまで続くか分からないこの喧嘩が、後に
急転換する事は、誰も知らなかった。

 

ある日、一行は大きな分かれ道に出会った。

「こっちは・・ディズタウン・・あっちはフワラタウン・・か」
サトシが案内図と顔を合わせて睨めっこしている。このときはまだ
平凡だった・・が。
 

「お、ディズタウンはコンテストが三日後開かれるらしいぞ」
 

この一言が、火に油を付けたようなものだった。
一番に反応したのは、やはりハルカ。なにしろ
コーディネーターがこういうのを見逃す方がおかしかった
ようだが・・。

「コンテスト?!その何とかタウンに行きましょ!決定!」
先ほどまで、歩きながらバックの整理をしていた彼女が
手を上げた。

「コンテストがあるんだ〜。じゃあそっち行く?」
マサトがサトシの方を見ながら言った。
ハルカの意見に賛成すると、反抗するのはいつもサトシである。
反対の立場であっても、これは変わらない。

 

「面白そうだし、そっちに行くか。いいだろサトシ?」
そんなタケシにサトシは大きく反対した。
 

「ちょっと待ったーー!!タケシ。フワラタウンには
ジムあるか?」

一行の脳裏に嫌な予感がよぎった。もちろんハルカにも。

「い、一応な・・。でも!コンテストは3日・・」
「よし!フワラタウン決定な!」

タケシが言い終わらないうちに、サトシが口をはさんだ。
そう言うと、案内図にそってサトシが歩き出した。
もちろんフワラタウウンへの道である。

「ちょ、ちょっとサトシィ!どこ行ってるのよ!」
「何言ってんだよ。フワラタウンだぞ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 

「もういい加減にしてよぉぉぉ!!」
「落ち着けサトシハルカ!」

おさまったと思った喧嘩が、また始まってしまった。

「っ〜〜〜!!!もう何も言うな!」

「それはこっちの台詞かも!!」

「何だよ!お前なんかもうどっかいけ!」

「なにそれ!確かに私は邪魔かもしれないけど、そんな言い方
ないでしょ?!」

「必要ないんだよ!二度と俺の前にでてくるな!」
 

『ズキン・・』

 
「サトシ!いいすぎだぞ!」
「もうやめなよ!意味無いんだよ?!」
 

タケシの言葉もマサトの言葉も、今の私の耳には聞こえなかった。
ただ、サトシの言葉が頭の中で何度も響いているだけだった。
なんで・・?今まで喧嘩はずっと続いてたよ・・?なのに
なんでこんなに苦しいの?

 
「何で・・・・」

無意識にでた言葉と同時にハルカは走り出してしまった。

「おいハルカ!待てよ!」
「お姉ちゃん!どこ行くつもりなの?!」

ハルカを呼び止める二人とは裏腹に、サトシは
一人俯きながらポケモンセンターに歩いて行った。

「ちょ、サト・・」

マサトが何を言おうと、俺は知らない。
何も悪い事をしたとは思ってないからな。

「知るかよ・・もう精一杯なんだよ・・」

「そんな事言っても・・ハル・」

「しらねえよ!もう自分の事で一杯なんだ!他人の事は
しらねぇからな!」

4人の仲が、がたがたと崩れて行った。

「あのさ〜。タケシ」

「なんだ?」

「サトシって最近さ〜。嫌な事があったらいっつもお姉ちゃんに
あたってる気がするんだよねぇ」

「う〜ん。確かにな」

マ「自分の事って・・」
タ「事って・・」

 
サトシとハルカが行った後、二人は一先ずポケモンセンターに向かっていた。タケシは、何としてでも二人にお互い謝って欲しいと思っている。二人の仲を見込んで勝負に出たのだが・・。

 

「も〜!タケシ本当に大丈夫〜??」

「いやぁ・・。そんな事言われてもなぁ・・」
サトシの部屋に何回ノックしても返事が無い上、鍵がかかっているためにあける事も出来ない。マサトの期待がタケシへの不安に変わって来ていた。

そこで二人はある作戦へ。

 

「サトシー。オムライスおごってあげるぞー」
「サトシィー。この前欲しがってた漫画かってあげるからー」
「それかもうフワラタウン行くか?」
「返事してよサトシー」
まるで子供をあやしているようだが・・。
これが作戦ならしい。

 

一方のサトシは、ベットに横になりため息をついていた。
タケシの声も、マサトの質問も、何も聞こえなかった。

大体どのくらい経っただろうか・・・

 

