自分にしかできないこと

サトシとハルカとタケシとマサトは次の町を目指して旅を続けていた。
そしていつものようによくありがちな森を歩いていたのだった・・・。
だがあまりにも長く歩き続けていたのでハルカがサトシにこう言った
「ねぇ、もしかして・・・道に迷った?」
するとサトシが
「えっ?そんなはずは・・・」と地図を見直す、何度も見直す。
やがてサトシは言った。「本当に道に迷ったみたいだな。」
それを聞きハルカは力無く座り込み「えぇ〜、また道に迷ったの〜サトシって方向音痴かも」

そしてサトシ「悪いなみんな、でもこういう時だからこそいろんな事があるじゃないか」
だがマサトがすかさずこう言った「いろんな事の大体がろくでもないことだけどね。」
痛いところつかれたようだ、サトシはちょっと気が沈んだようだ。
「そんなこと言わなくたっていいだろ・・・。」
見かねてかタケシが言った「じゃあこのへんでお昼ご飯にしよう!」すると、さっきまで座り込んでたハルカが
「さんせ〜い!」と言って思い切り立ち上がった。まあ元気な証拠でもあるが。

そして昼食を食べある程度道らしき道を見つけたのでそこを歩いていたのだが・・・

いきなりなにかポケモンが出てきた。
「あれはキノガッサか?
前にも見たな、でもちょっと大きいな。」
少し遠くから見ているので細かいところには気付いていなかった。
そう細かいところには。
するとハルカが「なんか変わった雰囲気出してるかも」
そしてハルカはそう言うとキノガッサに近づいた。
しかしそのキノガッサは妙な笑みを浮かべている
いや、もっと複雑な表情だった
憎しみや喜びが入ったような表現のできない笑い方
まったく奇妙としか言えなかった
その時だった!
キノガッサは身をかがめハルカめがけて突進してきたのだ!
「え?」
と気づいた時は遅かった。
一瞬にしてキノガッサは通り過ぎていった。
ハルカには何かに当たったような気がした、それだけだった。
ほっとしたが何かキラキラ光る粉が周りを飛んでいた。
「これは・・・?」
マサトが叫んだ。「お姉ちゃん!それはしびれごなだ!吸っちゃ駄目!」
しかし時既に遅し
「な、何なのこれ!?
体が・・・動かない・・・何も見えなく・・・。」
そう言ってハルカは崩れ落ちるように倒れた。
あまりにも一瞬の出来事だった。
サトシもタケシも何が起こったか判っていなかった。
ふと気がつけばハルカが倒れていた、そんな状況・・・。
サトシが言った。「な、何が・・・起こったんだ?」
するとマサトが「お姉ちゃんが・・・しびれごな・・・キノガッサのしびれごなで・・・」
そしてサトシ・・・「そういえば確かにキノガッサが・・・」
ショックだった、
全くの不意打ちだった。
でも何故キノガッサが・・・?
と考えていると後ろから誰かの声が聞こえた。

「おーい!そこの人達!キノガッサを見てなかったか・・・ゼェ・・・・ハァ・・・。」
息切れして走ってきた男、顔は若く青年のようだが白髪が少し生えている
そしてどこか暗い影を漂わせている奇妙な男だった
着ている服は普通なのに。
サトシ達は奇妙さを覚えた
するとその男は言った「奇妙に思うか、とりあえず名乗るのを忘れたな
僕の名は・・・・そうだ確かヤスオと言うんだがな。ここでは色々と珍しい木の実があってそれで薬を作っているんだがな・・・
君達の名前は?」
どこか自分の名前を忘れているような感じだった。
そして3人はいつものように自己紹介した。
最後にサトシが「で・・・倒れてる人がハルカです。」

「そうかい、それよりも・・・キノガッサはどこへ行ったか知らないかい?」
するとサトシ「キノガッサならさっき・・・」
そしてサトシはハルカの方を向いた。
「そうかつまりあっちの方に行ったわけかい・・・
うん?その倒れてる人まさかキノガッサにやられたんじゃ・・・?」
サトシは頷いた。
「・・・・何という事だ、ついに奴は人までも手にかけたというのか・・・!
おい!一体何にやられたのだ!」ヤスオはサトシに詰め寄った
「わわわっ、し、しびれごなで・・・」
少し落ち着いてヤスオは言った
「何てこったまた何か嫌な予感がするな。
もうそんなことはいい、早く治療しなければ手遅れになるぞ、
分かっているな?放っておけば死あるのみだ。治したければな僕についてくるんだ!」
そう言うと森の奥へ走っていった。
「どうしよう。」とマサトが言うと
「どうしようもこうもないだろ!
変に奇妙な感じがしたけど行くしか手はないだろ!」
サトシはかなり熱くなっていた。
サトシはハルカを背負い
「行くぞ!ハルカ。」というとまたサトシも森の奥へ走っていった。
「ま、待ってよ!」とマサトが言うと残った二人もついていくのだった。

やがて小屋が見えてきた
いや・・・小屋というのには少し大きいような気がした、
ドアの近くにあの男が立っていた。
サトシ達が近づくと無言で小屋に入っていった。
サトシ達も続いて入っていく。
小屋の中は一本の廊下に左に二つの部屋右に一つの部屋奥にも何か部屋があるという感じだった。
ヤスオは一つの部屋を指さし「ここだ。」そう言い部屋に入っていった。
また妙な雰囲気を感じつつも部屋に入るサトシ達。
その部屋はベッド、机、ソファが一つずつある
広さの部屋だった。
サトシはハルカをベッドに寝かせつけた。
ヤスオが聞いた「どれくらい吸ったかわかるか?」
「えーっと・・・どれくらいだろう?」
すかさずマサトが「お姉ちゃんが倒れるまでずっと吸ってたよ。」
「・・・やっぱりな、と言うか一瞬でああなるからなな・・・、さて」
そう言うと妙な機械を出した。
「それは?」とタケシが聞く。
「木の実を砕く機械だ、ポロックにするのもあるらしいが僕は薬の材料にする・・・。」
4つ違う種類の木の実を取り出した。
「これはドリの実でこれは・・・どうでもいい、さっさと粉にするからな。」
黙々と機械を作動させヤスオは木の実を機械に放り込んだ。
「改造して自動にしたから一人でもできる。
オリジナルは他人がいないとできないから困る。」
しばしの沈黙が続いた、すると
「・・・さて教えてもらおうか、色々とね」とヤスオが言い立ち上がり
こちらの方へ向く
「どうやってこの森に入ったのか、と」
「実は迷って・・・。」とサトシは言った
「迷っただと?ああ、何て事だ。
何をどうすればそうなるんだよ・・・
決して他人は入れてはいけないのに・・・。」
そしてタケシが言った「他人を入れてはいけない理由でも?」
「ここには珍しいポケモンがいる、
そしてさっきも言ったが珍しい木の実も手に入る。
この森を荒らされたくないんだ、
本来なら君達を僕のフーディンのテレポートで次の
街まで送りたいところだが
奴・・・そうキノガッサにやられてはね、それにあれからでる病気を治せるのは僕くらいだからな・・・完璧ではないが
そこらの病院ではまず治せない。」
完璧ではない・・・・その言葉にサトシは不安になってきた
「え、キノガッサのしびれごなってそんなに強かったっけ?」
とマサトが言った。
「いいや、その辺のキノガッサ及び
他のポケモンのならちょっと痺れて後は適当にすれば治るで問題無い、
基本的にね。
ただ・・・何故かは知らないが奴だけは異常な毒をもっているんだ。
吸ったら数秒で倒れる。今の状態がそれだ
そして何もしれば死あるのみ
例え起きようが全身や手足の痺れは免れないだろうな。」
さらに嫌な予感を感じつつもサトシが言った
「それじゃあハルカは・・・。」
「恐らく最低でも手足が麻痺しているだろうな。
・・・今作ってる薬はな、毒の浸食を止め・・・
そうだな簡単に言えばある程度まで治すんだ、
悪いがこれで精一杯なんだ
まぁ少しでも薬で治せるのがこの病気の不思議なところだ。」
サトシは不安を抱きつつもそういう会話をしている内に
その木の実で作った緑色の粉末状の薬が出来上がった
「このまま飲ませるのは無理だ、苦すぎる
それ以前に飲ませられないがな。
ちょっと自分の研究室に行って来る・・・。」
そういって部屋から出ていった。
「研究室?ここって小屋じゃなかったのか?」サトシが疑問に思う
「きっとここには凄い秘密があると思うよ。」マサトが考えてみる。
「でも一番秘密があるのはヤスオさんだろうなぁ。」タケシが言う
「確かに、何でこんな所に住んでいるかも怪しいしなんだかそっけないしな。」とサトシ
「でもそれよりも・・・」マサトがハルカのほうを見る
「ハルカ・・・、俺はまだ信じられない、何でお前がこんな目に・・・。」
そうやってる内にまたあの男がやってきた
「ああエレベーターが長い、また壊れそうだ・・・。」
という独り言をつぶやいて部屋に入ってきた。
「エレベーター?」とサトシが聞いた
「んぬ、何でも無い、それよりも・・・」
彼が出したものはそれは点滴だった。
ヤスオは瞬く間にセットした「これで、よしと。
もう死ぬ危険はなくなったが・・・。」

「まだ何かあるんですか?」とタケシが聞く。
「奴のしびれごなはちょっと違うからな、何でか知らないが
うまくいけば完治、下手したら後遺症残るんだ。
つまり!一生手足が動かなくなるってワケだ。」
「なんだって!?」とサトシがヤスオに詰め寄った。
「ま、待て落ち着け、しばらくすれば意識は回復するから・・・。」
「そうですかそれなら・・・。」
「ただ先程も言った通り意識が回復しようが
手足は動かないだろうがな・・・。」とまたヤスオが言うと
「じゃあどうやったら治るんですか!」
とサトシはまた詰め寄った。
「待て!、だから落ち着くんだ。
気持ちは分かるがあまり興奮はするもんじゃない。」
「わ、分かったよ、じゃあどうするんですか?」
少しサトシはヤスオに離れた
「んだな、あれだ。ただ薬の効果だけでは
完治するかどうか怪しいんだ。
だからこそ周りで世話する人つまり看病してくれる人がいるんだな
こういう時目まぐるしく変わらず一人だけにやらせた方がいい・・・。
という訳でやけに熱くなってるサトシ君、頼む。」
「お、俺ですか!?」すこしサトシは驚いた
「嫌とは言わせないよ、あんなに病人に一生懸命なんだ
僕には『あれ』にしか見えないな、というかそうなんじゃないか?」
「確かにサトシ、すごいムキになってたね、
そんなにお姉ちゃんのことが心配なんだね」とマサトが言う。
「サトシなら大丈夫だろう」タケシも似たようなことを言う
「た、タケシまで・・・」
「ほら、では頼んだからな。」とヤスオはサトシの肩を軽く叩いた。
「邪魔しちゃ悪いからね、サトシ!お姉ちゃんに変なことしちゃ駄目だよ!」とマサトが余計な事を言った。
そう言うと3人は部屋から出ていった
去り際にヤスオが「そうそう何かあったら呼んでくれ
研究室か庭にいるはずだからな」
そして本当に出ていってしまった。
「なんなんだよみんなは・・・確かに何だか俺が特に熱くなってたな
それもこれもハルカが大切な・・・」
言葉が止まった
「何なんだろう?友達ぐらいかな?それとも・・・?」
あれこれ考えるのだがもうどうでもよくなった。
「あ〜どうするんだろ、ハルカはこの状態だし、ピカチュウ、どうすりゃいい?」
先程からずっと忘れ去られていたピカチュウ。
ピカチュウはさあ?という感じに首を傾げた。
サトシはその辺にあったソファに座り頭を抱えた。
「今日はさんざんな日だな、あのキノガッサに怪しい人
まぁ悪い人じゃなそうだけど、それに・・・
ハルカが・・・。」
サトシは溜め息をついた。
「もし治らなかったら・・・?
駄目だそんな事考えちゃ、治る事だけを考えなきゃ・・・。」
一人頭を抱える少年に
未だ意識不明の少女
そして少年の相棒のピカチュウ
そんなこんなで窓から見える景色はどんどん暗くなっていった。

その後夕食をすませ、またサトシはいつもの部屋へ戻った。
「本当に治るのかな?」
点滴を見る、確かに入っているようだ、
だがサトシにはこのまま死んでしまうのかそれとも
・・・という不安で胸がいっぱいだった。
しかしその不安も和らぐことになった。
「う・・ん?ここは・・・?」
ベッドから聞こえる声。サトシは立ち上がりベッドの方へ行く
「ハルカ!やっと・・・。」
「サトシ・・・何がどうなってるの?他のみんなは?」
「ああ、それは・・・。」
サトシはこれまでの事を説明した。
ハルカがキノガッサのしびれごなで意識不明になったこと
怪しいけど悪い人じゃなさそうなヤスオ
等々・・・。一通り話を聞いた後ハルカが言った
「ごめん、サトシ私のせいで・・・。」
「大丈夫だってハルカは何も悪くないよ、悪いのは・・・」
サトシは言えなかった、また彼にはあのキノガッサの異常な笑い方が気になった
何かされたのだろうか?
何者かに操られているのだろうかとも思った。
そしてサトシはぼそっと言った。
「・・・悪いのは俺だ、ハルカを止められなかった俺が悪いんだ。」
「何でそこでサトシが悪くないといけないの!?」
いきなり言われてサトシは戸惑った。
さらに言う「下手に近づこうとした私が悪かったかも。
それにしても・・・手足が動かない・・・?」
「ああ、それは・・・大丈夫なはずだよ治るはずだからさ・・・。」
明らかに何かを隠しているようなしゃべり方
その喋り方に疑問を感じたがあえてここは何も言わなかった。
いや、まったくというわけではないが
「本当に、大丈夫よね?」
「あ、ああ。」
もう一度確認するがハルカは不安になってきた。
サトシが言った「もうこんな遅くだ、もう寝なよ。」
「そんな、私・・・そんなに長く眠ってたの!?」
サトシは窓を指さした
真っ暗だった。
不気味に木の枝が風に揺れていた。
「サトシは・・・どこで寝るの?」
「ん?それは・・・」

サトシはこの小屋がどうなってるか思い出した。
4部屋あり、一つはダイニング、一つはマサトとタケシの寝る場所らしく、
もう一つはこの部屋、最後に研究室へ続くエレベータらしい。
サトシはやっと気がついた、自分の寝る場所がないという事を!
「うん、まあ。」とサトシは適当な返事を返した。
「じゃあな、ハルカ、おやすみ。」と言ってそそくさと部屋から出ていった。電気も消して
部屋から出た後サトシはため息をついた。
「どうなってるんだよ、この小屋は。
俺の寝る場所無いじゃないか・・・。どうしようか?ピカチュウ」
少し考えてみる。ピカチュウも考える。やがてひらめく
「あまり気が進まないけど・・・聞いてみるか。」
自分が寝る場所はどこかとヤスオを探し研究室の前に行ってみる。
やはりその扉はエレベーターのようだった。
いや違うそのものだった。
「本当にここってどうなってるんだよ・・・。え〜とボタンは・・・。」
愚痴を言いつつもエレベーターのボタンを探す
暗かったが何とか見つけることができた
しかし鍵がかかっていた。
「今度は何だよ?」
暗くてよく分からなかったが扉の前に二つの文字が見えた。
「不在・・・?こういう時はそうか、確か庭にもいるって言ってたよな。」
早速庭に出てみる
思惑通りヤスオはいた。
だが彼は望遠鏡で空を見ている。
「何やってるんですか?こんな夜中に。」
「まぁ多分天体観測だ。」
薬を作っているのとまったく関係なことをやっていたのでサトシは呆れた。
「呆れたような顔をしているような、
まぁ僕も何をしているのか分からなくなってきてる事もあってね・・・
だんだん自分が分からなくなってる・・・。」
望遠鏡を見ながらヤスオは言ってのけた。
さらに小言で言った「どうせ俺の名前なんてヤスオじゃないんだ、もう本名なんて忘れた。
何のためにこうやって薬をつくってるんだろうか俺は・・・。」
愚痴をこぼした。
「大丈夫ですか?」
サトシが心配そうに声をかける。
「聞こえたのか・・・、なに心配しなくていい
お前が心配するのはハルカ・・・だったかな?あの子だけで良いからな。」
彼の喋り方には哀愁も漂っていた。
「一つ聞いて良いですか?」
「何だ?奴のことか?」どうやらサトシの言いたい事が分かったらしい
ヤスオは望遠鏡を覗くのをやめサトシの方を向いた。
「俺は知りたいんです、本当にキノガッサが悪意を持ってあんな事をしたのか・・・」

少し沈黙が続いたがやがて重い口を開いた
「答えを言えば本当だな。
・・・でも少し微妙だな、どうしてああなったか知りたいか?」
「教えてください。」
ヤスオの顔が真剣になった。
「長くなるがな・・・では
・・・奴が出たのは3年ぐらい前だろうか
奴はその辺のキノガッサいやポケモンと違い
異常に強かった、完璧だった。
素早く、力強く、なんか頭も良い。
素晴らしいとしか言いようがなかった。だが・・・」
「どうなったんですか?」
「強すぎたんだよ
あいつだって本当は優しい奴なんだ。しかし何に関しても強い
ひたすら強い、言い表せないほどだ、正に万能。
強さは時として危険な存在となる
どこぞのポケモンが避け始めそして皆から避けられた。
最初はあいつは一人でも大丈夫だったんだ。
だが!」どことなく熱が入っていた。
「一体何があったんですか?」
「悲しいことだ、どこぞの奴らがキノガッサを殺そうと徒党を組んでやってきたんだ。」
「う、嘘じゃないんですか・・・?」
ヤスオは溜め息をついた
「嘘を言ってどうなるんだ・・・。
結果は勝ったさ、キノガッサがな。
ただ生き残ったのを代償に彼は大切な物を失った。」
「大切な物?」
「もう奴は誰も信じられなくなったんだ。そして・・・
ついに怒りと悲しみと憎しみで暴走が始まってしまった!
出会ったポケモンを殴るだの暴力をふるったり
時にはしびれごな、時には殺したり・・・」
「殺す!?」その言葉を聞いてサトシはかなり驚いた
「何も知らないんだな
ポケモンも人間も感情を超えると何をするか分からない。
・・・奴は・・・可哀想にもう・・・。」
「何て奴なんだ・・・。」
「何て奴だよ本当に。
だが奴をこんなのにしてしまった他のポケモン達にも責任がある。
いらない才能のせいで集団でやられたり避けられるの嫌だろう?」
そのような事を体験したことがないので少しサトシは悩んだ
「そんな目には遭ったことは無いけど・・・
もしかしたら俺もああなっちゃうかもしれない・・・。」
「そういうことだ・・・あいつも精神が弱いから
ああなってしまうのだろうがな・・・。」
精神という聞き慣れない言葉を聞いてサトシは聞いた
「精神が弱い?」
「・・・心が弱いって事だ。何となくで分かってくれ・・・。
もうあいつは滅茶苦茶なんだ
もう自分で自分を止められないからな・・・。
君には信じられないかもしれないけど本当にそうなんだよ」
5秒か沈黙があったそしてサトシが沈黙を破いた
「そういえばキノガッサが妙な笑い方をしていたような・・・」
「・・・とうとうあいつもか・・・。」
明らかに何かを知っているようだった。
だがもうサトシは聞かなかった
何か知ってはいけないことに知ってしまいそうだったからだった。
そしてヤスオが言った。
「ところで今回のこと・・・誰が悪いと思う?」
サトシは考えた「誰だ・・・?やっぱりキノガッサ・・・?」
少し笑って答えた
「答えを言うならば・・・
皆が被害者だ、そして同時に奴をこんなふうにしてしまった
皆もそしてキノガッサもまた加害者だ。変な答えだ、悪かった。」
「何だかよく分からない・・・。」
「だろうな、ちょっと難しすぎたな子供には。」
「こ、子供!?」ちょっとサトシはピキッときた。
「ま、微妙な所だなじゃここはあえて少年としておくか。」
「それってあまり変わってないような・・・・。」サトシは少し落ち込んだ。

「そんなものさ。」
「そんなものですか、俺は?」
「まぁ・・な、・・・自分で言ってて訳分からなくなった。悪い」
ヤスオがかなり情けなく見えた。
やがてまた愚痴っぽく言った。
「・・・ふぅ。さっさとキノガッサを
ゲットしておけばこんな面倒なことにはならなかった
もう犠牲者が出るのは御免だ。」
やがて落ち着きを取り戻したようにヤスオが言った
「まあいいさ。そんなことよりだ」
「何ですか?」
「病人の意識は回復しただろうな?」
「ちゃんと目を覚ましました、今は眠ってるけど。」
「予定通りだな」
「よ、予定通り?」
「まぁそう言うことだ。次は・・・」
「何をさせれば・・・?」
ヤスオは少し考えて言った。
「どうするかな?あいにく車いすとか松葉杖だの都合のいい物はここにはないからな。」
「な、それじゃあ何もできないじゃないですか」
ヤスオしばらく黙っていたがやがて口を開いた
「君は何でもかんでも道具で解決しようとするなぁ。
そうだな・・・
朝になれば恐らく手足が若干動くようになっているはずだ。」
「少し動く・・・?」
「そうさ、
そしてなんとしてでも立ち上がらせろ
そして立ち上がらせたら歩かせろ
嫌でもだ。
努力のみだ。本気でやらねば治る見込みはないだろうな。」
どことなく呪文のような感じがした、そしてサトシの頭に響いた。
「本当にそれで治るんですか?」
まだ不安と疑問が残る。
「本気で努力しろ、そうすれば後遺症もなく治る・・・はずだ。
いや絶対に、君ならできる
それは君にしか・・・そう、自分にしかできないことだから・・・。」
わかりそうでわからない喋り方
しかし何かがサトシに伝わった。
また続けていった。
「・・・弱きを助け強きをくじくと言う言葉がある
分かるな、しっかりと守ってあげなよ。」
そしてヤスオは小屋へ戻ろうとした。
「あ、ちょっと待って。」
「ん、あそういや何か言いたそうだったな。」
自分の言いたい事だけ言ってしまう人それがヤスオ
「それで・・・何か?」
「俺の寝る場所が・・・無いです。」
「あぁ・・・あ!」
どうやら本当に忘れていたようだった。
サトシはより一層不安になった。
「いやまてよ、無い事もないが・・・。」
妙に嫌な予感がしたが
無いよりはマシだろうと思い
「それはどこに?」
「病人の寝てる部屋に・・・ソファあったろ?」
サトシはやっぱりという予感がした「ま、まさか・・・!」
「あれはソファベッドになっていてだな。」
さらに続けて言おうとしたが
「ちょちょちょっと!
まさかハルカと同じ部屋で一緒に寝ろと!?」
「すまない、本当にすまない
だがこれしか手はない
いや本当に悪いと思ってるよ。」
ピカチュウが呆れる。
「しかし・・・そんなに恥ずかしいか?」
とヤスオが聞く
「そりゃあ同じ部屋で二人っきりなんて・・・。」
すると
「ああ、今さらそんな事を言うのかい?
恥ずかしいのか?一緒に旅してきたんじゃないかい?」
「今まではみんなと一緒に寝てたからなぁ・・・
二人きりってのは実はまだ・・・。」
少しサトシは赤面した
優柔不断なサトシを見て呆れて言った
「もういい、もう疲れた。
ソファは引けば簡単にベッドになるからな。
でも本当にすまない・・・。」
そんなことを言って小屋に戻ろうとしたが、
思い出したようにヤスオが言った
「医者は体の傷は癒せても心の傷は癒せない。
ちなみに僕は医者ではないからな。
長く話しすぎたみたいだ・・・。」
また意味深なことを言って小屋に戻ってしまった。
一人取り残されサトシはつぶやいた
「あの人って本当は何者なのだろう?
それとも俺に何を伝えたいんだろうか?
心の傷は癒せない・・・か。
自分だけにしかできないこと・・・。
う〜んなんなんだろう?
ま、いいか
さ、行くぞピカチュウ。」
小屋へ戻ると布団一式が部屋の前に置いてあった。
「明らかにハルカの所で寝ろと言ってるみたいだ・・・。」
頭をちょっと抱えた。
「いいか、ピカチュウ、ハルカを起こさないようにするんだぞ。」
ピカチュウが返事をする。
そしてゆっくりと入る・・・。布団一式を持ちながら
「いいか、ゆっくりだぞ・・・、物音を立てて起こしたらまずい。」
サトシもピカチュウもそろりそろりとゆっくりと歩く。
何とかソファのとこまで着いた。
「これを引けばいいんだよな?」
よく見れば折り畳んだ感じだった、引っ張ってみる。
すると!
ガガガガガと音がした!
「わわわっ!」とサトシも声を出してしまった。
「し、しまった!」
一人と一匹は凍り付いた。
「う・・・ん?」
今にもハルカが目を覚ましそうだ。
「いや・・・別にこれは・・・。」
思わずサトシは喋ってしまった。
「サトシ?寝るんじゃなかったの?」
「実は、ここで寝ることになって・・・。」
「へ?」
「しょ、しょうがないだろ、何か知らないけど
俺だけ寝るところなかったんだから!」
ムキになって答えた
サトシの顔がまた赤くなっている。
「別にいいわよ、本当に寝る所がなかったんでしょ?
それに・・・サトシなら・・・。」
「え・・・?今なんて?」
「ううん、なんでもない。」
そう言うとハルカはそのまま寝てしまった。
「今日は色々なことがありすぎたな、もう疲れた、早く寝よう。」
布団を敷き終えそのまま眠る、ピカチュウもまた一緒に眠るのだった。

とても良い天気だった。
雲一つ無い天気だった。
一つ大きめな小屋があった。
その小屋の一つの部屋
サトシが目を覚ました。
「ふわぁ〜あ、ぐっすり寝れたぞ。」
そしてサトシはハルカのほうを見る。
よく見ると点滴が空になっていた。
蛇足、ベッドとベッドの距離が約1〜2m離れているのでくっついてはいない。
「やっぱり夢じゃないんだよな・・・、ハルカがあんな目にあったのも、何よりも二人っきりで・・・」
言葉が止まった。
「何考えてるんだろ、俺は、寝る場所がなかったからここに寝ないといけなかったんだよな」
そうサトシは自分に言い聞かせた。
確かに事実だが同じ部屋で寝て、二人きりというのが何だか恥ずかしかった。
そんなこんなでハルカも目を覚ました
「うぅ〜ん、もう朝かぁ。」
ハルカのベッドは窓と隣接している、そしてハルカは窓の方を見る。
そう、見るだけなのだ、起き上がっていない
自分で起き上がることができないのだ。
サトシは、ハルカが可哀想になってきた。
(普通なら起き上がってそれで・・・)
「あ、サトシ、起きてたんだ。」
「うん、まあね。」
「どうしたの?何か元気ないわよ?」
ハルカのことを考えると元気が無くなるのも当然だった。
ふと、サトシはヤスオの言ったことを思い出した。
手足が少し動くようになるはずだ、と。
思い切って言ってみた。
「ハルカ、少し手足が動くと思うんだけど・・・。」
「え・・・?」
そう言わるとハルカは手足を動かそうとした。
「あ、何だか感覚があるかも、手も動かせる!足もすこしだけど・・・。」
「良かった、じゃあとりあえず起きあがれるか?」
先程から体の部分は全く動かしていなかった。
「絶対起き上がれるって、ほら。」
「そう言われても・・・・自力じゃ駄目かも。」
「う〜んそれじゃあなぁ・・・。」
ふとサトシはまたヤスオの言葉を思い出した。
(なんとしてでも立ち上がらせて歩かせろ)
「なんとしてでも・・・、そうだ。」
サトシはベッドの方に行きハルカの両手を掴んだ。
「い、いきなり・・・何なの?」
「俺もすこし引っ張ってやるからこれで起き上がれるだろ?」
なんとしてでも起き上がらせて歩かせたい、そんな気持ちがハルカに伝わってきた。
「そういうんなら・・・、頑張ってみるかも。」
ハルカは思った、今まで普通にできたことが今はまるでできない、くやしい、と。
そんな思いがあったのかサトシが手伝ってくれたのか何とか起き上がることに成功した。

