夏の終わり

ハ「あ、流れ星」
ハルカが上を見上げて呟いた。
サ「ハルカ、上ばっか見てると転ぶぞ」
ハ「大丈夫大丈夫」
ハルカがそう言った直後、石に蹴躓いた。
ハ「きゃあ」
サ「危ない」
転びそうになるのをサトシが支えた。
サ「大丈夫か」
ハ「う、うん」
サ「だから言っただろ、転ぶって」
ハ「うん、ゴメン」
サ「謝る事ないよ」
タ「サトシー、早く来いよ」
サ「ああ、分かった。さ、行こうぜハルカ」
ハ「う、うん、痛!」
サ「どうした?ハルカ」
ハ「足、挫いちゃったみたい」
サ「しょうがねえなぁ」
サトシは、ハルカをおぶり、歩き始めた。
ハ「ゴメンねサトシ、迷惑かけて」
サ「気にすんなよ、謝ってばっかだとお前らしくねえぞ」
ハ「うん、ゴメン」
サ「あのなー、まいっか」
タ「やっと来たか、ん?ハルカはどうしたんだ?」
マ「どうせまたサトシに駄々こねたんでしょ」
ハ「失礼ね、昔ならともかく、もうそんな事しないわよ」
サ「足を挫いたかもしれないんだとさ」
タ「どれどれ、ちょっと見せてみろ」
そう言ってタケシがしゃがみこむ、サトシは、ハルカを降ろして、タケシが見やすいようにする。
タ「ここ、痛いか?」
ハ「うん」
タ「ここは?」
ハ「ちょっと痛い」
タ「なるほど、確かに挫いてる。もしかしたら骨にヒビが入ってるかもな」
サ「そんなに酷いのか?」
タ「あくまで可能性の話だ、これは次の町までサトシにおぶってもらえ」
ハ「なんでサトシなの?」
ハルカが疑問に思い、タケシに聞くと、タケシはサトシに聞こえないように、声を低くしてハルカに言った。
タ「おぶってもらえよ、大好きなサトシと一緒にいられるぞ」
ハ「な!」
ハルカの顔がボッと赤くなった。
ハ「な、なんで分かったの?」
ハルカもまた、サトシに聞こえないくらい声を低くして言った。
タ「普通分かるぞ、マサトにも気づかれてるしな」
ハ「そ、そんなに分かりやすかった?」
タ「ああ、ただサトシが鈍いだけさ」
ハ「あれでも隠してたのに」
サ「さっきから何話してるんだ?」
ハ「サトシ、何でもないかも」
サ「そうか?」
タ「とにかくサトシ、町までハルカをおぶってやれ」
サ「分かった」
そう言ってサトシは、ハルカをおぶり、歩き始めた。

ハ「サトシ、ゴメンね」
サ「なんで謝るんだよ」
ハ「だって私、サトシに迷惑かけっぱなしだから」
サ「それくらい気にすんなって」
ハ「うん」
そう言ってハルカは、サトシにもたれかかり、目を閉じた。

タ「着いたぞ」
マ「ここはなんていう町なんだろう」
そう言ってマサトはポケナビを見たが、町の名前は出てこなかった。
タ「この町は、まだ名前がないんだ」
サ「なんで無いんだ?」
タ「ここは最近出来た町だから、だからまだ町の名前が無いんだ」
マ「え?でもポケナビには登録されてるよ、なんで?」
タ「知らないのか?ポケナビは町などのデータは毎回送信されてるんだぞ」
サ「だから町のデータはあるのか、ん?」
ポケナビを覗き込んだサトシは、ある事に気づいた。
タ「どうした?サトシ」
サ「なんだろう、ここ」
サトシは、何も無いところを指差した。
ピカチュウは、サトシの肩に乗れないので、タケシの肩に乗っている。
マ「なんだろうここ、何も無いね」
タ「データが不足してるのか?」
サ「何があるんだろう、気になるな」
タ「あまりいい予感はしないがな」
マ「サトシはここへ行くの?」
サ「ああ、ポケモンセンターに荷物を置いたら行ってみようと思ってる」
タ「ハルカはどうするんだ?病院に連れて行かないと」
サ「あ、そうだった」
とりあえずサトシは、ハルカを病院へ連れて行ってから行くことにした。

先「あ〜あ〜、ヒビ入ってるよ」
明らかにいい加減な言い方の医師が言った。
サ「やっぱり、入ってるんですか」
先「大した事はないけどね」
サ「そうですか、よかった」
先「まあしばらくはこの町でギブスを付けて生活してもらうことになるけどね」
サ「しばらくって、どの位ですか?」
先「せいぜいよくて1ヶ月、遅くて2ヶ月って所かな」
サ「そんなにですか」
先「ミナモに行くにはこの子が持たないだろうからね」
サ「俺がおぶって行ったらどれ位ですか?」
先「普通で約1週間だから、倍はかかるんじゃないかな」
サ「2週間、それなら何とかなりそうだ」
先「まあまずはギブスを付けさせてもらうよ」
そう言って医師は、ハルカを連れて行った。
そして待つこと約10分、
先「はい終了」
サ「なんか早い気がするんですけど」
先「まあ気にしない気にしない」
明らかにいい加減な医師だった。

サ「くっそー、あの医師、適当に見ときながらかなり持っていきやがった」
サトシは自分の財布を見た。パンパンだったのにもう無くなりかけている。
サ「どうしよう、これじゃあハルカに何も買えない」
さっきマサトに聞いたら、明日がハルカの誕生日らしく、何か買ってやろうと思ってたのに、サトシは深くため息をついた。
サ「これじゃあ喜んでもらえないじゃん」
ハ「誰に?」
サ「てうわあ!ハルカ、起きてたのか」
ハ「うん、ついさっき起きた。ねえそれより誰に喜んでもらえないの?」
サ「う、それは」
サトシは言える訳が無かった。
ハ「ねー、誰ー?」
ハルカは尚も聞き続けた。
そんなハルカの心の声
ハ(サトシ、誰か好きな人いるのかなぁ)
いわゆる嫉妬である。
サ「その内分かるよ」
ハ「今教えてよ、ねー、サトシー」
サ「今度教えてやるよー」
ハ「駄目、今教えてよ」
サ「教えられないから今度って言ってるの」
ハ「じゃあ、一つ聞かせて」
サ「何をだよ」
ハ「その人、サトシの好きな人?」
サ「う〜ん、そうかもしれない」
ハ「そっかぁ」
ハルカはそれっきり、一言も喋らなかった。
部屋に戻っても、夕食の時も、ただ黙々と食事を口に運び、松葉杖で部屋に戻っていった。
サ「ハルカ、さっきからずっとああなんだよなー、何かあったのかな?」
食事を口に運びながらサトシが呟いた。
タ「サトシ、病院からここまでで何かあったか?」
サ「何かって言われても、ああ、あったあった。確かハルカの誕生日明日だろ?だから何か買ってやろうと思ってたんだけど」
マ「だけど?」
マサトもまた、食事を口に運びながら聞いた。
サ「病院でかなりぼったくられた」
そう言ってサトシは、自分の財布を見せた。
マ「うわー、あんなにあったのにもうこんだけ?」
タ「かなりぼったくられたな」
サ「そうなんだよ〜、泣きたくなってくるよ。しかも診察がいい加減だし」
サトシは、あの医師のいい加減な顔を思い出し、だんだんと腹が立ってきた。
サ「あ〜くそ!」
サトシは勢いよく椅子から立ち上がった。
その時、誰かに椅子が当たり、その人は勢いよく倒れた。
サ「あ、すいませ、あー!」
サトシはつい、大声を出した。
サ「お前はあの時のいい加減な医師!」
そのいい加減な顔は、忘れたくても忘れられる訳が無かった。
先「き、君はあの時の」
助「先生、お知り合いですか?」
先「い、いや、こんな奴私は知らな」
サ「とぼけるな!いい加減な診察しといて滅茶苦茶な金額払わせたくせに!」
助「何を言ってるのですか?先生は小説家ですよ」
サ「んだと〜!じゃあてめえ小説家のくせして病院で何診察してんだよ!」
先「ひえ〜、すいませ〜ん」
そう言って、医師もどきはその場を走り去った。
助「どうやら、うちの先生がご迷惑をおかけしたみたいで」
サ「いいですよ、代金さえ戻ってきたら」
ここでやっと、タケシのお姉さん病発動
タ「お姉さん、あなたはその歳で、助手をなさってるんですか」
助「え?は、はあ」
タ「もしよろしければ自分の助手に、いててて」
マ「はいはい、助手なんていらないからね〜」
助「と、とにかく、代金はいくらほど先生にお渡しされましたか?」
サ「5万ほど」
サトシがそう言うと、助手はその倍の代金を出し、
助「残りの5万は謝罪の分としてお受け取り下さい」
そう言ってその場を去っていった。