「ったく〜!分かったよタケシ!部屋に入れよ!」

「やーっと入れてくれたか」

 

タケシはしぶとく、大体3,4時間くらいサトシと交渉していた。
マサトは疲れて自分の部屋へ戻ったが、タケシは諦めなかった・・
これにはサトシも白旗をあげたらしい。
「しぶといぞタケシ・・」

「まぁ許せ。お前も意地張ってないでとっとと
あけた方がよかったんじゃないのか?」

「だーから今開けてんだろ?で?ハルカが何だって?」

「お。本題に入る気になったか」

「さっさとすませてぇんだよ」

「じゃー本題だが」

 
ずっと考えてた事を、タケシはサトシに話した。
サトシは嫌々ながらというわけでは無い様子である・・。

 
「考え付いたら、彼女を探しに行ってやれよな。
どこで油売ってるか分からないぞサトシ」

「だれが彼女なんだよっ!!」

「ははは〜。じゃあ失礼するぞ〜」

「逃げんな!」

「何だ、まだ不安でもあるのか」

「そうじゃ・・・・いや、そうかもしれねぇ」

そう言うと、タケシはサトシの隣に座った。

「俺が居なくても、自分で考える事も大事だぞサトシ」

「そんな事言ったってなぁ・・」

「ヒントをやろう。鈍感な人ほど分かりやすいと思うぞ」

「・・・・その意味深く言わないでくれ・・」
肩をがっくり落としたサトシに、タケシは変な事を言った。

「ハルカと何をしてきたか、考えてみろよ」
サトシはいまいちその言葉が飲み込めない・・。内心では
飲み込めない方がいいのか、と思っていたが口では違う。

「わかんねえかも・・。どうしよ・・」
「考えればいいんだよ、ハルカと共にやってきた事を」

「????」
ますます分からないような顔をして、?マークを
浮かべながらタケシの顔を見た。

「簡単だろ。これが分からないんじゃあ・・」
「たのむからその先言うな」

タケシが外に出て行った後、サトシはまた
ため息をつき、

 
『ハルカと共にして来た事・・か』

今思えば、何て簡単な事なんだろう・・。
さっきの自分が馬鹿に思えた。これはつまり自分が
鈍感と言う事を指しているのだろうか・・?

 
サトシはゆっくり、頭で考えて見た・・。

彼女と喧嘩をして、結局そのあとエスカレートして、
最後は仲直りになった事。

彼女が落ち込んだとき、俺が励ましてやって
その後立ち直ってくれた事。

彼女がコンテストで勝った時、皆で一緒になって
喜んだ事。

俺がジム戦で負けて、かっとなってる時でも
励ましてくれた事。

 

思えば、今まで数え切れないほどの思い出を、
ハルカがたくさん作ってくれた。
ハルカが居なくなれば、思い出の数も減る。

――――俺の笑顔も減る・・のかな。

いつも近くに居すぎて、ハルカの重要さなんて
考えても居なかったのかもしれない。

でも、今考えれば彼女はサトシの中で大きな存在となっていた。

タケシやカスミ、マサトよりも大きな物・・。

サトシは心で誓った後、部屋を出た。

「ヘェックション!!」

夜空に大きなくしゃみの音が響く。
サトシが彼女を探しに町へ出て1時間半くらい・・たっただろう。
いまだに見つからない彼女をサトシは探し続けていた。

「ったく。どこいったんだろうなぁあいつ・・」
行く当ても無く、サトシは夜の道をぽつぽつ歩いて行った。

しばらくして・・・・

「およ?」
人影が見える。焚き火を炊いているのだろう。赤く染まった
人影がサトシの瞳に飛び込んできた。

「あれ、ハルカじゃないか!」
なんとも視力がいい・・と言えども、焚き火で分かったと言うものか・・。それとも現にサトシがハルカを見つけるのがうまい、
などと言う理由なのか。

そんな事は考えず、その人影の方へ寄ってみる。

「はるか?」

「?」
その人影は、呼びかけに反応した。
それが誰だか判ったその人は、急に駆け出して行った。

「ちょ、ちょっと待てよ!ハルカなんだろ?!」
腕を掴んで呼び止めたその時。

 

