2人っきり!?

ハ「ねー、タケシー、まだー」
明らかに疲れた感じでハルカは聞いた。
タ「う〜ん、この森はあと少しだな」
マ「ねえタケシ、僕この森はって聞こえたけどもしかして」
サ「森の向こうに何かあるのか?」
タ「ああ、谷がある」
ハ「え〜、まだあるの〜」
タ「もう少し我慢してくれ、この森を抜けたらお昼にするから」
ハ「もう一歩も歩けない〜、おんぶして〜」
ハルカは駄々をこねた。その姿はまるで、玩具をねだる子供に見えた。
サ「しょうがねーなー」
そう言ってサトシは、ハルカの前に座り込んだ。
サ「ほら、乗れよ」
ハ「うん」
いきなりご機嫌の声になる。ハルカはサトシに乗っかった。
マ「お姉ちゃん最近サトシにおぶってもらってばっかだよ」
ハ「なによマサト、文句あるの」
マ「誰もそうは言ってないだろ」
ハ「じゃあいちいちケチつけない」
そう言ってハルカは、サトシに存分にもたれかかった。
ハ「あ〜、楽ちんかも〜」
その頃、サトシの心の中
サ(ハルカって、おぶるたびに思うけどやっぱり女の子だな、それにしても、毎回気になっちまうよ。胸の感触が)
タ「もうすぐ出口だ」
タケシがそう言った。
ハ「え?もう?何だか早くない?」
タ「だから言っただろ、もう少しだって」
ハ「なーんだ、こんなに近いなら自分の足で歩いた方がよかったかも」
マ「一歩も動けないって言ったくせに」
マサトがそう呟いた時、マサトは、脳天が揺れるような思いをした。ハルカがマサトの頭を叩いたのである。
ハ「あ、あ、あ」
ハルカが、バランスを取れなくなり必死になる、サトシがつられてバランスを崩しかける。
サ「と、と、とぉ」
サトシが元の体制に戻ると、ハルカが後ろから思いっきりぶつかった。
サ「うわあ」
ハ「きゃあ」
二人は、自分に思いっきり顔をぶつけた。
その上にハルカが乗っかる。
サ「ぐえ」
ハ「もう、何なのよ〜」
マ「お姉ちゃん、自業自得だよ」
ハ「マサト」
サ「あの〜、兄弟げんかの前に、どいてくれない?」
ハ「あ!ゴ、ゴメンサトシ」
ハルカは慌ててどいた。
サ「いててて」
ハ「大丈夫?サトシ」
ハルカが心配そうにサトシの顔を覗き込む。
サ「あ、ああ、大丈夫だよ」
さっきまでおぶってたせいか、妙にハルカの胸を意識してしまう。
ハ「でも、鼻が」
サ「ああ、ただぶつけただけさ」
タ「どれどれ、ちょっと見せてみろ」
そう言ってタケシは、ハルカを押しのけサトシの鼻をじろじろ見つめていた。
タ「あ〜駄目だ、完全に折れてるぞ」
サ「マジで、全然そんな感じしないぞ」
そう言った瞬間、タケシはサトシの鼻を突付いた。
サ「▼#●☠!★」
声にならない悲鳴が上がった。
タ「な、痛いだろ」
サ「な、じゃねえよ、こっちの身にもなれ!」
タ「ははは、スマンスマン」
ハ「サトシ、ゴメンね、私のせいで」
サ「いいんだよ、気にすんなって」
サ(多分変なこと考えた罰だろうから)
ハ「ん?何?」
サ「い、いや、何でも」
タ「とりあえず、森を出よう。手当てはそれからだ」
そして一行は、森の出口へ向かった。