サ「受け取ったのはいいけど、どうしよう」
マ「何が?」
マサトが近寄りながら言った。タケシは、耳が痛いので、耳をさすりながら近付いてきた。
サ「俺こんなに入んないよ」
サトシの財布は小さく、5万入るのが限界のようだ。
タ「しょうがない、俺が預かっといてやるよ」
そう言ってタケシは、自分の財布にサトシの5万分を入れた。
サ「サンキュータケシ」
マ「サトシ、さっきの話の続きどうなったの?」
サ「そうだったな、それでその後、独り言の一部を聞かれたんだよ」
マ「なんて言ってたのを聞かれたの?」
サ「喜んでもらえない、てとこかな。流石に誰なのかは聞いてなかったみたいだけど」
タ「それで、ハルカは何て言ったんだ?」
サ「誰?て何回も聞いてきたな」
タ「なるほど、そういう事か」
一人でなにやら呟き始め、席を立った。
サ「おいタケシ、どこ行くんだ?」
タ「先に部屋に戻っとくぞ」
そう言ってタケシは部屋へと戻って行った。
サ「なんなんだタケシまで」
マ「そういえばサトシ、ピカチュウは?」
サ「部屋で寝てる。さて、そろそろ俺達も戻ろうぜ」
マ「うん」
その頃、ハルカは
ハ(私、サトシに好きになってもらえないのかな)
とか考えていた。
そう考えたくないのに考えてしまい。その度に涙が溢れ、それを拭い続けた。
その時、ドアがノックされた。
タ「ハルカ、入るぞ」
ハ「タケシ、どうぞ」
タ「ハルカ、お前どうしたんだ?」
タケシの言葉に、少し顔を埋める。本当は、サトシにかけてもらいたかった言葉、
ハ「なんでもないかも」
タ「嫉妬、してるのか?」
ハ「ちょっとね、サトシ、私の事どう思ってるのかな」
タ「そればっかりは本人に聞かないとな、でも明日、ハルカにとっていい事があるぞ」
ハ「え?何?」
ハルカは顔を上げ、タケシに聞いた。
タ「それは明日のお楽しみ」
タケシはそれだけ言い残して、自分の部屋に戻っていった。
ハ「いい事って、なんだろう」
疑問に思いながら、明日が何の日か思い出そうとするが、思い浮かぶのは、サトシが女の人と楽しそうに話していたことのみだった。
ハ(好きな人って、誰なの)
今のハルカはもう、その事しか頭に浮かばなかった。

サ「ハルカー、入るぞ」
そう言ってサトシは、部屋へと入った。しかし、ハルカはいなかった。
サ「あれ?どこ行ったんだ?」
探そうかと思ったが、トイレにでも行ってるのだと思い。部屋で待つことにした。
ベットでは、ピカチュウが気持ちよさそうに眠っていた。
この部屋は、サトシとハルカの二人が使っていた。
もし何かあったときの為に、タケシが二人を同じ部屋にしたのだ。
サ(そういえばタケシ、部屋の鍵を渡す時ちょっと様子がおかしかったな)
そんな事を考えるのも無理はないだろう。何故ならタケシは、サトシに鍵を渡す時、妙にニヤニヤしていたのだから、
サ「それにしてもハルカ遅いな、トイレじゃないのかな」
とりあえず、近くを探してみようと思い、サトシは立ち上がった。

サ「オオスバメ、出て来い」
モンスターボールが勢いよく開き、中からオオスバメが出てきた。
オ「スバー」
サ「オオスバメ、ハルカを探してくれ」
オ「スバー」
オオスバメは勢いよく飛び、すぐに見えなくなった。
サ「よし、俺も行くか」
そう呟き、ハルカを探しに走っていった。
サ(ハルカ、どこ行ったんだろう)
その頃ハルカは
ハ「あれ?ここどこかしら」
とりあえず、散歩しようと思い。外に出たのはいいが、気が付いたらここがどこか分からなくなっていた。
ハ「あたりも暗くなってきたし、なんか不気味かも」
その時、何かが突然ハルカに向かって突っ込んで来た。
ハルカは、気が付いた時にはもう遅く、ハルカは気を失った。
サ「何だ、今なんか嫌な予感が」
サトシに何か、よくない事が起きた気がした。
サトシは、何かに導かれるように走り出した。
サ(ハルカの身に、何かあったんじゃ)
そんな不安がよぎり、サトシはスピードを上げた。
そして、ハルカが使っていた松葉杖を見つけた。
サ「これは、ハルカが使ってたやつじゃ、くそ!」
サトシは走り出した。どこに向かってるか分からない。だが、自分が何かに導かれている感じがしていた。
サ(この先に、ハルカがいるかもしれない)
確信は無かったが、何故かそう言い切れた。
そして、しばらく走ると、二つの人影が見えた。
サトシは初め、その影がハルカだと思ったが、近付くとそれが違うという事に気付いた。
サ「な、お前ら何者だ!」
?「我等は、魔界の門の番人、滅」
?「同じく、絶」
サ「魔界、だと」
その時サトシは、滅と絶の足元に、二つの人影が見え、その一人が、ハルカだと言う事に気付いた。
サ「お前ら、その二人をどうするつもりだ!」
滅「こいつ等は運悪く、魔界の生贄に使われることになった」
サ「何!そんな事させるか!ハルカを返せ!」
サトシは、滅と絶に走っていった。が、何かに弾かれた。
滅「無駄だ、この女はお前が来る事を拒んでいる」
サ「どういう事だ」
サトシが聞くと、絶はしゃがみ、ハルカの額に手を触れた。
絶「ふむ、どうやらお前を嫌っているわけではない。どうやら、お前の事が好きらしいな」
サ「え?」
絶「好きだから、お前まで巻き込みたくない。大好きな人を危険にさらしたくない。それが、この娘の意思だ」
サ「だからって、お前を見捨てられるかよ。俺だってお前が好きだよハルカ、俺が、守ってやるから、だから」
サトシの目から、涙が流れる。
サ「お前の傍にいさせてくれよハルカ!」
その時、何かが崩れる音がした。
滅「まずい、この娘が結界を解いた」
絶「早く、魔界に連れて行かなければ、ゲートを開け」
そう言うと二人は、持っていた杖を重ねた。ブラックホールのようなものが現れた。
サ「ハルカー!」
サトシは迷わず突っ込んだ。
滅「まずい、早く入れ、すぐ閉じなければ」
絶「無理だ、間に合わない」
サトシは、ゲートの中に突っ込んだ。そのゲートの中で、ハルカの手を、しっかりと掴み、自分の方へと引き寄せた。
サ「俺が、守ってやるからな」
空間の中を落ちながら、サトシはハルカに言った。
ハ(ありがとう、サトシ)
心の中で、そう聞こえた気がした。