「もぉ!離してよサトシのばかぁ!」
確かに自分が探していた彼女の声だった。
「ば?!とにかく前向きに話すぞ!」

無理やりハルカを引っ張って、先ほど彼女を発見した
焚き火の方へと向かった。彼女は少々抵抗気味だったが
割と素直にサトシの行動を受け入れた。

「・・・・」
ハルカは少し靴下が破れていて、アチャモを抱いていた。
寒さをしのぐためだろう。

そしてサトシは足を止めた。

「あのさ、ハルカ」

「何よ、誤るためにここに来たの?誤っても無駄よ無駄!」

「あ、誤りになんか来てねえよ!」

「じゃあ何しに来たのよ!」

「し、しらねえよ!」

「じゃあ来なくても良いじゃない!」

「なんだよそれ!俺お前が居なくなったから一生懸命
探したんだぞ!」

 
「は?」

「えっ;;いや、その、別に変な意味じゃ・・」

「ふぅ〜ん」

「な、なんだ・・ってファックション!!!」

長い会話の後、またもや少年の大きなくしゃみが
鳴り響いた。

「ぅえ〜。さみぃ・・」

「馬鹿みたいかも。上着くらい着てきなさいよね」

「お前の事で何も考えて無かったんだよ!」

「・・・;」
自分でも恥ずかしいような爆弾発言を連発するサトシに
ハルカは大きなため息をついた。

 
「ありがと・・」

「・・!?」

素直なハルカにサトシは少々驚きの様子である。
あまりにお互い恥ずかしかったのか、サトシが話題を
変えた。 「なぁ。もう戻ろうぜ。仲直りって事で良いだろ?」

「仲直りはどうでも良いけど、周りの様子もっと見なさいよね」

「へ?」

いつの間にか自分で歩いてくる内に、山の中に
入ってきたらしい・・。しかももう真っ暗闇だ。

「しっかたねえな〜。そこらで一晩すごすか」

そう言いながら二人はそこに腰掛けた

「ブハァックション!!」

「もういい加減にして欲しいかも」

「し、仕方ねえだろ!さむ・・ッヘックション!!」

くしゃみを連発するサトシを見て、ハルカは急に立ち上がった。
その場に抱きかかえていたアチャモをサトシに預けて、
無言で歩き出した。
その行動をサトシは不思議そうに見つめていた。とめようとは
したが、逆にまたハルカが怒ったらヤバイと思ったのだろう。
そんなことを考えている間に、ハルカの口が開いた。

「何か食べるもの探してくるかも。お腹空いちゃったし。
サトシはアチャモで寒さしのぎしてたら?」

「はぁ?!迷うぞハルカ!そんな事なら俺も行く!」

ただ単にそんな理由で、暗い夜道を一人で歩かせるのは
さすがの俺にも『別にいい』なんて言葉が簡単に出るような
ものじゃなかった。

ふと、サトシは思い出した。確かタケシから遭難したときの
食料をもらった気がする・・。俺は無いけど
これはハルカが持ってるはずだ。

「ハルカ!この前さ!ミナモに行った時食料を
タケシが買い込んでたよなぁ」

「それが何よ」

「その食料持ってるだろ?」

「あ〜。あれね」

しかしハルカの顔は思った様には明るく輝かなかった。
その理由が分からず、俺は頭に??を何個か浮かべた。

「それさっきポケモン達に全部あげちゃったかも」

「えっ;;」

何だそれは。と思ったが、自分だって人の事は言えない
ようなもんだった。なんて言ったって
自分は、こっそり食べてしまったと言ういやらしい
過去があるのだ。これはハルカよりもひどい。
もし質問されたらもう終わりだろうと思っていた・・。

「じゃあ仕方ないかも。我慢我慢〜」

ハルカは何も聞かなかった。サトシの中では気づいてない
と思っていたが、ハルカはわざと聞かなかっただけである。

その間に、ハルカはウエストポーチから何かを取り出した。

「これで大分寒さしのぎになるでしょ??」
そういいながら彼女が渡したものは、少しサトシには小さめの
暖かそうなセーターだった。

「いつのまにこんなモン買ってるんだよ・・」
「ミナモでこっそり衝動買い・・。安かったし、この先
使えるなぁなんて。でも今役に立つって面白いかも」

「・・・」

話が別になるが、サトシはずっと前から
気にしていた事があった。彼女がいつもと全然違う。
どこが違うのかは自分でも分からず、結局そのままに
して置いている。その時・・・