サ「▼#●☠!★」
谷中に、サトシの声にならない悲鳴が上がった。
ハ「ちょっと、動かないでよ」
サ「んなこと言ったって、☠★!▼$」
森を抜けたサトシ達は、とりあえずタケシが料理を作り、マサトが手伝い、ハルカがサトシの手当てとなったのだが、
ハ「はい、終わり」
ハルカがサトシの肩をトンッと叩いた時、サトシの目には涙が溜まっていた。
サ「滅茶苦茶痛え」
ハ「男なら我慢しなさいよこれくらい」
サ「あのな〜、どれだけ痛いか知らないくせによく言うな〜」
ハ「あ、そういえばそうね」
サ「ガク」
タ「サトシー、ご飯出来たぞー」
サ「ああ、分かった」
そんなこんなでお昼
サ「たく、今日はやな事起こりそうだぜ」
ハ「もう起こったじゃない、これ」
サ「▼#●☠!★」
また、声にならない悲鳴が上がる。
サ「そんなにホイホイ突くな」
ハ「駄目?」
サ「駄目に決まってんだろ!どれだけ痛いと思ってるんだ!」
ハ「分かんない」
サ「ガク」
タ「まあ、今日はサトシにとって災難な日だな」
サ「あ〜痛え」
こうして、お昼終了(早!
タ「よし、じゃあ行くか」
サ「おう」
マ「あれ?お姉ちゃんは?」
タ「どこ行ったんだ?」
サ「あ!あそこ!」
サトシが指差した先に、ハルカはいた。
ハ「あ、あのポケモンかわいいかも」
サ「おいハルカ、そんなに走ると崖崩れ、ておいい!」
ハ「きゃああああ!」
サトシが忠告しようとした事が現実に起こった。
サ「くそ」
サトシは、迷わずハルカの元へ走り、飛び降りた。
タ「サトシー!」
マ「お姉ちゃーん!」
二人が叫んだが、その声も虚しく、谷の中へと二人は姿を消した。
マ「どうしようタケシ、お姉ちゃんとサトシが」
タ「とりあえず、下に行く道を探そう」
そして二人は歩き出した。
タ(サトシ、無事でいろよ)
その頃サトシとハルカは、
ハ「きゃああああ!」
サ「ハルカー!」
ハ「サトシー!」
サ「捕まれ!」
そう言ってサトシは手を出した。
ハルカがその手を掴もうとするが、もう少しの所で外れ、ハルカが落ちていく、
サ「くそ」
サトシは加速した。一直線にハルカへと向かって、
サトシの手がハルカの頭を包み込んだ。
サ(くそ、どうすればいい、どうすれば)
考えてるうちに地面が見えてきた。
サ(もう駄目だ)
サトシは出来るだけハルカを自分に引き寄せた。
ハルカだけでも、無事に降ろすために、

しかし、痛くない。それどころか柔らかい。
サ「ど、どうなったんだ?」
そう言ってサトシが起き上がろうと、地面に手をつこうとした時、
ムニュ、と柔らかい感触がした。
サ「ん?」
サトシは疑問に思い、下を見た。ハルカが小刻みに震えている。
サトシにはすぐには分からなかったが、自分の手を見た時、その原因が分かった。
自分の手が、ハルカの胸の上に乗っていた。
サ(じゃ、じゃあさっきの感触は)
そう考えた瞬間、パーンと大きな音がした。

サ「だーかーらー、事故だって言ってんだろ!」
ハ「フン、どうかしらね」
ハルカは不機嫌だった。当然である。
サ「第一、胸触りたい為に命投げ出すか普通」
ハ「助かったから触ったんじゃないの」
サ「そういう訳じゃねえってさっきから言ってるだろ!」
ハ「じゃあ一体どういう・・・」
ここで、ハルカの言葉が中断された。地面が揺れ始めたのだ。
ハ「何?地震?」
サ「だとよかったんだけどな〜」
サトシが上を見上げて言った。ハルカも上を見る。
ハルカは言葉が出なかった。普通の数倍はあるボーマンダがいた。
ハ「でかすぎかも」
サ「ていうかこの地面、ボーマンダの、背中?」
そう言った瞬間、二人は振り落とされた。
サ「うわあ」
ハ「きゃあ」
思わずハルカは、サトシにしがみついた。
サ「と、とりあえず、こんなでかいのと戦えねえよ」
そう言うと、ハルカをおぶり、猛スピードで走り出した。
ボーマンダが、怒っているのだろう。破壊光線を連射した。
サ「うおおおおおお!」
ハ「サトシ、もっと早く、追いつかれるよ」
サ「今はこれが精一杯だ」
その時サトシは、小さな横穴を見つけた。
サ「あそこだ、あそこに入ることが出来たら」
その事に気づいたのか、ボーマンダは破壊光線で、横穴の上の岩を落とした。
ハ「サトシ、急いで」
サ「おりゃあああ!」
間一髪、サトシは横穴に入る事が出来た。
サ「ぜはー、ぜはー」
ハ「あー、怖かったかも」
サトシは、ハルカを降ろして、その場に倒れこんだ。
サ「疲れた〜」
ハ「あ!」
サ「な、何だよハルカ、どうしたんだ?」
ハ「今、大変な事に気づいちゃったかも」
サ「何だよ」
ハ「私たち、2人っきりかも」
サ「あ」