サ「いでっ」
サトシはそんな声を出した。
サ「いてててて」
痛そうに首を鳴らしながら、サトシは立ち上がった。
サ「ここが、魔界なのかな」
先「そのようですね」
サ「うわあ!お前はあの時のヤブ医者もどき」
先「その呼び方、やめてもらえませんか」
サ「なんでここにいるんだよ」
先「いや〜、突然後頭部を殴られて、気が付いたらここにいたんです」
サ「なんであいつらはこんないけ好かない顔のこいつを選んだんだ?」
先「君、さっきから失礼ですね」
サ「だって本当のことじゃん」
滅「おしゃべりはそこまでにしてもらおう」
絶「そこの小僧、おとなしくそいつらを渡せ、そうすれば元の世界に帰してやるぞ」
サ「やだね、このヤブならともかく、ハルカは渡さねぇ」
先「私はいいのか」
滅「仕方ない、ならば死んでもらうまで!」
そう言って滅と絶は、サトシに襲い掛かった。しかし、二人まとめて弾き飛ばされた。
滅「くそ、あの娘の結界、厄介だ」
絶「あの男がいる限り、もの凄い威力を発揮するみたいだからな」
先「とりあえず、助かったのか?」
サ「行くぞ、ヤブ」
先「だからその呼び方やめて」
サ「言っておくがお前ら」
サトシは、ハルカをお姫様抱っこしながら呟いた。
滅「な、なんだ」
サ「もしハルカにこれ以上指一本触れてみろ」
振り向いたサトシを見て、二人は固まった。
滅(な、なんという殺気)
絶(閻魔様よりも遥かにでかい、こやつ、一体何者)
サ「二人まとめてぶっ潰す」
そう言い残し、サトシは静かに歩み去って行った。
滅「何て奴だ、我々の手には負えん」
絶「とにかく今は、閻魔様に報告だ」
そして二人も、その場を去って行った。

サ「さて、これからどうしよう」
先「分からないのにここまで歩いてきたのかい?」
サ「分かるわけないだろ、俺はここの出身じゃないのに」
先「そういえばそうですね」
サ「ん?あれなんだ?」
サトシは、家のような物が立っている場所を見つけた。
先「建物、ですね」
サ「行ってみよう」
そう言ってサトシは、建物が並んでいる場所へと向かった。

サ「スイマセーン、誰かいませんかー?」
住A「なんだい、こんな夜遅くに」
そう言って出てきた住民Aは、サトシ達を見て珍しい物を見たような顔をした。
住A「おお、人間じゃないか、何万年ぶりだろうね」
サ「あの、この子を休ませてやりたいんですけど」
住A「ああそうかい、ささ、上がりなよ」
促されて入ろうとしたが、何かに阻まれたように全く進めない。
サ「あの、入れない、ですけど」
住A「なんだいあんたら、洗礼を受けてないじゃないか」
先「洗礼、てなんですか」
住A「ここのパスポートみたいなもんさ、形は無いが、これを受けないとどこにも入れない。ここに来るときに受けたろ」
サ「いえ、俺達、滅と絶と名乗る二人組に連れてこられただけですが」
住A「あれま!あんたら閻魔様の生贄かい」
サ「閻魔様?」
サトシはつい、聞きなおした。

住A「あれま、あんたら閻魔様も知らないのかい」
先「閻魔は、地獄の神だという言い伝えがあるが」
住A「ああそうさ、閻魔様はここでは神のような存在さ」
サ「神、ねえ」
先「どうしたんだい?」
サ「おかしいよ、神が生贄を必要とするなんて、絶対におかしい」
住A「何でおかしいって思うんだい?」
サ「本来、俺達の言う神は、人の命を作り、世界の創造神の筈だ」
先「だがここは魔界、彼らの神が閻魔なら、そんな事をするのが普通、という事じゃないのかね」
住A「いや、今の閻魔様のやり方に誰も賛成してないよ」
サ「じゃあ何でほっとくのですか、閻魔のやり方が嫌なら、反対すればいいのに」
住A「前にもね、何人かいたんだよ、閻魔のやり方が納得できないと言って、だが閻魔のやり方は変わらず、戻ってきた者はいなかった」
先「食われたのでしょうか」
サ「おい、頼むからそういう事をサラッと言わないでくれ」
先「ああ、すまない」
住A「とにかくあんたらは洗礼を受けなきゃね」
そう言ってなにやら炎の玉のような物を取り出した。
サ「なんですか?これ」
住A「洗礼の炎を圧縮した物さ、丁度3人分ある」
先「大丈夫ですか?これ」
住A「少し熱いが我慢しな、すぐ終わるから」
そう言うと、洗礼の炎の玉を砕いた。
炎が3人を包み込んだ。
サ「うわああ!」
先「わあああ!」
サ(少しだと、かなり熱いじゃねえか)
しかし、あっという間に炎は3人の体の中に入っていった。
住A「はい、洗礼終了」
先「熱かった〜」
サ「これで終わりですか?」
住A「そうだね、じゃあもう一回来てみな」
サトシとヤブは中に入った。
サ「あれ?さっきはあんなに阻まれてたのに」
住A「洗礼を受けたから、今度からどこに行っても阻まれることはないさ」
サ「そうですか」
住A「その子を休ませるんだろ。こっちに連れてきな」
そう言って連れてこらえれたのは。意外にも普通のベットだった。
とりあえずサトシは、そこにハルカを寝かせた。