サトシが言った「・・・ベッドから立てるか・・・?」
「え?立てるかって・・・?」
ハルカはまったく自信がなかった
少ししか手足の感覚が無くあまりよくは動かないのだ。
「無理かも・・・そんなに体動かないし・・・。」
そう思うとサトシがうつむいて言った。
「分かってるよ・・・かなり症状は重いって事ぐらい
でもここで頑張らなきゃ・・・後遺症が・・・。」
「後遺症・・・!?」
サトシはしまった!と思った。
心配を掛けまいと思ってそのことは言わないつもりだった。
だが言ってしまったのはしょうがなかった
「ああ、確かにこのままじゃ一生体が動かなくなるかもしれないんだ。
だからハルカ、頑張ろう
俺もちゃんとついてやるから・・・。」
悲しくなってきた、病にかかったほうも辛いが
こっちの方はもっと辛い。
「サトシ・・・。」その思いが伝わったのかハルカは何とかして立とうとした。
少しよろめく、がそこをサトシが手を引っ張り何とか立つことができた。
「ありがと・・・サトシ。」
「気にするなよ。」
お互いに手を握りあったその状態がほんのしばらく続いた。
するとドアのノックが聞こえた。
何を思ったか驚いたかサトシはハルカを握っていた手を離してしまった。
「ど、どーぞ。」
「きゃあっ。」
慌てて手を離したのでハルカはバランスを崩しサトシの方へ倒れ込む、
「おっと」
うまくハルカを抱きかかえる。
するとドアが開いた。
「おねぇちゃ〜ん、意識回復したって・・・あ。」
部屋に入ってきたマサトが言った後ろにはタケシもいる。
「お〜、ついにサトシ、やってしまったか。」
のんきにタケシは言った。
「ち、違うってこれは・・・その・・・。」必死に弁解しようとするサトシ、少し顔も赤くなっている。
「じゃ、サトシ、お姉ちゃんをよろしく。」からかうようにマサトは言った。
「こら!マサト、変なこと言わないの!」
サトシに抱かれたハルカは言った
一応頭の部分は元気なのである。
しかしこんな状態ではまるで説得力がない。
そこで「ちょっと倒れかかったところをサトシが支えてくれただけよ!
変な風に思わないで。」これが必死の弁解だった
そしてマサトが言った「ああそうだ、忘れるとこだった
朝ご飯できたから呼んでこいって
ヤスオさんからの伝言だよ。」
「そ、そうかじゃあ後で行くから。」
そう言われてマサトとタケシはニヤニヤしながら部屋に出ていった。
一息ついたあと「じゃ、行こうか?」
「手を離さないでよ、またこんな風になっちゃうから・・・」
さっきからずっとサトシがハルカを抱いている状態だった。
サトシは慌ててハルカを立たせ、両手を繋ぎお互いを向かい合わせた
「よし、一歩一歩踏み出していこう。」
「う、うん。」
そして少しずつであるが歩き出していくのであった。

 
2.Kの行動

この森のどこか
一匹のポケモンがいた。
そのポケモンは無数の傷が付いている
漂う邪悪な雰囲気
鋭く赤い目、それは見る者全てを恐怖に陥れるようだった。
それはキノガッサ
ハルカを襲った張本人である。
普通のキノガッサとは全く違うのだ
一応体の色と形がキノガッサであると分かるが・・・
体長も170cmはあるだろうか普通よりもかなり大きい。

キノガッサはこの森の道無き道をひたすら歩き始めた。
どこかへ行くとかそんな理由はない。
常にどこかを睨みつけている。
それは見るもの全てに恐怖を与えるようだ。
するとキノガッサは何者かにぶつかった。
それはカイロスだった。
しかも普通よりも大きい
2mはあるだろうか・・・。
少しキノガッサはひるんだ。
その時!カイロスはハサミギロチンを放った!
間一髪でハサミギロチンを避けた
またカイロスが攻撃をしかける。
しかし今度はキノガッサは目にも見えない速さでカイロスの後ろに回り込み
スカイアッパーを放った!
カイロスは5mぐらいか垂直に飛んだ
そしてキノガッサは身構えた、落ちるのをまっているかのように!
そして目の前にカイロスが落ちてくるのが見えた
その刹那!キノガッサの手が光り爆裂パンチを放った!
カイロスは奥へ吹き飛び、木に叩きつけられ
そして瀕死のダメージを負い殆ど動けなくなってしまった。
さらにキノガッサは近づく
カイロスの目の前で止まり鋭く睨みつけた
また手が光る・・・とどめをさすつもりだ!
そして目が・・・もはや生物の目ではなかった
何か技を出した、しかし爆裂パンチではない・・・
技を出し終えた時にはもうカイロスの面影はなく
ただ一本の角だけが残っていた。

スッキリしたのかまたどこか歩き出す
顔も満足そうだ。
ふと道を見つけた。
実はサトシ達とあった場所である。
キノガッサは何かを察したのか道に沿って歩き始めた。
しばらく歩いていると小屋にしては大きい小屋・・・そうヤスオの小屋に辿り着いた。
実はキノガッサはヤスオの事を知っていた。
まぁキノガッサはせいぜい
薬を使って他にも変な物を作るよく分からない男・・・ぐらいしか思っていなかった。
当然ヤスオの事が嫌いだった。
いやキノガッサにとって生きとし生けるもの全てが嫌いなのかもしれないが
キノガッサは小屋の横の方に回り込んだ。
人の笑い声やらが聞こえた。
疑問に思い、見つからないよう草陰に隠れ窓を覗いてみた
キノガッサは驚いた。
生きているのである、ハルカが
ほかにもサトシやタケシやマサトやついでにヤスオ
どうやら朝食を食べているようだ
ハルカは手足がうまく動かせないのでサトシが手伝っている
そこでマサトがからかっている・・・。
いやそんな事よりもっともキノガッサが疑問に思ったのは
何故ハルカが生きているのか?
だった。
あのしびれごなで死ぬと思っていたのである
なのに何故生きているのか?
キノガッサはすぐに分かった。
ハルカの点滴とヤスオを見てすぐに分かった。
余計なことを・・・・とキノガッサは思った。
今度は小屋の裏側に回り込んだ
そこにはがらくたの山があった。
やかんや謎の機械やらその他金属の物体・・・ゴミ捨て場のような感じもする
キノガッサは何かを探すかのようにがらくたの山に首を突っ込んだ。
目的の物を見つけたのか首を引っ込めた
その目的の物は一丁の拳銃
西部劇に出てきそうなリボルバー式の拳銃である
まだ弾も入っている、かなり物騒だ。
人間とは違う手の形なので少し持ちにくそうだ
何とか持ちまた小屋の横に戻った
そっと見つからないように草陰に隠れ銃を構えた。
狙いを定めてキノガッサは引き金を引いた。
ダーン!と鈍くも鋭い音がした
だが窓は軽く傷が付いただけで割れなかった
なんと防弾ガラスだったのである。
「チッ」と言ったかキノガッサは銃を投げ捨て森の奥へ去っていった。

 
3.人達の行動

そのころの小屋の人達
「何も起こっていない、何も・・・。」
白髪混じりの奇妙な青年ヤスオがそう言った。
「あまり気にしない方がいいと思うぞ・・・。」
すると
「なんか怪しいかも。」とハルカ
「というかさっき絶対に音がした、そうだよな?ハルカ」とサトシが言った
ハルカがうなずく
そうサトシとハルカが疑うように言うと
ヤスオは冷や汗をかいた。
「あまり気にしすぎると悪いことが起こりそうだ・・・。」
この後起こることを知っていそうな喋り方だった。
「じゃな。」
そう言うとリビングから出ていった。
と思ったらもう一回出てきた、
「忘れるところだった、一応読んでおいてくれ。」
そう言うとテーブルに薬の入った点滴の袋とA4サイズの紙一枚を置いて出ていった。
サトシはその紙を取った
「言いたいことあったら直接言ってくれよ・・・、なになに?」
相変わらずのわかりそうでわからない行動に戸惑いつつも一枚の紙を読む
それには点滴の取り付け方が書いてあった。
注意書きも書いてあった
完全に治るまで点滴は止めてはいけないらしい。
図までついていてやけに字が丁寧だった、サトシはまた奇妙な感覚を覚えた。
一通り読むと最後の行に何かを見つけた
「ん、何か俺へのメッセージみたいなのがある。」
「え?何て書いてあるの?」と言ってハルカが覗く
「い、いきなり何だよ、ま、いいか読んでみるぞ
えーっと・・・
『ここ最近嫌な予感がする・・・
まず離れないようにしておくれ、言われなくとも分かるかもしれないがな
そして恐らく奴が来たら脅えるかもしれない。
・・・自分にしかできないこと、それを忘れるな』だって。」
かなり意味深なメッセージを読み困惑するサトシ。
ちょっと考えてみた
(離れないようにってのはハルカから離れるなって事か?
そして奴はキノガッサそして脅える・・・?)
「あ〜分かりそうで分からないな。」
「私は全然分からないかも。」ハルカはまったく分かっていない。
「あとで聞いてみようかな?」とマサトが言った。
「ヤスオさんと何かあるのか?]
「あ、まぁ・・・・じゃ僕はやることがあるから。」
そう言ってマサトはリビングから出ていった
どうやらマサトは昨日から何もしていないではないようだ。
やる事とはヤスオのことだろう。
ヤスオにあの言葉の意味を聞くに違いない
そうサトシは思った
二人と一匹(ピカチュウ)が残され・・・いやタケシがいた。
タケシは皿洗いをしていた。それはどうでもいい
そして「じゃ、そろそろ俺達も何かリハビリでもしようか?庭あたりでも」
「う、うん。」
そして部屋を出ていった。
一人皿洗いのため取り残されたタケシが言った。
「さて、これからがおもしろくなるぞ。
皿洗いも終わったことだしあの二人がなにをするのか興味深いな
ちょっとヤスオさんが乗り気じゃなかったのが気になるけど。」
そしてタケシも皿洗いが終わりリビングを出てエレベーターに行き研究所と言われるところへ行く。
これからちょっとした事があるのだ
本当にちょっとした事だが。

 
4.お二人さんの行動とちょっとした事

サトシとハルカは庭にいた
「じゃ、とりあえず歩く練習としてここの小屋一周でもしようか?」
「う、うん」
「どうしたんだ?さっきから元気ないぞ?」と心配そうにサトシが言った。
「その・・・何というかなんか変にドキドキするというか最近ちょっと妙な感じがしてるかも」
「妙な感じ?」
「そう、何だかこうやって二人でいるとこんな妙な感じがするの・・・。」
「それって・・・病気?」
「病気というか・・・でも別に悪い感じでもないの。」
(悪い感じじゃない・・・?。)とサトシは思った。
「とにかく歩く動作から思い出していこう、あまり変な感じも感じなくなると思うぞ。」
「・・・うんそうだよね。」
するとサトシはハルカの手を寄り強く握った。
「!?」
「ど、どうしたんだよ?」
「また、妙な感じが・・・。」
「大丈夫だって、さ、歩こう。」
そして両手を繋ぎお互いを向かい合わせた状態で歩き始めた。
すると二人の頭上に目玉のような小さな機械が飛んでいた
二人はそれの存在を気付いていない。
それは監視カメラだった
どこかのSF映画に出そうな物である。しかしこれはR団の物ではないのである。

同時刻
小屋の地下の研究所
地下にあるといえども怪しい感じはしない
オーキド博士の研究所のようにきれいで整っている。
そこにタケシとマサトがコンピューターの画面に釘付けになっていた
一緒にヤスオのポケモン、フーディンが監視カメラを操作している
少し離れてタケシとマサトの行動と画面を見ているヤスオ
(成り行きって恐ろしい・・・)
何故こんな事になったのか、簡潔に言っても少し長くなる。

それは昨日の夜である
フーディンが作った例の監視カメラ
ポケモンと言えどもあなどれないのだ。
それをヤスオが手にとって眺めていると
いきなりマサトとタケシがやってきた
あわててカメラを隠そうとするも落としてしまい見つかってしまう
カメラを拾いこれは何?とマサトに聞かれいつものようにごまかそうとするも
ヤスオを疑いの眼差しで見るマサト。
その雰囲気に耐えかねヤスオはとうとう本当のことを言ってしまう
マサトはフーディンが作ったと言うことにも驚いたが
小型で自由に動かせる上に音声も聞けると言うことにも驚いた
そしてマサトはカメラを使ってあることを考え出す。
それが今回のことである・・・。

「あ〜何て馬鹿なことをしたんだ。」と溜め息をつくヤスオ。
「お姉ちゃん鈍いな〜。」とマサトの声が聞こえる
(・・・まあ、二人の仲は完全ではないがかなり良い線はいっているという事は確認できたがな。)
とヤスオは自分のやった事にこんな事を思い聞かせた
「フーディン!もっとそっちに動かして!」
フーディンがパネルのような物で操作し始める
ヤスオ以外皆の顔が笑っている。
(何楽しそうにやってるんだよ・・・もういいや)
ヤスオは軽く頭を抱え込んだ。そして同時に諦めのような念も出始めた。
(道具を作り出すポケモン・・・か。)ヤスオはフッと笑った。

 
5.忍び寄る影・・・?

所変わってサトシとハルカ
相変わらず二人は密着したような状態だ
しょうがないわけだが。
小屋から右の方にいた。
サトシはリビングの窓を見つけた
「防弾ガラスだったみたいだな、でもちょっと傷が・・・。」
「サトシ、あれは?」
ぎこちない動きの腕で指さした物は
拳銃だった。
「あれは・・・拳銃!?なんでこんなものが・・・。」
西部劇に出そうな古そうだが威力のある拳銃がそこにあった。
サトシはそう言うとハルカを掴んでいる手を離し拳銃を取ろうとした。
バランスを崩したハルカは「ちょ、ちょっと!きゃあっ!」思わず倒れそうになる
「しまった!」
サトシは素早く、倒れそうになるハルカを抱えた。
「あ・・・ごめんなハルカ、ついちょっと拳銃とかに気になっちゃってさ。」
「あ、うん別に大丈夫だから・・・。」
何故かハルカは顔が少し赤くなってしまった
サトシは辺りを見まわした
ちょうど壁際に二人ぐらいが座れるベンチを見つけた。
誰が置いたか何となく想像ができる。
「悪いけどちょっとそこで座っててくれないか?」
「え?良いけど・・・。」
サトシはハルカを座らせると拳銃を拾い窓を調べ始めた。
「何やってるの?」
「犯人はわかんないけど何でこんな事をしたのかちょっと知りたいんだ。
しばらく休んでなよハルカ。」
「うん、分かった・・・。」
元気な無さそうな答えが返ってきた。
サトシは思った(この森といい、この小屋といいどうもこの辺は奇妙な物が多いな・・・。
キノガッサがハルカをあんな目に遭わせたのも謎だし・・・。)
窓を覗くとリビングがあった。
(もしあの時窓が普通に割れていたら・・・どこに行くんだろう?)
そうサトシは思って拳銃を窓に向けてみた。
(弾はまっすぐ飛ぶよな・・・と言うことは当たる場所は・・・!)
サトシは青ざめた。
(ハルカに当たるじゃないか!)
サトシは拳銃をショックのあまり落としてしまった。
拳銃は地べたに落ちダンと音がした
(一体誰が・・・?何でハルカを・・・?)
いつの間にかサトシは深刻な表情になっていた。
すると
「大丈夫サトシ?」と
ハルカが心配そうな顔で見つめていた。
「ああ、大丈夫だ。
それよりそろそろ行こうか?」
「うん・・・。」
「やっぱり元気ないなぁハルカ
大丈夫だって、よっと。」
そう言うとハルカの手をぎゅっと強く握りしめた。
ハルカはまた妙な感覚に襲われた。
「また・・・変な感じが。」
「またか?それにしても変だな
俺が手を握るとその・・・妙な感じが出るみたいで。どういう事だ?」
「き、気にしなくていいわよ。さ、行こ。」
「ああ。」
ハルカは思った(変だよ・・・私、今まで感じたことのない感じに襲われてる
でもこれは病気じゃない、でもなんなんだろう?この気持ち・・・。)
何故かハルカは変なことを聞いてしまった。
「サトシ・・・何も抵抗とかないの?」
「抵抗?」
「その・・・こうやっているのとかに・・・。」
サトシはハルカを抱きかかえたままだった。
その事に気付いたサトシは言った。
「いちいちそんなに気にしてもいられないだろ?
別に抵抗とか感じないよ。」
半分予想していた答えが出てきてハルカは少しがっかりした。
「そ、そう。」
「どうした?ハルカ?」
「別に何でもない・・かも」
ハルカは思った(サトシってやっぱり鈍いかも・・・。)
やがて二人は小屋の裏の方に辿り着いた。
4〜5分はかかっただろうか?
サトシ達はもの凄い物を見つけた。

 
6.裏という裏

「な、なんだこれは!」
「ちょっと不気味かも・・・。」
それはがらくたの山であった。
ゆうに三メートルはあるだろうか
「何だか危ない物がたくさんあるかも。」
サトシはがらくたの山をよく見た。
やかんや金ダライなど日用品から・・・
「け、拳銃・・・?それに剣みたいなのもあるぞ。」
錆びていたり欠けていたり使えそうにないのも多かったが
中には斬れそうなのや銃に関しては今にも暴発しそうなのもある。
「これって・・・すごいやばいんじゃないか?」
「それ以前の問題かも」
二人の頭上には監視カメラがなかった。
恐らくヤスオがまずいと見てフーディンを押しのけ
勝手に操作したのだろう。それはどうでもよかった
「また変なのが・・・」
ハルカが指さした物は壁の色にカモフラージュされた扉だった。
「小屋につながってそうだな。
あ、ピカチュウ」
ピカチュウが少し近づいてみると扉が音もなく開いた。(一応ピカチュウがいるのである)
扉の先は真っ暗だった。
「なんなのこれ?。」
「よくわかんないな
ピカチュウ、離れてくれ。」
「ピカ。」
離れると扉は閉まった。
「自動ドアみたいだな、それにしてもヤスオさんって一体・・・?」
「そういえば後ろの道は?」とハルカが聞いた
サトシが後ろを振り向くと木で囲まれた長い道があった。
どことなく通ってはいけない・・・そんな印象を受けた。
「ずいぶんと長そうだな、今は通るのやめとくか。」
「はぁ、小屋半周なのにすごい疲れたかも。」
「まだ半周あるぞ、頑張ろうな、ハルカ。」
「うん。」
少しハルカは元気が出たようだ。
そして歩き出す。
しばらくして歩きながらサトシが言った
「それにしても・・・ここって小屋というか、秘密基地か?」
「今までのを見るとそうかも・・・」とハルカが答える
サトシは小屋の方を見た
改めて見るとやっぱり小屋にしては大きすぎる。
さらに地下もあるらしい、
そして明らかにヤスオの何かを隠しているような行動。
サトシは社会の裏を見たような気がした。
(あの奇妙な感じ・・・そういうことだったのか。)
『社会の裏』に住む人間がいると言うことをサトシは改めて思い知らされた
ふと後ろの方でガシャンガシャンと音がした。
しかしあのがらくたの山が崩れたのだろうと思い
二人は気にも留めなかった

 
7.見せられし現実

やがて小屋を4分の3周し、あと少しで元の場所にまで来た。
するとサトシ達はもの凄いプレッシャーを感じた。
「なんだ・・・!?」
「ちょっと怖いかも・・・。」
ハルカはサトシの腕に強くしがみついた。
サトシは壁から様子を見た
すると何と!
あのキノガッサがいたのだ!
傷だらけの赤い目をしたキノガッサが!
(まさか・・・あれはハルカを襲ったキノガッサじゃ!?)
サトシの顔が思わず強ばる
サトシの顔を見てハルカはかなり不安になった。
サトシはキノガッサを見た
キノガッサはまた銃を持っていた。
今度は西部劇にでてくるような拳銃ではなかった。
アメリカの警察が使いそうな黒い頑丈そうな銃だった。
そして奇妙に笑っている、
それを見てサトシは何もかもわかってしまった。
「やっぱり窓をいやハルカを狙ったのも・・・キノガッサか!」
「まさか・・・キノガッサがいるの?」
「ああ、ハルカを襲っ・・・」
サトシは腕により強くしがみつかれるのを感じた。
サトシはハルカを見た。
顔は下を向いているが明らかに震えている。
(脅えるってそう言うことか・・・
まずいなハルカはそんなに速く歩けないし・・・)
サトシは苦渋の選択を強いられた
気付かれずに逃げるか、戦うかだ。
(相手はもの凄く強いって言うんだ・・・今は逃げた方が良いな。)
「ハルカ、とにかく逃げるんだ、気付かれないようにそっと逃げるぞ。」
「う、うん・・・。」
気付かれないように現場から離れようとする
音を立てずゆっくりゆっくりと・・・。
するとガタッと音がした。
なんと積み上げられていた煉瓦のような物に当たってしまったのだ。
(な、何でこんな所に!)とサトシは思った
ヒュンと音がした。
サトシ達は後ろを振り向いた。
5m先にキノガッサがいた、凄い剣幕だ。
先ほど感じたプレッシャーからより強いプレッシャーをサトシ達は感じた。
キノガッサは銃を構えた
「走るんだ!ハルカ!」
「無理よ!」
その時キノガッサの銃が火を噴いた。
弾はハルカの頬をかすめ頬に一本の赤い線を作った。
「いたっ・・。」
「やっぱり駄目か・・・こうなったら、戦うしかない!」
その途端キノガッサは銃を後ろへ放り投げ戦闘の構えに入った。
「ピカチュウ!電光石火!」
いつものごとくかなり速いスピードでキノガッサに突っ込む
しかしあと少しの所でキノガッサが消えた。
「ピ、ピカ?」
対象を見失いピカチュウは困惑している。
「後ろだ!ピカチュウ!」
ピカチュウが後ろを振り向こうとしたその時
一本のパンチが飛び出した
ピカチュウは吹き飛び木に叩きつけられた
ピカチュウはかなりのダメージを負い、倒れた。
そしてキノガッサが近づいてくる。
「ピカチュウ!十万ボルト!」
ピカチュウは目を開き十万ボルトを放つ
黄色い光がキノガッサ目がけて飛んでいった!
光はキノガッサに命中した
「やった!」
キノガッサはダメージを負ったようだ、少しかがみ込んでいる。
「トドメのアイアンテール!」
ピカチュウは飛び上がり空中で一回転しアイアンテールを放つ
バキッ!と音がし砂煙のようなものがおきた
「どうだ?」
「あ!」とハルカの声が聞こえた
何とアイアンテールをキノガッサは片手で受け止めていたのだ。
何かを思う隙もなくキノガッサはピカチュウを高く突き飛ばした
(スカイアッパーか!)
続けてキノガッサも高く跳び上がった
サトシ達は上を見上げたが太陽がまぶしくよく見えなかった。
ただ・・・何度も殴りつけるような音が10数回は聞こえた。
「ピカチュウ!」
そのままピカチュウはサトシの上に落ちサトシはうまくキャッチした。
「ピカチュウが一瞬で・・・・なんて奴だ!」
それと同時にキノガッサが着地した。
「いっけぇ!オオスバメ!」
サトシは次はオオスバメをモンスターボールから出した。
もう既に空を飛び始めている。
「翼でうつ攻撃!」
オオスバメはキノガッサに狙いを定め急降下した。
翼が白く輝く。
しかしあと少しで当たりそうになった瞬間またキノガッサは消えた。
「同じ手は引っかかるか!もう一回上に飛ぶんだ!」
オオスバメは空高く上昇し辺りを見回した。
(もう後ろに回り込まれる事はないぞ・・・ん?)
サトシはある事に気が付いた、キノガッサがいないという事に。
「スバ!」
オオスバメの叫び声が聞こえた、上を見ると・・・。
「まさか・・・!」
あまりにも速く並はずれた跳躍力があるらしく
オオスバメにはキノガッサはとらえられなかった
ザシュッ!何かを斬りつける音がした。
その瞬間オオスバメも撃墜され地面に叩きつけられた。
「くっ・・・戻れ!オオスバメ」
モンスターボールのスイッチを押しオオスバメを戻した。
キノガッサは軽やかに着地した。
(普通の強さじゃない・・・、一瞬で何があったんだ・・・!)
サトシは歯を食いしばった。
キノガッサは今度はハルカを鋭く睨みつけている。
サトシはハルカがまた強くしがみつくのを感じた。
ハルカはあのキノガッサに恐怖を感じていると言うことはあきらかだった。
(下手に動くと・・・駄目だ!ハルカが危ない!)
数分間は止まっていただろうか・・・サトシの首筋に汗が流れる。

 
8.嘘ならいいのに・・・

するといきなりドアが開く音がし一人の男の声が聞こえた。
「サイコキネシス・・・。」
青い波動のようなものがキノガッサ目掛け放たれる。
「!?」とキノガッサが振り向いた瞬間波動はキノガッサを捕らえた。
「誰だ?」
「サトシー!ハルカー!大丈夫かー!」この声はタケシだ!
「お姉ちゃん大丈夫!?」とマサトも駆けつけてきた。
「じゃあ今のは・・・」どうやらヤスオのフーディンの攻撃らしい。
「・・・終わりだ。」何だか恐ろしいようなヤスオの声が聞こえた
サトシ達は小屋の横の方にいるので小屋の正面にいるヤスオが見えない
その瞬間キノガッサは後ろに吹き飛んだ。
かなりダメージを負ったようだ。
キノガッサにヤスオが近づいてきた。
「これで最後だ・・・。」
そう言うとモンスターボールを取り出し投げた。
ところがキノガッサはモンスターボールを手ではじき返した。
「チッ、まだ元気があるな・・・。」
キノガッサは立ち上がり森の奥へ逃げていった。
「しまった、また逃げられた・・・。」
「た、助かりました。」とサトシが言った。
「礼には及ばないよ、ただ・・・。」
「ただ?」とハルカが聞いた。
「あんなにもあっさりと攻撃が当たるなんて・・・おかしすぎる。
手加減していたようだ・・・。」
「あれで手加減!?」
「奴の本来の力は・・・言葉では表せられない・・・。」
「じゃあ何で手加減なんかしたんですか?」
「敵陣視察と言ったところか・・・だから力を抜いたんだと思う。
それよりも前よりも嫌な予感が強くなってきた気がする・・・。」
サトシは『嫌な予感』という言葉を前にも聞いたことがある気がした
(嫌な予感ってまたキノガッサが・・・!?)そう思った途端ヤスオが言った
「君が思っていることその通りかもしれない。」
「私は・・・どうなるの・・・?」
「どう考えたって不穏な未来しか見えない。
それはともかくピカチュウ怪我してるだろ?
あともう一匹だれか怪我したはずだ」
サトシはピカチュウを見た、オオスバメの入っているモンスターボールも。
「ピカチュウは大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。薬ですぐに治せる。」
「あ、ありがとうございます。」
「良いって。ま、早めに治療しないと。」
「そういえば・・・」とサトシが聞いた。
「うん?」
「何でキノガッサがいる事が分かったんですか?」
ヤスオとタケシとマサトはギクッとした。
マサトは思った(言えない・・・監視カメラで見てたなんて言えない・・・。)
より一層暗い雰囲気を出してヤスオが言った。
「不穏な予感がよぎったのだ、だからとりあえず駆けつけた・・・それだけだ。」
言うと同時に(一応はカメラのおかげだが、実は本当にそんな予感がしたんだがな。)とヤスオは心の中
でつぶやいた。
サトシが言った。「ハルカ・・・その頬の血は?」
「さっき、銃で撃たれた時に・・・」
ヤスオが地面に落ちてあった銃を拾った。
「デザートイーグル・・・捨てたのに。」
「デザートイーグル?」とサトシが聞いた。
「この銃の名前だよ、撃たれたってのは奴にか?」
(奴・・・キノガッサか)とサトシは思いそして「確かにそれで撃ちました。」と言った。
ヤスオは腕組みをしていった。
「あの賢さ・・・想像以上だな。」
一息つけてさらに言った。
「運が良かったな、この銃は扱いが難しい。
もし奴が銃が上手かったもしくは運が悪かったら・・・」
「ハルカは・・・?」と不安そうにサトシが聞いた。
「脳天をぶち抜かれて死んだろうな。」とヤスオはあっさりと言いのけた。
「!!」ハルカは座り込んだ。
「うそ・・・でしょ?」
「な・・・ヤスオさん何を・・・。」サトシが言った、少し怒っているように見える。
するとヤスオが言った。
「・・・恐らく奴が命を狙っているのは君だけだろう・・・
何故奴が君を狙うのかは分からない・・・。」
「な・・・なんで私だけ・・・?」ハルカの目に少し涙があふれ出す
「何で分かるんですか・・・!?」サトシが言った、何だかさっきよりも怒っているようだ。
「窓のことそして今回のこと・・・そして最初に襲われた時のこと・・・
言葉じゃうまく説明できないがどこか奴は君を狙う理由があるような気がするんだ。
銃を使う時君だけを狙うなんて明らかに・・・そうだろう?」君とはハルカのことである。
サトシは窓のことを思い出した。
(確かにあの時窓が割れていたら・・・!でもやっぱそうなのか?)
「でも真実は数日後に分かるような・・・」
「真実?」とサトシが言った。
「・・・傷ついたポケモンの治療もしないとな。」しばらくの沈黙の後ヤスオがそう言った。
「あ。」とサトシはヤスオにピカチュウとオオスバメの入ったモンスターボールを渡した。
ピカチュウをよく見て言った。「急所を外している・・・
やはり本気じゃなかったか・・・なに、すぐに治る。」
そう言うとヤスオは駆け足で小屋に戻っていった。
 

