Dear〜親愛なる君へ〜

 ハルカが野生のグラエナに襲われた。
彼女の仲間サトシは、すぐさまの生命保護のための処置をとり、
彼女の回復のために、ありとあらゆる援助を施した。
 命に別状がないと分かり安堵の表情を3人と1匹はもらした。
「良かった。お姉ちゃんに何ともなくて。」
「けどマサト、後2週間は安静にしておかないといけないって言ってたぞ。」
タケシがマサトに言い返す。
「そうか・・・。」
マサトが残念そうな顔をする。
「タケシ、これからどうする。俺はハルカの様子を見てくるけど・・・。」
「俺とマサトはセンターの部屋に戻っておく。」
「じゃあ、ピカチュウを連れてくれないか?」
「ああ、判った。」
ハルカの入院している病院はポケモンセンターに隣接しているため、
面会するのには便利だった。

 〜ハルカの病室〜
  「コンッコンッ」
「どうぞ。」
「よぉっ、ハルカ。」
「サトシ!」
ハルカは驚いた。
突然、サトシが面会しにきたからだ。
「もう大丈夫か。」
「うん。」
「そうか・・・。良かったな。」
病室にて、今はベッドから起き上がっている。
そんな時・・・。
「ねぇ、サトシ。」
「どうした?ハルカ。」
「私少し気になることがあるの。聞いてもいい?」
「何だ、気になることって?」
「どうして、サトシは私をそんなに一生懸命気遣ってくれるの?」

ハルカの突然の一言に、サトシは戸惑いを覚えた。
「どうしてそんなことを聞いてくるんだ?」
「だって・・・、もう私冒険の旅を続けられないかもしれないから・・・。」
「何バカなことを言っているんだよ、ハルカ!!」
と叫びながらサトシは立ち上がった。
あまりに唐突のことに、普段の彼を知るハルカは、少しばかり驚いた。
「サトシ・・・。」
「あ、ごめん・・・。」
サトシは取り乱した自分を抑え、直ぐに座椅子に腰を下ろした。
「大丈夫だよハルカ、お前は必ず良くなる。必ず前と同じように
冒険の旅を続けられるぜ。そう信じて、今はとにかく休んでくれ。」
 先ほどの自分の行動に少々恥じて、サトシは落ち着いた口調でハルカに話した。

「うん、ありがとう。それは分かるんだけど・・・。サトシ、私が聞きたいのは、
どうしてそんなにサトシは私に優しくしてくれるの?」
 率直に聞きたいことをためらうことなく真っ直ぐに聞いてくる
自分の仲間に、サトシは少し表情を濁らせた。

「・・・俺は・・・俺は、お前に何があったら、
必ずお前を助けると決めたんだ。」
「え?」
 サトシの小さな呟きを、ハルカはよく聞き取れなかった。
しかしサトシは言い直すこともせずに話を続けた。
「俺は、いつでも『ハルカを守る』と決意したんだ。」
「サトシ・・・。」
「ハルカは、これからもずっと、冒険したいだろう。」
「もちろん!」
「だから、俺は、旅が続けられるように、
ありとあらゆる手を尽くすぜ。」
「ありがとう、サトシ・・・。」
 その後しばらく間を置いた後に顔を上げ、
真っ直ぐにの瞳を見つめる。

「俺は一緒に旅をした仲間のことを決して忘れない。
 共に過ごした日々を思い出として収める。
 けど、ハルカだけは違うんだ。」
「どうして・・・?」 
「お前と出会った日から何か違う感情を
持っているんだ。仲間以上の・・・。」
「え?」
「俺は、お前に感謝しながら一緒に
生きていきたい。お前の悲しい顔
なんか見たくない。優しい
笑顔だけが見たいんだ。」
自分がハルカを守れなかったせいで
こんな事になってしまったため、
サトシは真剣な表情だった。

「サトシ・・・。それって本当。」
「・・・うん。」
言葉の中に出てきた『仲間以上』
という単語が気になったのだが、
ハルカにはこのことを理解していたため、
詳しいことを尋ねることはしなかった。
サトシは再び顔を下に向けているが、
どうやらそれは何かに耐えているらしい。
身体を小刻みに震わせて、拳を硬く握り締めている。
ハルカはそんな姿のサトシから目を
逸らすことなく、見つめ続けた。
 

 そうしてどれぐらいの時間が経ったのだろう。
病室の中にある時計の針は夕方の5時を指していた。
サトシはこれを機会とばかりに頭を上げた。
「長居したな。今日はもうセンターに戻るよ。じゃあな。」
「あっ、ちょっと待って!」
サトシが部屋を出ようとした時ハルカに止められた。
「どうした?」

ハルカがベットから出てきて、
サトシに近づき耳元で呟いた。
「サトシ、本当にありがとう。
私信じているからね、その言葉・・・。」
「!!」
サトシが驚くのも無理は無い。
彼の頬にハルカの唇が触れたから・・・。
「・・・じゃあね。」
「・・・え、ああ、じゃあな。」
サトシは、ハルカの病室を出た後廊下で固まった。
「(今のは夢だろうか・・・?)」
その後、ハルカもそう思ったのは言うまでも無い。

「(・・・よし、絶対にハルカを守るぞ!!)」
サトシは心の中でそう叫び、仲間が待っている
ポケモンセンターの部屋へ戻っていった。


 

サトシが積極的だったという
感想が多かったのですが、
自分はこう言う形が好きなので・・・。
たったの2話ですが、
最後まで読んでくださった皆さん
本当にありがとうございました。
Commentator by リカルド

 
ハルカに対して、サトシはいつも優しいですね。
ハルカにもその思いはしっかり伝わっています。
会話の中に色々な感情が込められていて、それがとてもよく感じられます。
真剣な気持ちを持ったサトシはカッコイイです。
Commentator by 冬草


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