住A「おや?この子の足、どうしたんだい?」
サ「ああ、どうやら足の骨にヒビが入ってるらしくて」
住A「そうか、じゃあ起きたらこれを飲ませてやれ」
そう言われてサトシが受け取ったのは、真っ白の液体の入った薬、
サ「なんですか?これ」
住A「家で作ってる特性の薬さ、その薬は骨を健康の状態に戻すんだ」
サ「へ〜、すげーな」
住A「他にも色々あるぜ、でも今一番人気なのは、これだな」
サ「何だ?これは何の薬なんだ?」
住A「心の薬さ」
サ「心!?」
住A「ああ、心の病を治す薬さ」
サ「へ〜」
住A「じゃあ俺そろそろ夜食作ってくるから、そこで彼女を見ててやんな」
サ「ああ、分かった」
サ(最初からずっと見とくつもりだったのに)
そんな事を考えながら、ハルカの寝顔を見て、フッと微笑んだ。
サ「ハルカ、どんな夢見てるんだろう」
ハルカの嬉しそうな顔からして、いい夢なんだろう。
サ(ハルカは、俺が絶対に守ってみせる)
サトシは心の中で、改めてそう決心した。
そして、1夜明けた朝
ハ「う、んん」
サ「ハルカ、起きたか」
ハ「あ、サトシ、おはよう」
サ「おはよう」
サトシの顔が、自然と笑顔になる。
ハ「ねえサトシ、ここどこ?」
ハルカは、ここがポケモンセンターでない事に気づき、サトシに聞いた。
サ「魔界ってとこらしい」
ハ「魔界?」
サ「ああ、なんでかは知らないが、滅と絶と名乗る二人に連れてこられたんだ」
ハ「そっか、夢じゃなったんだ」
サ「どういう事だ?」
ハ「私ね、その時起きてたの、でも声も出ないし、動くことも出来なかった」
ハルカはそのまま続けた。
ハ「その時に、サトシの声が聞こえて、生贄って聞いて、サトシを巻き込みたくないって思ったの、でもね、サトシの声が聞こえたの」
ハルカの目に、少しだけ涙が溜まる。
ハ「嬉しかったの、好きな人は、私じゃないって思ってたけど、サトシは私が好きだって言ってくれた。その時私は、サトシと一緒にいたいって思ったの」
サ「いてやるよ、いつまでも、ハルカがいいのなら」
そう言ってサトシは、ハルカの目に溜まった涙を拭ってやる。
サ「ハルカが好きな気持ちは、変わらないから」
ハ「サトシ」
ハルカは、サトシに抱きつき、涙を流していた。
サ「何があっても、俺が絶対に守ってやるから、な」
ハ「信じてるよサトシ、私を守ってね」
サ「ああ、だからもう泣くな、お前が泣く姿は、見たくない」
ハ「大好きだよ、サトシ」
サ「俺も、大好きだよ、ハルカ」
ハ「絶対に、一緒に元の世界に帰ろうね」
サ「ああ」
そしてサトシは、ある事を思い出し、隣の机においてある。あのビンをハルカに渡した。
サ「そういえば、はいこれ」
ハ「何?これ」
サ「それで歩けるようになるらしいぜ」
ハ「え〜、治ったらサトシにお姫様抱っこしてもらえないかも」
サ「いくらでもしてやるから、まずは飲んでくれ」
ハ「本当!約束だよ」
サ「ああ、約束する」
その言葉を聞くと、子供のようにはしゃぎ、薬を一気飲みした。
ハ「うえ〜、ちょっとまずいかも」
サ「薬てのはそんなもんだろ。それより歩けるようになったか?」
ハ「う〜ん、どうかなぁ」
そう言ってハルカは、いい加減につけていたのですぐ取れるギブスを外し、ゆっくりと地面に足をついた。
ハ「あ、全然痛くないかも」
サ「よかったなハルカ」
ハ「ねーねーサトシ、お姫様抱っこして」
サ「い、いきなりかよ」
ハ「いいじゃんいいじゃん、早く早く」
サ「分かったよ」そう言ってサトシが、ハルカを抱き上げた時、
住A「おーい、朝飯できたぞ・・・てなにやってるの?」
サ「え、あ、いや、これは」
サトシが顔を赤くしながら説明しようとする。ハルカはサトシの首に手を回した状態で固まっている。
住A「仲がいいのはいいことだけど、ほどほどにな」
そう言って部屋を出て行き、取り残された二人はただ、赤面してその場に呆然と立ち尽くしていた。

ハ「わー、見た事無い物がいっぱいかも」
サ「そりゃそうだろ、ここは俺達の世界じゃないんだから」
すっかり元気になったハルカは、サトシと一緒にショッピングに来ていた。
ハ「あ、ねーねーサトシ、これ可愛いと思わない?」
サ「どれが?」
ハ「これよこれ」
サ「そうか?俺はどっちかって言うとハルカの方が可愛いぞ」
ハ「ちょ、ちょっとサトシ、そういう事素で言わないでよ」
サ「何で?いいじゃん本当の事なんだし」
ハ「恥ずかしいじゃない」
サ「誰もいないのにか?」
ハ「だから恥ずかしいの、人がいたら声がかき消されるけど、いなかったら遠くの方まで聞こえるじゃない」
サ「じゃあこれなら文句無いか?」
ハ「え?」
サトシはハルカを、お姫様抱っこした。
サ「これなら人がいない今ならOKだろ」
ハ「そ、そうだけど」
サ「けど何だ?」
ハ「町の真ん中で、ちょっと恥ずかしいかも」
サ「いいじゃん、誰もいないんだし」
ハ「それは、そうだけど」
ハルカの顔が赤い、サトシも負けないくらい赤かった。
サ「そろそろお昼だし、戻ろうか」
ハ「うん」

先「それにしてもいいのですかねぇ」
サ「何が?」
先「僕とハルカさんは生贄として連れてこられたのにこんなに平和で」
その言葉を聞いたハルカは、怖くなったのかサトシにしがみついた。
サ「大丈夫さハルカ、お前は俺が守る」
そう言って易しく頭を撫でてやると、ハルカは安心した顔をしたが、しがみついたままだった。
サ「お前な〜、平和な時は平和な時を楽しめよ。そんなんじゃもたねえぞ」
住A「それは君にも言える事だろ」
サ「どういう意味だ」
住A「君、寝てないだろ」
その言葉に、サトシはつい「う」と呟いた。
住A「夜も寝ずにその子を見てるだろ。気付かないとでも思ったのかい」
サ「気付く気付かないの問題じゃない、ただ、朝起きてハルカがいなくなったら、そう思うと、眠れないだけだ」
先「でも、眠らないとその方が持たないと思うが」
サ「大丈夫だよ、これ、くら、い」
その時、サトシの目の前が真っ暗になった。
サ(あれ?体が動かねぇ)
そう思っているうちに、意識までもが薄れてきて、最後まで自分を呼ぶハルカの声にこたえられないうちに、サトシの意識は完全に途絶えた。

ハ「サトシ、ねぇサトシってば」
ハルカは、倒れたサトシを懸命にゆすっていた。
住A「大丈夫、命に別状は無い」
先「けど熱がある。しかもかなり高い、ここに体温を測る道具はありますか?」
住A「あ、ああ、あるにはあるけど」
先「それでサトシ君の体温を測ってくれ」
住A「ああ、分かった」
ハ「サトシ、大丈夫?」
先「大丈夫、約3日間寝ないで君の看病した上に、寝ないで君を見守ってた。サトシ君は約1週間寝なかったんだ。当然だよ」
ハ「サトシ、無茶しすぎかも」
先「それだけ、君が大切だったんだよ」