9.漢。

「お姉ちゃん大丈夫・・・?」とマサトが聞いた。
「大丈夫なわけないでしょ・・・。」ハルカの声は震えていた
ハルカは顔こそ下は向いていたが
泣いていることは容易に想像ができた。
「マサト、タケシ・・・先に小屋に戻ってくれ。」
「え?まぁいいけど。」そう言うと二人も小屋に戻っていった。
「ハルカ・・・」
「・・・。」ハルカは何も言わなかった。
(どうしてなんだ・・・!何でハルカが殺されなければいけないんだ!)
サトシに行き場のない怒りがこみ上げてきた。
そして拳を握りしめ歯を食いしばる・・・。
独り言のようにだがハルカに聞こえるようにサトシはつぶやいた。
「あんな奴に・・・ハルカを殺させてたまるか!
確かにあいつは強かった、でも負けたのも少し油断したんだけどな。
・・・ハルカには俺がついている。
ハルカ!俺がお前を守りきってみせる!」
何だか自分でも恥ずかしいことを言ったサトシ。
しかしそれはとても男らしかった。
「サトシ・・・。」
ハルカは上を見上げサトシを見た。
逆光により、あまりよくは顔が見えなかったが頼もしい感じがした。
「ありがとう・・・サトシ。」
もうハルカは泣いてはいなかった。
そして自分で立ち上がった。
「おっ自分で立てるようになったみたいだな。」
「これもサトシのおかげかも。」
それでもハルカはしっかりとサトシの腕につかまっているのだった。
そしてサトシに軽く微笑んだ。
一瞬サトシはドキッとした。
(あ・・・何か変な感じが・・・まさかハルカも感じたあの感じか?)
お互いに微妙に意識しあっているがあまりその事を口に出さない二人
だが後々このことが大きな事に繋がる・・・。
「よし、小屋に戻るぞ」
「うん。」どうやら前よりもハルカは元気になったようだ。
一歩ずつ一歩ずつ踏みだし小屋に近づいていく。
そしてサトシはドアを開け二人は小屋に入っていった。
 

10.不安と感情と

二人の部屋にて・・・
夜にもなるとピカチュウもオオスバメも元気になって戻ってきた。
「ピカチュウ〜」
そう言ってサトシはピカチュウを抱きしめる。
それを見ていたハルカはクスッと笑った。
ハルカも大分楽になったようだ、だがそれを見てサトシは不安になった。
(本当に俺は・・・守りきれるのか・・・?
油断したとか言ったけど本当は本気を出したつもりなんだ
でもあの強さ・・・まるで歯が立たなかった・・・。)
「ピカ?」
「サトシ・・・?」
なにか思い詰めているのかとピカチュウとハルカは心配そうに話しかけた。
「あ、いや何でもない。」
と言うとごまかすようにサトシは笑う
「それならいいんだけど・・・」
「ハハハ・・・大丈夫だからさ、そろそろ寝るか?」
「こんな時間だしね。」
ふとサトシが窓を見る。
「まさか・・・あいつが窓を破って来るわけ無いよな・・・。」
「!!!」
ハルカの顔が引きつった。それに気付いたサトシ
「いや・・・本気で言った訳じゃ・・・。」
サトシは軽く冗談で言ったのだがハルカはどうやら本気で受け止めたようだ。
しかしあのキノガッサが窓を破りこの部屋にはいるとは言い切れない・・・。
「まさか寝てる間に襲われない・・・よね?」
「大丈夫だって、そこまであいつがするか?」
「でも・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
沈黙が続く・・・しばらく経つとハルカが言った。
「その・・・サトシ、やっぱり怖いから・・・。」
「な、なんだよ?」
「ベ・・ベッドくっつけてくれ・・・ない?」
ハルカの顔が少し赤くなる(何言ってるの・・・私?)
「え?そんなに言うならいいけどさ。」立ち上がりサトシは自分のベッドに近づいた。
「あ、でもやっぱり・・・」
「どうするんだよ?」
「だから・・・くっつけてって・・・。」
(何言ってるんだろう?私・・・サトシと一緒にいたいから?)
ハルカは言いたいことと思っていることが交差し始めた
(本当は何が言いたいんだろう?)
そう思っている内にサトシはベッドをくっつけてしまった。
「これでいいのか?」
「あ、うん・・・。」
ハルカはうつむき、そしてさっきよりも顔が赤くなった
(何で赤くなっちゃうの?別にいいよね・・?)
辺りを見回す、サトシとハルカのベッドは隣り合わせにくっついていた。
(いまさら戻せなんて言えないし・・・ま、いっか。)
ハルカはベッドの布団の中へ潜り込んだ。
するとサトシの声が聞こえた。
「バンダナ外さなくていいのか?」
「あっ。」
頭に手を回そうとするがやはりまだしびれごなの麻痺が残っているようで
なかなか手が動かない。
「しょうがないな〜俺が外してやるよ。」
そう言うとサトシはハルカの布団に手を入れバンダナを外した。
「あ、ありがと。」
恥ずかしながらも礼を言った。
(何でまた恥ずかしくなっちゃうんだろ?)
ハルカはまだ気付いていなかった・・・サトシに対するその感情を。
「じゃ、寝るぞ。」サトシは電気を消した。
サトシは布団に入りそのまま眠りについたようだ
そしてハルカは・・・
(やっぱりこれって・・・絶対違うかも!私がサトシに、サトシに・・・。)
湧き上がってきたその感情を理解できずにいた。
だがそのこともはっきりすることになる・・・。

サトシは実はまだ眠りについていなかった。
(俺は・・・守りきれるのか?奴から・・・)
実はかなり不安になっていたのだが
それを表情に出すとハルカが心配すると思いなんとかして明るく振る舞っていたのだが・・・
(あの強さ・・・見たこと無いぞ?)
だが今日の疲れもあってだんだんと眠くなりそのまま眠ってしまった。
同時にピカチュウも眠った
 

11.恐怖は夢に出る、と

「何もかも全てが憎い・・・」
ハルカは暗闇のなか何者かの声が聞こえた。
しかしどちらかというと心に響くようだった。
「誰?誰なの!?」
「お前の命を狙いお前の嫌いな奴だ・・・。」
何者かが近づいてくる感じがした
ハルカは逃げようとした、しかし逃げられなかった。
「どうなってるの!?身体が動かない・・!?」
ハルカは両手両足何かに掴まれているような繋がれているよう状態だった。
足音は聞こえないが明らかに何者かが近づいてくる。
同時に恐怖を感じてきた。
「まさか・・・!」
「脅えるがいい・・・死を目の当たりにした生命を見るのはいつ見ても楽しい・・・。」
男のようだが性格も恐ろしくでも人でないような声が聞こえた。
「あのキノガッサ・・・?」
「正・・・解・・・だ。」
すると目の前にいきなりキノガッサが現れた
本当に身長は高い、ゆうに170Cmは明らかに超えている
さらに赤い目、その目でハルカを見下すように見る。
ハルカは生きた心地がしなかった。
どことなく身体全体も暗くなっている、さらに体中傷だらけ。
何だかポケモンという感じではなかった。
「どうして・・・?どうして私だけ・・・?」
ハルカは自分が殺さなければならない理由を聞いた。
すると赤い目をぎらつかせ彼は言った
「知った所で何も変わりはしない・・・。」
「私は何もしてないはずよ!何で殺されなければならないの!?」
少し威圧的にでてみた。
「気付いていたのか、俺が貴様を殺そうとしているのを。」
一言一言が心に響いてくる
キノガッサの口はまったく動いてはいない。
ひたすらテレパシーのように心に伝わってくるのだ。
キノガッサは今度はちゃんと理由を言った。いや理由がどうか分からないが
「理由なぞない。たまたま目にあったのが運の尽き
しびれごなで意識不明なって死んでもらおうと思ったが
あの白髪が治そうとし
今貴様は完治しようとしている。」白髪とは勿論ヤスオである。
「それが何の関係があるわけ?」
ハルカはキノガッサの顔を見ていない
恐ろしすぎて見るに耐えられないからだ。
「俺は狙った相手は必ず『殺す』と決めている。
段階はあっても最終的にはな・・・。
ところがどうだ、貴様は死ぬどころか元気になり
何だか楽しそうじゃないか・・・
俺に目をつけられて生き延びた・・・そんなのは絶対に認めない。
だから殺す。それだけだ。」
「ひ、ひどい・・・かも。」
キノガッサは腕を振り上げた
風圧が頬に当たる。
「前に今度こそ殺そうとしたのに・・・!
また邪魔がはいりやがった!あの帽子の男!
二度目の失敗だ!もう許さない・・・。
今度は絶対に殺してやる・・・!殺してやる・・・!」
怨念の篭もった声、それと同時に悲しい感じがした。
「いや・・やめて・・・誰か・・・。」
キノガッサは腕をさげ頭を抱え始めた
「やめろ・・・!お前は出るな!うぅ・・・」
腕を戻すと顔を上げキッとハルカを鋭く睨みつけた。
今度はいろいろな声が混ざったような声で心に響き始めた。
「見えるぞ・・・媚びたような事して
人が褒めると舞い上がり、数え切れぬほどの見るに耐えかねないこと。
そうかそうか殺せばいい、殺せばいい・・・。」
急に笑い始めた
「なんなの・・・もう不思議とかそんなんじゃなくて・・・
不気味かも。」
今度はさらに殺意の篭もった目で睨みつけた。
「・・・・・・・・・・!!!!!。」
精神が壊れたような感じだった。
キノガッサは腕を振り上げる。
「血の一滴残さず殺せ・・・!」
腕が一瞬光った。
「やめて・・・誰か・・・サトシ・・・助けて!」
「誰も助けなど来るか!貴様の命断ち切ってくれる!」
もの凄い顔をして腕を振り下ろした!
「いやぁぁぁぁぁぁ!」

ガバッとハルカは起きた。
「ゆ・・・夢だったの?
すごいリアルだったかも。」自分の心臓の鼓動が聞こえる
そうとうの恐怖で心臓はまだ高鳴っているようだ。
横を見るとサトシがぐっすりと寝ている。
「もうサトシ・・・。」
ハルカは溜め息をついた。
「そっか私にはサトシがいるんだよね
あんなのがいてもサトシがいてくれる・・・。
夢の中じゃ私一人だったけどサトシがいれば・・・
私を守ってくれるんだよね・・・?」
安心したのかハルカはまた眠り始めた
今度は悪夢を見ることはなかった。
 

12.寝ぼけたのかはたまた

朝・・・と言っても午前六時ごろ
まだ起きるのは早い。
「ふぅ〜ぁ、ん?誰かに抱きつかてるような・・・」
どうやらハルカがサトシの肩辺りに抱きついているようだ。
「何だか凄い密着してる・・・。」
このままでは収拾がつかないのでハルカを起こす事にした。
まずはハルカの手をどけた。
そして
「起きろよハルカ。」
そう言って軽くハルカの肩を叩く。
するとハルカのまぶたが開いた。
「あ、サトシ・・・。」
するといきなりハルカはサトシに抱きついた。
今度は正面同士向かい合っている。
「サトシ・・・怖かったかも。」
「な、何があったんだよ?」
ハルカは自然と溢れる涙を堪え言った
「すごい怖い夢みたの・・・、それにとてもリアルだったの。」
ハルカは夢の内容を話した。
ハルカは夢の内容を鮮明に覚えていたので
かなり詳しく教えた。
「・・・・それって本当か?」
「嘘なわけないでしょ・・・私、サトシに助け呼んだんだから。」
また涙が溢れてくる。
「サトシ・・・。」
一息付けサトシにより強く抱きつき言った。
「離れないで・・・私、あなたのこと頼りにしてるから・・・。」
そのままハルカは抱きついたまま眠ってしまった。
「ありゃ?寝ちゃったよ・・・。」
寝ぼけてこんな事を言ったのかとサトシは思った
「そうは言っても俺のこと頼りにしてるんだな
・・・そうだないつまでも不安になっちゃ駄目だ。
絶対に・・・・絶対に!ハルカをあいつから!守りきってやる!」
そう固く決意した
しかしこの状態・・・抱き合ったような状態。
しかも横になっている。
「どうするんだよ・・・これ?
とりあえず、早いし寝るか。」
そのままサトシもまた眠ることにした。
 

13.頼りにしているから

朝7時半ごろ
ピカチュウだけ目を覚ました。
「チャ〜。」
寝起きの欠伸。
ふと二人を見ると何と!
「ピ・・・ピカ!?」
・・・抱き合ったまま眠っているではないか!
きっと幻覚でも見たのかと思い
目の周りをきれいに手で掃除した。
もう一回見てみると・・・
「ピ〜カァ・・・・。」
同じだった。
・・・ピカチュウはだんだんと居心地が悪くなってきた。
そう言うわけでベッドから降り
この部屋から出ることにした。
「ピカー。」
やっぱり人が使うドア、自分の身長の二倍くらいに
ドアノブがある。
しかしピカチュウもピカチュウ。
高くジャンプしてドアノブに手を伸ばすと簡単にドアを開けてしまった。
そしてそのまま部屋を出た。

一方
「あの二人まだ寝てると思うから
マサト、起こしに言ってくれ。」とタケシの声
「分かったよ。」とマサト
リビングではタケシと白髪の青年ヤスオが朝食を作っていた
何げに実はヤスオは料理が得意らしい。
(またあの二人はとんでもないことをしてるんだろうな・・・。)
心の中でヤスオはそう思いつつ
黙々と包丁を使い野菜を切っていく。

 
そしてマサト・・・部屋をでて廊下を歩いていた
「昨日は昨日でお姉ちゃんとサトシ、抱き合っちゃったけど
今日はどうなるんだろう?
まさか・・・。」
マサトのメガネがキラリと光り
にやりと笑う。
「ピカ〜。」
「あれ?ピカチュウなにやってんの?」
「ピカ?チュウピカ・・ピカ。」
ピカチュウは部屋にあった出来事をジェスチュアで伝えた。
「ふむふむ、二人は・・・部屋で・・・
え?抱き合って・・・ちょっと待ってよ!」
「ピカ?」
「あんまり想像したくないんだけど・・・まさか?」
「ピカ。」ピカチュウは頷く。しかしピカチュウ本人だってこのことは信じたくなかった。
「もうこうなったら僕が真相を確かめに行く!」
怒っているのか笑っているのかそんな感じで
マサトはドアを開けた。
「お姉ちゃん、サトシ何やって・・・」
マサトは沈黙した・・・というか
開いた口がふさがらない。
「あちゃー。」
二人は仲が良さそうにベッドをくっつけ抱き合ってまま寝ている。
「よく眠れるよね・・・。」
突っ込むところが違うのだがここまでくるとマサトは他に何も言えなかった。
二人の頭を軽く叩いた
「二人とも・・・起きてよ。」
「ああ・・・おはよ。」
サトシが目を覚ます。まだすこし寝ぼけている。
「ん・・・あ、マサトおはよ。」
それと同時にハルカも目を覚ました。
この状況・・・抱き合って寝ているという不可思議な状態を説明してもらうためマサトは聞いた。
「何でこんな状態で寝てるの?」
「ん・・・?」
「へ・・・?」
二人がしっかりと目を開けるとお互いに顔を向かい合わせていた。
「あ!」二人とも同じ事を言った。
「はぁ〜。」マサトは溜め息をついた。
そして改めて聞いた。
「どうして抱き合ってるの?」
「いや・・・別に・・・これは・・・。」サトシはこの状態をごまかそうとした。
「怪しい。」疑いの目でマサトは二人を見る。
「やっぱり二人って・・・・」マサトがそう言うと
「な、なによ。私怖い夢見ちゃったんだから・・・。」
そろそろこの状態も疲れるので二人は離れた
「怖い夢?」
ハルカは自分で上体を起こした
「そう・・・怖い夢。」
ハルカは夢のことを話した。

「・・・いくらなんでもそこまで怖い?」
あまりにもリアルすぎて
すこし呆れる。
「マサトは狙われてないから分かんないかもしれないけど
私は・・・・本当に・・・怖いんだから・・・。」
自然に涙が溢れてくる。
マサトも何だか嫌になってきた。
「じゃ、とりあえず準備できたら早くリビングに来てよ。」
「わかった、マサト。」サトシが答えた。
そしてそそくさとマサトは部屋を出ていった。
部屋を出たマサト・・・。こう思った。
(やっぱりお姉ちゃん、サトシのこと頼りにしてるんだ。
情けないけど僕は・・・何もできないよ。
サトシ・・・お姉ちゃんを頼むよ。)
「ピカー。」
「ピカチュウ・・・すぐにサトシ達来るよ。
さ、早く朝食食べに行こう。」

そしてサトシ達は・・・

 
14.何故か

「ハルカ・・・。」
「もう大丈夫よ。」
「本当か?」
「うん。サトシがいるから・・・。」そう言うとハルカは両手でサトシの腕を握った。
いきなり握られサトシはまた妙な感じに襲われた。
(まただ・・・何でだろう?俺ハルカのことどう思ってるんだ?)
サトシは自分の感情が少し分からなくなってきた。
「さ、いこ。」
「あ、ああ。」
そして二人は立ち上がった。
するとサトシは何かを思いだしたように言った。
「あ。」
「なに?」
サトシは机に置いてあったハルカのバンダナをとった。
「これ、つけないとな。」
「あ、そうそう忘れるところだったかも。」
サトシはハルカの頭に手を回す・・・
しかしためらった。
「どうしたの?」
「ん、ちょっとね・・。」
(あれ?ハルカがやけに可愛く見えたような・・・。
いやそんなことないか。)
そう思うとサトシは首を軽く振り
今度こそハルカにバンダナを巻き付けてあげた。
「これでいいのか?」
「うーん。こんな感じかな?ありがと。」
「よし、じゃ今度こそ行くか。」
「うん。」
今日は昨日よりもハルカは身体は動けるようになっている・・・が
まだ一人で立つと倒れる可能性があるらしく
サトシの腕にしがみつくことになった。
当然走ることはできない
(もっと長くサトシとこのままでいたいかも・・・?)
ハルカにふと妙な思いがよぎる。
サトシもまた・・・
(何でだろう?ここ最近ハルカのこと意識してないか・・・?)
しかしいまだにそれ以上の思いにはならないのだった。
 

15.意味深なあの一言

リビング・・・朝食をとっていた

「それにしても二人とも何も思わなかったのか?」とタケシが言った。
「何を?」とサトシ
「そりゃもちろん、二人で抱き合って寝てなんにも思わなかったのかって?」
この時サトシは思った。
(マサトの奴・・・タケシに言ったな!)
サトシはこう答えた
「べ、別に何も思わなかったさ。」
「それって本当・・・?」
マサトがメガネを光らせ言った。気味が悪い。
「男と女が一緒に寝て何も無いわけが無かろう・・・ククク。」
怪しく笑い言ったのはヤスオ。何だか悪のりしているようだ。
で、何故か顔を伏せている。
「いや、別に変なこともしてないし、思ってもないから。」
「サトシ・・・言ったよね。お姉ちゃんに変なことしちゃ駄目だって。」
「そう言ってたけど別に俺は何もしてないって!」
「そうよ、私だってただ・・・抱き合って寝たぐらいで。」
「それだよ!というか何でそうなったんだっけ?」
さっき聞いたはずなのにマサトがもう一回聞いた。
「だから・・・。」
ハルカはもう一度怖い夢を見たから抱き合ったと話した。
「何だかんだ言って抱きつきたいだけじゃないのかねぇ?」
かなりやる気の無さそうに言ったヤスオ
もう朝食も食べ終わりそうだ。
「ち、違うわよ、その・・・なんていうか・・・。」
「そうか、お姉ちゃんはサトシに・・・だったんだ。」
・・・の所を誰にも聞こえないように言った
内容は容易に想像できるがサトシとハルカには想像できなかった。
「な、なんだよ?」
「二人とも、こんなんじゃなぁ。」とタケシ。
ニヤニヤするマサト
一人朝食を食べ終え皿を洗い始めるヤスオ。一番どうでもいい。
「と、とにかくそんな変なこととか思ってないからな!
変なことって何かわかんないし。」
とサトシはちょっと訳が分からなくなっていた。
何も言わずハルカはサトシの腕にしがみついた、座っているのに。
「な、なんだよ?」
「あ、ちょっとね・・・。」しがみつく理由は特になかった。
これを見たマサトが黙るはずがなかった
「そういえば、何でお姉ちゃん、サトシにしがみついてるの?」
「だってそうしないと、私立てないから。」
「座ってるのに?」
「あ。」揚げ足を取られたハルカ
「まさか、単にくっつきたいだけじゃないのぉ?」かなりやな感じにマサトは言った。
ガキのようだ、というかガキだが。
「べつに、そ、そんな訳じゃなくて・・・」図星なのかそうなのか
言い訳するハルカ
するとテーブルの周りを歩きながらヤスオが言った
「つーか何が言いたいんだ、君達は。」
「ん?あれ?何だっけ?」言われたマサト、本来の目的を忘れていた
そしてサトシは思った(そもそも目的なんてあったのか?)
「ま、二人はやっぱりそう言う関係なんだな、て」
今度は壁に何かをしはじめた、行動に一貫性がない
「どんな関係ですか!と言うかさっきからなんなんだよみんな・・・。」
「いずれ、分かるよ。」
そして部屋を出ていくヤスオ。
誰も気付いていないのだがこの男が話をややこしくした。

「いつまでサトシにつかまってるの?」とマサトが聞いた
「え・・・あ、その・・。」ハルカは慌てて離した。
「お姉ちゃん、変になっちゃった。」
「何でよ?」
「明らかに二人ともなぁ・・・。」とタケシ
もう二人はどういう関係なのか分かっているのだが
肝心の二人が分かっていない。
「潜在的に・・・か。」とタケシはつぶやいた

朝食が終わり二人は部屋に戻った。
二人はベッドに座り話し合う
「そういえば・・・あれがまだ気になるかも。」
「あれ?」
「真実は数日後に分かるっていうあれ。」
「あ〜あれか。」
昨日ヤスオの言った意味深な言葉
彼のいうことは毎回意味深だが特にこれが気になっていた。
「そっか、まだ殺されるって決まった訳じゃないんだよね?」
「まあな、でも・・・。」あの言葉を思い出した。
『どう考えたって不穏な未来しか見えない』ハルカに言いのけた残酷な言葉
他にも昨日の事を考えるとやっぱり奴は・・・キノガッサは
ハルカを殺しにまたやってくるとしか思えなかった。
「え?」
「あ、なんでもないよ。」
絶対に言えなかった、奴はまた来るなんて。
(ここから逃げ出せば何とかなるような・・・?)
ふと小さな望みが湧き出た
「そうだ、この森から出れば大丈夫じゃないか?」
「でも、リハビリとか薬とか・・・。」
点滴の袋はまた新しくしていた
「薬なんてもらえばいいし、リハビリもあとでやればいいだろ?」
「・・・サトシ、この状態で歩いて森を出られると思う?」
確かにそうだった。
「そうだよな・・・。」
少し何かを考える。だが何も解決策は見つからない。
「そういえば大丈夫って何が大丈夫なの?」
(まだハルカ、来るとは思ってないのか
・・・いや思いたくないんだろうな。)
そんなわけで先ほどの暗い状況を押し殺し
「ま、どっちでもいいだろ?さ、リハビリしよう。」
「え?ちょっと・・・!
さっきのはどうなのよ?」
(サトシ・・・あまり隠さないで・・・。)
ハルカはサトシが自分のために彼が思っていることを言わないことに少し苛立っていた。
「何でもないって、さ、早く行くぞ
後遺症なんて残ったら嫌だろ?」
「そうだけど・・・。」
「どうしたんだ?」
「・・・(さっきのこと言ってもごまかされちゃうかも。そうだ!)
またキノガッサがでたらどうするの?」
とハルカは甘えるような声で言った。
すると・・・
「大丈夫だって!何度も言わせるなよ
ハルカは俺が守りきってみせる、って!」
その言葉がハルカにとって嬉しかった。
(良かった・・・サトシって頼りになるかも。)
そしていつも通りリハビリがスタートした。
 

16.二人の心

リハビリ・・・今日、明日と特に大きいこともなかった
二人は毎日二人っきりで寝ていた
勿論添い寝
だが二人はその意味を分かってはいなかった
いやほんの少し分かっていたかもしれない・・・が。

ハルカの心・・・

本当はまだ私はちょっとびびっちゃってたんだけどね
外に出ること、また・・・あのキノガッサが襲いに来ると思うと本当は外に出たくなかったの
でも何でだろう?サトシがいると・・・不思議とそんなのもなくなっちゃう。
私はサトシのこと、頼もしいと思ってるだけじゃなくて・・・
その、なんていうか・・・知らない感情がサトシに対して湧いてくるの
これって何だろう?でもこの感情って何かいいかも。
もっとサトシに守られたいかも・・・・ずっと、このまま・・・。
ハハ、何考えてるんだろ、私。
早く病気治さないとね。
でも本当にそう思う時があるの・・・。
 

そういえばリハビリしてる時、誰かに見られてるような気がしたんだけど
あれって何なの?
キノガッサ・・・じゃないよね?
 

サトシの心・・・

そういえば、リハビリする時いつもハルカは俺の腕につかまっていたというか
・・・しがみついていたな
俺は別にいいんだけど。
たまにハルカが恥ずかしそうにするんだ
俺も、いくらリハビリと言ってもいつもくっついてると・・・
俺だって恥ずかしいさ。
ま、こうしないとハルカ倒れちゃうからしょうがないけどさ。
それにしても何だかここんとこハルカに妙な感情を持ったような気がする
ハルカも俺と同じような感情を持ってるみたいだけど
なんなんだろうな?

そういやマサトやタケシなにしてるんだろう?
たまに森に入って木の実を取るのを見るんだけど
良く入れるよな・・・あ、ヤスオさんいたから大丈夫か。
森の中入ると道、ないんだぜ?それに暗い。
やっぱり逃げるのは駄目か
今度あいつ・・・キノガッサに会ったらどうするかって?
大丈夫、今度は勝てるさ
もっと落ち着いてポケモンに指示出して戦えば大丈夫だ
それにハルカを守らなきゃいけないんだ。
それは俺にしかできない・・・それが俺の・・・

『自分にしかできないこと』だから・・・。

それにしても気になるな・・・
数日後に真実が分かるってのは。
何が起こるんだろう?
 

