記憶

いつもと変わらない旅に、突然それは起こった。
タ「よし、じゃあここらでお昼にするか」
ハ、マ「賛成」
タ「マサトとピカチュウは水を汲んできてくれ」
マ「うん、分かった」
タ「サトシとハルカは薪を取ってきてくれ」
サ「分かった」
そして二人は、森の中へと姿を消した。
サ「じゃあ俺はこっちを探すからハルカはあっちを頼む」
ハ「うん、じゃあ10分後に集合ね」
そう言って二人は、二手に別れて探す事にした。その選択が、後に最悪の結果になるとも知らずに、
サ「お、また発見。これなら二手に別れて探す必要なかったな」
そう呟き、薪を拾おうとしたその時、
ハ「きゃああああ!」
サ「ハルカ!?」
ハルカの叫び声が聞こえ、何だか強い念波を感じた。
サトシは、薪を投げ捨て、声のした方へ走った。
そこには、倒れているハルカがいた。
しかしその前に誰かがいる。
サ「お前は誰だ!ハルカに何をした」
?「なに、今に分かるさ」
サ「俺の質問に答えろよ」
サトシは、腰のモンスターボールに手を伸ばした。
?「バグル、念力」
バ「ブピ」
サ「ガハァ」
?「そう焦るなよ、僕達が戦う場所はここじゃない」
サ「じゃあ、どこだって、言うんだ」
?「僕はマイル、こいつはブーピッグのバグル、この先のオリンピアタウンという町で行われる大会に出たら戦ってあげるよ」
サ「オリンピアタウン?」
マ「そろそろ時間だ、バグル、テレポート」
バ「ブピ」
マイルとバグルがいなくなり、サトシにかけられていた念力も解けた。
サ「ハルカ!」
サトシは真っ先に、ハルカの元へ駆け寄った。
サ「大丈夫かハルカ、しっかりしろ」
ハ「ん、んん」
サ「ハルカ、気付いたか」
ハ「貴方、誰?」
サ「え?」

サ「な、何言ってんだよハルカ、俺だよ、サトシだよ」
ハ「ハルカ、それが私の名前なの?」
サ「当たり前だろ」
ハ「貴方の名前は、サトシ?」
サ「おいハルカ、ふざけてるのか?」
ハ「私は何でここにいるの?何をする為に?」
その時、サトシの脳裏にさっきの出来事が思い出された。
サ(今に分かる。そうか、アイツ、何らかの方法でハルカの記憶を無くさせたのか)
サトシは、自分の拳を握り締めた。
ハ「私、貴方の顔は知ってる」
サ「え?」
ハ「いろんな顔を知ってる。恥ずかしそうな顔、悔しそうな顔、怒った顔、そして、楽しそうに話しかけている顔、全部知ってる」
サ「どういう事だ?」
ハ「分からない、思い出そうとしたら頭が痛くなるの」
サ「そうか、じゃあ無理はするな、さあ行こうぜ」
サトシは、ハルカに手を差し伸べた。その時、ハルカの脳裏に、何かが浮かんだ。
ハ「うっ」
サ「ハルカ、大丈夫か?」
ハ「少しだけ、思い出した」
サ「何を思い出したんだ?」
ハ「貴方は、いつも私に優しくしてくれた。私がどれだけ落ち込んでいても、それを前に向けてくれた。そんな貴方を、私は」
サ「そんな俺を、何?」
ハ「駄目、ここからは思い出せない」
サ「そうか」
ハ「ゴメン」
サ「いいさ、悪いのはハルカじゃないよ」
サ(そう、全てはアイツが原因なんだ)
ハ「うっ」
サ「どうしたハルカ」
ハ「あ、頭が」
サ「しっかりしろハルカ」
ハ「うう、いやああああ!」
ハルカはその後、気を失った。
サ「くそ、どうなってんだ」
とりあえずタケシたちの所に戻ろう。考えるのはそれからだ。
サトシは、ハルカをおぶってタケシたちの所へ戻った。

みんなの元へ戻ったサトシは、ハルカの事を聞かれ、全て隠さずに話した。
タ「なるほど、で、サトシは出るのか?」
サ「ああ、アイツだけは許さねぇ」
マ「その人、何の為にそんな事したのかな?」
サ「さあな、だがこれだけは言える。アイツは、俺を本気で怒らせた」
サトシは、自分の拳を、さらに強く握り締めた。
サ「アイツだけは許さねぇ、許しちゃいけないんだ」
タ「決まりだな、それじゃあ行くか、オリンピアタウン」
サ「ああ」
サトシは、気を失っているハルカを背負い。歩き出した。
サ(絶対に俺が、記憶を取り戻してやる)
背中のハルカを見て、心の中でそう誓った。