その後、サトシはすぐに目を覚ましたが、起き上がれる状態じゃなかったので、ハルカがサトシの看病をすることになった。

ハ「サトシー、起きてる?」
サ「あ、ハルカおはよう」
ハ「サトシ、何やってるの?」
サ「何って、大分よくなってきたから、遅れを取り戻そうと」
ハ「そうじゃなくて、サトシはまだ病み上がりなんだから無理しちゃ駄目」
サ「大丈夫だってもう治ったって」
ハ「まだ完全じゃないじゃない。無理してまた倒れたらどうするの!」
サ「心配し過ぎだって、大丈夫だから」
ハ「駄目!」
そう叫んでハルカは、サトシをベットに押し倒した。
そしてハルカもサトシに覆いかぶさるようにして、サトシの目の前まで顔を持っていってから言った。
ハ「寝てなくちゃ駄目よ、分かった?」
サ「わ、分かった」
ハルカの顔が近いせいで、妙にドキドキした。
ハ「分かればよろしい」
そう言って、ハルカはサトシから離れた。
ハ「じゃあ私、お粥作ってくるから待ってて」
そう言ってハルカは、ママの子守唄を口ずさみながら部屋を出た。
サ「たまには、世話されるのもいいもんだな」
サトシはつい、そんな事を呟いた。
そして待つ事約10分
ハ「サトシ〜、お待たせ〜」
ハルカがさっきよりご機嫌で入ってきた。
サ「ハルカ、さっきより機嫌がいい気がするがどうしたんだ?」
ハ「えへへ、お粥がいつもよりおいしく出来たの」
サ「へー、そりゃ楽しみだな」
ハ「はい、じゃあ、あ〜ん」
サ「おいおい、それするのか?」
ハ「こうしたらもっとおいしくなるかも知れないじゃない」
サ「それもそうだな、あ〜ん」
パク
ハ「おいしい?」
サ「んめぇ、タケシのよりうめぇ」
ハ「本当?嬉しい」
そう言ってハルカはサトシに抱きついた。
サ「お、おいハルカ、ちょっと?」
サトシは混乱した。何故ならサトシはベットで横になっている。
そのサトシに抱きついたのだから、ハルカも横になっている。
ハナコ『いいサトシ、サトシはまだ子供なんだから、女の子と一緒に寝るなんて絶対にしちゃ駄目よ』
ハナコが昔言っていた事を思い出す。
サ(今まさに一緒に眠っているような状況だよママ)
サトシは心の中で呟いた。
その光景を、あまりの二人はしっかりと見ていた。
先「なんだか凄い事になってますけど、止めなくていいんですか?」
二人に聞こえない位の声で聞いた。
住A「ここから面白い事になりそうだから止めない」
先「楽しんでますね、あなた」
そう呟いたが、自分も楽しみという顔をしていた。
サ「お、おいハルカ?」
ハ「スー、スー」
サ「寝ちゃったか、てどうしようこの状況」
サ(ママ、今まさにママの言った状況になっちゃったんだけど、どうすればいい?)
サトシはまた、自分の中の母親に喋りかけた。

サ「どうしよう、起こすのも流石に可哀想だし」
とりあえず、ベットに寝かせておいて、椅子に座り、ハルカが起きるのを待った。
サ(やっぱり、いつ見てもハルカの寝顔は可愛いな)
頬を赤らめ、心の中で呟いた。
そしてサトシは、静かにハルカに近づいていった。
サトシの口が、ハルカの口に触れようとしたその時、
ハ「駄目だよサトシ、ちゃんと寝てないと」
ハルカが寝言を言った。サトシは死ぬほど驚いた。
ハ「スー、スー」
サ「な、何だ寝言か」
そして、サトシは今やろうとしていた事をするのをやめた。
サ(やっぱり、お互いが認めないとな)

ハ「う、んん」
ハルカは目を覚ました。
サ「あ、起きたか」
ハ「あれ?サトシ、私、寝ちゃってた?」
サ「少しな」
その時ハルカは、自分がサトシのベットで寝てることに気付く。
ハ「ゴメン、なんだかサトシの場所、取ってたみたいね」
サ「いいよ、気にすんなって」
ハ「そのお詫びかも」
そう言ってハルカは、サトシに抱きつき、ベットに引っ張り倒した。
もちろんハルカが引っ張ったので、ハルカが下である。
サトシは恥ずかしくて、すぐにその場を離れようとしたが、病み上がりで力が入らないのもあるが、心のどこかで、この展開を望んでいたような感じがした。そこへ、サトシの感情を促すような一言、
ハ「私を、好きにしていいよっていったら、どうする?」
サ「いやどうするって言われても」
サトシの鼓動が早くなる。
サ(つーか、俺にどうしろと)
ハ「分かんないの?じゃあ実際に試してみる?」
サ「わー!流石にそれは勘弁して」
ハ「何で?」
サ「なんとなく、嫌な予感がするから」
サトシは、これまで一度たりとも理性を保てなくなる事は絶対に無かった。
しかし、今まさに保てなくなりそうなのだ。自分の直感が「この先に行ってはいけない」と自分に言い聞かせている。
ハ「嫌な予感って、どんな?」
サ「俺が、俺でいられなくなりそうな、そんな感じ」
ハ「でも、それは一時的なんでしょう?」
サ「そう、なのかな」
ハ「だったら別に構わないかも」
サ「お前な〜」
そう言っているサトシの鼓動は、もの凄く早くなっていた。
気が付くと、二人は横向きになっていた。
ハ「そんなにじらしてると」
そう言ってハルカは、サトシの上に乗った。
ハ「私から行っちゃうぞ」
サ「わー!待て待て、まだ早いって俺達には」
ハ「今から何するか分かるの?」
サ「分かんないけどさ、なんとなく早い気がする」
ハ「いいのいいの、早いとかそういうのは気にしない気にしない」
サ「いや、気にしろよ」
ハ「大丈夫よ、誰も見てないし」
本当は、残りの二人が窓から目を光らせてみていたが、二人はそれに気付いていなかった。
いや、サトシは今、それどころではなかった。
ハ「大人になったらみんなして当然なんだから、今でもいいじゃない」
サ「大人まであと10年あるから、俺達には早すぎるって」
サトシはもう既に、かなり混乱していた。
ハ「それに、サトシが理性を失った姿、ちょっと見てみたいかも」
サ「そういう理由でこういう事をしないでくれ頼むから」
ハルカは構わず、サトシにキスをした。
サ「ん〜ん〜」
サトシは声が出せない。ハルカはサトシの口にキスをしていたからだ。
ハ「仕方ないから今回はこれで勘弁してあげる」
そう言ってハルカは、お粥が冷めていたので温めに行った。
サ(あ、危なかった〜)
サトシは心の中で、安堵の息をついた。
サ(もう少しで、理性を失うところだった)