「ックシュン!」

「?!」

サトシの隣で小さなくしゃみ。サトシは大きく目を
開いてハルカを見た。

「ハルカだって寒いんじゃんか」

「べ、別にそこまで寒くないわよ!だから気にしなくていい・・」

大きい声でサトシに必死で反論していたハルカだが、
だんだんと喋るにつれて自信の無いように小さくなっていく。
それを見ていたサトシは何か思いついたように手を叩いた。

「そうだハルカ。そこまで寒くないんならさ」
「くっついて寝るとか絶対嫌だから」
「ブッ!」

言おうとした事をハルカに言われてしまった。その上先に・・
しかも反論までされればサトシも結構な痛みである。
仕方なく他の方法を考えた。

「えぇ〜っと・・。あの、そのさ、えと・・」
「トロトロしないでさっさと言ってよね」

そう言われ、思いついたサトシ。
ハルカがしてくれた恩のようなものをしようと思っていた。

「はい」

サトシは自分が着ていたジャケットをハルカに渡す。
「タケシに借りた。これ着てても寒いっていったいどんな
とこだよここ・・」

たとえこの服が寒くても、ハルカはサトシが貸してくれた
というだけですごく嬉しかった。心から笑いたいのに、
笑えない。と言う気持ちをずっと抱えていた。

「でもよかったかも。微妙に私寒かったから」
「そっか・・」

 

その頃タケマサコンビは・・

「サトシ帰って来ないね」
「そのついでにハルカも帰ってこないなぁ」
二人はポケモンセンターでサトシたちの帰りを待ち続けているが、
一行に人の気配が無い外の道路。その上時計の針は
もう12時を回っていた。

「マサトはもう寝たらどうだ?今日
見つからなかったら明日探そうじゃないか」

しかしマサトはずっと俯いていた。それと同時に
小さな雫が床に落ちる。

「マ、マサト・・。きっと大丈夫だ。無事だ。
泣かなくてもいいじゃないか」

タケシは、しゃがんで小さなマサトの頭を撫でてやった。
マサトが口を開くまで、だいたい15分。
その間にもタケシはずっとマサトの近くにいた。

「お、お姉ちゃん。おっちょこちょいで・・。
危なっかしくて・・。僕より馬鹿なときもあったり・・。
一人だとなんだって・・」

「マサト」
喋っていたマサトの声が、タケシによって止まった。

「ハルカは一人じゃないさ。きっとな」
「・・・」
「サトシがいるよ。あの二人なら絶対このポケモンセンターに
戻ってくるさ。二人を信じろよ」

「・・・・」
「明日になれば、また探せる。きっと無事だからもう
寝た方がいいそ」

タケシの言葉を納得したのか、マサトは『うん』とだけ
答えて、部屋へ戻って行った。

マサトが行った後、タケシは一人呟いた。

「マサト、今はどうにも言えない。ごめんな」

「ねーサトシー」
「何だよ」
地面で木に腰掛けているハルカが、木の上のサトシに
話し掛ける。

「眠れないからそこらへんふらふらして来ていい?」
「は?こんな夜遅くにかよ」
「サトシは着いて来なくていいかも」
「いくなんて言ってねぇけどさぁ・・」
「じゃあ、いっちゃ駄目なの?」
「そんなことも言ってねぇけど・・」
「じゃあいくかも!」