タ「着いたぞ、ここがオリンピアタウンだ」
マ「随分近い所にあってよかったね」
サ「この町のどこかに、アイツが」
そう呟いた時、目の前に誰かがテレポートで現れた。
マ「やぁ」
サ「てめぇは」
それは、忘れもしない。ハルカの記憶を無くさせた張本人、マイルとバグルだった。
マ「ここに来たって事は、僕と戦って、その子の記憶を取り戻す為かい?」
サ「当たり前だろ、他に何の理由がある」
マ「でも残念、彼女の記憶は、ここには無い」
サ「どういう事だ」
マ「彼女本人が記憶を封印したんだよ」
サ「でたらめを言うな!」
マ「でたらめじゃない、僕は彼女にある暗示をかけただけさ。彼女はその暗示から逃れるために記憶を封印した」
サ「だったらてめえが原因じゃねえか」
マ「それは違う、彼女が記憶を封印したのは、君のせいさ」
サ「俺のせい、だと」
マ「君が彼女のある事に気付いてやれないから、彼女は記憶を封印してしまったんだよ」
サ「ど、どういう事だ」
マ「明日行われるオリンピアフェスティバル、その大会で僕に勝てたら教えてあげるよ」
そう言うと、バグルのテレポートで、その場からいなくなった。
タ「とりあえず、ポケモンセンターに行こう」
サ「ああ」
そう答えて、ハルカを背負ったまま、サトシは歩き出した。

サ「ジョーイさん、俺達のポケモン、宜しくお願いします」
ジ「はい、お預かりします」
タ「ジョーイさん、自分もお預かりしてください」
マ「はいはい、預かるのはポケモンだけだからね」
いつものようにマサトに耳を引っ張られるタケシ、
サ「あの、ジョーイさん」
ジ「はい」
サ「明日行われるオリンピアフェスティバル、出場登録はどこでしてますか?」
ジ「あなたもしかして、オリンピアフェスティバルに出るの?」
オリンピアフェスティバル、その言葉に周りの人達が反応した。
サ「え?はい」
ジ「悪い事は言わないわ、やめておきなさい」
サ「何でですか?」
ジ「あそこは、何かを懸けて戦う非公式の大会よ」
サ「でも、そこに行かないといけないんです」
ジ「それだけならまだいいけど、あそこにはポケモンを人体改造して兵器同等の力を持たせているのよ」
サ「ひでぇ」
ジ「あの大会には出ないほうがいいわ、ポケモンが大事なら」
サ「でも、そこでマイルに勝たないと、ハルカの記憶が」
ジ「マイルですって!」
ジョーイが大声を出して、周りがざわめき始めた。
A「アイツが帰ってきたのか」
B「ここはもう終わりだ」
ジ「あなた、マイルにあったって言うの?」
サ「はい、それがどうしました?」
ジ「3年前、マイルはたった一人でこの町を、半壊状態にしたの」
サ「え?」
ジ「当然みんなそれを止めようとした。だけどマイルの立った一匹のポケモンに人体改造されたポケモンすら歯が立たなかった」
サ「そのポケモン、もしかしてブーピッグですか?」
ジ「ええ、確かバグルと名付けていたわ」
サ「あのポケモンだ」
ジ「何故マイルが今頃この町に来たのかは分からないけど、マイルが出るのならなおさらよ。出ては駄目よ」
サ「スイマセン、俺、出なければいけないんです」
ジョーイは口を開いて何か言おうとしたが、サトシの顔を見て、言うのをやめた。
ジ「分かったわ、でも、私が危険と判断したら止めますから」
サ「はい、分かりました」
ジ「あそこの一番大きな建物で、選手登録をしてるはずよ」
サ「ありがとうございます」
そう言ってサトシは、ポケモンセンターを飛び出した。