ハ「はいサトシ、あ〜ん」
サ「あ〜ん」
パク
サ(なんかもうこのシチュエーションにも慣れてしまった)
心の中で、サトシは呟き、ハルカを見た。
ハ「はい次、あ〜ん」
サ「あ〜ん」
パク
サ(ま、今は俺の休息として、ハルカに看病されとくか)
そう思った時、ハルカがちょっとした爆弾発言をした。
ハ「ねえサトシ、もう一つ上行かない?」
サ「上?上って、何の?」
ハ「私達のラブラブ度のもう一つ上」
サ「何するつもりなんだ?」
ハ「簡単簡単、あのね、(ゴニョゴニョ)」
サ「そ、そんな事するつもりか?本気で」
ハ「当たり前じゃない、もちろん本気」
サ「よく思いつくよな、そういう事」
ハ「えへへ、私ってば昔から恋愛ものの番組ばっかり見てたから」
サ「嫌だって言っても、やるつもりだろ?顔がそう言ってる」
ハ「うん、もちろん」
サ「選択の余地なしじゃねえか」
そう呟き、サトシは目を閉じた。
それを確認したハルカは、お粥を口に含み、サトシにキスをした。
そう、ハルカがサトシに言った言葉は、「口移し」だったのだ。
ハルカが口に含んだものが、サトシへと流れ込んでいく。
サ(まぁ、たまにはこういうのもありかな)
そう思いながら、ハルカの唇が離れるのを確認すると、口の中の物を飲み込んだ。
ハ「飲み込んだ?」
サ「ああ」
ハ「じゃあもう一回」
サ「まだやるのか?」
ハ「なんだか病み付きになっちゃったかも」
サ「おいおい勘弁してくれよ」
サトシはそう言いつつも、顔はまんざらでもなさそうだった。
それから、何回口移しをしただろう。残りのお粥が全て無くなるまで、ハルカの口移しは続いた。
ハ「はい、お終い」
ハルカがそう言ってニッコリと笑った。
サ「あ〜、なんかもう変な気分」
そう言ったのも無理は無いかもしれない。
サトシは、キスなんて一回もしたことは無かった。だが今日、連続でキスをした。しかも、好きだと告白した相手だ、変な気分になるのも分かる気がする。
ハ「そんなにキスに免疫が無かったの?」
サ「当たり前だ、生まれてから今まで、キスなんてしたこと無い」
ハ「私だってしたこと無いわよ、でもなんとも無いわよ」
サ「それはお前がキスしたからだろ」
ハ「あ、そういえばそうかも」
その時、ドアが勢いよく開き、滅と絶が入ってきた。
サトシはベットから飛び起き、ハルカをかばうように立った。
サ「お前ら、何しに来た」
サトシの顔は、怒りに染まっていた。
滅「知れた事、生贄を頂きに来たのだ」
サ「やってみろよ、ハルカに指一本触れたらぶっ潰す」
絶「出来るかな、お前に」
サ「やってみないと分からな」
そこまで言った時、サトシは首筋辺りに何かが刺さるのを感じ、そのまま倒れこんだ。
ハ「サ、サトシ?」
サ「くそ、てめえら、何をした」
首筋に手を触れると、小さな針のようなものがあった。
サトシはそれを、無造作に抜き取った。
滅「ほう、即効性の痺れ薬を塗っておいたのに、まだ動けるか」
サ「俺の質問に、答えろ」
絶「フ、いいだろう、後ろを見るといい」
サ「後ろ?」
そう言って後ろを向いたサトシの見たものは、
医者もどきを取り押さえている。住民Aの姿、
サ「お前、どうして」
住A「悪いな、俺も魔界の住民なのでね」
ハ「きゃあ!」
サ「ハルカ!」
滅「では、この娘、貰い受ける」
サ「やめろ、ハルカを返せ」
そう言ってサトシは、ハルカに手を伸ばした。
ハ「サトシー」
ハルカも手を伸ばす。しかし、もう少しの所で、ハルカは姿を消した。滅と絶と共に、
サ「ハルカー!」
サトシは、何も出来なかった自分を呪った。
サ「くそ!何が、何が守ってやるだ!口ばっかりじゃねえか!」
住A「ここから見える、大きな山の頂上、そこを目指せ」
サ「え?」
住A「彼女はそこにいる、あと20時間、それまでに行けば間に合う」
サ「お前、どうして」
住A「お前が気に入った。痺れ薬はもう切れているはずだ、行け」
サ「すまない」
そう言って、サトシは走った。ハルカの待つ、山の頂上へ、

ハ「ちょっと〜、出しなさいよ〜」
ハルカは、牢屋の中で叫んだ。
見張りA「駄目だ、生贄であるお前を出すわけにはいかん」
ハ「いいから出しなさいよ〜」
ハルカは、見張りAの首を存分に絞めた。
見張りA「く、く、苦しい」
ハ「私は好きで生贄になったんじゃないのよ〜」
見張りA「い、息が、でき、ない」
ガク
見張りAは気を失った。
ハ「あら、結構あっさりしてるのね」
ハルカは、見張りAから鍵を奪い、牢屋から出た。
ハ「さ〜て、どうしよっかな〜」
その時、別の牢から声がした。
「お願いだ〜、出してくれ〜」
「何でもするから出してくれ〜」
ハ「何でも?」
その言葉に、ハルカはある事を思いついた。
ハ「じゃあ、全員出してあげるから、私の言う事ちゃんと聞いてね」
ハルカは不敵な笑みを浮かべた。

サ「ぜー、ぜー、この山、急すぎる」
おそらく全員翼があるからだろう、山はかなり急だった。
サ「でも、この先にハルカがいるんだ、頑張ろう」
そして、頂上が近づいた時、剣戟など、まるで戦でもしているような音が聞こえてきた。
サ「何かあったのか?」
そう言ってサトシは、住民Aからあの後もらった時計を見た。
サ「あと1時間、それまでにハルカを見つけないと」
その時、一人の男が、誰かに突き飛ばされたのだろう、気を失った状態でサトシの目の前に飛ばされてきた。
サ「うわ、あぶね、ん?待てよ」
そしてサトシは、ある事を思いついた。

見張りB「止まれ」
見張りC「IDカードを見せろ」
?「はい」
見張りB「前線か、頑張れよ」
見張りC「お前の使用モンスターは何体だ」
?「4対です」
見張りB「ん?1匹足りないぞ」
?「事故で危険な状態のため、人間界で治療中であります」
見張りC「それならいいだろう、通れ」
そう言うと、門が独りでに開いた。
見張りB、C「健闘を祈る」

サ(フ〜、どうやら潜入成功)
サトシは、少しがばがばだった兜を外した。
そう、さっきのなぞの男はサトシだったのだ。
サ「さて、ハルカはどこかな」
?「おいお前」
サ「はい」
?「前線だな、こっち来い」
サ「あの、自分は突然呼ばれたのでいまいち状況の把握が出来ていませんが」
?「今回の生贄である女が逃げたんだ、その上、牢屋の奴らを逃がし、城の外へ出ようとしているのでそれを阻止する」
サ「そうですか」
サ(よかった、ハルカは無事なのか)
?「だがもうあの女も終わりだな、一緒にいた男を殺しに行かせたから、首を持っていけばおとなしくなるだろう」
サ「無理だな」
?「何?」
サ「何故なら俺がその男だからだ、オオスバメ、ツバメ返し」
オ「スバー」
?「ぐあ!」
バタ
サ「悪いな、しばらくそこで寝てな」
そう言って鎧を外し、ジュプトルを出した。
ジ「ジュルル」
サ「ジュプトル、俺を乗せてハルカの所まで行ってくれ」
ジ「ジュル」
サ「オオスバメも空から場所を教えてくれ」
オ「スバー」
ジュプトルは、サトシを乗せて猛スピードで駆け出した。