そう言うとハルカは勢いよく立ち上がり、突っ走って行った。
「っておい!」

その後をサトシが全速力で走って行った。

 
「はぁはぁ・・ぜぇぜぇ・・」
「もぉ。そんなに疲れるなら別に来なくてもよかったのに」
実は嬉しかったのだが、そんな事は口に出せない。

「何だよ。心配してやってるのにさ」
まだ少々喧嘩気味の会話だが、だんだんと元の会話に
戻ってきていた。

「で?何しに来たんだっけか?」
「え?別にふらふらと散歩するのよ」
「そんだけか」
「悪い?」
「い、いや別に・・」
「文句無いなら口挟まないで」
「へいへい」

ずんすん先に進むにつれ、ハルカが引いて来ている。

「や、やっぱ怖いかも・・。もどろ〜サトシィ・・」

「な〜に言ってんだよ!みろよほら!こんなに夜行性の
ポケモンがいるんだぜ?戻るなんて
出来ねえよ!」

先程とは反対に、ハルカが引いている代わり、サトシが
前へ前へと行っていた。この二人は、普通の人以上に
先の読みにくい人物である(酷

「も〜・・。嫌かも・・」
「じゃあ先に戻ってていいぞ」
「その方が嫌かも!」
「じゃあ大人しく付いてろよな」
「なんで私がサトシに仕切られてんのよ」
「さぁ」

実はハルカに頼りにされてるのが嬉しいサトシ・・。
もしあの時ハルカが先に戻るって答えてたら今頃
引き止めていたかもしれない自分が後から恥ずかしくなって
来た。

「サトシ変かも」
「ぇええ?!」
「やな感じ。私が何かしたの?」
「えっ!?そんなんじゃないぜ?!」
「図星だったら怒るわよ」
「違うよっ!」

こんな会話が続いて、サトシとハルカ二人が引き付けられた
場所にたどり着いた。

そこには、数々の種類の木のみがたくさん植えられていた。

「すごいかも・・ねぇサトシ、ちょっと・・」

「とって帰ろうか」

「先言われたかも」

「な、なんだよ。べつにいーだろ」

サトシはもう放心状態で居た。別に深い意味の
放心状態ではないが。

「お前さ、何かやっぱ変」
手で頭を掻きながら、サトシは本音を漏らした。

「どこがよ」
「なんか」
「意味分からないかも」
そう言うと、ハルカは木の下に行って真上を見上げる。
「結構実多いかも。あんまり持って帰れないわよね〜」
何気なくハルカが木を蹴った。
すると数個のモモンの実がぽとぽとっと落ちてきた。

 
そんなハルカを見たら、俺おもわず噴出しちゃったよ。

「ちょ、今笑った?!失礼しちゃうかも!」
「ッククク・・。いや、何でもないぜ」
「嘘つかないで欲しいかも!そういうサトシはなんも
して無い癖にぃ!」

さっきからずっと怒ってるハルカに、サトシはちょっと
戸惑いを感じたが、行動行動・・。

「ちょっとそこどいて」
「へ?」

「いいから」
行動が読み取れないハルカを見ながら、サトシは
あざ笑った(ような感じ)。

「な、なによ!」
「いくぞ」

そう言うとサトシは、思いっきり木を蹴った。
葉っぱがざわざわ揺れ、それと同時に木のみが
先程の三倍以上に落ちてきた。

「わ・・」
それにはハルカも驚きを隠せなかった。
モモンやオレン。ズリの実まで落ちてきた。

 
ドカッ

 
「ってぇ〜〜!!」
サトシの頭に巨大な木のみが直撃した。

「な、なにこれ・・。でかすぎかも・・」
ハルカはサトシの頭に落ちてきた大きな木のみを
持ち上げようとした。しかし、重すぎる。
なんせ大体人の顔くらいの大きさだ。こんな木のみが
育つのも無理がある気がする。

「お、重いかも・・。っていうか何かこれ・・」
そんな事をぶつぶつ呟いていると、また空から
何かが落ちてきた。

「どけぇぇーーーーーーー!!!!!」

「ちょ!ってきゃぁ!」

落ちてきたのは毎度おなじみロケット団三人組。

ドカン!

「ちょっとニャース〜!何でこんな事になってるのよ〜」
「ニャーにも原因不明なのにゃ・・」
「と言うか・・なんでジャリボーイとジャリガールが
ここにいるんだ?」

口々に喋りだすロケット団に、サトシが口をはさむ。

「そ、それはこっちの台詞だろ・・っていててて・・」
サトシの頭にはでかいこぶが出来ていた。

そしてロケット団が、巨大な木のみをハルカが持っているのに
気がついた。

「ニャ!ニャンでおまいらがそのでっかい木の実を
持ってるのニャ?!」

「空から降って来たのよ。これあんた達のなの?」
「返すのニャ!それはニャーたちの大事な秘密兵器なのニャ!」
そしてコジロウやムサシも。
「そうだぞ!予算を貯めて、それを作ったんだ!」

「そうよ!けっこー苦労したんだから」

ぐちを言いまくってるロケット団を無視して、ハルカは
尋ねる。

「て言うか。それなんに使う予定だったのよ」

「ふふふ・・知りたいか・・」

「な、何となく」

「ニャーがせつめいするのにゃー!!」
「俺がする!」
「私よ!」
「誰でもいいからさっさとしてよね!」
「ニャーがするっていってるにゃー!!」
「だからおれ・・」

「・・俺の事忘れるなーーーーー!!!」

 

 

「「「「は、はぁーい・・」」」」

 