サ「スイマセン、オリンピアフェスティバルの出場登録をしたいのですけれども」
受「ではここに名前と出場ポケモンを記入して下さい」
サ「はい」
そう言ってサトシは、出場ポケモンをピカチュウ、ジュプトル、オオスバメにした。
サ「これでいいんですか?」
受「はい、では、明日の午後13時、またここに来てください」
サ「分かりました」
そう答え、サトシはその建物を後にした。
サ「さて、これからどうしよう」
ハ「う、んん」
サ「あ、ハルカ、気がついたか?」
ハ「あ、サトシさん」
サ「さんは付けなくていいよ」
ハ「でも」
サ「それが普通なんだからさ」
ハ「あ、大丈夫ですから、降ろしてもらえませんか?」
サ「分かった」
その後、少し町を歩いたが、ハルカはずっと辺りをきょろきょろしていた。
ハ「周りにいっぱい何かありますね」
サ「そりゃそうさ、町だから」
ハ「町って、なんですか?」
サ「あ、そうか、記憶が無いのか」
サトシは困った。どう説明すればいいのだろうか、
ハ「あ、なんでしょうここ、可愛い物が置いてありますね」
ハルカはアクセサリーが飾ってあるショーウインドウを眺めた。
サ(やっぱり記憶を無くしても、ハルカはハルカだな)
その姿を見て、サトシはそう思い。微かに笑みを浮かべた。
サ「欲しいのか?それ」
ハ「はい、欲しいです」
サ「じゃあ、ちょっとここで待ってな」
そう言ってサトシは、店の中に入っていった。
少しして戻ってきたサトシの手には、ハルカが欲しいと言ったペンダントがあった。
サトシはハルカの首に、ペンダントをかけた。
ハ「あ、ありがとうございます」
サ「さ、戻ろうぜ」
そう言ってサトシは、ポケモンセンターへと歩き出した。
ハルカもその後をついてくる。
ハ(今の感じ、何なのかな)
そんな事を考えていると、サトシの姿を見失ってしまった。
ハ「あれ?どこに行ったの?」
「お譲ちゃん、こんな所で何してるんだい?」
ハ「え?あ、人を探してるんです」
「君一人でかい?」
ハ「は、はい」
「それじゃあ大変だね、俺達も一緒に探してあげるよ」
ハ「いいんですか?」
「いいんだよ、どうせ俺達は今暇だし」
ハ「ありがとうございます」
「でもその前に、ちょっとお茶しようよ」
ハ「でも、できるだけ早く見つけたいので」
「いいじゃないか、ちょっと位」
「嫌です」
その頃サトシは、
サ「ハルカー、どこだー」
サ(どこいったんだよハルカ)
その時、サトシの目に、無理に連れて行かれそうなハルカが入った。

サ「ハルカ!」
ハ「サトシさん」
ハルカの顔が、サトシを見つけたとたんに笑顔に変わった。
サ「お前ら、ハルカに何してんだ」
「何って、人を探してるって言うから手伝ってあげようとして、その前にお茶しようって誘っただけだよ」
サ「やけに素直に答えるなオイ」
ハ「あの、もういいです、探してたのこの人ですから」
「あ、そうなの、じゃあ君も一緒にお茶しようよ」
サ「そんな時間無い。行こうぜハルカ」
ハ「う、うん」
「ちょっと待てよ」
サ「何だよ」
「お茶くらいいいじゃねえか」
サ「駄目」
「むかつくなこいつ、行け!ザングース」
モンスターボールから出てきたのは、少し機械化したザングースだった。
サ「へえ、それが人体改造されたポケモンか」
「ふ、驚いたか」
サ「いや、ただちょっとセンスねーなーって思って」
「何だと」
サ「どうせならもうちょっとかっこよくしてやれよ。ポケモンが可哀想だぜ、そんなにダサかったら」
「ぐぐぐ、もう怒ったぞ、ザングース、ブレイククロー」
機械化した爪が、サトシに襲い掛かった。
しかしサトシは、表情一つ変えずに、その攻撃をかわした。
サ「やっぱりな」
「な、なにがだよ」
サ「機械を内蔵する事で、ザングース自体のスピードが落ちてる」
「だからっていい気になるなよ、電光石火」
サ(とはいったものの、俺今ポケモン持ってねえからなぁ)
マ「本当に、センスが無いですね、いつ見ても」
聞き覚えのある声がした途端、ザングースの動きが止まった。
マ「もうそろそろ、こんな馬鹿なもの作らないと思ったのですがねえ」
サ「マイル!お前どうしてここに」
マ「散歩をしてたら、君がいたので、後をつけさせてもらったんですよ」
「お前は、マイル、またここを破壊しに来たのか」
マ「いいえ、僕はこの町を壊すのではなく、助けるのです」
サ「え?」
マ「とにかく、このザングースを連れてさっさと消えなさい」
マイルはそういうと、バグルがチンピラめがけてザングースを吹き飛ばした。
「ぐあ!」
マ「でないと、あなたのポケモンが一匹、減る事になりますよ」
その瞬間、大きすぎる殺気を、サトシとハルカは感じ取った。
サ(なんだ、この殺気は)
ハルカは怖くなったのか、サトシにしがみついている。
チンピラは、そそくさとその場を去った。
マ「ふう、ゴメンナサイね、驚かせてしまって」
そう言ってマイルは、ハルカに手を差し出したが、その手をサトシが弾いた。
マ「まだ僕は、許されて無いようだね」
サ「当たり前だ、ハルカにこんな事をしておいて、許せると思ってるのか」
少しの間、沈黙が流れた。
マ「それもそうだね、すまない」
サ「謝らなくていい、それより聞かせてくれ」
マ「何をだい?」
サ「何故俺達が戦う場所が、この非公式な町なのか、お前は何故、この町を以前破壊したのか、そして、何故俺をここへ呼んだか、その3つを」
マ「話せば長くなるので、ポケモンセンターで話そう」