ハ「次から次へとうっとおしいわね、ワカシャモ、炎の渦」
ワ「シャーモ」
ゴォォォォォォ
『わー』
ハ「しつこい人は嫌いかも、ワカシャモ、スカイアッパー」
ワ「シャモー」
ドッゴォン
ワカシャモのスカイアッパーにより、大勢の者たちが空に舞い上がり、それをサトシは目撃した。
サ「あそこだ」
ジ「ジュル」
サ「急いでくれ、ハルカが心配だ」

ワ「シャモ、シャモ」
ハ「ワカシャモ、もういいわ、戻って」
そう言ってハルカがワカシャモを戻した瞬間、大勢の兵士が飛び掛ってきた。
ハ「きゃー!」
ハ(サトシ、助けて)
サ「ジュプトル、リーフブレード、オオスバメ、ツバメ返し」
ジ「ジュル」
ドゴォ
オ「スバー」
ドガァ
ハ「え?」
ハルカに襲い掛かった兵士が、全滅していた。そして、その先に立っているのは、
ハ「サトシ?」
サ「お待たせ、ハルカ」

ハ「サトシー!」
ハルカは、目に涙をためて喜んだ。
サ「待ってろ、今そこに」
その時、ハルカの体に何かが巻きついた。
サトシは思わず足を止め、なぞの物体の先を見た。
絶「捕まえた」
サ「な、なんだ一体」
サトシがそう言ったのも無理は無い、絶の口から何かが伸びていて、ハルカに巻きついている。
サ「お前、もしかしてと思うけど、お前男だよな」
絶「?そうだが」
サ(てことは、男の口から出てるものにハルカが巻きつけられてるって事に)
ハルカも同じ事を考えていたのか、背筋がブルッと震えていた。
サ「とにかく、ハルカを離せこの変態!」
絶「な!」
サトシの言葉に、絶はカチンときた。
絶「貴様、変態とは何だ変態とは」
サ「気持ち悪いもんでハルカ捕まえてんじゃねえよ!」
その言葉に絶は、下を向き、小刻みに震え始めた。
絶「もう許さん、ぶっ殺す!」
絶が切れた。しかしその時既にサトシは、間合いの中に入っていた。
サ「このやろー!」
下から思いっきりアッパーをヒットさせた。絶は思わず口を閉じ、出ていた何かを噛み切った。
絶「ぎゃー!私の舌がー!」
サ「余計気持ち悪いわ!」
今度は顔面に、力いっぱい殴り飛ばした。
絶は気絶し、口から泡を吹いていた。
サ「ハルカ、大丈夫か?」
ハ「うん、でもこれ、気持ち悪くて触りたくないかも」
サトシは、その舌を離してやった。
ハ「うえ〜、ボトボトかも」
サ「これ使えよ」
そう言ってサトシは、タオルと上着を渡した。
サ「まずその汚い物拭いてから着とけよ」
ハ「タオルは分かるけど、上着は何で?」
ハルカがそう聞くと、サトシは顔を赤くしながら、ボトボトになった部分を指差した。
ハルカが見た。僅かだが、自分の体が透けて見える。
ハ「これがどうしたの?」
サ「どうしたのってお前、恥ずかしいだろ」
ハ「全然」
サ「お前がよくても俺が駄目なんだよ」
サ(あんな事があったから)
ハルカは、サトシの心を感じたのか、悪戯な笑顔で言った。
ハ「なぁにサトシ、あれでもうお手上げ?」
サ「俺にとっては凄く心臓に悪いよ」
ハ「もとの世界に戻ったら、続きやっちゃう?」
サ「お、お前まだやる気か!?」
ハ「どうかしらね」
ハルカの顔を見て、サトシは本気だと察した。
ハ「それより、これからどうするの?」
サ「もしかしたらここに、元の世界に戻る方法があるかもしれないけど」
サ(リスクが高い、見つかったらハルカは即生贄だろうからな)
ハ「そう思うんだったら行こうよ、探しに」
サ「でも、見つかったらお前は」
そこまで言った時、ハルカはサトシの口を塞いだ。
ハ「それ以上言わないの、私は信じてるんだからね、サトシが守ってくれるって」
その言葉に、サトシはハッとした。
サ(そうだ、俺は決めたじゃねえか、ハルカを守って、一緒に帰るって)
サ「よし、じゃあ行こう」
ハ「うん」
サ「その前に、俺の上着着てくれ」
ハ「あ、うん」

サ「これが、元の世界に戻る方法?」
ハ「どうするのこんなの」
サトシとハルカは、目の前にある大きなつぼを見て、驚きを隠せなかった。
あの後、いろんな奴に聞いていった。そして辿り着いたのがこの壷だった。
サ「でもお前よ、最後の奴にサービスしすぎ」
ハ「え?そう?」
サ「あいつ気絶してたじゃん」
ハ「私ってそんなに色気あるかなぁ」
そう言ってハルカは、ペロリと服をめくり自分の胸を見た。
サトシが慌てて目を逸らした。
それを見たハルカは、サトシに抱きついた。
ハ「大丈夫、私の体はサトシのものだから」
サ「だからそういう事を言うな!」
サトシは、顔を真っ赤にして叫んだ。
滅「随分と呑気だな、自分達の置かれてる状況が分かってないのか?」
後ろで声がして、振り返るとそこには滅がいた。
サ「よお、やっと来たか」
滅「まるで私を待っていたような言い草だな」
サ「待ってたぜ、お前くらいだろうからな、帰る方法を知っているのは」
滅「まぁ、教えてやっても構わんが条件がある」
サ「嫌だ、ハルカは渡さない」
何を言うのか分かっていたので、サトシは即答した。
滅「ならば、お前ら3人まとめてあの世に送ってやる」
サ、ハ「3人?」
同時に言った時、滅が空を切った。衝撃波が2人に襲い掛かる。
サ「危ない!」
サトシは咄嗟に、ハルカを抱きかかえて横に飛んだ。
サトシは少しかすったが、何とかかわせた。
衝撃波はそのまま置いてあった物に当たり、ヤブが姿を現した。
サ「あ、お前そんな所に」
先「ひえ〜」
ヤブは、サトシと滅の直線状にある物陰に隠れた。
滅「逃がさん!」
滅がもう一度、空を切った。
サ「くそ!」
舌打ちをした。さっきより早い、ハルカと共に避けるのは無理、そう判断したサトシは、ハルカを抱きしめ、庇うように滅との間に立った。
衝撃波が、サトシの体を存分に切り裂いた。
サ「ぐわぁぁぁ!」
叫び声を上げたが、倒れなかった。
滅「まだまだ」
滅は、サトシが倒れるまで空を切り続けた。
それに耐え切れなくなり、サトシが倒れた。
ハ「サトシ!サトシ!」
滅「無駄だ、そいつはもう立てん」
ハ「サトシ!しっかりしてよ」
滅「女、そいつを大切に思うなら、大人しく生贄になるがいい、そうすればそいつは元の世界に帰しておいてやろう」
その言葉を聞いて、ハルカは、静かに立ち上がろうとした。しかし、サトシにそれを止められた。
サ「行・・・くな・・・ハ・・・ルカ」
ハ「でも、このままじゃサトシが」
サ「お前が・・・いなく・・・なるのは・・・何より・・・嫌だ」
ハ「サトシに死んでほしくないの、だから行く」
サ「駄目だ・・・俺はもう・・・お前が・・・いないと・・・駄目なんだ」
息も絶え絶えに、サトシは続けた。
サ「頼む・・・から・・・行くな・・・俺が・・・守って・・・やるから」
そう言ってサトシは、ガクガクの足で、立ち上がった。
ハ「サトシ、無茶しないで」
サ「大切・・・だから・・・命を・・・懸けて・・・守る」
滅「ほう、まさか立つとはな、驚いた。ただの人間のどこにそんな力が」
サ「ハルカは・・・俺が・・・守る」
滅は、サトシの顔を見た。体こそズタズタだが、精神は全く折れていない。目が生きていた。
滅「どうにも弱いな」
滅は、手を下げた。滅の手の爪が、見る見るうちに縮んでいく。
サトシは、それを確認してから、ドサ、と音を立てて倒れた。
ハ「サトシ!」
ハルカが慌ててサトシを抱き起こす。
サ「大丈夫、安心しただけだ、ゴフッ」
ハ「サトシ!」
ハルカが悲痛の叫び声を上げた時、暖かな光が2人、いや、3人を包み込んだ。
滅「元の世界に戻るといい」
ハ「でも、そうするとあなたが」
滅「罰を受け、死ぬかも知れない。でも、それでいい、お前達は生きるべきだ」
サ「だ、駄目だ」
ハ「サトシ?」
サ「お前も生きろ、そんなに強いなら、閻魔に勝ってみろよ。勝って、もう一度俺達の前に現れてみろよ」
そういい終わった時、そこにはもう誰もいなかった。
滅「フ、いいだろう、この命、繋げてみせる。あいつらに会う為に」
滅は、指を鳴らしながら歩いていった。