サ「どうしよう、飯もねえし、出口は塞がったし」
ハ「完全に閉じ込められたかも」
サトシはなるべく、ハルカに悟られないように、ハルカから顔を背けた。
ハ「どうしたの?サトシ」
その事に気づいたのか、ハルカがサトシの顔を覗き込む。
サ(う)
サトシはつい、チラリとハルカの胸を見てしまった。
サ(駄目だ、意識しちまう)
ハ「サトシ?」
サ「駄目だ」
ハ「何が?」
サ「さっきの事で、ハルカを見ると意識しちまうんだよ」
ハ「何に?」
サ「何ってお前、その、あのー」
ハ「何よはっきり言いなさいよ」
サ「む、胸を」
そう言った後、サトシは固まった。
ハルカはサトシを見て、軽く微笑み
ハ「いいんじゃないの?」
サ「へ?」
ハ「男の子なんだし」
サ「お前、さっきと言ってる事違うぞ」
ハ「だってあれはいきなりだったから」
サ「い、いきなりじゃなかったらいいのかよ!」
ツッコミ風にサトシが言った。
ハ「うん」
少し照れながらハルカは答えた。
サ「はい?」
ハ「サトシ、ならね」
サ「どゆこと?」
ハ「こういう事」
そう言ってハルカは、サトシにキスをした。
サトシはただ、唖然とするしかなかった。
ハ「好きだよ、サトシ」
そう言ってハルカは、サトシにもたれかかった。唖然としているサトシは当然、倒れる。
ハルカは構わず、サトシの上に乗って、目を閉じた。
サ(うわわわわわ!やばいやばい、何かやばい)
サトシは、心の中で、理性を保つのが精一杯だった。
サ(あああああ!ハルカー、頼むからのいてくれーじゃないと、ああー!)
サトシが自分の理性を保とうとしてるのは、手を見て分かった。
震えて、ハルカを抱きしめる寸前の所で、震えている。
サ(あ〜、やばい、そろそろ限界だ〜)
そう思った時、ハルカはサトシの上からのいた。
サ(た、助かった〜)
サトシは心の底からそう思い、疲れ果てて、眠ってしまった。
ハ(フフ、サトシって面白いかも、もうちょっとからかってみようかな〜)
ハルカは、眠っているサトシに、悪戯な笑みを浮かべて、心の中で呟いた。

朝、かどうかは分からないが、サトシは目を覚ました。
サ(何か、乗ってる?)
サトシは、自分の上に何かが乗ってるせいで、身動きが取れなかった。
力を出せば動けるが、それをしてはいけない気がする。
サ(一体何が)
ふとサトシは、自分の上にあるものを見た。
サ(ハ、ハルカ!?)
そう、自分の上にいたのはハルカだった。
サ(なんでまたこんな事に)
するとまた、サトシはさっき?のような感じに襲われた。
サ(やばい、やばいって、またあの感じが)
サトシが心の中で戦っている時、ハルカは目を覚ました。
サ「ハルカ、おはよう」
ハ「おはようサトシ♡」
サ(う、やべぇ、余計に何かが)
そんな姿のサトシを見て、ハルカは微笑んだ。
ハ「サトシって可愛い♡」
サ「いいからどいてくれ」
ハ「えー、何でー」
サ「なんでってお前、とにかくどいてくれ」
ハ「しょうがないなー」
そう言ってハルカは、その場をのいた。
サ「フー」
と一息ついたのもつかの間、ハルカはサトシに飛びついた。
サ「おい、おまえなぁ」
ハ「やっぱりこうしてたーい」
サ「頼むからどいてくれない?」
ハ「や〜だよ〜」
ハルカは悪戯な微笑をした。
ハ「だって〜、サトシの体あったかいんだもん♡」
ハルカはそう言うと、猫のようにサトシの上でくつろぎ始めた。
サ「そうは、言っても、だなぁ」
サトシはそろそろ限界が近付いていた。
ハ「我慢してると、体に悪いぞ」
サ「けどなぁ、お前」
その時、ハルカはサトシにキスをした。