サ「ジョーイさん、ポケモンを引き取りに来ました」
ジ「はい、みんな元気いっぱいですよ」
マ「そうか、ここに預けてたのか、だからさっきポケモンを出さなかった。いや、出せなかったのか」
ジ「マイル!どうしてここに」
マ「どうも、3年ぶりですね」
ジ「何が目的でここに来たの」
マ「目的ですか、強いて言うなら、オリンピアの意思ですよ。サトシ君、先に君の部屋に行ってるよ」
そう言ってマイルは、サトシの部屋へと向かった。
サ「ジョーイさん、オリンピアってなんですか?」
ジ「この町で、神とされている者なの、オリンピアは」
サ「神の意思か」
ジ「サトシ君、彼には、あまり関わらない方がいいわ」
サ「分かってますよ。さ、行こうぜハルカ」
サトシは、ハルカと共に、マイルの待つ自室へと向かった。

サ「よく俺の部屋が分かったな」
マ「なあに、そこのピカチュウに聞いたからね」
マイルは、サトシの肩にいるピカチュウを指した。
サ「ピカチュウに聞いたって、どうやって聞くんだよ」
マ「僕は生まれつき、不思議な能力を持っていてね」
サ「不思議な能力?」
マ「ああ、ポケモンや人の気持、そして言葉が分かるんだ」
サ「何で、そんな能力が」
マ「分からない、けど一つ、言える事がある。僕はこの能力を使って、世界の生命を救いたい」
サ「だったら何で、この町を破壊したんだ?」
マ「ここまで言っても分からないか?さっきも言っただろう。オリンピアの意思だと」
サ「でも、オリンピアは架空の存在じゃないのか?」
マ「いや、オリンピアは実在する」
サ「え?」
マ「バグルが、その証人でもある」
サ「何でバグルが?」
マ「その事を話すには、まず俺の過去を話す必要もあるだろう」
一息ついてマイルは語り始めた。自分の過去について、

マ「俺は、元々は君のような冒険者だったんだ。そしてある日、この町の中でバグルと出会った」
サ「お前の最初のパートナーは、バグルじゃなかったのか」
マ「俺の最初のパートナーは、この町のポケモンに殺された」
サ「え?」
マ「酷かった。跡形も無く吹き飛ばされたよ。俺は後に、そいつの墓を作った」
サ「もしかして、町を半壊状態にしたのは、その復讐か?」
マ「いや違う、バグルが俺に教えてくれた。この町は、オリンピアの求めた町ではない、こんな苦しみに包まれた町を作り直させてくれと」
サ「だけど町は、前と変わらなかった」
マ「そう、だから俺はここに来た。君を導いて」
サ「それが分からない。何故俺がお前に導かれたのかが」
マ「君がいないと町は再生されない。オリンピアはそう考えた」
サ「だからハルカに暗示をかけ、俺をここに来るように仕向けようとした」
マ「しかし、暗示が強すぎた。彼女は暗示の恐怖から逃れるように記憶を封印した」
マイルは、サトシの隣に座っているハルカを見ながら言った。
ハ「え?それってもしかして、私のことですか?」
マ「覚えていないのも無理は無い、あれはきつすぎた。思い出したくない気持も分かる」
サ「元に戻す方法はないのか?」
マ「ある、だがそれには、まず君がこの子の気持に気付く必要がある」
サ「俺が、ハルカの気持に?」
マ「ああ、彼女が君の事をどう思ってるのか、それが記憶を戻すヒントだ」
マイルはそう言うと、バグルのテレポートでどこかへ行った。
サ「ハルカの、気持」
サトシがそう呟き、今までの事を懸命に思い出していた。
その時、ハルカが声をかけた。
ハ「あの〜、サトシさん」
サ「え?あ、何?」
ハ「私、お腹すいてしまいました」
サ「じゃあ、何か食いに行くか」
ハ「はい」
ハルカが答え笑顔になった時、サトシの中で、変な感じがした。