そんなある日
リハビリするため庭に出ると・・・

 
17.奴は来た

そんなある日
リハビリするため庭に出ると・・・
何をしているのだろうか
マサトとタケシと・・・ヤスオがポケモン達を集め何かをしている。
「何をしてるんだろう?」と言ったのはハルカ。
「薬とか塗ってないか?」
よく見るとたくさんのポケモンがどこかに怪我をしていた
そこをよく見てマサトとタケシが薬を出し
ヤスオが薬を使う。
たまに持ってる薬がないとすぐに調合をはじめる。
治療の終わったポケモンはヤスオに木の実を渡しそして森の奥へ消えていく。
「こんなこともやっていたのか。」
珍しいポケモンがいるとは聞いていた
この辺・・・ホウエン地方では見かけないポケモンが多かった
コラッタ、ピジョン、ウパー、ヤドン、ハネッコ、数えていたらキリがない
何種類ものたくさんのポケモンが一列に並ぶ。
怪我をしているものは足や手や顔の一部分
しかしどれも軽いものだった。
「誰に怪我させられたんだ?まさか・・・キノガッサか?」
サトシの一声でポケモン達は悲鳴をあげ、ヤスオに集まった。
「な、俺なんか言ったか?」
「何か言った。」むくりと立ち上がる
「な、何ですか?」威圧感を感じ、すこし身おろじする。
「奴の名を言うな。」
「奴って・・・キノガッサ?」
そう言うとまたポケモン達がすくみあがる。
「やめろ・・・!その名はこの森では言ってはいけないのだ!」
「ど、どういうことですか!」
ひとつ溜め息をつく
そして言い放った。
「言ってなかったかもしれないが
奴に狙われたポケモンは全て・・・殺されている
生き残ったものはいない。
皆が奴を恐れ、嫌っている。」
その言葉を聞いてハルカは・・・
「じゃあ・・・私は?」
「ポケモンではないが、君が初めて奴の攻撃を受けて生き残った・・・二度も、
と言うことになる。」
ポケモン達はハルカを畏敬の念で見る。
「な、そんな目で見られると・・・恥ずかしいかも。」
「すごいな、ハルカ。」
「でもちょっと複雑かも。」
・・・いきなりヤスオはポケモン達をかき分け
森の前に歩いていった。
「何かあるんですか?」
「何かが・・・来る。
それは何なのか分かりそうで分からないが
それはとても不吉であり吉となるものになりそうだ・・・。」
また意味深な言葉。
こんどはかなりわかりにくい。
「まーただ、もう少しわかりやすくできないかなぁ。」
とサトシは愚痴をこぼす。
「邪気を感じない・・・だが本来は邪気を持っている
いや邪気を持っている姿が仮の姿
本当の姿は邪気を持たない善良な一つの生命・・・。」
もっと意味深だ。
「わ、わけわかんないよ。」マサトは頭をかかえる。
「深く考えない方がいいと思うぞ。」とタケシ。
急にヤスオはクククと笑いはじめた
奇妙だ。
「ククク・・・どうやら真実を知る時が来たようだな・・・。」
どこかのゲームに出そうなセリフ
しかしその一言一言が全て本格的で恐ろしい。
「全員さがってくれ。」
そう言われヤスオ以外全員後ろの方へ下がる。
皆が下がるのを確認するとヤスオも後ろへ下がった。
明らかに何かが起こる雰囲気・・・
ハルカは無言のままサトシの腕に寄り強くしがみつく。
絶対に離れないで、とでも言いそうに。

ガサ、ガサと草をかき分ける音。
「あいつか・・・あの傷だらけの赤い目をしたキノガッサがでるのか。」
そうつぶやく。
「サトシ、早く小屋に戻りたい・・・。」
だがサトシは戻らなかった
真実を確かめるつもりだ。

草をかき分ける音はより大きくなってくる。
「いよいよだな・・・。」ニヤリとヤスオは笑う。
「来るよ!」とマサトが言ったその時・・・。
奴は来た。
「・・・おや?」とヤスオが異変に気付いた。
 

18.尋問

弱々しくこちらにでてきたポケモン・・・キノガッサ
傷だらけで170cmもあって赤い目をしていた・・・が
何かが違う。
「邪気を感じない・・。」ヤスオが言った
サトシ達も同じ事を考えていた
明らかに見た目は前に見たのと同じなのだが
あのキノガッサ特有の『気』を感じないのだ
その『気』とは、今までに感じたことのないプレッシャーと思った方がいい。
キノガッサはまだポケモンだった。
だがピカチュウは頬に電気を走らせ
よつんばいになり、いつでも攻撃できる態勢なっている。
「何か言いたそうだよ。」とマサトは言った
やはりマサト、ポケモンが何を思っているのかに敏感だ。
何も言わずヤスオはフーディンを出す。
そして何も言わずペンとメモ帳一冊を渡した。
「何をするんだろう?」とマサトは思った
何も言わず独り言をつぶやく。
「最終通告ってわけか・・・いや警告か。
奴の本当の心の最後のメッセージ・・・。」
意味深を通り越し訳が分からなくなってくる
「何だよ、本当の心って・・・。」
サトシの愚痴も聞かず
ヤスオはフーディンに指示を出す
「奴のいうことをメモってくれ。」
「え?」とマサト。
やっぱり聞こえていたか、とうとう何をするのか説明をはじめた。
「なんかしらんが勝手に人語を覚えてしまったようだ
でも喋れないんだよ、声帯やらいろいろとね・・・。
まぁ、筆談はできるんだ。ポケモンの言葉を人語になおすことができるんだと。」
「フーディンってそんなこともできるんだ。」
「あいつだけだ、あいつだけだ。」謙虚にそう答えた。
(R団のニャースもできるんだよね・・・喋るし。)とマサトは心の中で思った。

・・・そしてもういいのか?と言う感じにキノガッサは喋ろうとする。
「今だ!」ヤスオは妙に力が入っている。
そしてフーディンは目にもとまらぬスピードで
メモ帳にキノガッサの言ったことを翻訳し記していく。
「何だか異様な光景だな。」と冷静にタケシは言った。
確かに小屋のすぐ近くに数十匹のポケモンが集まり
そこに人間4人
そして一人が前に出て、ポケモンを出し
言っていることを記していく・・・。
これを異様と言わずに何というのか。
一区切り付けてキノガッサは言うのをやめた。
そしてフーディンは何も言わずメモ帳の一枚を切り取りヤスオに渡す。
それを読むと・・・頭を抱えた。
「な、何があったんですか?」
「聞けば分かる・・・。読むぞ。」
全員緊張しその内容を聞く。
「今、私は悪の心を制御して今ここに出ている=v
「・・・何だ?」サトシは思った
(ヤスオさんの喋り方みたいだ。)意味深で一つ間違えれば意味不明な言葉。
「あとで説明するから落ち着いてくれ。はい、続きね
私は大きな罪を犯した、それは激しい憎悪によって
もう一つの意識を作ってしまったことだ。
それにより私自身の意識も抑えられもう一つの意識が私の身体を支配するようになってしまった。
後は何があったかわかるであろう。≠ネるほど・・・な。そうだったかやはり。」
よ〜く考えてサトシは言葉の意味を考えた
「つまりは前に全員から集団で攻撃にあって、それでいろいろと憎んで
それでもう一つの意識、何だろうな人格・・・みたいなのがでちゃったって訳ですか?」
「おや、君には分からないと思ったが分かってるじゃないか。」
「な!?」ちょっとカチンと来た。
「落ち着いた方が良い、今、奴を刺激しない方が・・・。」ヤスオは警告した
この人の警告に逆らうとろくな事が起こらない。
そんなわけでサトシは落ち着いて続きを聞くことにした。
「で、続きはなんて書いてあるんですか?」
「ああ、そして現在、私のもう一つの意識がそこの帽子を被った少年にくっついている
少女を殺そうとしているのはお判りですよね?♂スか口調変わってないか?。ここで終わりか?」
頭をポリポリと掻く。
するとキノガッサはまた言い始めた。
「早く早く!あいつ早口だぞ!」
さっきからボーっとつったっていたフーディン
ヤスオの一言で正気を取り戻しまた書き始めた。
そして数分後また止まった。
「思うんだけど・・・すごい面倒ですね。」とサトシは言うも
「確実な方が良いと思うがな・・・。」と反論された
「それしかないんだし、しょうがないかも。」とハルカは言った。
「さてと、なんだこれは・・・!」ヤスオが紙を読むと・・・
「・・・。
そしてもう一つの意識は少女をとても残酷な方法で殺すと言います
内臓を引きずり出し、目玉を・・・=v
「やめて!」とハルカは悲痛な叫びをあげた。
「だろうな、文章が猟奇的すぎる。もっと柔らかくできないか?」
とヤスオはフーディンに言ったが
フーディンは
これは彼が言ったことそのままにしただけのことだ
とメモ帳に書き、そして見せた。
「ひどいな、君も。
この部分は飛ばそう、ショックで倒れそうだ。
・・・よし、この辺なら大丈夫だな。」
(あんなの・・・ポケモンじゃない!)マサトは一人思った。
他の人はその文章の内容に驚き、考えてもいなかった。
「ちょっとまって、その文章・・・本当だよね?」とマサトは聞いた。
「当たり前だ。」
するとマサトはヤスオに向かって歩き始め
最初のメモ用紙を奪った。
そしてそれを読むと・・・・同じだった
マサトは憤りを感じた。
だがそれを察知してかヤスオ・・・
「いいか、抑えろ、今は抑えるんだ。
奴が今の状態を保つだけでもかなり大変なんだ。
今は抑えてくれ・・・・頼む。」
「う・・・分かったよ。」
マサトはメモ用紙をくしゃくしゃにしそのまま元の位置に戻った
そしてヤスオは読み始めた
「今までのことは断片的にしか分かりません。
これも断片的ですが・・・どうやら私のもう一つの意識は
ただ出会ったすぐに殺すわけはないそうです。
いやこちらから時が来るまでは出会うつもりはないそうです≠ィや、随分と丁寧になって」
さっきからどうでも良いことにヤスオは突っ込んでいる
「その時っていつなんだ?」とサトシは聞いた。
キノガッサはつぶやく。
すかさずメモをとるフーディン。
そしてメモの紙を取りヤスオは言った
「もう一つの意識はしっかりとは言いませんでした
その時はなんであるのかは
・・・よく聞いてください。
『暗黒の太陽いでし時乙女の命は絶たれるであろう。』と
言っておきますがその時になれば何処にいようが殺しに行きます
たとえ小屋地下であっても・・・。&カ章おかしいな・・・。」
「・・・・。」ハルカはもう立っていられなくなった
バタリとサトシに倒れ込む
そしてサトシはハルカを抱え込んだ。
「くそっ、でもそれって・・・・本当なのか・・・!」
何も言わずヤスオは続きを読む
「もう一つの意識は嘘は言いません
よって、そこの気を失った少女を殺すことも本当になるはずです。≠ゥ。
ところで何故、伝えに来た?」とヤスオは聞いた。
(そういえばなんでだ?)とサトシも思った。
そしてキノガッサはつぶやく。ほんの少しだけ。
メモをとるフーディン。機械であるかのように
メモ帳に記していく。
「最後の手段・・・です。知ってることでも伝えたかったんです。
貴方達が勝てる可能性は非常に低いですが
戦うことになったら殺すつもりで戦ってください。
相手も・・・殺すつもりで・・・来ますから。≠サろそろやばくなってる。」
読み終えるとキノガッサは森の奥へ消えていった。
「そろそろ、またあの意識が表に出るのだろうな
なるべく遠くへ。
いや・・・待て、テレポートがあれば逃げることができるはずだ!」
「あ、そういえば。」サトシは言った。
フーディンはテレポートを使えることをすっかり忘れていた
「よし!フーディン、テレポートを頼む!」
しかし首を振りお断りだ、と言う感じに拒む。
「な、なんでやらないんだ?」とヤスオは聞く。
「頼むよ、今しないとハルカが・・・!」とサトシも必死に頼み込む
渋々フーディンは了承した

「ん・・・嫌な予感がする・・・・な。」
 

19.リバース

「ん・・・嫌な予感がする・・・・!」
その時だった!目にもとまらぬ速さで黒い影が森から現れ
「うわっ!」
フーディンを目にもとまらぬ速さで斬りつけるように攻撃した!
「まさか!キノガッサか!」とサトシは言った。
フーディンは倒れた。ピクリともしない
いたるところに、傷が入り鮮血が流れはじめた
「チィッ、戻れ!」
モンスターボールのボタンを押しフーディンを戻した
戻して一言つぶやいた。
「全治一週間の怪我・・・?」
ふと何故殺さなかったのかヤスオは疑問に思った。(一週間以内に何かが起こる・・・?)
キノガッサはサトシの目の前に現れた
最早キノガッサははポケモンではなかった
身体は暗くなり悪魔と化したものがいた。
そしてサトシを見下すように笑うと
また逃げようとした。
だが・・・
「待て!キノガッサ!ピカチュウ、十万・・・」
ふと何者かに腕をつかまれた。ハルカではない
ヤスオだ。
「やめろ!今戦っても勝ち目は無い!
今は逃がしてやるんだ!」
「じゃぁどうすれば!」
「今は待て、勝つ方法がある!
・・・奴があれならば・・・。」
そうこうしているうちにキノガッサは森の奥へと消えていった。
逃がしてしまいサトシは拳をにぎりしめる。
「なんで止めたんですか!今倒しておけば・・・!」
「無理だ!だが・・・さっきも言ったが勝つ方法は残されている・・。」
「それは・・・?」
「とりあえず・・・
ついてくるんだ一人でな、ま、そこの少女を背負ってもいいがな。」
そう言うとヤスオは小屋に戻った。
「あ。」
「どうするんだ?サトシ。」とタケシは聞いた
「あれって何か気になるけど。とにかく行ってみる
みんなは先に戻ってくれ。いくぞ!ピカチュウ。」
「分かったよ。」とマサトは言った。
そしてサトシは小屋に入っていった、ハルカを背負って。

「まさか・・・本当に殺すつもりだなんて・・・・
いや、今はそんなのはいいんだ。」ハルカを背負いながらつぶやくサトシ。
エレベーターの前にヤスオがいた。
「入って。」
ボタンを押すと重いドアが開く

エレベーターの中。
ガタっとエレベーターは動き始めた
「アレってなんですか?」
「・・・あいつはリバースポケモン。」
「り、リバースポケモン・・・?」聞いたこともない言葉を聞いてサトシは戸惑う
「知らなくて当然だ。ポケモンの学者でもほんの一握りしか知らないのだから。
学会上からもこの現象は隠されている」
「な、なんで隠されるんですか?」
「隠さなければ混乱する。」また意味深な言葉・・・
多分聞いてもちゃんと言わないと察しサトシは少し道を外して聞いた。
「オーキド博士ならリバースポケモンは知ってますか?」
「あー、オーキド博士なら知ってるな。」
「リバースポケモンってなんなんですか?」
「簡単に言うと、ポケモンから裏の意識が作られる現象・・・
いや、作ってしまう現象だ。
色々な状況によってね
リバースポケモンはまったく正反対の心を持つのだ。
やさしさは怒りに、愛は憎しみに、全てが信じられなくない心となり
殺戮の限りをつくす。身体も暗くなっていく。
だが、時折表の意識がなんとか出ようとする。
無論自力で元に戻ることもできず
そのまま肉体は裏の意識に支配される・・・
最終的に肉体も裏の意識についていけず自身も滅びる。」
「さっきのキノガッサと同じだ・・・。」
「さらにやっかいなことにリバースポケモンは
ポケモン本来の最大いやそれ以上の力を発揮する
未知の技を使い、半端な攻撃はまず効かない。
バケモノだよ。
そういえば一部の学者ではリバースポケモンとは言わずただリバースと言うそうな。
ポケモンと考えない方が良い・・・。」
「ポケモンと考えるな・・・!?」
サトシはひいた。
「捕まえるのも難しいし
捕まえた後でそいつを使いこなせるなんて・・・普通の人間じゃ無理なんだ。」
「普通の人間じゃ無理?」
「まぁ、リバースポケモンを更正させるわけだが
何か知らないけど特定の人しかできないのさ。」
「じゃぁその特定の人は。」
するとヤスオは自分を指さした。
「まさか・・・。」
「まぁ、信じたくないだろうけど。」
「こんな人が更正できるのか・・・?」
「人は見かけによらないんだよ。」
「俺にはできますか?」
「無理に決まっている。」
「な、何でですか?」サトシは聞く
「色々と、社会の厳しさを知り屈折した人間ならできるのだ
そして勿論才能も必要・・・。」
予想外の答えにサトシは驚いた。
「屈折した人間に・・・確かにそうだ。」サトシは妙に納得してしまった
そしてエレベーターのドアが開いた。
エレベーターを出ると
そこは長い廊下があった。
電気もなく薄暗い。
しばらく歩いているとハルカが目を覚ました。
「サ・・・ト・・・シ・・・。」第一声がそれだった。
「ハルカ!」サトシは立ち止まった。
「私・・・やっぱり殺されちゃうの?」
「死にはさせない・・・俺がいる。だからハルカ・・・」
「分かった・・サトシ・・・。」
「・・・まだ歩けないか?」
「それは大丈夫よ・・・。」
ハルカは体制を立て直し、今度はサトシにしっかりと・・・左腕にしがみつく。
(この二人は常にそばにいるな・・・やはりあれを渡すしかない。)
「早くしろ。」とヤスオはせかすように言った
「はいはい。」(この人はハルカの生死はどうでもいいんだろうな・・・)
やがて大きな扉が目の前に現れ
何も言わずヤスオは鍵を開けて扉を開いた。
「最終兵器・・・使ってみろ。」そうつぶやくとそのまま部屋に入っていった。
その部屋は倉庫だった。
棚に段ボールが積み上げられている。
ヤスオは倉庫の電気を付け
棚にある段ボールの一つを取り出すとサトシの目の前に置き、あけた。
何が入っているのか覗くと・・・・
「薬?」
 

20.対抗すべし

「薬?」
「ああ、薬さ。特別な。」
カプセルのような形をした薬にはそれぞれ名前が書いてあった。
「ディフェンダーX・・・?プラスパワー2型・・・?」
名前が少しおかしかった。
「市販のドーピングアイテムをより強化したんだ。」
「ドーピングアイテム?」
「戦闘中に使うとポケモンの能力を一時的に高めるんだ
これはそれの強化版。あまりにも強すぎて禁止されている
・・・副作用もないのだがな・・。」最後に愚痴をこぼす。
「じゃぁこれを使えば?」
「勝てる可能性も出る。
・・・とは言っても0%が40%になったぐらいだが。」
サトシは薬を取り効果を確かめた。
「スピーダー775・・・限界まで素早さを上げる。
スペシャルアップZERO・・・ポケモンの特殊能力を・・・ふむふむ。
ところで名前が・・・」
「それはいいだろう?」あっという間にそのことは消された。
「これを使えばキノガッサにも対抗・・・あれ?」
「どうした?」
(ヤスオさんは戦わないんだろうか・・・?)ふと疑問がよぎる。
・・・すると心を読んだのか彼は言った。
「・・・『その時』になれば必ず、どこにいようとも
その娘の前に現れるはずだ。
その娘と一緒にいるのは君だけだ。
例え僕が『その時』を分かったとしても手遅れになるだろう。
だから君だけが・・・」最後の台詞を言おうといた瞬間
「・・・俺だけか、俺にしかハルカを守ることはできない。
そう言いたいんですよね?」
「ほう、当てるとは・・・。」サトシの反応にヤスオは動揺した
が、彼はそれを見せなかった。
「その薬はあげよう。あとは・・・ポケモンに持たせる物だ。」
「ポケモンに持たせるもの?」ハルカが聞いた。確かに元気になってきている
「ポケモンに木の実や特定の道具を持たせると、
戦闘中効果を発揮するものがある。
それも使えば、勝てる可能性もあがる・・・はず。ついてきて。」
そう言うと倉庫の奥の扉を開けて行ってしまった。
「へぇ、木の実ってポケモンに持たせると効果があるんだ。」
新しいことを知り少し満足そうなハルカ。
サトシは何かを考えていて、上の空・・・。
「どうしたの?」
「あ、いやなんでもない。」サトシは薬をリュックに入れると
倉庫の奥の扉に向かった。
サトシが考えていたのは・・・当然キノガッサ、そしてハルカのことだった。

奥の扉をあけると、大画面のコンピューターが一台あった。
画面には緑色の文字がたくさん表示されそして下に落ちていくように進んでいく。
「まずは、そのピカチュウにだな。」
「ピカ?」
どこからともなくヤスオは一つの玉を取り出した。
「これは?」
「でんきだまという代物だ。」
「で、でんきだま?」先ほどの薬とは違いシンプルな名前だった。
「これは、ピカチュウに持たせると電気の技の効力を二倍にするんだ。」
「に、二倍・・・。」思わずサトシはゴクリと生唾を飲む。
「これは、貸すだけ。」そう言うとサトシにでんきだまを渡した。
「あ、ありがとうございます。」一応サトシは礼を言う。
「そうそう、薬は残ったら返してもらうよ。」
「え・・・?ハ、ハイ。」意外な一言に戸惑い苦笑した。
「あとまだ渡す物があるんだが
ちょっと今から作るのでちょっと待っていてくれないか?。」
ヤスオはコンピューターの前に座り何かをし始めた。
二人は少しの間時間ができた。
二人はその辺にある二人掛けのイスに座った。
 

21.心の腕輪

二人はその辺にある二人掛けのイスに座った。
「そういや、どれくらい動けるようになったんだ?」
「手も足も、少しは感覚が戻ってきたかも。」
「そりゃ良かった、やっぱりその薬のおかげかな?」
サトシは点滴の袋を指さす。
しかしハルカ、それだけではないと言いたそう。
「それだけじゃないかも、何というか・・・サトシが・・・。」
「俺がどうかしたって?」
ハルカは次の一言を言うのに時間がかかった。
何故か恥ずかしかったからだ。
「その、サトシが一緒にいてくれたから・・・。」
一息つけ、ハルカはとうとう言いたいことを言った。
「サトシがいてくれたから、私は少しずつだけど病気が治ったの。」
「なっ・・・。」サトシの顔が赤くなる。
そしてハルカは・・・サトシに抱きついた!
「!!!」いきなりの行動にサトシ何も言えなく
ピカチュウは思わず短い両手で目をふさいだ。
サトシは自分の心臓の鼓動が聞こえはじめた。
(な、まただ、この感じ。ヤバイ、前よりも大きくなってなる。
俺、やっぱりハルカのこと・・・いや、そんなはずは・・・。)
しばらくすると抱きついたままハルカは言った。
「・・・サトシ、ごめんね。
抱きついちゃったり、しがみついちゃったり
色々と迷惑かけちゃって。」
下を向いていたのでハルカの顔こそは見えていなかった
だが泣いていた。サトシは何故か分かった。
そこでサトシは優しく声をかけた
「大丈夫、迷惑じゃないさ。」
「本当に?」
「それにもうちょっとこのままでいたいってのもあるんだけどな・・・。」
なるべく聞こえないようにサトシは言った。
「もう少し、このままでいたい・・・。」
「ああ、いいよ。」
そうサトシは言うとハルカはより深くサトシの懐に潜り込むように身体を寄せ
そのまま目を閉じた。
・・・眠ったわけではない。
(なんでだろう?どうしてサトシにこんなことを求めちゃうんだろう?)
自分の感情がまだ分かっていなかった。
サトシもまた同じだった・・・。
ピカチュウはその場を離れ他の適当な場所に座った
「ピ〜カ〜。」少し憂鬱そうだ。
(やれやれ。)とコンピューターをいじっているヤスオは言った。
(本当に仲が宜しいことで、しかしあの二人、本当に鈍いな
だがいずれ気付くはずだ。少なくとも僕はそう思う。
どうやらあの少女、他人の恋愛沙汰には詳しいようだが
自分のことだとさっぱりなようだな。
本当に二人は愛し合っているようだ
だが二人はそれに気付いていない。僕も分かっているが言わない
それが普通だろう。他人があの二人に干渉する資格はないんだ
いつか二人で気付くのがいいんだ。)
カタカタとキーを打ちながら一人思った
何分か経ったところか
サトシは言った。
「・・・まだですか?」
「ああ、準備は整ったよ。」
サトシはハルカを起こした。眠っているわけでもないのに
ハルカは起きた、いや目を開けたというべきか。
身体を起こすと何も言わずハルカはサトシの左腕にしがみつく。
二人は立ち上がり何を渡すのか聞いた。
「で、何を渡すんですか?」
「心の腕輪だ。」
「心の・・・腕輪?」二人は一緒同じ言葉を言った。
(随分と息が合っていることで。)心の中でそう思いつつヤスオは説明をはじめた。
「自分の心によってあらゆる効果を起こす不思議な腕輪だ。
作るのには色々な理論・・・これはいいな。
とにかくただ渡すという訳ではない。」
「え?何かするんですか?」サトシは聞いた。
「ちょっと試させてもらうよ。」
「それってバトルですか?」
「違う。」あっさりと否定した。
「じゃあ何ですか?」
「簡単なことだ・・・。」
そう言うとコンピューターの台から腕を通す物・・・
血圧を測りそうな物が二つ出てきた。
「何ですかこれ?」
 

22.ソウル

「心の腕輪は自分の心によって変わる物だ
だから君たちのソウルを試さなければいけない」
いきなり横文字がヤスオの口から出た
「ソウル・・・?」サトシは聞いた
何も言わずヤスオはコンピューターの画面に
一つの映像を出した。
それは・・・
二人で一緒に歩いている・・・そう、リハビリの時の映像だったのだ!
「な、なんでこんなのが!」サトシは妙な怒りを感じた
「これだよ。」とヤスオは一つの目玉のような機械を取り出した
「何ですか?これ?」
「監視カメラみたいな物だ、これでしっかりと君たちの行動を
記録した。」
「なっ!」サトシは立ち上がる。
「落ち着いてくれ、これにはしっかりと訳がある。」
サトシの感情に流されずヤスオは冷静に言った
「これを見ていると気づくことがいくつかある。」
「それは?」
「まず、二人は常に一緒であること。」
(当たり前だ、看病しろって言ったのはヤスオさんなんだから
・・・でも今は俺じゃないとな・・・。ん?)
「どうかしたか?」また心を読まれてしまった。
「自分にしかできないこと・・・。」
「その通りだよ。」
「どういうことなの?」ハルカは聞いた
「説明すると長くなる・・・。ちょっとあやふやな部分もある。」
「ふーん・・・。」ハルカは不満そうな返事をした
映像はかわり、やがてキノガッサとのバトルのシーンになった
それを見てヤスオは感嘆の声を漏らす
「本当に・・・やるんだな。」
「なにをですか?」
「人の命を守りつつ、戦う。
多少感情による戦いの乱れはあるが、ここまでキノガッサと
戦えるなんて・・・すごいとしか言いようがない。」
「そ、そうですか?」ヤスオにほめられサトシは少したじろいた。
「そして僕は君のソウルの強さを見つけた。」
「それは・・・?」
「言わずともがな。」どうやら自分で判断しろ
と言うことらしい。
「じゃ、早く二人とも腕をつっこんで。」ヤスオはいきなり本題に入る
「待って」ハルカは言った
「何か?」
「何で私まで?」
「サトシ君一人ではだめなのだ。お互いにソウルを共鳴すれば
奴を倒すことができるのだ。」妙な意味深な言葉
「ソウルを共鳴・・・?」
「ま、とにかくサトシ君は右腕を
君は左腕をその・・・機械に突っ込んでくれ。」
そう言われ二人は言われたとおり機械に腕を入れた
「・・・一つ言っておくよ。
これからもの凄い痛みに耐えなくちゃならない。
・・・痛いとかじゃないかもしれない。苦しいと言った方がいい
嫌になったらすぐに腕を引っ込めてくれ
そのときは心の腕輪も使えないけれど。」
もの凄い痛み、苦しみを聞いてハルカ
「だ、大丈夫・・・なの?」
そう言うとヤスオは左腕を出し腕輪・・・心の腕輪をはめた
心の腕輪は白く淡い輝きを放っていた。
「僕もこれを付けるためもの凄い痛みに耐えたんだ
君たちならできるはずだ。ましてや・・・。」
そう言いヤスオはサトシを見た。
(そっか私にはサトシがいるんだよね。)ハルカは確信した
(どんな痛みでも俺は耐えてみせる、ハルカのためにも。)サトシは決心した。
「それじゃあいくぞ!」ヤスオは一本のレバーに手をかけた
「はい!」二人は強くうなずいた
そしてレバーはおろされた
 

ガチャリ、とゆっくりと鈍い音がした。

 
23.精神を越えた先にある物

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
二人の体に青い電流が走る!
しかしそれは電流ではなかった。
「電流は体を傷つける物だ
だがあのエネルギーは精神を・・・」
まさにそうだった
二人の体には傷一つついていない
ピカチュウは心配そうに見つめる
「・・・しかし心の腕輪が使える人間は
数えるほどしかいない・・・。」ぼそっとヤスオは言った

「だめ・・・サトシ、もう・・・。」ハルカは弱音を吐いた
「まだだ・・・!ハルカ!俺がついているんだ!」そう言うと
サトシは左手でハルカの右手をつかんだ
二人の距離はかなり近い。
「まだ・・・頑張れる・・・?」
「ああ・・・・。」
未だに二人は電流に包まれていた
「あれ?だんだん痛くなくなってきたかも。」
「本当だ・・・。まさか死ぬのかな?」サトシは冗談を言ってみた
「ちょ、ちょっとサトシ・・・。」
「大丈夫だ。こんなにも二人でしゃべれるんだから・・・。」
すると二人の目の前が真っ白になった
やがて別の空間に移った・・・ような気がした
目を開けると真っ白な空間にいた
サトシは横を見るとハルカがいた
ハルカも同じようにサトシを見る
「ここは?」
「よくわからないかも。」本当によくわからなかった
何もないのだった
天井もなければ地面もない
上も、下も、右も、左も、東西南北も
ただ、自分以外の人間が一人いた
二人には電流の痛みは感じていなかった
「何がおこるんだ?」サトシは少し身構える
ハルカの手をつなぎながら
そしてハルカも無言のまま手を握り返す
しばらくすると・・・
厳かな声が聞こえた。まさに神の声のようだった
「お前たちは・・・強きソウルを持っている・・・。」
「やっぱり俺には強いソウルが・・・?」
姿は見えないがサトシはその声に返事をした
「その通りだ・・・。その少年には
人を守りたいというソウル
その少女には・・・ふーむ、よくわからぬが
何か強いソウルを持っていることは確かだ。」
ハルカのソウルがなんなのかは判らないようだ
「私のソウルは・・・?」
「自分で知るがよい。
さぁ、戻りたまえ。お前たちは十分心の腕輪を使いこなせる。」

