奇跡と偶然

ハルカ「あ」
気が抜けた声でハルカが突然口を開いた。

マ「何?すっごく気が抜けててやる気無いような声出さないでよ」
ぎろっとハルカを睨みながら、マサトは言った。

 
ハ「今日って、今思えばあたしの初めて旅立った日だったような」
そう言いながら、ポケットから小さな赤い玉を取り出した。 マ「何それ。また衝動買いしたつまらないおもちゃ?」
背伸びして、ハルカの手元にある赤い玉を見た。
大体2cmくらいの大きさで、日もが付いており、何かが刻まれている。

タ「何かその玉。どっかで見た事あるぞ」
タケシが腕組をしながらじっと玉を見た。

ハ「これね。私が旅立つ前日に道に落ちてたんだ。
不思議でしょ。何か文字が刻まれてるんだけど、小さくて読めないし、英語だからなぁ・・」
そう言うとハルカは、玉のひもを人差し指でぶらぶら振った。

するとタケシが
タ「思い出したぞ!おいっ!サトシ。ちょっと来いよ」

サ「何だよ。今ジム戦の練習してるから手が放せないんだ」
ピ「ピッカ〜」

タ「良いから早く来い」

サ「・・分かったよ」
不機嫌そうな顔をして、ポケモンをボールに入れると、
ピカチュウの肩に乗せてしぶしぶ歩いてきた。

タ「ほらこれ。似たのをサトシが持ってなかったか?」
ハルカの持っていた赤い玉をサトシに見せた。

サ「なんだこれ。まさかこんなものを俺に見せるだけで呼んだとか
言うんじゃないだろうな」
手を腰にあてて、サトシは小さなため息をついた。

タ「あっれ〜・・。サトシじゃなかったかなぁ?」
頭を掻きながらタケシが苦笑いした。
するとサトシが、ふと思いついたように、

サ「あ。なんかこれに似てないか??」
そう言うとサトシは、リュックのファスナーから小さな巾着を
取り出した。その中にはハルカの持っている玉とそっくりの
青い玉が入っていた。

ハ「わぁ〜。色違いなだけで全く一緒だ」
吃驚した様子でハルカが目を見開いた。

マ「サトシ〜。それどこで買った??」
サ「なんだよ。マサトも欲しいんなら俺のやろうか?」
そう言いながらサトシは、マサトの顔の前で青い玉をぶらぶら振った。

マ「そーじゃなくて。二人とも同じのを持ってるのが不思議でさぁ。ね?どこで買ったのさ!教えてよ!!」

サ「ええっと・・どっかのデパート・・確かホウエンで買ったと思うけど・・・あぁもう忘れた!!」

マ「何ムキになってるのさ」
横目でマサトがサトシをじっと見る。

マ「実はちゃんとおぼえてるんでしょ」

サ「し、しらねえよーーーーーーー!!」

マ「教えてくれるまで僕は諦めないからね〜」

20分後・・・

マ「ぜぇ・・はぁ・・。サトシの馬鹿馬鹿ーーー!!
なんで教えてくれないのさぁ!別に変な事聞いてるわけじゃないのにぃ!!」

結局、サトシは教えてくれなかったようだ。
その事をタケシに当たっている。

タ「まぁまぁ。て言うか何で俺にあたるんだ??俺なんかしたっけ?」
冷や汗を流しながらタケシは、マサトの話を静かに聞いていた。

マ「お姉ちゃんは道で拾ったとか言うし、サトシはどっかで買ったとか言うし〜・・何か偶然だ・・。もしかして二人の談は嘘だったりして・・」

腕を組みながら名探偵のように推理らしき物をぶつぶつ・・と。
タ「お。確かに嘘かもしれないな〜。もしやあの二人の仲に何か・・。にやり」

マ「えええ??!!そんな〜!お姉ちゃんがサトシと・・」
ぽこぽこタケシの頭を叩くマサトに、タケシが

タ「また八つ当たりか〜;冗談だよ!」

マ「ぶ〜!もういいや!自分で調べる!町に行ってくる!
お昼には帰ってくるよ〜!」

そう言うとマサトは、町の方へ走って行った。

マ「あ〜あ。まずはデパートだ!サトシとお姉ちゃんの持っている
全く同じの玉を絶対見つけ出してやるからな!」
やる気満々のマサトを、お付きのピカチュウがつんつんとつつく。

マ「あっ、ピカチュウ居たの?」
ピ「チャァ〜」
忘れないでよとばかりに、苦笑いするピカチュウ。
それと同時に、ピカチュウがマサトの肩に乗った。

マ「わぁ。なんか不思議な感じがするなぁ。ポケモンって暖かいなぁ〜!サトシはいつもこんな感じで歩いてるんだね」

二人ともにこっと笑う。その時、

「お〜い!そこの仲がいいコンビさん!!ちょっと見て行かないかい?」

 
そして・・・・・

 
マ「なんですか?このペンダント」
店員「ここの店、ドリーム店みたいな感じの店なんだけどさ。
なんていうか・・ホウエン地方をぐるぐる回ってる屋台みたいな店」
ピ「ぴか?」
ピカチュウが首を傾げる。