サ(な、何だ、この感じ)
ハ「どうしたんですか?サトシさん」
サ「あ、いや、何でもない。とりあえず、食堂に行こう」
ハ「はい」
2人は食堂で、お腹いっぱいご飯を食べた。
サ「ぷはー、もう食えねぇ」
ハ「サトシさんって沢山食べますね」
ハルカがまた笑い。サトシの中でまた変な感じがする。
サ(まただ、なんなんだこの感じ)
ハ「サトシさん?」
サ「え?何?」
ハ「さっきからどうしたんですか?」
サ「いや、大した事じゃないから気にするなよ」
サトシはそう答え、この気持の正体がなんなのか考えていた。
そしてその夜、ハルカは眠れず、部屋を出て夜空を眺めていた。
ハ(サトシさん、私の事避けてるのかな)
何故かは分からないが、その事が凄く悲しかった。
ハルカが自分の胸に手を当て、俯いた時、自分の中で声が聞こえた。
ハ(そんなの嫌、ずっとサトシと一緒にいたいの)
ハ「今の声、私?」
ハルカは、また胸に手を当て、その声に耳を傾けた。
ハ(でも、あの人の言う事が本当なら、サトシは私の事を)
ハ「私の事を、なんなんですか?」
ハルカは小声で、自分の声に問いかけた。
ハ(駄目、ここからは言えない、サトシが私の気持に気付いてくれたら、分かる事だから)
それっきり、自分の声はしなかった。
サ「ハルカ、こんな所で何やってんだ?」
いきなり声がして振り返ると、そこには眠そうなサトシがいた。
ハ「ちょっと、眠れなかったので」
サ「そっか」
そう言ってサトシは、ハルカの隣に座った。
サ「眠くなるまで一緒にいてやるよ」
ハ「でもサトシさん、凄く眠そうですけど」
サ「いいんだよ」
サトシは苦痛の顔を浮かべて続けた。
サ「俺はあの時、ハルカを助けてやれなかった」
ハ「え?」
サ「だからもう、ハルカの傍を離れない。離れちゃいけないんだ」
ハ「サトシさん」
サ「今はこの気持がなんなのかは分からない。けどこれだけは言える」
サトシは、どこか覚悟を決めた表情に変わっていた。
サ「ここから先、どんな事があっても俺は、ハルカを守る」
ドクン
サトシの言葉に、ハルカの鼓動が早くなった。途端に、頭に激痛が走った。
大声をあげているのか分からない位の激痛、そして、今まで自分が何をして、何を思い、何を感じたかが、自分の頭の中に流れてきた。

サ「お、おいハルカ、どうしたんだよおい」
サトシは大声で言ったが、ハルカの叫び声のほうが遥かに大きかった。
ハ「あああああ!」
サ「おいハルカ、どうしたんだよ」
しばらく叫んだハルカは、糸の切れた人形のように崩れ落ちそうになったが、サトシがそれを受け止める。
サ「おい、ハルカ?」
少しの間、沈黙が流れ、ハルカが口を開いた。
ハ「サトシ、今の言葉、本当?」
サ「え?ああ」
するとハルカは突然、サトシに抱きついた。
サ「お、おいハルカ」
ハ「嬉しい。その言葉を待ってたんだよ。サトシ」
サ「ハルカ、お前もしかして記憶が」
ハ「うん、ちゃんと全部思い出したよ」
その言葉を聞いて嬉しくなり、サトシもハルカを抱きしめる。
ハ「ゴメンね、心配かけて」
サ「気にすんなよ、元々俺が悪いんだし」
ハ「違うよ、私の心が弱かったんだよ。私が最後までサトシを信じていられなかったから」
サ「それって、どういう事?」
ハ「それは」
マ「僕が説明しよう」
いきなり声がした。2人は驚いて離れ、声がした方を向いた。
サ「マイル、お前なんでここに」
マ「バグルが教えてくれたんだ。その子の記憶が戻ったとね」
サ「で、どういう意味なんだ?ハルカが俺を信じ切れなかったと言ってるが」
マ「まずは君達の部屋へ行こう。バグル、テレポート」
バ「ブピ」
そして3人と1匹は、テレポ−トにより、サトシとハルカの部屋まで移動した。
マ「ここなら邪魔も入らないだろう」
そういってマイルは、ハルカに暗示をかけた時の話をした。