〜〜数分経過〜〜

「ってててって・・」
「もう!サトシもちょっとは避けたり出来るような
神経無いのかしら」
「そんな余裕ねぇよ!」
「ふぅ〜ん」
・・・・・・・・

「和やかなのニャー」
「そうだな」
「何か不陰気いいじゃないいいじゃない!!」
「そ、そういう問題じゃないのニャ」
「それよりムサシ〜。木の実作戦はどうするんだ?」
「あ、そういえばそうね」
「ニャンでわすれるのにゃ・・」
「ある意味凄いよな・・」
「そこ!ちょっと黙る」
「ソーナンス!!」
「あんたは戻る」
「ソーナンス!!」

 

木のみ作戦―――別にそこまでいい作戦ではないと
外部から見た(ぇ)
この木のみは、道端に置き、ポケモンが触ると
網が出てくる仕組みになっているのだ。
はっきし言ってくだらない。

「私のときはなんも無かったかも」
ハルカは先程、完璧に触ったと言えるほど
手を付けたが、何も起こらなかった。

「そんなんあんたがポケモンじゃないからに
決まってんでしょーが」
「そーだそーだ」
「ニャー!」

「・・ブーイングは嫌いかも」
「ブーイングじゃないぞ!」
「ソウニャー!」

「それで、ジャリボーイ」
「あ?」
「あんたに手伝って欲しい事があるのよねー」
「???」

「は?この装置を発動させる?」

そんな言葉がサトシから出たのは、もう明け方ごろ・・。

「そうよ。なんかしらないんだけど、勝手に動かなくなったのよ」
「それで俺がなんとかしろと」
「そゆこと」
でっかいため息をついて、サトシは木のみの上に座った。

「しっかたねぇなぁ」

そう言った後。木の実から何かが飛び出してきた。
バコン!

「いってぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

飛び出して来たのは、木のハンマーらしきもの。

「けがしてんだぞ・・まじでいてぇんだけど・・」
サトシが災難にあってるのにも関わらず、一人笑ってる者が。

「キャハハハ!サトシ頭見てよ!!」
「は??」
サトシの頭には、でっかい木のみの葉っぱが乗っかっていた・・。
これにはロケット団も大笑いをしてしまった。


サトシに怒り・・が、こみ上げてこない。
むしろ嬉しいものがあった。

先程ハンマーが出てきたときに、木のみの葉っぱが
引っかかってしまったのだろうか。

「っあ〜・・。気持ちいい」
まだ少し笑っているハルカが言った。
「なんでだよ」
「だって、サトシと喧嘩して以来一回も笑ってなかったもん」
「えっ・・」
「だから思いっきり笑えて気持ちいいのよ」

「ジャリボーイったら笑えるわ〜」
「ほんとだよなぁ〜」
「ほんとだにゃー!」

「「「にゃははははは!!」」」

皆がぎゃあぎゃあ笑っている様子を、サトシは呆然と
見ていたが、すぐに小さく笑みをこぼした。
「なんだ・・そういう事か・・」
今までサトシ自身も元気が無かったことは
自分でも分かっていた。でもその不安は一瞬でなくなった。
ハルカが笑わなかったから、俺も悲しかったんだって
今気づいたサトシ。我ながらものすごい鈍感だと
思った。
「サトシありがと」
「ん・・別に」
「なに照れてるのよ〜」
「て、照れてなんかいねぇよ!!」
「ふ〜ん」

ねぇサトシ。
私が寂しい思いをしたら
もっともっと
面白い事
して欲しいな

 
なぁハルカ・
もしお前が
俺の笑顔で笑ってくれるんなら
俺はもっと
たくさん笑って

 
キミノエガオヲフヤシテアゲル・・・

そして、二人は無事に警察に発見されて・・(なんか変)
「お姉ちゃんったらもう心配かけちゃってさ!」
「もう気を付けろよな」

「分かったわよ〜」
「でも結構楽しかったよな」

マ「まぁ一件落着だよね」

タ「よし!じゃあ次の町は・・・」

サ「フワラタウン!」
ハ「ディズタウン!」

「「「「・・・・」」」」

マ「もういい加減にしてよーーーー!!」


 

割とよく出る(?)喧嘩ネタですね。
喧嘩しても、やっぱりお互いのことを気にしているんでしょう。
後悔の念もあり、だからこそ仲直りしてよりいっそう仲を深めることもできるんですね。
大事なことにも気付けて、二人の発展にはこういう展開もあっても良いと思います。
オチもいいですw
Commentator by 冬草


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