店員「この二組のペンダント、仲のいいポケモンと人間が付けるやつさ。付けてりゃもう二人の仲は凄く深まるんだぜ!どうだ?
今ならたったの1000円でどうだ??」

マ「いつもならもしかして2000円?」 店員「そうさ!君達の仲のよさを見込んで半額にしてやってるんだぜ?こんなチャンスないったら!ね?買うだろ?」

じりじり迫る店員に、
マ「い、いや。今お金持ってないんです;ごめんなさい・・」

逃げられなくなり、つい嘘をついてしまった。それと同時にそらした目線の先に、あの二人が持っていた青と赤のペンダントがあった。

マ「あーーーーー!!これ!」
ピ「ピカチュ!!」

店員「なんだ坊や。これか?これはカップル専用だぞ。買っても意味ないぜ?」
はははと笑う店員を真剣な顔でマサトが見た。

 
マ「ここここれ!ど、どんな効果があるんですか??」
震える声でマサトが尋ねてみた。

店員「これ?買ったカップルがいつまでも一緒にいられますようにってヤツ。つまり愛の証っちゅーやつだな」

マ「ぁ・・・」
ピ「ピカ・・」
二人ともあいた口が塞がらなかった。無理も無い。
今までなんの意志も見せなかったサトシとハルカがこんな秘密を
持っていたなんて。

マ「あ、あの。コトキタウンに居たとき、10歳くらいの男女が来ませんでしたか?」

店員「あぁ。珍しい子供のカップルね〜。赤い服の子とピカチュウ持った帽子の男の子が来てたなぁ・・」

マ「や、やっぱり・・;」
顔が青ざめていくマサト。

店員「あのラブラブっぷりは、他のどんなカップルにも負けやしないぞ。ははははは」
真実を何も知らない店員は、どんどん話を進めて行った・・

店員「ほら、この裏に書いてある文字、何ていうか知ってるか?」

マ「し、しりません・・・」
ピ「カァ・・チャァ」

店員「『永遠の愛』この言葉を見てあの二人は買ったんだっけ〜?」

マ「じ、じゃあ道端に落ちてたとか言うお姉ちゃんの話は・・」
ピ「ピカ・・」

マ「嘘だったんだ〜〜!!」
ピ「チャァ〜〜〜〜!!」

 
帰り道、ピカチュウを肩に乗せ、意外と軽い足取りで
戻っていく。
マ「ひゃはは!何で僕落ち込んでたんだろ!サトシを散々ひやかしちゃえばいいんだよ!おっとその前に!タケシに連絡しなきゃねぇvv」
ピ「ピカピカ〜vv」

なぜかやる気満々ならしい。

 

そして、そのことをタケシに話した後、四人で食堂へ行った。

サ「何だよマサト・・。にやにやしちゃって。
まだ朝の事気になってるのか?ぜってー教えてやんないぞ」
ピ「ピカー・・;」

その後、マサトはピカチュウにアイコンタクトを送った。
マ「もう知ってるよ。ちゃんと調べちゃったから〜vv
まさか二人がもう出来ちゃってるとはおもってなかったんだぁ〜」

サ「え」

サ「ちょっと、マサト。部屋来い」

マ「え、ええ〜?!やだやだ〜!」

サ「別に怖いことじゃねえよ?ほら」

マ「うわーん!」
強引にもマサトは、サトシに部屋に連れて行かれた。

 
サトシの部屋・・

サ「あのさ、ペンダントの事なんだけどさ・・」
マ「やっぱり〜」
マサトの予想していたとおりの話題をサトシが持ち出した。

サ「面白い仕組みがあったんだよな〜。教えてやろうと思ってさ」
マ「おしえて!」
態度が一変したマサトは、サトシの顔を真剣に見た。

サ「あの日さ、俺がハルカにアチャモのキーホルダーやって
ハルカがすっげー喜んでくれたんだよ」
少し笑いを見せながらサトシは喋り始めた。

サ「そしたら、ハルカがお礼にプレゼント買ってくる!っていってさ、なんかプレゼント交換みたいに何回もきりが無いくらい
やっちゃったんだよな;(意味不)
それで、二人が同時に買ってきたのがマサトが言ってる店の
これとは違う種類のペンダントだったんだぜ〜?」
マサトはそんなサトシを見ていて、ハルカとサトシの思いが
こみ上げて来るようだった。

サ「それで、二人でその店行って買ったのがこの玉。
・・信じられないか?」
マ「ううん。そんなこと無いよ。でも一応二人は
付き合ってたってことだね」

サ「〜!!」

マ(いつも一緒にいるのに、こんなに近くにいるのに。
僕が気づかない理由っていっぱいあるんだな〜。
ある意味二人が出会ったのも奇跡だね)

サ「俺とハルカの出会いって、一秒違えば違ってたかもな」
マ「そうだね」

次の日マサトは、ハルカのバックのなかの小さなアチャモのキーホルダーを見つけた。まさに奇跡を呼んだキーホルダーだと
マサトは心の中で呟いた。

 

おまけ

マ「お姉ちゃん!嘘つかないでよ!」

ハ「ば、ばれたかも〜;」

マ「僕はなんでも見抜いちゃうんだからな!」

ピ「ピ〜カ〜」

タ「まぁまぁ;」

サ「大体なんでマサトはこういう事知りたがるんだよ」

マ「なんでかな〜?」


 

サトシのあるプレゼントがきっかけとなり手に入れたあのペンダント。
偶然が重なり合った結果のものです。
二人の出会いも、ある意味そうだったのかもしれませんね。
Commentator by 冬草


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