フッ・・・と音がすると
二人はお互いに倒れていた
「・・・あの二人は何を見ていた?」
とヤスオは呟いた
サトシの右腕とハルカの左腕には
心の腕輪がついていた
どちらも淡く白く輝き
同じ彫刻が施してあった
それは・・・男女が、
男が右腕を挙げ、女が左腕を挙げ
そして二人の腕が重なり一筋の光が天にそびえるという
彫刻だった
それを見たヤスオ
「お互いの力を合わせれば・・・奴を倒せるのかもしれない。」
ヤスオの腕輪の彫刻は
暴れる生き物を取り押さえる男が描かれていた
「まったく、すごいものだ。」
また感嘆の声を漏らした
 

24.彫刻の謎

「いつまで気絶しているんだろうか・・・。」
ヤスオは少し心配した
そしてあることに気がついた
「手を握っている・・・。」
二人は倒れながらも手を握り合っていた
「絆というのか、愛というのか・・・」
汗を拭き、またつぶやく。
ピカチュウがサトシに近付き起こそうとした
すると
「大丈夫だ、すぐに二人は起きる
何もしないのが一番だ。」
そうヤスオは言うとピカチュウはサトシから離れた
「・・・最後にあれを貸してやるか。」
ヤスオはどこからともなく
ポケモン図鑑くらいの機械を出した。
緑色をしている
「ポケモンを研究した人、リバースを研究した人
あらゆる先人の知識が入っている・・・。」
そう言うとヤスオは笑う。
・・・・・・・・・

一時間後

「う〜ん・・・・」
サトシは目を覚ました
あたりを見回すとハルカが倒れていた
「お〜い、ハルカ、起きろよ。」
軽く体をさするとハルカは目を覚ました
「うん?」
しかし体は起こさない。
「ふぅ、しょうがないな。」
そう言うとサトシはハルカに手をさしのべた
「あ、ありがと。」
ハルカは両手でサトシの腕をつかみ
頑張って立ち上がった
結構力がかかったのでサトシはよろめいた。
「うおっと・・・。」
「あ、サトシごめん・・・。」
一応ハルカは立ち上がった
「ああ、大丈夫。ハルカこそ大丈夫なのか?」
「うーんと、ちょっとあの時痛かったから
寿命が縮んじゃったかも。」ハルカはため息をつく。
するとヤスオは意地悪そうに言った
「寿命ねぇ・・・どうせ奴に殺される運命なのに
寿命なんてねぇ・・・。」もちろん冗談なのだが・・・
サトシは黙ってはいなかった。
「なっ!」
またサトシはヤスオの一言に憤慨した
するとサトシの腕輪が赤く輝きはじめた
「ん?何だこれ?」
「心の腕輪ってのは自分の心の状態が分かるのさ
そしてさらに感情が高まるといろいろな効果を発揮する。」
「へぇ。」そうサトシは言うと
心の腕輪はまた元の白い輝きに戻っていった。
「戦いになったら本気で戦わないといけない
ゲットしようと思うな。殺せ!」
そう言うとヤスオの腕輪が大きい光を放った。
そしてやがて元の輝きに戻る。
「すごいな・・・これ。」サトシは腕輪をまじまじと見つめた
ハルカも同じことをする・・・サトシの腕にしがみつきながら。
「あれ?」ハルカがあることに気がついた
「なんだ?」
「この彫刻・・・なんだろう?」
サトシも自分の腕輪を見ると彫刻が施してあった
「なぁ、もしかして俺のもハルカのと同じ彫刻があるんじゃないか?」
二人はお互いの腕輪を見せ合う
「ほんとだ・・・。」ハルカは驚きつつ言った。
「これって俺たちなのか?」
彫刻の男女を見てサトシは言う
「試しにこれの真似してみない?」
「じゃぁそうしてみるか?」
二人は彫刻と同じポーズをとってみた
しかし何もおこらない
「あれ?」
「そりゃそうだ。」ヤスオはあきれていった
「ところでまだ渡すのがあるんだが」
「ま、またですか?」
「まぁな。」
ヤスオは先ほどの機械を取り出した
 

25.Kのデータ分析

「今度は何ですか?」
あまりにも見慣れない物が出たので
そろそろいい加減にサトシは飽きてきた
「まぁ、飽きないで。」
「いや、そんなことは・・・。」(また心を読んだな)
「というわけでこれ、何か分かる?分からないよね?」
「そりゃそうですよ。」だいぶサトシは面倒くさくなってきた
その機械はポケモン図鑑の色違いといったところ
主な色は緑色だ
「ポケモン図鑑?」そう言うとハルカはその機械に顔を覗き込む
「そんなのよりもずっと凄いものだ。」
「ふーん・・・。」サトシは疑問に感じた
そろそろその態度にヤスオは苛立ったのか
「とにかく、使ってみろ。」といきなりサトシにその機械をつきだした
「へ?じゃぁとりあえず・・・。」
機械を起動させるとその機械の名前らしき文字が表示された
「メディテライザー?」
「その機械の名前だ。」
「変な名前かも。」ハルカは画面を見ながら言った
「そりゃそうだ。僕だって名前の由来は分からない
これ造ったの僕ではないんだ。」
適当に操作しながらサトシは聞いた
「じゃあ誰が?」
「それは僕も知らない。」
「えぇ?」その返答に二人は驚いた
「一応これのデータがあってそれを入れて
はじめてこれができる。
これのデータをもらったのはいつだったかなぁ?」
ヤスオは腕組みしながら言い放った
「え〜っとポケモンの技のリスト、か」
「話聞いてくれよ。」
「あ、さっきのはまだ続きがあったんですか。」
微妙にヤスオの頭に皺が寄る
「お前、本気で奴を倒す気あるのか?」
いきなり口調が変わった
「あ、いやなんでもありま・・・せん。」
サトシはただならぬ危険を感じた。それと同時に機械を動かすのもやめた
「これのデータをもらったのは、リバースを捕まえる、止める使命を
受けたときだな。
そういえばデータを作ったのは一人だけじゃない
いろいろな学者などが開発に携わった
オーキド博士も。」
オーキド博士の一言にサトシは反応した
「オーキド博士もですか!?」
「基礎的なデータはね。あとほんのちょっとリバースにも
技のリストを見てごらん。」
そう言われて改めてサトシは技のリストというのを開いた
あいうえお順に技の名前が並ぶ
結構画面はきれいで読みやすい
「アイアンテール、アイスボール・・・使うポケモンも分かるんだな」
しばらく見ているとサトシの指が止まった
「これ?何ですか?聞いたこともない技なんですが・・・。」
「どれだ?」
「これです。」サトシは画面に指を指した
その技の名前は・・・
「あぁ、マスター16か。」
「また、変な名前。」ハルカは同じことを言った
「誰が使うんだ?」サトシはその技の項目に決定ボタンを押し
使用するポケモンを探した
「キ、キノガッサ!?」
「え!?」ハルカも思わず画面をのぞき込む
「リバース時に使用する未知の技
連続で16回連続で攻撃する。タイプは格闘・・・。」
あ、とサトシは思った
ピカチュウも、オオスバメも、多分この技でやられたということを
「とまぁそんなわけでそれも貸してあげるから
自分の部屋でキノガッサについてよーく知っておけよ、と。」
そういうとヤスオは部屋を出ていった。
出る前に一言言った
「エレベータこの部屋にもあるから
そこから地上にでられるぞ」
そう言うと今度こそ部屋を出た。
「今ここで見ててもしょうがないな。
じゃ、早くここから出よう。」
「うん。」
二人はコンピューターの隣にあるエレベーターらしき物のボタンを押した
二人にピカチュウもついてくる。
エレベーターのドアが開き
二人と一匹はエレベーターに入っていった

「・・・・。」サトシは不安でいっぱいだった
未知の技を使うとは聞いていたがまさかこんなに強いなんて
「他にどんな技を使うの?」サトシの不安を後目にハルカは聞いた
「・・・ああ。」
憂鬱そうにもう一回起動させる
「ポケモンのリストで探せば早いな。」
そうしている内にエレベーターが止まり
ドアが開いた
一筋の光が二人と一匹にそそぐ。
「ま、まぶしい・・・。」ハルカは空いている手で自分の目にかざす
二人はその場所を見て気がついた
「・・・ここって・・・?」
「まさか?」
そこはなんと小屋の裏側
あの謎のエレベーターはここにつながっていたのだ!
それを見てサトシは一言
「この研究所って・・・・なに?」
「私もちょっと・・・。」

二人は部屋に戻りもう一度キノガッサのデータを確認した
「これは普通の奴だな、これじゃなくて・・・。」
「これを押せばいいんじゃない?」
ハルカが画面を指さしたのは
暗い文字で『リバース』と書かれたもの
「これか。」サトシはカーソルを動かし
それを押した
いきなり画面が暗い感じになった
そして何枚かあのキノガッサの写真が出た
どれもこれも憎しみを形にしたような写真
目は赤い、傷は多い、何より体全体が暗い
「な、なんだよこれ・・・。」
思わずハルカはサトシにぎゅっと抱きつく。
「わわっ・・・。」またサトシは自分の鼓動が聞こえはじめた
「サトシ・・・怖いよ。」声が震えている
「だ、大丈夫だって。」
サトシはため息をつきもう一回言った
「そんなに怖いんならもっとくっついてたっていいんだぜ?」
(あれ、なにを言っているんだ!俺は!)
サトシは自分の失態に気がついた
何を彼にこう言わせたのだろうか?
しかし遅かった
ハルカは自分の右肩に右腕を伸ばし
体を寄せ付け顔もかなり近くに・・・・!
(おいっ・・・これじゃあキノガッサどころじゃ・・・
ま、いいか。一応操作できるからな・・・。)
サトシはそのリバース・キノガッサの使う技を
探しはじめた
「本当にいろいろあるな・・・全然聞いたこと無いぞ
ん?これはなんだ?」
サトシの目に止まった物は・・・・
 

26.おかしな機械

サトシの目に止まった物は
技のことではなかった
「普通ポケモンは4つまで技を使うが
リバースの場合例外でそれ以上の技を使うことができる・・・
なんだよそれ・・・。」
サトシは頭を抱えた
「いくつ技持ってるんだよ・・・、それにまだ全部じゃないみたいだな」
驚いたのも無理はない
コラムの欄には他にも未確認の技を使うと書いてあるのだ。
「爆裂パンチ、アイアンテールは分かるよ
何だよ、マスター16って。」
サトシはため息をついた
「この部分はヤスオさんが作ったみたいだな・・・
何で写真まで乗っけるんだよ。
でも三年間研究したみたいだし・・・ふぅ。」
一通り見た後
元のメニューの画面に戻した。
「そういえばハルカ、何も言わないな・・・。」
ふとハルカを見ると眠っていた
スースーと寝息も聞こえる
「俺と一緒なら安心できるんだな。」
サトシは確信した
メニュー画面を見ると技・スキャンという謎の項目を見つけた
「これは・・・?」
試しに選択してみると
この機能はポケモンなどの技がすぐに分かるという物らしい
使い方はポケモンなどが技を使っているときにボタンを押すだけ
すると勝手に技を探し見つけてくれる・・・らしい。
「など・・・ってなんだよ?」
サトシは気になった。
何故『など』があるのだろうか?
「まさか人間にも使えるのか?」
ふと、ハルカを見る
お互いの顔はかなり近い距離になっている
どこからか甘い香りが漂ってきた・・・気がした
「改めてみると、結構かわいいんだなハルカって。
そうだ。ちょっとこれを使ってみるか。」
サトシは技・スキャンとやらを使ってみた
サトシはボタンをハルカに向けて押した
しばらくすると技が出た
「えーと・・・この技は
眠る。そりゃそうだな。
あともう一つあるぞ?」
それを見たときサトシは思わず
苦笑いしてしまった
「あ、あまいかおり・・・。
気のせいじゃなかったのかって・・・おい!」
自分のやったことの愚かさをサトシは感じた
サトシは機械の電源を切った
「今の状態タケシ達が見たらどういうんだろうな?」
そうは言ってみたもののあまり予想ができない
「俺はハルカにどんな風に思っているんだ?」
ふと最近起こる妙な感情に疑問を持った
「わからない・・・一体これは何なんだ?」
サトシは一人頭を抱えた
ちなみにピカチュウはというと
勝手にベッドで眠っていた
「ま、いいか。今はあんまり考えない方がいいな」
そう言うとサトシはハルカをベッドに寝かせ付け
部屋を出ていった
まだ午後3時頃のことであった。
 

27.世の中の不思議

特に大きなこともなく夜を迎えた
二人はベッドに座っていた
「はぁ。」
「サトシ、どうしたの?ため息なんかついて」
「何でもないよ。」
何でもないわけがなかった
(キノガッサ・・・強すぎる
何だよあの技・・・。)
「ねぇ。」
「あ?なんだよ?」
「それ貸してくれない?」
それとは緑色のポケモン図鑑のような物、メディテライザー
サトシはメディテライザーをハルカに渡した
「ほら。」
ハルカは受け取ると機械を操作しはじめた
サトシは一人思う
(メディテライザーって本当に変な名前だな
プラスパワー2型?スピーダー775?)
サトシはいろいろな不満や不安があった
しかしどうも言葉では表現できず
ただセンスのない訳の分からない名前に文句をついていた
(キノガッサに対抗するにはこのでんきだまと
薬と心の腕輪を使えばいいって言うけど・・・)
サトシは自分の腕輪を見た
なんだか輝きが少し失われている気がした
(ただ、バトルするだけなら何とかなるかもしれないけど
ハルカを守りながら戦わないといけないんだろ?
こんな戦いはじめてだ。
それにしても暗黒の太陽って一体・・・?)
サトシは『その時』の暗黒の太陽という言葉が頭に引っかかった
(分からない・・・全然分からない!)
「あー!何なんだよ!」
思わず叫んでしまった
その声を聞いてハルカは驚いた
「あ、ハルカごめん。」
「び、びっくりしたかも・・・。」
そう言うとまたハルカは機械をいじりはじめた
「さっきから何やってるんだ?」
サトシの話す対象はハルカに向けられた
「サトシのポケモンは何か凄い技が使えないのかなって」
「へぇ。なんか見つかったか?」
「うん。オオスバメのが」
ハルカはサトシに画面を見せた
「いろいろと技が使えるんだな・・・
でどれなんだ?」
「これよ。」
ハルカが指さした技は・・・
「ツイスター?聞いたこともない技だけどまたリバースしか使えないんじゃないか?」
「そうでもないみたいよ。」
また指を指す。指したのはその技の修得方法
サトシは読み始めた
「えーと。ドーピングアイテムによって素早さと力を最大限まで伸ばしたとき戦闘中入れ替えない限り使用可能。」
「ね?」
「本当だ。と言うことは俺のオオスバメもできるのか?」
「そうみたい。」
「じゃ、明日あたり試してみよう・・・。
あれ?」
サトシはあることに気がついた
「何?」
「ピカチュウは?」
「うーんと、ピカチュウは居づらいからって
マサト達の部屋に行っちゃった。今日からそこで寝るみたい。」
「へ、へぇ・・・。」
サトシは今までのことを思い出した
(ピカチュウはいたけどハルカと二人っきりで寝てたな
寝返りとかで・・・抱き合っちゃったり重なっちゃったり
無理もないか、ピカチュウが出るのも。)
サトシは苦笑いしそしてため息をついた
「あーあ。いつまで続くんだろうな。」
「何が?」
「いつまでハルカと同じ部屋で寝るんだってこと
あーあ。」なんだか嫌そうな言い方だった
「・・・嫌なの?」ハルカは弱々しく言った
「毎日となるとちょっとな。」サトシは軽々と言った
「・・・そう。」ハルカは顔を下に向けかなり落ち込んだ感じに言った
そしてさらにつぶやく
「本当は・・・サトシともっと一緒にいたいのに・・・」
その言葉はサトシの耳に入ってきた
「お、おい。別に寝ないなんて言ってないぞ
それに・・・守ってやらないといけないしな」
最後の方は少し音量が小さくなった
「・・・ほんと?」
「ああ、もちろんさ。」
「ありがとう・・・。」
ハルカは顔を上げサトシに微笑んだ
ドキッとサトシにきた。
(やばい・・・本当にかわいいな・・・・)
「ところで本当に二人っきりになっちゃったね。」
意味ありげにハルカは言った
「ん?そうだけど・・・。」
「ちょっとサトシ。いいかな?」
「へ?」
そう言うとハルカはサトシの正面に移動し
ぎくしゃくした動きで両手をサトシの両肩に置いた
そして・・・
 

「うわっ!」
 

サトシを倒しそして自分も倒れた

 

いつのまにか二人の顔はかなり近くなっていた
下手をすれば唇が重なりそうだ!
(おい・・・何をするんだよハルカ!)
「一回やってみたかったの。」
「あのなぁ・・・。」
サトシの両肩は押しつけられ動けない
いや、力を出せば押し返すこともできるのだが・・・
何故かする気が起きない
(やばいやばいって!前よりも俺の心臓の音が大きく聞こえる!
何なんだよ!)
自分の目の前にハルカの顔が近くにある
そしてハルカは微笑む
体は殆ど密着した状態
(ハルカぁ〜早くやめてくれ。)
サトシは懇願した
しかし口で言おうが無駄だと何となく思っていた
(早く元に戻ってくれ・・・じゃないと俺・・・。)
サトシは何かを抑えていた
抑えないといけない。そう自分の理性が言い聞かせていた
抑えないと何かとんでもないことが起こってしまう
自分の内にある何かが噴火してしまいそうだった
(頼む・・・)
サトシの気持ちを察したのか
そうではないだろうがハルカは体を起こし
またベッドに座った
そしてハルカは倒れたままのサトシを見る
「あれ?サトシ顔赤いかも。」
「あのなぁ・・・・」
サトシはハルカのしたことが理解できなかった
(何がしたかったんだよ・・・)
そしてハルカは・・・自分も何故こんなことをしたのか分かっていなかった
(なんでこんなことしちゃったんだろう・・・?)

そしてサトシは寝そべったまま思った
(誰かがこの時来てたら・・・
キノガッサが来るよりもやばかったな・・・。)
サトシはため息をついた
 

28.本気?

朝となり朝食も食べ終えた
そして小屋の玄関には
ヤスオがいた
「ネンドール、出てこ〜い。」
やる気のなさそうにモンスターボールを出す
普通よりも一回り大きいネンドールが現れた
しかしモンスターボールといえるのだろうか
どこか暗い感じがする
と「しばらくフーディンが怪我で出られないから
君に頼むよ。ちょっと怪我したポケモンがいないかサーチしてくれ。」
ネンドールは無言でうなずくような仕草をすると
体を回転させはじめた
(あの二人は・・・ピカチュウがいなくなった後
何をしたのだろう・・・?)
様々なよからぬ事を彼の頭をかけめぐる
しかしそれもすぐに止まった
(ありえない、二人は10歳なのだ。そういえばそうだった。)
自分で納得すると一人軽く笑った。
やがてネンドールの回転が終わった
「何?怪我したのはいない?死者もいないと?」
ネンドールはそうだ、と言いたそうだ
「随分と平和になったな・・・。」
するといきなり玄関のドアが開いた
「よ〜し、今日もリハビリだ。あ、ヤスオさん。」
(元気な奴だ・・・。)冷たくヤスオは思った
(・・・待て、遊んでみるか。)ふと何かが脳裏をよぎる。
そして言った
「君たち、いきなり奴と会ったとしても
薬の効果になれていなければ少し勝つ可能性も低くなるんじゃないか?」
「うーん確かにそうですよね。」
「バトル、してみるか?」
「え?良いんですか?」
「一応、リバースと戦ってきたんだ、結構強いぞ」
「じゃあバトルお願いします」サトシはハルカのことを忘れ
ヤスオとのバトルのことに考えが移った
やる気満々だ。
(よし、オオスバメにツイスターが使えるか試してみよう。)
とサトシは心の中で思った
(私のこと忘れてる・・・)ハルカは寂しくなった

お互いにバトルの体制は整った
そしてヤスオは注意するように言った
「本気で戦うと、大変なことになるから手加減して良いか?」
「いや、本気で来て下さい。」
(馬鹿め。リバースの力、思い知らせてやる。)
ニヤリと怪しくヤスオは笑った

「オオスバメ!君に決めた!」サトシのみのセリフだ
モンスターボールを投げるとたくましい翼を持った
オオスバメが現れた
「ネンドール、行くがいい・・・。」怪しくその言葉を言い
暗い感じのモンスターボールを投げた
普通より一回り大きいネンドールが現れた
「オオスバメ!つばさでうつ!」
オオスバメは空高く飛びネンドールめがけて突進してきた
「リフレクター。」
ネンドールの周りに透明なバリアが覆う
瞬く間に攻撃は跳ね返され、オオスバメはその場に倒れた
「まだだ!がんばれ!オオスバメ!」サトシが励ますと
またオオスバメは飛び上がった
(今ならできるか?)サトシは二つ薬を取り出した
「オオスバメ、こっちに来い!」
オオスバメはサトシに向かい目の前に降り立った
「スピーダー775!プラスパワー・・・えーと2型!」
(サトシ、恥ずかしそう)ハルカは離れたとこで座り
クスクスと笑った
薬を使うとオオスバメに力がみなぎってきた
「飛び上がれ!」
「スバ!」勢いよく空を飛ぶと・・・消えた。
だがすぐに現れた。
「ス・・・スバ・・・。」自分の力にとまどっているようだ
「いまだ!オオスバメ!(一か八かだ!)
ツイスター!」
(む、あの技を知っているのか・・・。)ヤスオに苦悶の表情が浮かび上がる
一瞬オオスバメは何のことか分からなかったが
すぐに分かった。自分にはその技が使えると判断したからだ
オオスバメは切りもみのように自らの体を回転させはじめた
やがて巨大な竜巻が現れた
「今だ!」
竜巻と一緒になったオオスバメがネンドールめがけて突っ込んできた!
「くっ!もう一度リフレクター・・・。」
ネンドールのまわりにまたバリアが張られた
竜巻はネンドールを取り込んだ
竜巻の前にはリフレクターは無意味だった。
あっという間にネンドールは吹き飛ばされ
上空から落とされた。
「ネーン・・・・。」倒れたまま無念の表情を浮かべる
「やった!」「サトシ、すごいかも!」ハルカも一緒に喜ぶ。
「まだだ・・・!」ヤスオから強力なプレッシャーを感じた
「な、何だ・・・これは・・・。」
「ネンドールもまたリバースポケモンであった
既に更正はしたがリバースの能力は残っている
そう、トレーナーが抑えればその能力が使えるのだよ・・・!」
あのキノガッサと同じプレッシャーを感じた
ヤスオの心の腕輪が黒く光る
「お前の裏のソウル・・・その憎しみ、私が引き受けよう・・・。」
数分前のヤスオとは何かが違った
「怖い・・サトシ。」
「そこを動くな、危険だ。」サトシはハルカに忠告した
ネンドールの体が暗くなっていった
リバースの特徴のようだ。
「さぁ、本当の戦いを始めようじゃないか・・・?」
サトシは身構えた。
(本気を出すって言ったけどここまでするのか・・・?)
ハルカは体が震えていた
 

29.難しい戦い

「宇宙の力と岩の力を合わせてみるとどうなるかねぇ?」
狂ったように喋るヤスオ
「やばいな、よし、オオスバメ!電光石火!」
ただでさえ早いオオスバメに素早さを最大限まで上げられたのだ
オオスバメは見えなくなった
ダン!とネンドールにあたった
しかしネンドールはまったくよろめきものけぞりもしない。
「力を上げたのにきかない!?」
「・・・コスモパワーから岩雪崩をつなげろ。」
「ネーン・・・・。」
周りに宇宙の景色が広がった
すると宇宙の景色から岩・・・隕石が大量に出てきた!
「そう、これがネンドール専用のリバースの技・・・
コスモメテオ・・・・。」
隕石はとどまることを知らない。
全ての隕石がオオスバメに向かって飛んでいく
「避けるんだ!止まるな!」
旋回するように飛んで行く・・・隕石は当たらない
「いつまで続くんだ・・・。」
だんだんオオスバメは疲れてきた。
「ス・・・スバ・・・。」
その瞬間隕石は当たりオオスバメを落とした!
なおも隕石は追撃を続ける。
地面に落ちると隕石は止まった。
「まだ立てるか?オオスバメ!」
翼で何とか立とうとする・・・がそれも無駄に終わり、倒れた。
「戻れ!オオスバメ!よくやった・・・。
それにしても・・・なんて強いんだ!」
「油断したからだ。」
まだネンドールとヤスオからプレッシャーを感じた。
(油断なんて・・・してないはずだ・・・。)
「さぁ次のポケモンを出すか?それとも負けを認めるか?」
「いや、まだだ!いけ!ジュプトル!」
またモンスターボールを投げた
緑色のトカゲのような姿をしたポケモン、ジュプトルだ。
ジュプトルは木の楊枝を口にくわえた。
「スペシャルアップZERO!」
サトシはいきなりジュプトルに薬を使った。
(もう一つ見つけたんだ、ジュプトルの技も。)
サトシはある技を見つけていた。
「ジュプトル!リーフブレード!」
「ジュル!」
勢いよく飛び上がったジュプトルは右腕の葉のような部分が
緑色に大きく輝きネンドールめがけて斬りかかった!
「レイフィールド。」
「またきいたことの無い技・・・!?」
白い球体のバリアがネンドールを包み込むと
ジュプトルのリーフブレードを止めてしまった
そしてバリアは消えていった
「フフ・・・必ず攻撃を止めるんだよ。
連続でやると成功しない・・・が・・・ゼェハァ。」
何故かヤスオの息があがっていた。
「よし、これならどうだ!グリーンクロス!」
その途端ジュプトルの頭のしっぽのような物と
右腕と左腕のような物が大きくなり
そして緑色に輝きはじめた
そして周りに葉が舞い始める・・・。
(グリーンクロス・・・確かリーフブレードの上位盤
ジュプトルとジュカインが使えるんだったな・・・。)
ヤスオがそう思っている間に
「いっけぇぇぇぇ!!!!」
いつのまにかネンドールの目の前に現れたジュプトルは
ジャンプすると右腕に左腕にそして最後に頭の葉で斬りつけた
その後葉が襲いかかる!
「しまった・・・・!」ヤスオは思わず口に出した
ネンドールは立っていた・・・だが明らかに倒れそうだった。
「ここで負けるか・・・。こうなれば、最終手段・・・
心の腕輪の効力で・・・ソウルを共鳴・・・。
テラーフォーチューン・・・・。」
そう言うとヤスオは倒れた。
「!、大丈夫ですか!」
サトシは思わずヤスオに駆け込んだ
「ああ・・・大丈夫、リバースを操るにはかなりの精神力が必要なんだ
やりすぎると・・・倒れるんだがな・・・
しばらくすれば大丈夫・・・放っておいてくれ・・・。」
「え・・・あ、ハイ。」
どこか寂しそうなヤスオを尻目にサトシはジュプトルをモンスターボールに戻した。いつのまにかネンドールも自分からモンスターボールに戻っていた
サトシはハルカの所に駆け込んだ。
ハルカは心配そうに言った
「あんなに強くても・・・キノガッサには勝てないんでしょ?」
「そうみたいだな・・・。」
「本当にサトシ、大丈夫なの?」
「ああ、一応リバースと戦ってわかったよ
十分互角に戦えるって
キノガッサはネンドールなんかよりずっと強い。
だけどあいつもリバースだ。そう簡単には負けないよ
信じてくれ。ハルカ。」
「うん。わかった・・・。」
ハルカはサトシにすり寄った・・・。
「ゼェゼェ・・・。
本当にお前らやるな・・・。」
ヤスオはいきなり立ち上がった。
「またいつでも勝負したければするがいい。
他にもいろいろとポケモンがいるからな・・・。」
そう言うと玄関のドアを開け、フラフラと小屋に入っていった。
「さ、リハビリをしよう。」
「うん。」
ハルカはサトシの左腕にしがみつき、また歩き始めた
(でも小屋一周も何だかなぁ・・・
そういえばあの小屋の後ろの道はなんなんだ・・・?)
一つサトシは何かが気になっていた。
 