マ「僕はあの時、オリンピアの導きであそこに行った」
サ「バグルが俺達の元へ連れていったって事か?」
マ「その通り、そして君を見つけた時、君はポケモンバトルをしていた」
サ「そういえばしてたな」
あれは、道行く人がピカチュウを見て、よく育てられていると言われて、是非手合わせ願いたいとか言われてバトルをした。
マ「相手は決して弱くなかった。そうだな、僕達が出る大会で、僕等がいなかったら優勝できるかも知れないくらいだ」
サ「確かに、あの人強かったな」
マ「けど君は、そんな彼を難なく倒した。その光景を見ていたオリンピアが君をこの町に連れてくるようにバグルに命じ、それを僕に伝えた」
サ「そしてハルカに暗示をかけた」
マ「そうだ、僕は彼女が君に特別な感情を抱いている事を知り、利用しようとした。しかし、前にも言ったが、暗示が強すぎた」
サ「そしてハルカは、記憶を自分の中に閉じ込めた」
マ「その通り」
サ「でも、どんな暗示をかけたんだ?」
サトシがそう言うと、マイルはハルカを見て聞いた。
マ「僕が話してもいいのかい?こういうのは自分で伝えるものだと思うが」
この質問に、ハルカは悩んだ。確かに、自分で伝えるものだ。しかし、こんな形で伝えるものだろうか。
ハ(こんな形で自分の気持を伝えるなんて嫌)
これが、ハルカの中で出た答えだった。
ハ「サトシ、ちょっと来て」
サ「お、おいどうしたんだよハルカ」
ハ「マイルさん、少しの間、待っていてもらえませんか?」
マ「ああ、構わないよ」
そういった直後、マイルはハルカの心を読んだ。
マ「なるほど、こんな形で自分の気持は伝えたくない、か」
しかし、そう呟いた時にはもう、2人の姿は無かった。
サ「おいハルカ、そんなに引っ張るなよ」
ハルカは、暗くなり誰もいない食堂へ、サトシを連れてきた。
サ「何でこんな所に?」
ハ「どこでもよかったの、ただ邪魔が入って欲しくないから」
サ「邪魔って、何の?」
サトシがそう聞いた時、ハルカの唇が、自分の唇に触れた。
驚いたサトシだったが、それを受け入れたのか、目を閉じ、ハルカを抱きしめた。
2人の唇が離れた時、サトシはまた、あの感覚に襲われた。
サ(この感じ、今なら分かる気がする)
ハ「ねえサトシ」
サ「ん、何だ?」
ハ「サトシは私の事、どう思ってる?」
サ「へ?」
流石にいきなり言われると、少し戸惑う。
ハ「私の事が好きなら」
サ「好きなら?」
ハ「もう一回、キスして」
そう言ってハルカは、静かに目を閉じた。
サ「その前に、ハルカは俺の事どう思ってるんだ?」
ハ「さっきのキスが、私の気持」
サ「じゃあこれが、俺の気持だ」
そう言ってサトシは、ハルカにキスをした。
ハ「ありがとうサトシ」
サ「さ、戻ろう」
ハ「うん」
二人は肩を寄せ合い、食堂を出た。