本当に、ぎりぎりだった。もう少しで理性の糸が切れていた。
サトシは、ハルカの肩を持ち座らせて自分も座った。
サ「頼むから、本当にやばいから、やめてくれ」
ハ「え〜、でもなぁ」
サ「でもなんだ?」
ハ「サトシをからかうの、面白いんだもん」
サ「もうからかうとか言う問題じゃないんだよ」
ハ「どんな風に?」
サ「なんかこう、暴走しそうなんだよ」
ハ「それはちょっと困るわね、私達そんな事になったらタケシに怒られるじゃない」
サ「なんでそこでタケシが?」
ハ「でもまぁ、ばれなきゃいいんじゃない?」
サ「それでも駄目」
ハ「なんでー、いーじゃーん」
サ「とにかく、ここから出ることを考えよう」
そんなサトシの言葉をほとんど無視して、ハルカは涙を流した。
サ「う」
ハ「サトシ、私の事嫌いなの?」
サ「そ、そんな事ないさ、好きだよ」
ハ「それって、旅の仲間として?一人の女の子として?」
サ「りょ、両方」
ハ「じゃあもうちょっとゆっくりしていこうよ」
サ「嘘泣きかよ!」
いきなり泣き止み、サトシはついつっこんだ。
やっぱりそんなサトシの言葉を無視してハルカは、
ハ「とりあえず、証拠見せてよ」
サ「証拠?」
ハ「簡単簡単、ただサトシがこうするだけ」
そう言ってハルカは、自分にある事をした。
サ「で、で、で、出来るわけねーだろ!」
ハ「何よ、サトシってこんな事も出来ないの?」
サ「当たり前だ!」
ハ「サトシって子供かも」
サ「それが出来たら大人って事かよ!」
ハ「そーゆー事」
サ(やべぇ、マジでバクバクしてきやがった)

ハ「どうしたの?やんないの?」
サ「だーかーらー、出来ねーって言ってるだろ」
ハ「またまたぁ、本当はやりたいくせに」
サ「お前、俺で楽しんでないか?」
ハ「だってーサトシ面白いんだもん」
サ「はぁ〜」
サトシは深くため息をついた。
ハルカはそのチャンス?を逃さなかった。
ハルカはすかさず、サトシの手をとった。
サ「え?」
ハ「何事もやってみないと」
とか言って、サトシの手を使い、ある事をした。
サトシの顔がこれでもかというくらい赤くなった。
ハ「どう?」
サ「どう?て言われても」
ハ「いまいちねー」
そう言った時、サトシが手を引いた。
サ「恥ずかしいとしか言えないよ」
ハ「なーんだ」
なぜかハルカは、残念そうに言った。
その時、壁が壊れ、タケシとマサトがやってきた。
タ「こんな所にいたのか」
サ「タケシにマサト、どうしてここが」
その質問に、マサトが得意げに答えた。
マ「ミズゴロウの頭のヒレを使ったんだ」
サ「なーんだ、なら納得だ」
ハ「ちぇ、もう少しだったのに」
マ「何言ってるのお姉ちゃん」
ハ「なんでもないわよ」
ハルカは不機嫌そうに答え、プイッとそっぽを向いた。
マ「お姉ちゃん、どうしたの?」
サ「さ、さぁ」
タ「とにかく、出るぞハルカ」
タケシの言葉にも耳を貸さないハルカ、そこへ
サ「行こうぜ、ハルカ」
サトシがハルカの元へ行き、そう言った後で、ある事を囁いた。
ハ「本当?」
サ「ああ、本当さ」
ハ「サトシ、大好き」
そう言ってハルカは、サトシに抱きついた。
マ「お姉ちゃんが、サトシに抱きついてる」
タ「抱きついてるな」
サ「さ、行こうぜ」
ハ「うん」
タケシ達が作った洞窟を通りながらハルカは、サトシの言葉を思い出していた。
『ハルカがいいのなら、将来、俺と結婚してくれると嬉しいな』
ハ(サトシがあんな事言うなんて、ちょっと嬉しいかも)
そして一行は、谷を抜けた。
ハ「あ〜やっと抜けれた〜」
サ「あれ?」
タ「どうした?サトシ」
サ「なーんか忘れてるような」
マ「何を?」
サ「え〜っと、あ!」
何かを思い出し、サトシの顔が真っ青になる。
タ「どうしたサトシ、大丈夫か」
サ「思い出した。この谷に普通より数倍でかい」
その時、目の前が暗くなり、あのボーマンダがそこにいた。
サ「ボーマンダがいたんだ〜〜〜〜!!」
タ「なに〜!」
マ「うわ〜!」
ハ「きゃ〜!」
ボーマンダは、破壊光線を放った。
破壊光線は目の前に落ち、爆発により全員吹き飛ばされた。

サ「う〜、いてて、みんなどこいったんだ?」
ムニュ、
サ(う、この感触は)
サトシは恐る恐る下を見た。そこには、前と同じ光景、
サ「わ〜!ハルカ待て、これは事故」
バシーン
谷の最初と最後に、ビンタを食らう羽目になったサトシ、
その後、前と同じ光景があったそうな。


 

なんだかえらいハプニングが起きてます。。。
二人だけになってしまったのを機会に、ハルカがどんどん攻めて、
晩生なサトシはただ困惑するだけですが(笑)
彼なりの気持ちもちゃんと伝えたんでしょう。
Commentator by 冬草


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