30.謎の道の謎

しかしサトシもサトシであった
バトルがとても好きなので
毎日毎日ハルカのことを忘れ
バトルに明け暮れていた
しかし決してヤスオから勝負を挑むことはなく
サトシが勝負を挑んでいた
勝つこともあれば負けることもある
ヤスオのポケモンは殆ど元リバースポケモン
リバース化するとヤスオが倒れない限りまず勝てなかった。
そしてバトルを見るマサトとタケシ
やることがないらしい。

「ピカチュウ!十万ボルト!」
いつもよりも太く強く輝く閃光がヤスオのハッサムを襲う!
「影分身、と。」
何があってもなるべく冷静に指示を出していく
「電気を出して疲れたその瞬間、メタルクロー。」
文章のようなしゃべり方、そしてハッサムはジャンプし
ピカチュウにメタルクローを放つ。
「避けろ!そして電光石火!」
素早い判断でピカチュウに指示をだし
ピカチュウは目にも止まらない早さで電光石火を放つ。
だいぶダメージを与えたのか
ハッサムはよろめき始めた。
「・・・リバースしようにも・・・少し自信がない・・・。」
「またリバースするのかな?」マサトは観戦しながら言った
「今日は疲れてそうだな」久々にタケシは言った
「今日は良いだろう・・・。」そう言うとヤスオは
ハッサムを戻した。
「あれ?」
「今日は疲れているんだ僕は。
精神力が・・・持たない。」
「そうですか。」サトシはがっかりした
「それよりも。」
「何ですか?」
「えぁ、そこの人、」指さしたのは地面に座っているハルカ。
「あのーハルカって名前があるんですけど・・・」
「名前で呼ぶ気がしない。」妙なところにこだわるヤスオ。
「そ、そうなの?それで何ですか?」
「立ってみろ。」
「へ?」
「自分で立てるのかと聞いているんだ。」本来の冷たい口調に
ヤスオは戻りつつあった
「えーっと・・・」
ハルカは自分で立とうとした。何とか立ったその瞬間!
「きゃあ!」ハルカはバランスを崩し、倒れそうになる
「あ・・・あ・・・!」このままではハルカがまた倒れると
サトシが駆け寄りハルカは抱えた。
「ハルカ、大丈夫か?」
「う、うん。」
それを見たヤスオはため息をついた
「リハビリ・・・さぼってないか?」
「へ?」サトシは言った
「言ったはずだ、治るまでリハビリをやめるなと
そうしないとまた体がやられるぞ?」
「そ、そんな・・・。」
「参ったねぇ、こんなバトル好きな野郎のせいで
また体が麻痺し始めている・・・。」
「・・・・。」サトシは言えなかった
図星だったのだ。
(俺のせいなのか・・・。)サトシは自分を責めた
するとヤスオは笑いながら言った 「救済措置はあるのだよ。」
「どうすれば・・・良いんですか?」
「リハビリしてるときに気になった場所はないか?」
「気になった場所・・・」サトシは思い出した
(小屋の裏のあの道・・・?)
「そこを通ってみるんだ、ちょっと長いがな
言い物がある・・・君たちにとって。」
「それで治るんですか?」
「それは自分で確かめることだ
今から行っても遅くはないぞ。」
そう言われてサトシは行動に移した
「よし、ハルカ行こう。」
ハルカはサトシの左腕にしがみついた
「だ、大丈夫なの?」
「大丈夫だ、ちょっと長いみたいだけどな。」
「うん。じゃあいこ。」
そう言うと二人はゆっくりながらも小屋の裏に行ってしまった
取り残されたタケシは聞いた
「あそこには何が・・・・?」
「あとで君にだけ教えよう。」
「え?僕は駄目なの?」マサトがそれを聞いて不満そうに言った
「何故駄目なのか自分に問うてみるんだ・・・。」
「え〜。」マサトはもっと不満な声を出した。
(俺にだけって事はそうか、そういうことなのか?)タケシは
あの道の先に何があるのか分かったような気がした。
 

31.謎の感情を確かめよ

二人・・・サトシとハルカは裏の道に行き
他の三人はまだ庭にいた
マサトはその辺をうろいついているポケモンと遊んでいる。
タケシはヤスオに聞いた
「あの道の先には・・・何があるんですか?」
するとヤスオはタケシにだけ聞こえるくらいの小声で言った
タケシはびっくりした
「そういえばハルカの両親も似たような場所で・・・!」
「あそこは殆ど人の出入りはなかった、だからその場所とは違うはず
しかし裏の道の先には・・・あの二人に大きな変化をもたらす。
あの二人が意地を張ってさえいなければ。」
 

そして二人は・・・
「ここって他のよりもずっと明るいかも」
サトシとハルカは立ち止まり上を見上げた
木漏れ日が二人に降り注ぐ
「なんだか。暖かいな。」
「私も。」
そしてまた二人は歩き始めた
裏の道はひたすら真っ直ぐな道であった
土色の絨毯が二人を導いていく
左右を見渡せば森で暮らすポケモン達
色違いのポケモンもいれば、珍しいポケモンだって普通にいる
皆、種類の違いなど関係なく仲良く暮らしている。
「平和って、こういうことなんだな。」
「そうみたい。」
ピカチュウは二人よりも30メートルほど先に歩いていた
彼なりの気遣いであった。
「・・・最近俺も何か変な感情に襲われるんだ」
「それって・・・私と同じ?」
「わからない、けどハルカの顔を見るととくにそれは強くなるんだ
心臓がドキドキ音がしてさ、なんだか良く分かんないけど・・・。」
微妙にサトシは顔が赤くなる
どちらも顔は見合わせていない
「私も似てるかも、その・・・私もサトシを見ると
私の中でサトシが大きくなってくの
多分それで、こないだの夜にあんな事しちゃったかも・・・。」
(あんな事って・・・まさか・・・。)サトシは思い出す
ハルカに倒されそしてハルカ自身も倒れたこと。
そして続けてハルカは言った
「あの時のこと、謝ってなかったね、ごめん。」
少しばかり顔を下に向けるハルカ
だがサトシは元気づけるように言った
「気にしてないって、いやちょっとハルカが気になっちゃったけどな」
「うーんと、それってあの時の事は怒ってないけど
また変な感情みたいなのが出ちゃったの?」
あ、と思わずサトシは口をふさいだ
(何言ってるんだよ!俺!)
「んー、どうだろうなぁ?」適当にサトシはごまかした。
ハルカは独り言をつぶやく
「何で、サトシと一緒にいたいなんて思っちゃうんだろう?
これもよくわかんない感情のせい?」
「へ?」サトシはその言葉にキョトンとした
あ、と思わずハルカは口をふさいだ
「ううん、な、なんでもないかも。」あわててハルカはごまかした
(うう、何なのよこの感じは・・・)
「あ、そろそろ着いたみたいだぞ」
ハルカが顔を上げると、とても明るくまぶしい光が
目に飛び込んだ
「うわぁ・・・。」ハルカは感嘆の声を漏らした
そして二人が見た物は・・・・
 

32.若い

そのころ・・・
「あの二人は十歳だよな?」 ヤスオはタケシに二人の年齢を聞いた
「確かにサトシとハルカは十歳だと思いますが。」
「ふぅ、それは良かった・・・いや待てよ。」
ヤスオは右手を自分の顎に付けた・・・考えている姿勢だ
「やっぱり、あれですか?」
考える姿勢をやめるとヤスオは言い放った
「何が起ころうと、しょうがないんだ。」
「しょ、しょうがない・・・!?」
「あの二人が早かろうが、何をしようと
何も言えないんじゃぁないか?」
タケシは笑いながら言った
「や、やっぱりサトシでも何かしてしまうんだろうか。」
だが心の中でタケシは思う(いくら何でも二人があんなことをするとは思えないが)
そしてヤスオ
(若いって・・・素晴らしい。僕も20代前半だが・・・)

そして二人・・・
「これは・・・花畑?」
「こんなところがあったなんて!」ハルカは驚いた
道を抜けるとそこにはいろいろな種類の花が咲く
花畑があった
「ん?あのポケモンは・・・?アゲハント?」
花畑には草タイプのポケモンの他にアゲハントが何匹かいた
そのポケモンの中でピカチュウは遊んでいた
これもまた彼なりの気遣い、二人だけでいい、邪魔者は違うところへ
そうピカチュウは思っていた
「早いなー、ピカチュウ、もうみんなと仲良くなっているぞ。」
「・・・パパは、こんな感じの花畑でプロポーズしたんだっけ」
いきなりそうハルカは言った
「そういえばそうだな、センリさんはここじゃないと思うけど
こんな感じの花畑でプロポーズしたんだな。」
(好き、か・・・待てよ、もしかしてこの感情は!!!)
サトシは自分の感情に気づいた
「そうか!分かった!」
思わず叫んでしまった。だがハルカは驚いてはいない
「え?なんなの?」
「あの変な感情、やっと分かった。」
「それって?」少し希望にあふれた顔でハルカは言った
「どうやら・・・」そうサトシが言おうとした瞬間
「わ、私も分かっちゃったかも。」
「ハルカもか?」
「私たち、意地を張ってたみたい。
お互いのこと・・・好きだって事違うって思ってたけど
そうじゃなかった。」
サトシはそれを言われて・・・
(俺もそうだったな、どこかで俺はハルカが好きだと思ってたんだ
でも俺は・・・・どこかでそうじゃないって思ってたんだな。
意地を張っていたって訳か。)サトシは納得した
「何で好きになっちゃったんだろう?」
ハルカは口に出して疑問を言った
そしてふと、自分がしがみついているサトシを見る。
(何だかいつもよりもかっこいいかも、
リハビリにも付き合ってくれたし、看病も・・・
そういえば、守ってくれるって言ったっけ。)
そしてハルカはサトシの好きなった理由を口に出した
「理由分かっちゃった、
私は殺されそうになってる、でもあなたは守ってくれる
実際にあの時も・・・。
それに強くてかっこいいし・・・」
そして少し間を置いてハルカは言った
「好きになっちゃうのも当然かも。」
言ってしまった
サトシは顔が赤くなる
ハルカも同じように赤くなる
そしてサトシは返すように言った
「俺だって、ほっとけないよ。結構かわいいし
なにより、守りたいんだ。ひどい目に遭ってるし
それで、俺は好きなっちゃたみたいだ」
やっとお互いの顔を合わせた
サトシは右手でハルカの左手をつかむと
正面にまわるようにお互いに正面どうしに向き合わせた
そしてサトシはハルカを抱きしめた・・・。
ハルカも同じようにサトシを抱きしめる・・・。
はじめて自分たちの意志での抱擁だった
「サトシ、大好き。」
「俺だって。」
二人の周りを祝福するようにアゲハントが飛び回り
そして花びらも舞う。
それを見たピカチュウや、ポケモン達も
満足そうな顔を浮かべた。
二人は満足したのか体を離した
そしてハルカは思いついたように言った
「ねぇ、今度はあそこの小さな丘で・・・。」
ハルカが指さしたその先は
花の咲いていない小さな丘
二人が座れる程度の大きさだった。
「よし、じゃあ行ってみるか。」
ピカチュウやポケモン達はまた遊び始めた
 

33.自分との戦い

一方・・・
「あ、二人はどうやら・・・。」
タケシは何かに気がついた
「君もか?」
ヤスオも同じ事に気がついたようだ
タケシはニヤニヤした。
それを見たマサトは奇異な物を見るような目で見つめていた
(裏の道・・・・気になるなー)
「良い意味での嫌な予感がするな」
ヤスオはまた予感を察知した
だが彼らは気がついていなかった
本当の・・・嫌な予感を。

「ピ〜カ〜」
ピカチュウや他のポケモン達はサトシとハルカから離れた場所で
ねっころがっていた。
「ナゾ〜。」隣で寝ているのはナゾノクサ
他にもラフレシアやらキレイハナやらタネボーやら
何やら一杯集まって寝ていた。
雲一つない青い空が見える
そこに一つ大きく輝くお日様
まさに平和であった。

二人は花を踏まないように小さな丘に行くと
「よっと。」
二人並んで座った。
改めて二人は顔を互いに見る
やっぱり顔が赤くなってしまった
二人は顔をそらした
「これって、リハビリと言うよりデートかな?」
「そういえば・・・そうだな。」
はじめてのデート、といえる
花びらが舞い散り二人だけの時間が流れていく・・・。
無意識に二人は手をつないでいた。
するとサトシはハルカにあることを頼んだ
「なぁ、グローブ外してくれないか?」
「いいけど、何で?」
「直に手をつないでみたいんだ。俺も外すからさ。」
「うん、いいわよ。」
そう言うとハルカは自分のグローブを外した
ゆっくりゆっくりと・・・。
するととても綺麗で白くて可憐な手がサトシの目の前に現れた
それはサトシの鼓動を早めた。
「さ、サトシも。」その声はどこか甘い感じがした
「あ、ああ。」
サトシもまた自分のグローブを外した
今度は早い。
何も言わず、二人は手を握りなおした
お互いの温もりが伝わってくる。
もう一度、二人は顔を見合わせた
お互いに好きにってしまうのは当然だと確信した。
「そういえば、あれまだしてなかったっけ。」ハルカはサトシに言った
「あれって?」
そう言った瞬間ハルカは・・・
自分の口で相手の口に・・・・
「ああぁ。」思わずサトシはこんな言葉を漏らした
「好きな人同士がやることだったよね?」
知っているくせにハルカはこんな事を言う。
「そうだったな、忘れてたよ。そうだな・・・俺も。」
そう言うとサトシもまたハルカに・・・
口づけを・・・。
離すと、思わず自分やったことに驚いた
(やっちゃったんだな。本当に。)
サトシはあることに思いついた
「またもう一回・・・やってくれないか?」
「うん、いいよ。」
ハルカが口を近づけたその瞬間に
サトシは気づかれないようにメディテライザーの技・スキャンを使った
そして・・・キスを・・・。
終わったときサトシは何の技か見てみた
「おっ、天使のキッスか。」
「?、なにやってんの?」
「ハルカが俺に使った技を見たんだ。」
「どれ?」ハルカは画面を覗くと
しっかりと『天使のキッス』と表示されていた
「フフ、ほんとだ、じゃあサトシは混乱してるの?」
「どっちかっつーと・・・。」
メディテライザーを動かし状態異常の画面を開き
それをハルカに見せた。
それを見たハルカはくすくすと笑った
「メロメロかぁ。」
「俺は鈍感じゃなかったんだよ。」
「どういうこと?」
「ポケモンの特性に鈍感ってのがあってメロメロにならないんだけど
どうやら俺はそうじゃないみたいだ。」
「ここまでされたら・・・誰だって。」
「だな。」
二人は大いに笑った。

そのころ・・・
「あ〜気になるな〜。」マサトは不満そうな声を出す
「何がだ〜?」マサトの口調に合わせてヤスオは言う。
「裏の道の先には何があるのさ?」
「マサトにはまだ早いな。」タケシはすかさず発言する
「え〜。だったら行ってみようか?」
「そいつはやめておけ、普通に行ったら迷うぞ。」
ヤスオはそう言った。もちろん嘘だ。
「じゃぁ二人は迷うんじゃ?」
「ところが、あの二人は特別だから行けるのだよ。」
「お姉ちゃんとサトシが・・・特別〜?」
そしてヤスオは一人思う
(さて、またどんなことが起こるのだろうか?)

そして二人・・・・
「前にやった、あれ覚えてる?」
「あれって?」
そう言うとハルカはサトシの両肩に両手を置いた
「おい・・・それはちょっと・・・。」
「今度はサトシが私にして欲しいの。」
それを聞いたサトシは・・・
「ちょ、ちょっと待て!いくらなんでも・・・!」
「何か出来ないわけでもあるの?」猫なで声でハルカはサトシに言う
「いや・・・それは・・・。」
明確には理由があった。だが言いにくい
(もし仮に俺がハルカにあれをしたら・・・)
おそらくまた何かが噴火してしまいそうな自体になるのだろう
必死に理性を抑えても、今度は無理だとサトシは思った
(前はハルカにも体をおさえられたから良かったけど今度は・・・俺がおさえる!?そんな事したら・・・!)
ふと想像してみる・・・。無茶だった。
サトシは首を振った
「どうしたの?」
「ちょっと流石に・・・・」
「私は良いって言ってるのに?」
確かにそうだった、相手は承諾しているのだ
でもサトシは出来なかった。
例え仮にしたとしても、理性が抑えられなくなった時が恐かったのだ
「確かにそうだって言ってるけどさ・・・そんなこと俺がしたら、何か良くないことが起こるかもしれないんだ」
「どんな風になるの?」ハルカは興味津々だ
「よくわかんないけど、とりあえずタケシとかみんなに怒られそうだし
何よりハルカに危害を加えそうで・・・・」
「大丈夫よ、別に殴ったり蹴ったりしないんでしょ?だったら良いかも?」
「いや・・・だからさぁ・・・・」そう言うと、とうとうハルカは・・・
「もう、じれったいんだから!」
「うわっ!」

 

ハルカはサトシごと引っ張って倒れた!
 

サトシは上にハルカは下に!
 

(わわわっ!やばいやばい!)
「離れちゃ嫌かも。」ハルカはそういうとサトシに微笑む
(離れないとやばいって!どう考えても!)
お互いの体同士はやはり密着していた
顔も前より近いのではないだろうか?
そうこうしている内にどんどんサトシの心臓の鼓動は大きくなり
体の内からなにやらマグマが吹き出そうだった
(どうすれば・・・!そうだ、キノガッサのことを考えよう。)
目をつぶりあのキノガッサの事を考えた
始めてあのキノガッサに助けられた気がした
ポケモンを使ってあのキノガッサを倒していく・・・
それを想像していたが・・・
「なんで目をつぶっちゃってるの?」
「え・・・いや、その。」
あっという間に現実に引き戻された
本来ならこれこそ夢のような出来事なのだが・・・
今の彼にとってこれこそ夢のように冷めて欲しかった
とにかく今の状態が現実なのである。
「お互いに好きなんだから、ね?」
「だからって、俺達には早いって・・・。」
サトシはそう言うと決死の力を込めて離れた
しかし悲しくなってきた
「あれ?やめちゃうの?」
「ハルカだってこれくらいだったろ。もういいだろ」
サトシの息は上がっていた
(なんか柔らかいのが自分の胸に当たってたような・・・
それにしてもある意味キノガッサと戦うよりつらい・・・
何で最初からこうしなかったんだよ・・・。)
まさにそれは自分との戦いであった。

そのころ・・・
「どうやら、彼らにはまだ早かったらしい。」何かを察知してか
ヤスオは言った
「確かにあの二人には年齢的に早すぎる。」タケシは言った
「ねぇ、何がなんなのさ?」マサトはまだ理解していなかった
いや理解できないだろう。

森の何処か・・・
(そろそろ暗黒の太陽が出る時・・・。)
 

34.暗黒の太陽

花畑の小さな丘で
二人は座りながら何かを話していた。
「なぁ、何されたかったんだ?」
「あれのこと?」
あれのこととは、勿論知っている通りの事である。
ハルカは、少し考えてから言った
「キスとか、抱きしめられたかったの・・・。
あと、サトシがなんだか噴火みたいなのしたらどうなるのかな?って。」
「そ、そういうことだったのか。」
サトシからため息が出る。
「本当は、もっとあの状態でいたかったんでしょ?」
「なっ・・・。」サトシの顔が赤くなる。
図星と言えば図星、どこか心の奥底でハルカを・・・
何かしてしまいたいという気持ちがどこかにあったのだ。
「サトシって分かりやすいかも。」
そしてハルカはやさしくサトシに微笑む。
「あのなぁ・・・。」少しサトシはついていけなかった。
いやついていきたくなかった。
それもこれも彼の理性のおかげであり、せいでもある。
「もっと積極的だったらなぁ・・・。」
ハルカは残念そうにつぶやく、サトシに聞こえるように。
(俺まで積極的になったら駄目だって。)
そしてサトシは言った。
「大体、俺達には早すぎるだろ?年齢的にもさ。」
「そう?年齢とか関係ないかも。お互いに好きなんだから・・・。」
そういうとハルカは妖艶な眼差しでサトシを見る
怪しくはないが妖しかった。
そしてサトシの体内のマグマが活発に動き回る。
また何かをハルカにしてしまいそうな感覚に襲われそうになる。
そこでサトシは
「今はとにかく駄目だ。ほら、ピカチュウとかいるだろ?」
サトシは遠くを指さした。
確かにピカチュウや他のポケモン達が遊んでいたが
何だかこちらの事を無視しているようにも見えた。
「じゃあ、また後で・・・やろうね?」
ハルカはそう言うとサトシの頬に口づけをした。

そのころ・・・
「不吉なものを感じる・・・。」ヤスオはまた察知した。
「二人のことですか?」タケシは内容を聞こうとした
ヤスオは腕組みしながらタケシとはまったく違う方向を見て
こう言った
「さっきの事なんかよりも、何かずっと恐ろしいものが
現れそうな気がする・・・。だが見えない、何が来るのかは。」
「それってお姉ちゃん達に関係するの?」マサトは聞いた
やはりあの二人が心配だった。
「関係するのかも分からない。
今回はかなりわかりにくいな。」
いつも嫌な予感を察知するわけだが今回ばかりは・・・
「じゃあサトシとハルカは!?」タケシはだんだん不安になってきた
「悪い、今回は不吉な予感があるかどうかも分からないんだ。
何がどうなるのかまるで・・・わからない!」
ヤスオは顔を上げると勢いよく下に下げた。
 

そして二人・・・
「おーい、ピカチュウー。」
「ピカー」ピカチュウはポケモン達にさよならを告げると
サトシの方へ向かってきた。
「もう帰っちゃうの?」
「そうしようと思ってる。」
やがてピカチュウはこちらに辿り着いた。
「もうちょっとここにいたいんだけど・・・。」
「・・・確かにちょっと早すぎるか?」
そう言うとサトシが空を見上げる
「あー明るい太陽だ、眩しいな。雲一つねぇや。」
「ほんと。」
「・・・太陽か。」サトシはあることを思い出し呟く。
「どうかしたの?」
「暗黒の太陽いでし時乙女の命は絶たれるであろう・・・それを思い出した。」
表のキノガッサが残したメッセージをサトシは思い出した
「暗黒の太陽ってなんなの?」
「さあな。まさか太陽が黒くなる訳じゃないし・・・。」
もう一度サトシは空を見上げた
「おい・・・なんだよあれ!」
「え!?」サトシに言われ空を見上げると
「太陽が・・・黒くなってる!?」
「うそ・・・!」
太陽を巨大な黒い影を覆い始めた
段々と太陽は光を黒い影に奪われていき
次第には周りの円とそこから放つ光だけを残し消えていってしまった。
部屋の中で電気を消されたようだ
今までよく見えていた花は光を失い
ポケモン達は森の奥へ逃げていく・・・
皆既日食・・・一般ではそう言われている
太陽は線で描かれた円だけを残し不気味に光っている・・・
「どうなってるんだ!」
「わかんないわよ、それより・・・。」
「これが暗黒の太陽ってやつか」
「そうみたい・・・。」ハルカの声が震え始めた
サトシの腕に強くしがみつく
「いや・・・殺さないで・・・、サトシ・・・助けて・・・。」
ハルカはあっという間に弱気になってしまった
目から涙がにじみ出る
「大丈夫だ、守ってやるっていったはずだ。
・・・これが本当の戦いの始まりだ。」
そう意気込むと風が流れ始めた
だが居心地の良い涼しい風ではない
憎しみの凝り固まった冷たい風。
そして二人は今までに感じたことのない
強大なプレッシャーを感じた
そしてハルカは目をつぶった。はっきり言ってこんなのは嫌だったのだ。
独特な気はどんどん大きくなっていく・・・
サトシは身構え、モンスターボールの投げられる姿勢をとった。
「さぁ・・・こい!」
もう既に少し離れた場所にいつのまにか奴はいた
傷だらけで赤い目で、170cmくらいのキノガッサ・・・
前は体が少し暗かっただけだったが、もう今は・・・
完全に殆どの体が闇に染まっていた
そして奴はポケモンでは無かった。リバース?
「リバース・・・そんなのよりも悪い・・・殺戮者!」
サトシはキノガッサに言い放った
キノガッサは口をニヤリとさせる
そして腕を広げると目を閉じた・・・。
「なにが始まるんだ・・・?」
 

35.その手を離すな

そして彼らもまた・・・
「あれは!?」タケシは叫んだ
「珍しいな、皆既日食とは。」
「皆既日食、初めて見たぞ。」タケシはつぶやく
するといきなりヤスオは
「まさか!あれが暗黒の太陽というのか!?」
その言葉にタケシもマサトも気がつく
「それじゃあお姉ちゃんやサトシは!?」
「今頃キノガッサが!?」とタケシはいよいよ不安になってきた
「早く行こう、今ならまだ・・・間に合うはず。」
そう言うとヤスオは裏の道に向かって走っていった
タケシもマサトも続けて走っていった。
 

そして・・・・
「何が始まるんだ?」
ハルカはサトシの腕をしっかりと握り離そうとしない。
「恐いよ・・・恐いよ・・・。」
目の前に恐怖があるとこんなにも、人は弱くなるのだろうか
ハルカはただ怯えているだけだった。
キノガッサの赤い目が大きく光り
腕を大きく広げるといきなり花畑の周りから
触手のような物が飛び出した。
そして触手は花畑の上空全てを囲み
ドームのような形を作った。
「逃げられないって事か。」
サトシは確信した。
さっきから震えているばかりのハルカにサトシはなだめるように言った
「ハルカ、これからいろいろと動くぞ。
いいか?絶対にな、その手を離すな!」
そして生死を賭けた戦いは始まった。
キノガッサは腕を閉じ、力を溜めるような体制を取った。
サトシはすぐにモンスターボールからポケモンを出そうとした
「ヘイガニ!君に決・・・!」
いきなりキノガッサは雄叫びとともに勢いよく腕を広げた!
すると大量の胞子らしき物がこちらに向かって飛んでくるではないか!
「しびれごなか!」
サトシは自分の手で鼻を覆いつつ
ハンカチでハルカの鼻にも覆ってあげた。
「何が・・・どうなってるの?」
声が震えていた。
「いいからなるべく息を吸わないようにしろ!」
その瞬間サトシは体が分離するような痛みを感じた
「ぐっ・・?!」一瞬よろめいたがすぐに体制を整えた
するといきなり何者かの声が聞こえた
いや、聞こえたというか頭に響いた
男のよう、そして人を見下すような感じ
どこか狂気に満ちている・・・そんな声が聞こえた
「ヒャーハハハハ!どうだ!俺の異形胞子飛弾はよぉ?
これが俺の本当の力ってわけだ。」
「お前は・・・キノガッサ!?」
「ご名答、あれから俺も鍛えたからなぁ
しばらく何も殺さないでいたら体がうずいてきやがる。
この技はなぁ、俺の言っていることが分かると同時に
精神をどんどん蝕んでいくだよ!持久戦をしようが無駄なこった!」
あまりにも狂ったような声
サトシはイライラしてきた。
「ハルカは・・・どうなんだ!?」
「どうやら、吸ってないみたいだな。まぁいい、お前にさえ当たればな」
遠くではキノガッサが赤い目をぎらつかせ
口をニヤリとさせている
不気味だった。
「早く、ポケモンを!いけっ!ヘイガニ!」
サトシはモンスターボールを投げつけヘイガニを出した
「ヘイヘイヘーイ!」ヘイガニはやる気があるのか
自慢のはさみを振り回している。
「雑魚か、まぁいいだろ。じわじわとなぶり殺しにしてくれる!」
キノガッサは戦闘の態勢を取った。
「ヘイガニ!バブル光線!」
ヘイガニははさみを開くと大量の泡を放った。
それら全てがキノガッサめがけて飛んでいく。
キノガッサの目の前に泡が来た瞬間
一瞬で泡は消えていってしまった。
「な、何が起こったんだ!?」
「ただ、切り裂いただけ。弱い!俺からもいかしてもらうぞ!」
もの凄いスピードでキノガッサはこちらに向かってきた
あまりにも速く足の動きは見えない。
だがサトシは・・・
「ディフェンダーX!」
すぐにヘイガニにディフェンダーXを使った
その瞬間キノガッサのマッハパンチが飛んできた!
ヘイガニは防御の姿勢をとった。
するとどうだろう、ヘイガニは微動だにもせず
キノガッサの動きは止まり、マッハパンチを止めたではないか。
腕を引くとキノガッサは見下した笑いをしながらサトシに言った
「どうやらこの小娘を殺すまでには、まだ時間が必要だな。」
「絶対にお前なんかには殺させはしない!」
「そのでまかせ、いつまできくかねぇ?」
その瞬間キノガッサはまた元の位置に戻った
(接近戦より触手を使うべきだな・・・クククク。)
 