マ「やあ、早かったね」
サ「お前は何をやってるんだ?」
サトシがそう言ったのも無理は無い。マイルは、サトシとハルカのモンスターボールに手を当てていた。
マ「なに、暇なのでポケモンの気持を探ってただけさ。君達は本当に自分のポケモン達に信頼されてるねえ」
サ「そうなのか?」
マ「ああ、ポケモン達は本当に信頼し、頼りにしている。まあ最も、君達に嫉妬している者もいるがね」
サ「嫉妬、ねえ」
サトシの頭の中には、ベイリーフが浮かんだ。
サ(あいつ、今ここにいたら絶対嫉妬するだろうな)
その心を、マイルは読み取った。
マ「へえ、君のポケモンにはベイリーフがいるんだ。しかもその子は君が好きで、とても嫉妬深い」
サ「なあマイル、いい加減心読むのやめてくんねぇか?」
マ「スマンな、癖なのですぐには無理だ」
サ「それより、ハルカにどんな暗示をかけたんだ?」
マ「率直にいうと、君が嫌いになるように、だな」
サ「なんでまたそんな暗示を」
マ「仲間思いの君の事だ、この子がこの町に入ったら、君は一緒に入ってくると思ったからね」
サ「でも何でそれで記憶を封印するんだ?」
ハ「私の頭の中に、サトシが私を嫌う姿が見えたの、最初は信じてた。サトシは私を嫌ったりしないって、でもその内、信じ切れなくなって、嫌な気持から逃れるために、自分で記憶を閉じ込めたんだと思う」
サ「馬鹿だなぁハルカ、俺がお前を嫌いになると思ったのか?」
ハ「だって、だって本物そッっくりで、私」
ハルカは、サトシの服に顔を埋めて泣いていた。
サ「そっか、でももう大丈夫だろ。俺の本当の気持を知ってるんだから」
ハ「うん」
マ「謝って済むとは思ってないが、本当にすまなかった」
マイルは、ハルカに深々と頭を下げた。
サ「もういいよ、済んだ事はさ」
マ「しかし、僕は彼女の気持を知って尚、こんな事を」
サ「いいから頭上げろよ。これからどうするか教えろよ」
マ「これから?」
マイルは聞きなおした。
サ「ああそうさ、これから俺達は何をすればいいか、教えてくれないと動きようがねえからな」
マ「サトシ、もしかして君は」
サ「ああ、手伝ってやろうじゃねえか、この町の再生に」

『さあ、遂に始まりましたオリンピアフェスティバル!今回も沢山のつわものが揃っている事でしょう』
マ「お姉ちゃん、本当に記憶戻ったのかな」
タ「サトシが言うんだから戻ったんだろう」
『さて、今回は飛び入り参加もいるとの噂、一体どんなバトルを繰り広げるか見ものですね』
その頃控え室では、
「へ、飛び入り参加か、当たった奴はさぞラッキーだな」
「ああ、なんたってあんな奴なんだからな」
話し合っている2人が向いた先には、仲良く喋るサトシとハルカの姿があった。
ハ「ねえサトシ、サトシと当たったらラッキーとか言ってるよ」
サ「ほっとけよ、よく言うだろ、弱い犬ほどよく吼えるって」
『さあ、そろそろ1試合目の選手を発表します。マサラタウンの聡選手と、前回準優勝者のロベルト選手です』
サ「早速俺か、それじゃあ行こうぜハルカ」
ハ「うん」
「あ〜あ、可哀想に、あのガキ、絶対泣くぜ」
「だな、なんたって前回準優勝者なんだからな」
そう言って、全員がモニターをニヤニヤしながら見ていた。
サトシの無様な姿をあざ笑うためだったのだが、逆に前回準優勝者の無様な姿を見る羽目になった。
『な、なんと、前回準優勝のロベルト選手、手も足も出ない』
ロ「くそ、破壊光線」
サ「電光石火からリーフブレード」
ジ「ジュル!」
ズバァ!
『きまったぁ、この一撃は大きい、ボスコドラ、立ち上がれるか』
バタッ
審「ボスコドラ、戦闘不能、よって勝者、マサラタウンのサトシ」
サ「よし、いいぞジュプトル」
ジ「ジュルル」
ロ「何故だ、何故こいつを相手に勝つ事が出来た」
サ「あんたら全員、気付いてないだけさ」
ロ「何を気付いてないというんだ」
サ「ポケモンの気持だよ」
ロ「ポケモンの、気持?」
サ「そう、あんたらは強い力を求めたせいで、ポケモンの気持を無視した。そんなんじゃ、俺やマイルには勝てないよ」
ロ「じゃあ、こいつを元に戻して、頑張れば俺でもマイルに勝てるのか?」
サ「もちろん、ポケモンの気持を考えて頑張れば、ポケモンはそれにきっと応えてくれるよ」
サトシはそう言うと、静かにその場を後にした。
控え室への通路には、マイルとバグルがいた。
サ「あれで、よかったんだろ」
マ「ああ」
サ「次はお前だ、頑張れよ」
マ「頑張るまでも無い、ここの連中じゃ、俺には勝てない」
マイルは、圧倒的な力で相手をなぎ倒した。
そして、倒した相手にサトシと同じような事を呟き、その場を去っていった。
そんな勢いで、誰も2人を止められずに、遂にサトシとマイルの決勝戦が始まった。
マ「ここまで手伝ってくれたのは礼を言うよ。だが試合となれば話は別だ」
マイルから、とてつもない闘気を感じた。ハルカが耐えられなくなり、サトシの後ろに隠れる。
サ「大丈夫だハルカ、言っただろう、どんな事があってもハルカを守るって」
ハ「サトシ」
サ「だから、怖がらなくていい。ハルカは、笑顔で俺を見守ってて欲しいんだ」
サトシが振り向きざま、笑みを浮かべた。
ハ「うん分かった」
ハルカの顔が笑顔に変わり、後ろのベンチに座った。
サ「マイル、俺はあの時から、お前と戦いたいと、心のどこかで思っていた」
サトシからも、とてつもないくらいの闘気を感じる。
サ「その願いが今、叶うんだ。手加減したら承知しねえぞ」
マ「なら、お互い悔いの無いバトルをしよう」
審「バトル開始!」
今、サトシとマイルの戦いの火蓋が切って落とされた。