サ「う、んん」
サトシは目を覚まし、自分の服を見た。
傷が消えている、服はボロボロだが、
サ「戻ってきたのか」
ハ「んん」
隣で、ハルカも目を覚ました。
サ「ハルカ、起きたか」
ハ「ここは、元の場所?」
サ「ああ、戻ってきたんだ」
空気の流れからして、この後は抱きしめるのだろうと想像できた。
そして、その通りに二人は抱き合おうとしたその時、
先「これだー!」
いきなりの声に、存分にビックリする2人、
サ「なんだよヤブ、ビックリするだろ」
先「私はヤブじゃない、ナモッチって名前がある」
ハ「ナモッチ、そこかで聞いたような」
サ「あ〜!あの変な名前だけど有名な小説家!」
ハ「あ〜、思い出した。名前は変だけど、書く小説は格別に面白いのよね〜」
ナ「君達の事を小説にしようと思ってるんだけど、いいかな」
サ「え?俺は別に良いけど」
ハ「私も」
ナ「じゃあちょっとそこに並んで、そう、サトシ君、ハルカちゃんの肩に手を置いてくれないか?」
サ「こうか?」
ナ「そうそう、ハイ、チーズ」
カシャ
ナ「よし、完璧だ、忘れないうちに書かなければ」
そう言ってナモッチ(変な名前)は走り去っていった。
サ「俺たちも戻ろうぜ」
ハ「うん」
2人は仲良く手を繋ぎ、歩き始めた。

 

おまけ

ハ「サトシー」
サ「うわ!」
ハルカに突き飛ばされ、サトシはベットに叩きつけられるように倒れた。
サ「何だよいきな・・・」
振り返り、叫んだサトシにハルカはキスをした。
ハ「前の続き、しよ」
サ「ば、馬鹿おめー隣にマサトもタケシも」
ハ「大丈夫、二人とも眠ってるから」
サ「けどよ、ておい待て待て、まだ心の準備が」
ハ「心の準備が整ったら続きをしてくれるの?」
サ「あ〜でもやっぱり年齢的に」
ハ「じゃあ待たない」
サ「人の話を・・・」
もう一度ハルカはキスをした。
サ「んぐ〜!んぐ〜!」
顔を真っ赤にして暴れるサトシ、それを体全体で抑えるハルカ、
サ(やばい、もう、駄目だ)
そう思い、覚悟を決めた。その時あの声がしなかったら、絶対暴走していただろう。
滅「相変わらずラブラブだな」
サ「滅!?」
本当は嬉しいと思いたかったが、何故かそういう感情が完全にはもてなかった。
サ「お前がここにいるって事は、閻魔に勝ったのか?」
滅「そのせいで、絶が死んだがな」
サ「そっか」
滅「とにかく俺は今、閻魔の地位にいることになった」
ハ「よかったわね」
ハルカは不機嫌な声で言った。
滅「ん?どうした?不機嫌そうだが」
ハ「どうしたのかしらね」
ハ(あとちょっとだったのに)
滅「???」
サ「で、今回は何のようだ?」
滅「いや、ただ近くを通ったので」
見張りA「閻魔様〜、どこですか〜」
滅「やばい、見つかる」
その様子を見て、ハルカはニヤリとした。
ハ「滅ならここにいるわよ〜」
滅「な!」
見張りA「あ、いたいた、早くお戻りください。仕事が残ってますので」
滅「あんな仕事終わるわけね〜」
見張りA「私達も手伝いますよ」
そう言って、滅と見張りAは姿を消した。
ハ「ふん、いい様だわ」
サ「ちょっと怖」
ハ「さてと、これで邪魔は消えたわね」
ハルカが、なぞのオーラを発しながらサトシに近づいていった。
サ「待て待て、なんでそんなに、てギャ〜〜〜〜!」
この後、サトシが爆発してしまったのは言うまでもない。

それから1ヶ月、
マ「ここ1ヶ月、2人ともイチャイチャしすぎだよ」
後ろで大量のハートを飛ばしてる2人を見て、マサトは不機嫌そうに言った。
タ「まあ、いいんじゃないか?ん?」
タケシの目にある小説が目に入った。
タ「これ、サトシとハルカだよな」
マ「ホントだ」
サ「どうした?タケシ」
タ「これ、お前だよな」
サ「あ、ナモッチか」
そう言ってサトシは、小説を見た。
サ「『魔界の愛の物語』?変な名前」
そう呟き、ペラペラとページをめくる内に、サトシは固まった。
ハルカも隣で同じようにしている。
タ「どうした?2人とも」
サ「な、なんでもない」
ハ「さ、さあ早くポケモンセンターに行きましょ」
サ(あの野郎、見てたのかあの時)
ハ(こんなの公開して、恥ずかしいかも)
もちろん、ナモッチの小説は有名なので、お互いの親にこの事はすぐに知れた。
マサラタウン
ハ「あらあら、サトシも大人になったのね〜」
オ「ママさん、これは10歳のサトシには早いですぞ」

トウカシティ
ミ「あら〜、ハルカってば大胆ね〜」
セ「はっはっは、本当だな」

お互いの親はこんな程度しか思ってなかったのがせめてもの救いだった。


 

魔界という設定での少し違った小説です。
またもハルカの身に迫る危機、そしてサトシがそれを守るという王道的(?)な物語です。
なんだかサトシがカッコ良く見えますね。ハルカに弱い所がまたいいですw
そしてこの後どうなっちゃったかは…(オイ
Commentator by 冬草


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