36.壊してしまえばいい

「うわぁ!暗いよ!」
マサトは叫んだ。
裏の道は日食のせいもあって真っ暗だった
一寸先は闇、まさにそうであった。
「これじゃ二人の所に・・・」
タケシがそう言った瞬間、どこからともなく
ヤスオは懐中電灯を取り出し、スイッチを入れた
一筋の大きな光が出ると、暗い道を照らしていった
「早く行くんだ!」
そうヤスオは言うと、真っ直ぐな道を走っていった
「あ!待ってよ!」マサトもタケシもついていく・・・。

やがて花畑入り口にに着いたが・・・最早、手遅れだった
「・・・・。」ヤスオは頭を抱えた
なぜなら花畑の入り口が・・・
「これは、ツタ?」タケシが指さした物
それはあのキノガッサの放った触手
太陽のコロナが触手を照らし微妙に怪しく光っている
ドーム状に花畑を包み、こちらからの干渉は一切受け付けないようになっていた。
するとヤスオはまたどこからともなく今度は刀を出した
(思うんだけどどこからあんなに色々出すんだろう?)マサトはヤスオの
不思議さに疑問を持つ。
そんな事を思おうがお構いなしにヤスオは
触手を思い切り斬り付けた。
一刀両断。
「さて、これで・・・。」
その瞬間触手は切れたところから再生していき
あっという間に元に戻ってしまった
「これじゃあ・・・」マサトは絶望した 「もう駄目なのか・・・。」タケシもまた・・・。
だがヤスオはだけは違った
「・・・あの二人なら・・・。信じよう二人が勝つことを!」
三人は遠く離れた二人を見守っていることだけしかできなかった。
 

「どうやったら、あいつを倒せるんだ!」
サトシは黒ずんだキノガッサを睨み付けた
輪となった太陽から放たれるわずかな光をも吸収しかなり気味が悪い。
「ヒャーハハハハ!今度はもっと苦しんでもらうぞ!!!」
いきなりの奴の笑い声、悪人のような声。
と次の瞬間!
「きゃあ!」
「ハルカ!」
いきなりハルカは地面から謎の物体に足を取られた。
目をよく凝らすと・・・なんとそれはあの触手だった。
触手は侵入を始めた。
段々とハルカの体を上るように締め付けていく・・・
一瞬ハルカのある部分に近寄ろうとしたがすぐに
軌道を修正し今度は腕を目がけて締め付けていった
「サトシ・・・助けて・・・体が・・・ああっ!」
か細い声で助けを求めた
あまりの出来事にサトシはぼうっとしていたが
ハルカの一声でサトシは目を覚ました。
サトシはモンスターボールを出した
「コータス!火炎放射でハルカに巻き付いている触手を焼き切れ!」
モンスターボールからコータスを大げさなモーションをせずに出すと
コータスはすぐさま火炎放射でハルカを縛り付けていく触手を焼き切った。
その時だった
「隙を見せたな!」
キノガッサの声が聞こえた瞬間、ヘイガニは何かの打撃を受け
そして音もなく倒れた。
「こ、今度は何だ!」
「秘孔突きだ、当たり所が悪かったな、もうそいつはうごけねえ。
クックック・・・小娘を守るあまりに、自分の下僕を忘れたな。」
「くっ・・・。」サトシはヘイガニをモンスターボールに戻した
あまりにも冷静な戦いをするキノガッサ。
奴はただ冷たい笑いを浮かべるだけだった。
「ごめん・・・サトシ。」またしがみつき直したハルカは俯きながらそう言った
「やめろ、謝らなくていい。とにかく俺のそばから離れるな。
ハルカが死んだら・・・俺は生きていけないんだ。」
ふと思わず口から出た言葉。だがこれで良かった。
このやりとりを見ていたのかキノガッサは・・・
「ああ、むかつくねえ。さっさと死ねば苦しまずに済むのにな!
憎い憎い憎い!こうなったら本当の力をだしてやろうじゃねぇか!」
するとキノガッサは大きく両手、両足を広げると
何かを呟き始めた。しかし小さすぎて何を言っているのか分からない
サトシはその隙を逃さなかった。
「今だコータス!火炎放射!」
コータスは大きく口を開き、巨大な火炎放射を放った
当たろうとしたその瞬間!
キノガッサは消えた!
「また後ろにまわるつもりだな!コータス、鉄壁!」
サトシは前のバトルをしっかりと覚えていた
コータスは自分の体を甲羅に身を隠した
「無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」
キノガッサはコータスの上空に現れると
両手からいきなり水のような物が発射された
「あの時の技は覚えた!バブル光線!」
「なんだって!?」
コータスにバブル光線が命中するとたまらず両手両足そして頭を
甲羅から出してしまった。
「マスター16!」
気が付いたときには遅かった。
一瞬の間に何度も殴られていくコータス・・・
「やめろぉぉぉぉぉ!」
思わずサトシは叫んだ、だが無意味だった。
そしてすぐに技が終わるとコータスは・・・
「いやぁぁぁあ!!」
生きてはいたが瀕死の状態だった・・・
「このままじゃ・・・駄目だ!」サトシはコータスをモンスターボールに戻した。
「このままじゃ駄目だと?永遠に無駄だ!」
キノガッサはまた遠く離れた位置に戻るとそう言い放った。
 

37.負けてたまるか

強くなおかつ卑怯な戦い方
そんな戦い方でサトシは追いつめられていった
どんな時でもあきらめなかったサトシ。
しかしこの時は駄目だった
異常に強いのである
「どうなってるんだよ。」
ポケモンを出せばすぐに倒される
ハルカを守ろうとしたらすぐにポケモンがやられる
「卑怯だ・・・。」
サトシの息づかいが荒くなる。
今までにない緊張感。
ジム戦なんて負けてもまた修行してやり直せばいい。
だがこれは死ぬか生きるかの戦い
しかも大切な人を守らないといけない。
だが相手は圧倒的に強い。さらに卑怯な手も使う。
絶望感だけが漂う・・・。
(俺達、ここで死ぬのか?)
「サトシ・・・・負けないで。私はあなたを信じてるから」
「・・・・。」サトシは考えた
ハルカの希望は自分だ。その自分が絶望を持とうとしている
ふと、何故自分がハルカを守りたいのか考えた。
(かわいいから?すきだから?手足が上手く動かないから?
・・・口には表せないよ。何で俺はハルカのことを・・・?)
「おい!あの言葉を忘れるな!」
遠くからヤスオの声が聞こえた。必死に叫んでいるが
あまり大きく聞こえなかった。
だがそれでヒントを得た
(そうか!俺にしかハルカを守れないんだ!・・・『自分にしかできないこと』・・・それだ!)
サトシは迷いと言う名の呪縛を断ち切った
だが次の瞬間!
「あーだこーだ考えてんじゃねぇ!」
思い切り飛び上がったキノガッサが二人目がけて斬りかかる!
だがサトシは冷静に右腕をかざした
すると心の腕輪が緑色に大きく光った!
「お前には勝てない!」
その瞬間巨大なバリアが二人を包んだ!
「馬鹿な!?」
キノガッサはバリアを破壊しようと力強くバリアを殴りつけた
だがバリアには傷一つ付かず、そのままキノガッサを弾き飛ばした。
「どぁっ・・・!貴様何をした!」
「ハルカを守りたい気持ちが心の腕輪の力でバリアを作ったんだよ!」
「サトシ・・・すごすぎかも。」
そしてハルカはサトシの気持ちに喜んだ
(サトシ、本当に命がけで私を守ってくれるんだ。)
「さあこれで分からなくなったな。」サトシはキノガッサを見下すように言った
「てめえらこれで終わったと思うな!」
いきなり二人のすぐ背後に触手が地面から現れた
思わずハルカはサトシに密着する。
今度の触手は二人を襲わなかった。
「もっと狭くしてやる。」
そう言うとキノガッサの後ろからも触手が現れた
どうやらドームの内側からまた触手を出して
フィールドを狭くしようと言う魂胆らしい。
あっという間に触手は前よりも狭いドームを形作った
「ぐっ!?」サトシに体が分離しそうな痛みが襲った
「本当の戦いはこれからだ・・・!ヒャーハッハッハ!」
「なんなの?前よりも嫌な気分になりそうかも・・・」
キノガッサから放たれるプレッシャーが
今度はただならぬとても嫌な空気が二人に襲った。
 

「奴から放たれる憎しみが新たな憎しみを呼んでいる・・?!」
二人から遠く離れたヤスオは言った
「どういうこと?」マサトは空気が変わったことも疑問に感じつつ
聞いた
「あまりにも強大すぎる憎しみが、ありとあらゆる生命の憎しみを吸っているみたいだ。」
「ということは?」
「明らかに使えない技を使ったり、もっといろいろな未知の技を使いそうだ・・・。」
「ええ!?」
 

「くっ・・・。」
「何なのよ今度は・・・」ハルカは泣きそうだった
「ハルカは俺から離れなきゃいいんだ。でも俺は・・・」
サトシの残っているポケモンは3体。下手に隙を見せてはいけない
殆ど後がない
「私も戦いたいかも。」サトシの状況に気が付いたハルカがそう言うと
「それだけは駄目だ、悪いけど足手まといだ。」
「そうなら、やめとくけど・・・。サトシ、頑張ってよね」
「ああ、勿論だ。」
サトシはそう言うとモンスターボールからジュプトルを出した
そして薬を取り出した
「スペシャルアップZERO・・・スピーダー775・・・ん?これはなんだ?」
見慣れない薬があった。
「クリティカリスト?急所に80パーセントの確立で当たるようになる?」
サトシはそれも一緒に使うことを決めた
3つの薬をジュプトルに使うとサトシは命令した
「タネマシンガン!」
ジュプトルは口から無数の光弾を発射した
いつもより数倍大きくさらに早く、広範囲にわたって発射された
「ぬっ・・・避けられないだと!?」
 

38.俺がいる

ジュプトルのタネマシンガンは全てキノガッサの急所・・・腹部に当たった
「ぐっ・・・・!?」あまりの痛みに思わずキノガッサは腹をおさえた
「やった!」サトシはガッツポーズをした。そしてジュプトルを戻した。
だがまた異様な雰囲気が流れた
「まだ倒れてないみたいよ・・・。」
ハルカはサトシに忠告した
「あれだけの攻撃を受けてもか!?」
よろめきつつも体制をすぐに立て直すキノガッサ
だが相当ダメージがあったのか息づかいが荒くなっている
「やったなぁぁぁ!やったなてめぇら!」
殺意に満ちた赤い目で二人を睨み付けた。
「夢と同じ・・・。」ハルカは夢で見たキノガッサを思い出した
口調は多少違えどやることは似ていた。
(あれって正夢?)そう思うともの凄く嫌な予感がハルカによぎった
(サトシが・・・やられちゃったら私はあの触手に絡められて・・・)
その先は想像したくなかった、サトシが負けたら自分は間違いなく死ぬ。
ただそれだけは分かっていた。どう殺すのかは想像したくなかった
(内蔵をなんとかって・・・。)ハルカは青ざめた。
「早く、倒して・・・私もう嫌かも。」
こんな状況・・・誰だって嫌だった。
「分かってる、いいから黙ってろ。」その一言はハルカにとって迷惑だと言っているように聞こえた。
「旋風陣!」いきなりの不意打ち。未知の技だ
キノガッサは自分を中心に巨大な風を発生させた。
すぐさまサトシはオオスバメを出す
そして慣れた手つきで二つの薬をすぐに使った
スピーダー775とプラスパワー2型である。
「ツイスター!」
オオスバメも負けじと巨大な竜巻を発生させる
風と竜巻の戦い・・・風が竜巻に勝てるはずもなく
そのままキノガッサは竜巻に飲み込まれ、そして上空にあがると地面にたたきつけられた
「よし!」
キノガッサは倒れたままだ。
「今だ!翼でうつ!」
オオスバメは目にも止まらぬ早さで倒れているキノガッサ目がけ右の翼を光らせ
あと少しで当たろうとするぐらいの距離に近付いたのだが
いきなりキノガッサは立ち上がった
「卑怯もまた戦術!」
一瞬眩しい光が出たかとおもうと
オオスバメは倒れていた
「???!」サトシは訳が分からなかった
「ピカ?」忘れ去られていたピカチュウもまたそうだった
倒れているオオスバメを踏みつけてキノガッサは言った
「ダメージを受けている程強くなる技・・・リベンジブラスト。」
どうやらあの瞬間に未知の技を使ったらしい。
「所詮雑魚が、飛行ごときで倒せると思ったら大間違いなんだよ!」
キノガッサは赤い目でオオスバメを睨み付けた
じりじりと自分の足を動かし、オオスバメの体に足を食い込ませる
「やめろ!」その瞬間にオオスバメをボールに戻した。
笑いながらキノガッサは言った
「これで残りは二体か?トカゲとネズミ。しかも進化前ときた
どうあがいても勝ち目はない・・・だろ?
その小娘を引き渡せばてめえだけでも生かしてやろう。」
「誰がするか。」サトシは冷静に言い返した
引き渡せば当然ハルカは殺される。
サトシは決めていた。ハルカが万が一殺されたら自分も死のうと。
だから自分だけが生き残るのは駄目なのだ。
「あぁ、確かに俺のポケモンの残りも二体しかいないさ。
でもな、俺がいるって事も忘れるなよ。」
「・・・どういうことだ?」
サトシはその意味を教えなかった。
(心の腕輪・・・こいつがあれば何とかハルカが守れる。)
まだサトシには希望があった。
そして
(でんきだまとスペシャルアップZEROを使ってキノガッサを倒せるな。)
サトシは最後に戦わせるポケモンをピカチュウに決めたようだ
「サトシ、私たち大丈夫なの?」
「あんなのに負けるはずがないさ。ずっと憎んでばかりの奴に何が出来るってんだ。」
「そう、良かった。」ハルカはサトシにより一層密着した
「ハルカ、あまりくっつきすぎると俺やりにくいんだけど。」
「あ、ごめん。」思わず手を離した
だがすぐにサトシはハルカの腕を握った
「でもな、絶対にその手を離すんじゃない。あいつは俺からハルカが離れるのを狙ってるんだ。」
「う、うん。」恐くなったかハルカは両手でサトシの左腕にしがみついた。
「それでいいんだ。」
だがその二人のやりとりを見たキノガッサは・・・
「気が付いたか・・・。こうなれば力尽くでも・・・!」
 

39.犠牲

「っ!」サトシが貫くような殺気を感じたその時には
キノガッサがすぐ目の前に現れていた
屈み込むと両手を合わせた。
「これで終わりだ!」すると両手が光を放つ剣のように変形した
「そうはさせるか!」サトシは右腕にある心の腕輪の力で
バリアを発生させた。
「そんな柔な結界ごときで!」
思い切り両手を振り上げるとバリアがまるで紙を切るように
糸も簡単に切られてしまい、そしてバリアは消滅した。
「う、嘘だろ・・・!」サトシは後ずさりする。ハルカは怯える。
だが何かに当たった、それは壁と化した触手・・・。
「そんな・・・。」ハルカは死を覚悟した。
「永遠に苦しめ!」もう一度両手を剣のように変形させ
二人を斬り付けようとジャンプした瞬間!
「破壊光線・・・。」
キノガッサ目がけて赤茶色い巨大な光線が飛んできた
光線は見事にキノガッサに当たりそのまま触手の壁に叩きつけた。
「だ・・・誰だ!」壁にめりこみつつキノガッサは言った
「まさかヤスオさん?」サトシは何のポケモンか予想が付いたため
その人物の名を呼んだ。そして案の定当たった
「その通り!でもこっちには来れないがな!すぐに触手が再生するんだ。
暗いし、壁もあってどこに君たちがいるのか分からなかったがとりあえずは良かったよ。」
壁の向こうからヤスオの声が聞こえた。
「白髪か・・・どうやら他に細目と眼鏡がいるみたいだな。」
壁から離れたキノガッサが言った
「マサトとタケシもいるの!?」ハルカは一瞬喜んだが
ふと不安がよぎった。
そして奴の高笑いが鳴り響いた。
「ヒャーハッハッハ!そうだ、これを利用してやる!」
キノガッサはいつの間にか元の位置に戻り両手を回転させるように動かした
「うわぁっ!」マサトの声が聞こえた
「サトシぃぃ、助けてくれぇぇ。」タケシの何だか情けない声も聞こえた
ハルカの不安は的中した。二人とも触手に捕らえられると。
どうやらヤスオは無事らしい。
その時また壁から声がした。
「二人は何とかする!早く奴を!ネンドール頼む!」
「よし!」サトシはすぐにジュプトルを出した。
サトシはあることをジュプトルに耳打ちし、そのまま姿を隠した。
「何をさせるの?」
「一応念には念をってね。」
その時、またサトシに体が分離しそうな痛みを襲った
前よりもどんどん強くなっていた
「ぐっ!」倒れそうになる、だがすぐに体制を立て直した。
「まだ耐えるのか・・・早く白髪もしとめねえとな。」
キノガッサの声がすると壁の外側から触手の伸びる音がした
「ぬっ!?」どうやらヤスオも犠牲にあったようだ。
「ヤスオさん!?」サトシも今の状況には驚いたようだ
「さて、どうする?その小娘を引き渡せば三人の命は助けよう
だが引き渡さなかったら触手でギリギリと締めて、殺そう。
一人死ねば三人が助かる。どうだいいだろう?」
キノガッサはとてつもなく卑怯な手をこの期に及んで使った。
(やっぱりか・・・。)しかしサトシはこの事になることが何となく予想できていた。
「どうしよう。」ハルカの声はかなり震えていた。
だがサトシの答えは・・・
「行け。」
「えっ!!??」ハルカはもの凄く驚いた
(守ってくれるはずじゃなかったの?)
サトシはハルカにある事を耳打ちした。
しかしある事はある意味賭けであった。
「本当に大丈夫なの?」
「ああ、俺を信じろ。」
「う、うん。」
そしてハルカは両手をサトシの腕から離し、そのままキノガッサに向かって歩いた
(あれ?歩ける・・・?)自分は麻痺していたはずなのに歩けていた
(治ったかも)しかし喜べなかった。誰に向かって歩いているのかと考えると。
キノガッサの声が心に響いた。前々からだが。
しゃべってはいないのだ、テレパシーに近いもので二人に話しているのである。
「モンスターボールもバッグも捨てろ。」
異形胞子被弾・・・ハルカもほんの少しだけ吸ったのだ。
但し、精神には影響は出なかった。一応キノガッサの声は聞こえる。
ハルカは何も言わずモンスターボールもバッグも地面へ捨てた。
自然と汗が流れてくる・・・はっきり言って逃げたいという気持ちでいっぱいだった。
(大丈夫なのかな?サトシ・・・。)
後ろは振り向けなかった、あの事を気づかれたらお終いなのだ。
(サトシを、信じなきゃ。)
ハルカはまた一歩一歩踏み出していった
「物わかりの良い奴だ・・・自分を犠牲にしてまでねぇ、泣かせるよ。」
そして残り3メートルとなった時・・・。
 

40.ECLIPSE

「今だ!」サトシの声が響いた
(お願い!成功して!)ハルカは願った
「!」思わずキノガッサは上を見上げた
いきなり天井からジュプトルがリーフブレードを放ってきた!
「騙したな!」キノガッサは腕を交差させ防御の姿勢をとった
鋭利なリーフブレードがキノガッサの腕に突き刺さる。
どちらも互角・・・いや、ジュプトルの方がわずかに勝っていた。
「悪いけど、薬は使ってるからな。」サトシは余裕の表情を浮かべ言った。
「薬・・・!」
いよいよジュプトルの攻撃に耐えられなくなった。
リーフブレードはキノガッサに振り下ろされた。
「グッ・・・。」だがそれでもキノガッサは立っていた、相当ダメージを受けたのかゼェハァと息づかいが聞こえてくる。
サトシはそう言うことになるだろうと読んでいた。
そしてサトシはピカチュウにスペシャルアップZEROを使いさらに電気玉を渡した。
「とどめだ!ピカチュウ、最大の力で十万ボルト!」
「ピカーー!」ピカチュウはサトシの後ろで高く飛び上がり
「チュウー!」自分の体の中にある電気を全てキノガッサに向けて放電した。
十万ボルトは十万どころではなかった。二十万、三十万、その程度ではない
トレーナーとポケモンの力によってピカチュウは限界の力、いやそれ以上の力を出すことが出来た。
ピカチュウの十万ボルトは日食の情景を明るく照らし出した。
太陽の代わり・・・それどころか太陽に匹敵する明るさだったかもしれない。
キノガッサは避けられなかった、あまりにも大きな電撃
そして自分自身の疲労・・・。
「ぐわぁぁぁぁあ!!!!」
断末魔の声をあげるキノガッサ・・・
ハルカはそれをじっと見ていた。
(もうこれで、終わるのね・・・。)
その時何者かに手を掴まれた。
「ハルカ、早くこの場から離れるんだ!」その何者かはサトシだった
「う、うん。」
サトシはハルカのバッグとモンスターボールを拾い
そしてハルカの手を引っ張ってキノガッサから離れた。
壁の所までに着くとやっと足の動きが止まった。
「もういいの?」
「ああ、これで全部が終わったはずだ。」
「ありがとう・・・サトシ。」
ハルカはサトシの口にキスをした。
サトシの顔が赤くなった。
「まだ慣れてないみたい。」ハルカは笑った
「そ、そりゃそうだろ。」サトシはあわてて弁解する。
二人が和んだその時だった。

 

「まだだ!まだ終わってはいない!」

 

キノガッサの声が二人の心に響いた。
「あの技を受けてまだ生きている!?」サトシはキノガッサを見た。
少しよろめき、ゼェハァと息をしている。
相変わらず暗くてよく分からないが、今までの傷が開いていた。
「そういえば、まだ太陽が・・・」ハルカは太陽を指した。
「ほんとだ・・・。」
「暗黒の太陽・・・何故選んだか分かるか?・・・それは皆既日食なら特殊な力を得ることが出来るからだ!」
「特殊な力?」
いつの間にかジュプトルとピカチュウが二人の前に戻っていた。
まだ戦闘を続ける気力はあるようだ。
「A total eclipse of the sun・・・・この時を待っていた!」
「え、英語・・・。」サトシはいきなり出た英語に少し驚いたが
もっと恐ろしいことに気が付いた。
キノガッサは右腕を挙げると日食中の太陽から放たれるわずかな光を吸収し始めたのだ!
「ソーラービームを放つつもりか?」
「メディテなんとかを使ってみて!」ハルカの一声にサトシはメディテライザーの技・スキャンを使った。
「登録名・・・・エクリプスミラー。使うポケモンはいないと言われている
但し伝承によると皆既日食中にその技が発動されたと言われている未知の技。伝承によると発動者以外死に至ったと言われている。
また未知の技か!」すぐにメディテライザーをしまうと
ポケモン達に指示を下した。(エクリなんとかを放たれる前に倒さないと!)
「ピカチュウ、十万ボルト!ジュプトル、タネマシンガン!」
ピカチュウは十万ボルトを、ジュプトルはタネマシンガンを放とうとしたその時!
「エクリプスミラー!」
キノガッサの足下に魔法陣が出来るとあっという間にフィールド全体を囲んだ
そして魔法陣に結界ができると一瞬目の前が真っ白になった
そして巨大な爆発するような音がした
「これが・・・エクリプスミラー・・・!?」サトシの体は吹き飛んだ。
「サトシ・・・離れないで・・・。」ハルカの両手には何も握られていなかった
つまり、サトシから離れてしまったのである。
そして・・・奴は・・・・
 

41.深い絆

奴は立っていた・・・。 しかし今までの傷口が開き所々に血が流れ始めていた。
「・・・・ククク。」血が流れようとも何ともないようだ
しかも獲物を追いつめたような笑いを浮かべる。
ジュプトルとピカチュウは周りで倒れ、もう戦うことは出来なかった。
「サトシ!」ハルカはサトシを必死に呼んだ
「ああ・・・・大丈夫だ・・・。」すぐ近くにサトシが倒れていた
ハルカはサトシに近付き座り込んでいった。
「ごめん・・・私のせいで・・・。」
「お前は何も悪くない。悪いのは・・・」サトシは立ち上がり
キノガッサを指さして言った。
「悪いのは全てお前だ!」だがキノガッサの言った言葉はとても奇妙だった
「それは良かった。だが今更何ができる?二体とも戦闘不能・・・そしてな!」
キノガッサが言った瞬間
「うっ!」サトシは体を貫かれる痛みを感じた。
「異形胞子飛弾の効果でてめえはな・・・。」
「嘘だろ・・・折角・・・ここまで・・・来たのに・・・。」
そしてサトシは倒れた。
「サトシ!」ハルカはサトシの体を揺すった。
だがピクリともしない。呼吸もしていなかった。
「どうして・・・どうしてなの・・・!」
「ひたすら精神を蝕まれた結果だ!残念だったな!ヒャーハッハッハ!」
あのとても嫌な高笑いがハルカの心に嫌でも響いてくる。
「触手の壁で、他人の干渉は受け付けない・・・もう終わりだな。」
するとハルカは立ち上がった。
「もう体は治ったわ、今度は私が・・・。」
そう言ってモンスターボールを出そうとしたとき、一瞬強烈な頭痛に襲われた。
「あ、頭が・・・でも戦わなきゃ!出ておいで!アゲハント!」
しかしモンスターボールのスイッチを押してもカチカチと音がするだけで何も反応がない。
「ちょ、どうなってるの!?」
「ちょっと特殊な電磁波を使わせてもらった。あの電撃を受けて技を考えたのだよ。」
どうやらものまねの原理で受けた技から新たな技を使うようだった。
そして怪しい笑みを浮かべつつハルカの方へ歩いていった。
やはりダメージがあるのか歩みは遅い・・・。
「来ないで!お願い!起きてサトシ!」
「無駄だ・・・どうあがいてもな!」
ハルカは涙を浮かべた・・・もう自分は殺される。
それにサトシも・・・。
「何でなの?私を守ってくれるんじゃなかったの?それなのに・・・。」
「所詮人間なんてそんなものだ!」
「違う・・・サトシはそんなんじゃないかも・・・。うう・・・。」
涙がどんどんあふれてくる。
(心の腕輪・・・何で私にもあるの?)
左腕にある心の腕輪を見た。何かが違った。
それは光り方だったかもしれないし、とにかく何かが違った
(お願い!サトシ・・・私を守って!)
そう懇願するといきなり心の腕輪がピンク色に輝いた
「え?なんなの?」思わず心の腕輪を見てみる
(暖かいかも・・・そうだ。)
ハルカは左腕をサトシの顔にかざした
「何をするつもりだ・・・?」キノガッサの歩みが止まった
(サトシを想う心が・・・癒しの力となったの?)
光をサトシに当てていくとサトシはゆっくりであったが瞼を開けた。
「う・・・俺は・・・まだ生きてるのか?」
「うん。私がいたからなんだから。」
「ハルカの心の腕輪が光ってる?」
「私はあなたのことを想い続けたの、それで癒しの力となって、こうやってサトシの傷を癒しているみたい。」
「そうなのか、そんなに俺のこと・・・よし!」
サトシは立ち上がった。
それを見たハルカは良かったと言う感じに笑みを浮かべ、そして心の腕輪の光はまたいつもの淡い白い輝きに戻った
「馬鹿な!精神を蝕まれたはずなのに何故生きているのだ!」
「俺一人じゃ死んでたな、だけどハルカのおかげで死なないで済んだんだ。
お前には分からないよな、一人で憎んでばっかりの奴にはな。」
そう言われてキノガッサは赤い目をより激しく光らせた
「愛だとか言うんだろう!?そんな綺麗事で何故だ・・・!
そんなモノで深い憎しみを持った俺を倒せると思ってると!?大体他のポケモンは倒れた!人間ごときに何が出来る!」
しかしそう言われてもサトシは表情を変えなかった
「お前の言ってることは半分当たりで半分はずれだ。
愛も入ってるけどな、俺とハルカには深い絆で結ばれているんだ。」
なっ?と言う感じにサトシはハルカを見た。
ハルカはうなずいた。
「もう私たちのポケモンは戦えないけどね、まだ戦えるの。
私たち二人の力があればね。」ハルカはそう言った
「絆・・・それでどうやって戦おうというのだ・・・ハッ!」
キノガッサは心の腕輪を思い出した
「そう言うことさ、どうやら今俺とハルカのソウルが、何というか共鳴というか
繋がっているというか・・・。ま、とにかく見れば分かるだろ?」
サトシとハルカはこれから何をするか分かっていた
腕輪の彫刻に描かれていることをやろうと言うのである。
二人の腕輪が白く大きく光り出した
サトシは右腕を挙げ、ハルカは左腕を挙げた
そしてサトシの右腕とハルカの左腕をくっつけると二人は言った。
「「今!二人のソウルを束ねる!」」
何故こんなセリフが出たのか二人は分からなかった。
「俺が・・・負けると・・・?」キノガッサは防御姿勢をとった。
「名もない技だけど・・・」サトシがそう言う
「二人の力があれば・・・」ハルカがそう言った
二人が目をつぶると巨大な光が二人の腕輪から発射された。
一度とてつもない早さで天にまで行くと、巨大な光はキノガッサ目がけて落ちてきた。
地面が浮き上がった
「くそぉぉぉぉぉ!いつか!この俺が・・・!また・・・・」
何十秒間巨大な光に照射されたのか
しばらくすると光は消え、消えたところには倒れたキノガッサがいた
そして触手の壁は消えていき
日食の影はどこかへ行き
そして花も光を取り戻し
最後にポケモン達が集まってきた。
「やった・・・のか?」
「やったかも!」
二人は抱き合い勝利を喜んだ。
するとモンスターボールの投げる音がした
「「?」」二人がキノガッサのいたところを見ると何とモンスターボール入れられて、まだ少しばかり動いていた。
すぐに動きは止まった。
「よーし、キノガッサゲトー。」ヤスオがキノガッサを捕まえたようだ
「や、ヤスオさん?」
「これが目的・・・悪いな。」
「ハ、ハハハ」二人は笑った
「お姉ちゃ〜ん。」マサトの声だ
「サトシ〜。」今度はタケシの声。
ところがタケシがマサトを二人の所に行かせるのを引き留めた
「もう少し、二人の時間を・・・」
「え〜?」
「も、もういいって、タケシ。」
「いや、二人が抱き合ってるのを見ると。」
そう言われて二人は顔を赤らめ抱き合うのをやめた。
 

42.帰り道

「邪魔しちゃったな、じゃ俺達はこの辺で。」
そうタケシは言うとマサトを押しながら、来た道へと退場していった。
「何しに来たんだ・・・タケシとマサトは。」
確かに殆ど意味がなかった。
「怪我したポケモンはどうする?」ヤスオがジュプトルとピカチュウを指さしていった。
「治りますか?」
「そうだな、あと三日で・・・。」暗い感じが二人に襲いかかった
「なんか嫌な予感かも。」
「こら、死ぬとは言ってない。今から治療すれば三日で治ると言いたかったんだ。」
「本当ですか?」ヤスオの喋り方は不穏を予知するような喋り方だったので思わずサトシは彼の真意を聞いた
「悪かったって、冗談が通じないのか、君たちは。」
(おいおい・・・。)ヤスオが言うと冗談も冗談じゃないように聞こえるから不思議だった。
まぁ安全だと分かったのでサトシはポケモン5体を全てヤスオに預けた。
「しっかりと、預かったよ。じゃ。」
そう言うと、ダッシュで元来た道へ戻っていった。
なにげにかなり速かった。50メートルを6秒で走る速さだ
それを見てサトシの一言
「やっぱり変な人だ。」
「そういう人なんでしょ?」ハルカが笑いながら言った。
「そうだろうな、じゃあ俺達も帰ろうか?」
「うん。」
サトシとハルカは両手を繋ぎ、ゆっくりゆっくりと元来た道へ歩いていった。
道に入ればまた同じ真っ直ぐな道。
道にさす木漏れ日は二人を祝福しているかのよう。
「終わったな。もう怖がらなくて良いんだな。」
「うん。でも・・・。」
「へ?」
「これからもサトシの腕とか手とかにくっついっちゃってもいい?」
「ああ、もちろんさ。」
「そう言うと思った。じゃあ早速。」
そう言うとハルカはサトシの左腕にしがみついた。

 

二人が小屋に着くと庭にヤスオがいた。
彼はキノガッサの入っているモンスターボールを額に当てていた
「何やってるんですか?」
「凄い憎しみを感じる・・・今までのリバースとは比べものにならないな。」
ヤスオはモンスターボールを額に当てるだけでポケモンの感情等が分かるようだ
「一体何者なんですか?」
サトシはヤスオがただ者でない事に気が付いた。
すぐにヤスオは返答した
「リバーストレーナー。この国には十人ほどしかいない。
リバースを捕まえ、そして更正させる。それが僕の・・・フッ、『自分にしかできないこと』ってやつだな。」
「十人ほどしかいない・・・?」
「ま、社会の裏で暗躍するものだから、誰がリバーストレーナーだか
分からないんだがな。」
「ふーん・・・?」サトシは適当に返事したが
なんかサトシの質問とヤスオの答えが微妙にずれている気がした
(やっぱり・・・変な人だ。)
サトシはため息を付いた。
(変な人で悪かったな・・・。)ヤスオは心の中でつぶやいた。
二人が小屋に入ろうとするとヤスオが言った
「メディテライザーとでんきだまと余った分の薬はしっかりと返してもらうよ。」
「は、はいぃ・・・。」サトシはすぐにバッグから薬と
ポケットからメディテライザーと電気玉を渡した。
「もうこれで・・・忘れてないな。」
「もういいですか?」
「もういいよ。」何だかかくれんぼみたいなやりとりだった。
二人は小屋に入った。
しばらくするとヤスオも小屋に入った。

夜・・・・二人の部屋
「三日経てば、俺のポケモンはみんな元気になって
フーディンも元気になるみたいだな。それでテレポートでこの森から脱出させてくれるみたいだな。」
サトシはヤスオから事情を聞いた後、ハルカに言った。
「そっか、ねぇそれよりも・・・。」
「ん?」
「花畑の時に後でやろうって言ったでしょ?」 「そんなこと言ったか?」サトシはあの時を思い出すが思い出せなかった
「ちっちゃく言ったから分かんなかった?じゃ、サトシ。あの後の続きしよ。」
そう言われてサトシにある意味に於いての嫌な予感が襲った
「ま、まて。いくらなんでも・・・。」
(やっぱり、サトシは積極的じゃないかも・・・。好き同士なのに。
ヤスオさんから貰ったこの木の実、使ってみよっと。)
 

43.何故そこまでするのか

ハルカは二つの木の実を取りだした
二つとも同じ種類だ。
その木の実は直径5pくらいで、平たく、白に近いクリーム色でハート型だ。
(これをサトシに飲ませれば・・・そしてついでに私も・・・)
この木の実を手に入れたのはこんな経緯があった。
 

小屋に帰った後ハルカがサトシのポケモンを見るため
地下の研究室に立ち寄ったときのことだった。一人で
「お邪魔しまーす。」
「はいはい。」相変わらずやる気のない返事が返ってくる。
「サトシのポケモンは大丈夫ですか?」
「ああ、薬を投与したからすぐに治るよ。」
「薬で治るんですか?」
「木の実を使えば色々な薬ができるからね、生命力を増強したり・・・展開しないけど。」また話が長くなると思ってかヤスオは薬のことを話すのをやめた。
「木の実ってどんなのがあるんですか?」
「色々とあるけれど・・・見る?」
「え?いいんですか?」ハルカはちょっとばかり目を輝かしていった
(木の実が欲しいようだな・・・。まぁ少しならいいだろう。)
相手の心を察知してか、ヤスオはこんな事まで言った
「いくつか木の実をあげてもいい、それでポロックでも作ったら?」
「あ、ありがとうございます。」
そして前に来た倉庫とはまた違う倉庫に来た。
その倉庫は研究所と同じ階にあった。広くもなく狭くもない。
倉庫には棚があり、それには瓶に詰められた木の実がたくさんあった。
ハルカは手当たり次第にになんの木の実か聞いた。
「これは?」
「ドリの実、それで点滴を作った。」
「へぇ、じゃあこれは?」
「フィラの実、ポロックの材料になる。一つぐらいあげるよ。」
そう言われてハルカは瓶を開けてフィラの実を一つ取った
「でも、変な形。」
細長い食べられたような形をしていた。
いくつかもらったり見ていたりするとおもしろい形の木の実がハルカの目に入った。それはハルカがサトシに飲ませようとする木の実だった
「これは・・・?見たこと無いかも。」
「そ・・・それ?」ヤスオの反応が少しおかしかった。
「これもポロックに?」
「いや・・・そうじゃない・・・。」
「じゃあ何に使うんですか?」
そう言われてヤスオは返答にかなり困った。しかし言わないのもあれだった。
「それは・・・精力増強・・・というか・・・積極的にする・・・というか・・・
媚薬・・・というか・・・えーと・・・。」
「何なんですか?」
「薬には一応使えるけど他には・・・効果が分かりにくいんだ。
媚薬にしては相手を好きにさせるって訳でもないし・・・。」
「それじゃあ?」ハルカは納得のいく説明を聞こうとする
「そうだな、好きな相手を積極的にさせるとか・・・だな。」
そう言われてハルカは目の色を変えた。
「これ・・・貰って良いですか?」
「ん?別に良いけれど・・・。」
そして瓶の蓋を開け、木の実を二つ取った。
(ポロックにも使えないはずだが?このラブドの実は)
ヤスオは疑問に感じた
「それじゃあ。」ハルカはそう言うと倉庫から出て研究所のエレベーターを使い、自分の部屋に戻っていった
一人ヤスオは考える
やがてハルカが何をしたいのかが分かった
(まさか・・・サトシ君に!?まずいな、年齢的に早いことが起こる予感・・・!
いやそれはいいんだ。タケシ君とマサト君を呼ぼう。
変な声があがったら、男子二人はカップルの部屋に来て、とてつもなくきまずいことになるに違いない!)
あまりにも酷い妄想だったかもしれない。
だがヤスオは念には念を入れた。
タケシにだけ事情を話しておいた。
勿論、タケシは少し驚くも一応分かってくれた。
そしてマサトは研究所から出ることの無いようにした。
別に力尽くではない。気をそらせただけ・・・。
 

で、ハルカは・・・
(これを使うのは最終手段にしよっと。)
ハルカは軽く何かを企むような笑いをした。
「だからさぁ、俺達にはまだ早いって。」
サトシの声が聞こえた。すかさずハルカは答えた
「そう?年齢とかやっぱり関係ないかも。」
「関係あるだろ、それにタケシとかマサトとか・・・。」
そう言われるとハルカは反論の糸口を見つけた。
「部屋にはいないみたいよ。」
「へっ?」
「研究所にいるの、だから、今ここにいる人は私とサトシ、二人だけ。」
「えっ!?」思わずサトシの顔が引きつった。
「もっと積極的になっていいのよ?」
「ま、待てよ・・・。」
じりじりとハルカはサトシに迫っていく・・・。
いつしか顔はかなり近くなっていた
「ね?」
サトシのソウルに何かが来た。だがすぐに理性という物が抑えた。
(あ、危ねえ・・・。)
「じれったいんだから・・・。」
するとハルカはサトシの両肩に手を置き、すぐにサトシを倒し
自分も倒れた。また同じ事になってしまった。
ハルカは何かを口に含んだ。
(わわわわわっ!やばいやばいやばいやばいやややややばい!)
サトシの体の中にあるマグマは噴火を待っていた。
だがひたすら理性という物に抑えられてしまう。
「本当に、サトシって・・・消極的かも。」ハルカは不機嫌そうに言った。
「俺、ま、まだは、早いって・・・。」そう言っても呂律(ろれつ)が回らない
「じゃあこれなら?」ハルカは最終手段に出た
(んっ!?)いきなりハルカの口がサトシの口に重なり合ったのである
しかもいつもよりも熱い気がする・・・。
不意に何かが口に入れられた。
(こ、これを飲めって?)顔が赤くなりつつも、それを噛まずに飲み込んだ
口を重ね合わしながら。
一般に言われる口移しをしたのだ、ハルカは。
移したのはあの木の実、ラブドの木の実。
サトシが飲み込んだのを確認すると、ハルカは起きあがり
自分も木の実を食べた。
(あ、甘いかも。)一口噛んでみると、甘い果汁が広がってくる。
だがそれだけだった。特にハルカには何も変わったことが起こらない
(私には何も起こらない?)
サトシも起きあがった、顔は真っ赤だ。
「い、今の何だったんだよ?それに何飲ませたんだ?」
「さあ?でも毒じゃないから大丈夫。」
そしてハルカはサトシにウインクした。
一瞬サトシの理性が絶えそうになった。だが何とか持ちこたえた
ふと、何かを思ったのかサトシはハルカの顔を見た。
(ハルカ・・・本当に可愛いな・・・。)
白い肌、大きな青い目、変わった髪型、それらがサトシの目に映る。
(ん?何でいきなりこんなことするんだ?)
「どうかした?サトシ?」いきなりハルカに問いかけられ慌てた
「あ、いやなんでもない・・・。」
(フフ、効果が表れたみたいかも。)
何だかサトシはハルカの顔だけでなく体の方まで見てしまった。
視線の先は、脚、腕、肩、そして・・・女性にだけある小高い丘へと
ハルカも視線を感じずにはいられなかった。
(うんうん。効果が出てるみたい、ちょっとだけど。)
(な、何やってるんだ俺?)不意に出る自分の意志とは反する行動。
それは潜在的な意志だった、いやでもそれが表に出てくるのである。
(でも、もうちょっと私も頑張らないと、サトシが暴走しないかも。)
ハルカはサトシが暴走するのを待っていた。
何が起こるかおぼろげにだが分かっている。
(それに、サトシの反応おもしろいかも。)
嫌がるようで、そうじゃないサトシの反応。それをハルカは楽しんでいた
そしてハルカはサトシを挑発するような行動に出た。
「あー、夜なのに暑いかも。」
そう言うとハルカは上着のファスナーを少しだけおろした。
(っ!)思わずサトシの視線が釘付けになる。
「どうかしたの?サトシ?」
「な、何でもないさ!」サトシは顔をそらした。心臓がドキドキする。
ハルカの挑発はまだ続く。
上着のファスナーを音が立つようにおろした。
ジジジジジ・・・・・
そしておりるところまでおろした。
(な、何やってんだハルカは!)すぐ近くに男がいるというのに
この大胆な行動。
ハルカの上着の間から白い下着が見えた。
一瞬何かがサトシによぎった。
(な、何を考えてんだ俺。それにしてもハルカって意外と胸が・・・ってわぁぁあぁ!)
思わずサトシは頭を抱え込んだ。
(これって、効いてるの?)ちょっとハルカは不安になる。
けれどもサトシには木の実の効果はしっかりと効いているのだ。
(もうちょっとやってみよっかな?)とハルカが思ったすぐに
「なぁ、何でそんなことするんだ?」サトシの声が飛んだ。
「ん?暑いから。」簡単な返事だった。
「でも、俺・・・男だぞ?すぐ側でそんな事して・・・・・・恥ずかしくないのか?」
「だって好き同士でしょ?恥ずかしくも何とも思わないかも。」
(えー。)サトシはハルカの大胆な行動に驚きを隠せない。
「あーまだ暑いかも。」そしてハルカは・・・・

上着を脱ぎ捨てた。

ハルカの上半身には下着だけあった。

(っ!!!!)サトシは両手で目を伏せた。
(見ちゃ駄目だ、見ちゃ駄目だ。見たら・・・俺が俺でなくなりそうだ。)
「さっきから変よ?サトシ。」もちろんわざと言っている。
(変なのはハルカだろ〜。)心の中でサトシは突っ込みを入れた。
「目、開けたら?」
「いや、今はいい。」
「ふーん・・・。」ハルカは辺りを見回した。どうも解決になる物は見つからない。
(お願いだ、上着を着てくれ・・・。)必死に時が経つのを待った
(ちょっと難しいけどやってみよ。)
いきなりハルカはサトシの目を覆っている両手を掴むと引き離そうとした。
(あ・・・。)突然の出来事だったので簡単に
サトシの両手は引き離されてしまった。
見てしまった。ハルカの上半身を。
「ご・・・ごめん、俺そんなつもりで・・・。」自分は悪くないのに何故か謝ろうとする。
(今がチャンスかも!)
そこでハルカはこんな事を言った。
「じゃあ・・・サトシ、今の私をじっくり見たら許してあげる。
・・・何か私にしたかったらしていいんだから・・・。」
「そ、それでいいのか・・・?」
「うん。」
「ああ、分かった。」何故かサトシは承諾した。
サトシはハルカをじっくりと見た。
顔、脚、下着だけがある上半身・・・。
(なにかしたかったらしていいんだな?)サトシは先ほどの言葉を考える。
(と言うことは・・・暴走していいんだな?)
もう一度ハルカの体を見た。
サトシの体に秘めたるものはもう爆発寸前だった。
「本当にいいんだな・・・?」
「へ?」
するとサトシはハルカの華奢な両手を掴みハルカを倒し
自分もハルカに重なるように倒れた
(これが・・・サトシの暴走?)
「どうなるか分からないけどな。・・・ハルカ、いいか?」
「う、うん。」
これでサトシの理性の糸は切れただろう
初めてサトシが積極的になった瞬間かもしれない
その夜の二人がどうなったかは分からない。
だが予想はつきやすいだろう。けれどももしかしたら皆の考えているのは間違ってるかもしれない。
サトシだって男だ。
二人は人間であり、ヒューマンなのだ。
もしかしたら年齢的には早いかもしれない。
だが、愛し合う二人にとって、年齢に関係があるのだろうか。
別に年の差はない。ただちょっと若すぎる、それだけのこと。
二人は何をしたのか・・・だがその辺の若者がするような俗な物ではないだろう。
本当の愛を見つけた二人だ。それはとても素晴らしいかもしれない。
 

ヤスオの地下の研究所・・・・
「あ。」ヤスオは声をあげた。
「まさか・・・とうとう二人は・・・。」
「どうだろう?無知の状態で何が出来るんだ?」
「もしかしたら自分たちが想像してるのとは違う行動してるのでは?」
「うーんどうだろう?二人はもう大人だ。精神的に。あのキノガッサを倒したんだ。
そして二人は・・・あの関係。何かあってもおかしくないんじゃないか?」
「まぁそうですが、でもなぁ・・・。」タケシは腕組みをした
それを見てヤスオが笑った
「悔しい?」
「ま、まさか。」実はちょっと図星だった
タケシは何人もの女性に求愛しているが一つたりとも成就したことはない。
サトシとハルカの仲にほんの少し嫉妬しているのは確かだった。
「ま、いいだろう。これ以上考えたって意味がない。
よく考えれば僕たちには無関係なこと。
本当に何があったのかは二人のみぞ知るってね。」
「確かに。」タケシは納得した
「ねぇ、お姉ちゃんとサトシはどうしたの?」マサトは思い出したように聞いた
「それは秘密だ。」タケシが答えた
「まただよ。何なんだよみんなしてさ〜。」マサトは不機嫌そう
だが知ったところで訳が分からないだろう。
 

44.自分にしかできないこと

積極的なサトシもラブドの実の効果があった時だけだった
しかもあの時しかヤスオはラブドの実をくれなかった。
それでもハルカは何とかサトシを積極的にさせようと奮闘するのである。
それはさておき・・・・

三日経った朝のこと
「ふわぁ〜あ。」サトシが欠伸をたてて起きた
隣にはハルカが眠っている。
(三日前・・・何であんなことしたんだ?)
サトシは三日前のことを思い出した。
あの時サトシは理性を失っていた。
本能のみが彼を支配していたのだ。
(今思えば、恥ずかしい。何やってんだ俺。)サトシはため息をついた。
「ん・・・・ぁ〜ぁ。」小さな欠伸を立ててハルカが起きた。
「おはよ、サトシ。」すぐにハルカはサトシに挨拶した。
まだ目は半開きだ。
「おはよう。」サトシも同じように。
「そういえば、今日でみんな治る日だったな。」
「うん・・・。」何故かハルカは元気がなかった。
「どうかしたのか?」
「う〜ん、また寝るとき、みんなで寝るってなると・・・。」
ハルカはサトシとこれからも二人っきりで寝たかったのだ。
「それが普通じゃないか?」
「そうだけど・・・ま、いっか。」ハルカは次のチャンスを狙い今回のことは諦めた。

コンコン。
ノックの音がした。

「はい。」サトシが返事をすると
ガチャリとドアが開いた。
「お二人さん、全員ポケモンは治ったぞ。」ヤスオだ。
完全にドアを開くと、ピカチュウが出てきた。
「ピカー。」
「おっ、ピカチュウ。」しかし何故かピカチュウは飛びつかない。
いつもなら飛びつくはずなのに・・・だ。
「あれ?」サトシは疑問に感じた
「ああ、ツーショットの時に飛び込むってのはいくら彼でもちょっと勇気が必要だろ?」彼とはピカチュウのことだ。
「そこまで気を使わなくても良いのに。」サトシは呟いた。
そしてサトシのポケモンは全て返され
朝食を食べた後、全員で庭に集まった。

「出てくるがいい・・・フーディン。」怪しげな感じでヤスオはモンスターボールからフーディンを出した。
完全に傷跡は残っていなかった
元気なのかスプーンを手でくるくると回している。
「では、テレポートを始めよう。場所はこの森の先にある町で・・・良いね?」
「はい。」サトシが答えた。
今更になってサトシは一つ気付く。
(ヤスオさんの性格が丸くなってる・・・。)
最初にあった頃と比べると、大分良い人になっている。
これが彼の本性なのだろうか?とサトシは思った。
「何をぼさっとしている、はやく準備しろ。」
(違うか。)ヤスオの一言でサトシはやっぱり決めつけるのをやめた。
「じゃあ、手を繋いで円を作って。」
そしてサトシはハルカと、ハルカはマサトと、マサトはタケシと
タケシはサトシと手を繋いだ。ピカチュウはサトシの肩に乗っている。
円ができた。
「座標設定・・・OK。X軸、Y軸、Z軸。
ポイントは決まったな?」ヤスオの謎の言葉が続く。
フーディンは頷いた。
(何やってるんだ?)サトシはちょっと思った。
「みんな、目をつぶってくれ。」
そう言われてヤスオ以外目をつぶった。フーディンまで目を閉じた。
「強きソウルを持つ者達よ!これからもソウルの力で道を開け!
いいか、サトシ君!『自分にしかできないこと』を忘れるな!」
粋なメッセージを言うと、テレポートが始まった。
フーディンが目を瞑りつつ手を何度も交差させる。
するとフーディンの周りに何十個も青白い魂のような物が飛び始めた。
そして4人の上に青白い物が集まると、一つの大きな空間の穴のような物が出来た
やがて穴は下へ行き4人を吸い込んでいった。
「さらばだ!強きソウルを持つ者達よ!心の腕輪に選ばれし者よ!」
穴は一つの光の玉となり上へと飛んでいった。
一人ヤスオは呟いた。
「そういえば・・・・奴のしびれごなって治るのに一ヶ月かかったような・・・。
あの少女・・・ハルカとやらは、一、二週間で治った。
あんなに早く治ったのは、薬のおかげなのか・・・?
いや、愛の力・・・・かもしれないな・・・フッ。」
ヤスオは軽く笑うと、そのまま小屋へ戻っていった
「また、旅に出るか・・・リバースを更正する旅へ・・・。」

 

4人の入った光の玉は次の町の手前で
穴となった。
タケシとマサトが地面に着地した。
「よっと。」マサトはバランスを取りながら言った。
「それにしても、不思議な感じだったなあ。」タケシはテレポートの感覚を思い出した
「うん。何だか体が浮いてた感じだったよ。それにしてもお姉ちゃんとサトシ、遅いなぁ。」
空間の穴は、二人が出るのを待っていた。
やがて出てきた。
「うわぁ!」
「きゃあ!」二人は落ちるように出てきた
「遅かったなサトシ・・・・・・・・・・・!」
タケシは右手ですぐにマサトの目を覆った
「な、なにすんだよ!」マサトは慌てた
「さぁ、次の町へ行こう!」タケシも違う意味で慌てていた。
「いきなりなんなのさ、タケシ・・・・。」マサトはタケシの手を退けた
そして・・・・
「あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
マサトは絶句した。
それもそのはずだった。
ハルカは下に、サトシが上に重なっていた。
それだけではない・・・。
「サトシ、変なとこ触ってる。」ハルカが言った
「あ!」サトシは両手をハルカの○○に押し当てていた。
すぐにサトシは手を引っ込め、ハルカから離れた
するとサトシはもの凄いプレッシャーを感じた。
(キノガッサと似てる・・・?)
サトシが横を見ると、マサトが・・・・マサトが!
(ただならぬ雰囲気を発してないか!?)
恐らく、背景があるならば、炎がめらめらと燃えていただろう。
「サトシ・・・お姉ちゃんには変なことするなって言ったよね?」
今更古いことをマサトは言った。まぁ既にサトシはしてしまったのだが
三日前に、いやある意味ずっと前からだろう。
それでもマサトは見てしまったのだ。
「マスター16!」何とマサトはあのキノガッサの技をサトシに放った!
「うわぁぁぁぁぁ!マサトやめろ!マサトやめろ!」サトシは無抵抗のまま殴られた
「ハ、ハハハ・・・。」ハルカとタケシは苦笑いした。
「これでよし。」マサトは、16回以上殴るとそのままサトシから離れた。
「よくね〜よ。」ガクリとサトシは倒れた。
まぁすぐに立ち上がったなのだが。
「大丈夫?サトシ?」
「ああ、大丈夫さ。」子供が殴ってもそれ程痛くなかった
「それより、早く次の町に行こうぜ。」
「うん。」ハルカはサトシの左腕にしがみついた。
「あれ?まだ治ってなかったの?」マサトがからかうように言った。
「これは、ただこうしたいだけ。」ハルカはあっさりと言ってのけた。
こうまで言われるとマサトは何も言えなかった。
(心の腕輪・・・こいつが無かったら俺達、死んでたんだな。)
サトシは右腕にある心の腕輪を見つめた
するといきなり、ひびが入り、砕け散ってしまった。
ハルカも同じように、ひびが入り砕け散った。
しかし、破片は見当たらなかった。
(どうなってるんだ?)
(何で割れちゃったの?)二人が疑問に感じたその瞬間
二人は白い光に包まれた
(?)ふたりとも疑問符を浮かべると
心の腕輪を付けようとした時に聞こえた、厳かな神のような声が聞こえた
「よくやった・・・・、お前たちはソウルを共鳴させたな。
もうその腕輪は必要ないだろう・・・。
大丈夫だ、腕輪が無くとも、お前たちはやっていける・・・。」
そしてまた白い光は消えていった
「何だったんだ?」サトシは右腕を見た。
やっぱり心の腕輪がない。
「ねぇ、さっきの声、聞こえた?」ハルカがふと尋ねた
「ああ、腕輪が無くてもやっていける・・・とかって。」
「そうだ、サトシ・・・。」
「ん?」
「あ、今マサトとタケシいるから後でね。」
 

そして町の公園で二人っきりになって言われた言葉
「将来・・・・結婚して欲しいかも。」ハルカらしい告白だった
「・・・・ああ、俺も言おうとしたんだ。
将来、お互いに無事だったら結婚しよう。」
「うん。」
二人は抱きしめ合い、熱いキスをした
舌を絡め合い・・・いやそこまで詳しくする必要はない。
聞いて欲しい。
皆にはどんなソウルを持っている?
心、とも言えるものだが。
皆それぞれ心の腕輪に選ばれるような強きソウルになる素質を持っている
強くなるためには、何人たりとも屈しないようにする。
だからと言って頑固にはなっていけない。
妥協も必要だ。
強きソウル・・・一言ではどんなのかは表現できない。
だが忘れないで欲しい。
あきらめず、自分を信じて、そして誰かにも信じられて、生きていこう
最後に『自分にしかできないこと』も誰にでも必ずあるはずなのだから・・・。


 

皆さんお疲れさまでした。
どうです?すご〜く長かったでしょう?
今思えば、なんてことやったんだろうって思いますよ。
多分サトハル小説では長さ世界一です(笑)
何故悪役がキノガッサなのか・・・
思いつきです。実はそうなんです。
オリキャラの名前の由来は友人から取りました
リバースは後から考えてましたが
花畑のシーンはこれを考えついたときから考えてました
一番最後の文章は、自分が勝手に考えた物なので
無視しちゃって構いません。
いくつか暴走してましたが、割合的にサトハルが少ないと思ってたので・・・。
それでは皆さん、さようなら・・・・。
Commentator by −

 
はい、おそらく最長ですw ご苦労様です。
突然訪れたハルカへの危機。
大切なものを守るための、みんなの絆、そしてサトシとハルカの愛が素晴らしいです。
束の間の平和、キノガッサとの緊迫した戦闘シーン。
そんな中でゆっくりと進展していく二人の関係がドキドキものです。
色々な経験をし、精神的に成長していく姿も良いです。

Commentator by 冬草


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