マ「バクーダ、レディーゴー」
バ「バクー」
サ「バクーダか、それなら、いけ、オオスバメ」
オ「スバー」
マ「バクーダ、岩石封じ」
バ「バクー」
サ「オオスバメ、急上昇してかわせ」
オ「スバー」
オオスバメは間一髪、岩石封じをかわした。
サ「よし、そこから一気に急降下」
ス「スバー」
マ「バクーダ、噴火」
バ「バクー」
サ「今だ、ツバメ返し」
ス「スバ」
バ「バク?」
マ「どこだ」
オオスバメが姿を消した事で、一瞬隙が出来た。
そこを逃さずオオスバメはツバメ返しをヒットさせた。
バ「バクー」
マ「バクーダ!大丈夫か?」
バ「バ、バクー」
弱弱しい声を出して、立ち上がろうとしたが、急所に当たったのだろう。立ち上がれずに倒れた。
マ「バクーダ!」
審「バクーダ戦闘不能、オオスバメの勝ち」
サ「よし、いいぞ、オオスバメ」
オ「スバー」
マ「戻れ、バクーダ」
マイルは、悔しそうと言うよりは、どこか楽しそうだった。
マ「やっぱり、君を連れてきて正解だ」
サ「え?」
マ「こんなに楽しいのは久しぶりだ」
サ「俺も、こんなに楽しいバトルは久しぶりです」
マ「じゃあ俺の二番手は、ライチュウ、レディーゴー」
ラ「ラーイ」
サ「なるほど、そう来たか」
マ「ライチュウ、電光石火」
サ「何!?」
ラ「ラーイ」
ライチュウは、目にも止まらぬスピードで、オオスバメの目の前まで飛んでいった。
マ「雷だ!」
ラ「ラーイチュー」
オ「スバー」
サ「オオスバメ!」
マ「どうだ、効果は抜群だ。これなら流石のオオスバメも」
サ「なーんてな」
サトシがニヤリと笑った瞬間、オオスバメが雷から逃れた。
マ「何だと!?」
サ「俺のオオスバメは根性あるぜ、オオスバメ、電光石火」
オ「スバ」
ラ「ラーイ」
マ「負けるなライチュウ、最大パワーで雷だ!」
ラ「ラーイチュー」
オ「スバー」
サ「オオスバメ!」
オ「ス、バ」
ラ「ラ、イ」
バタ
審「両者、戦闘不能」
サ「サンキューオオスバメ、ゆっくり休んでくれ」
マ「ライチュウ、よく頑張った」
サ「やるな、お前のライチュウ」
マ「君のオオスバメもね。これで君は2匹、僕は1匹というわけだ」
サ「俺は、ジュプトルは使わない」
マ「!どういう事だ?」
サ「昨日のバトルのダメージが、完治してなくて、ここにいるにはいるんだが、今はまだ戦えないんだ」
マ「そうか、ならばお互い、最後のポケモンになるな」
サ「ああ、泣いても笑ってもこれが最後さ」
マ「最後はお前だ、バグル」
バ「ブピ」
サ「やっぱりバグルか、ピカチュウ、頼む」
ピ「ピカ」
お互いのポケモンが、フィールドの中央へ向かって歩き始めた。

2匹は、バトルフィールドの中央で、握手をした。
気がつくと、サトシとマイルもそこにいて、笑顔で言った。
サ「お互い、恨みっこなしな」
マ「ああ、本気で行くが、大丈夫、殺そうなんて考えないよ」
サ「当たり前だ」
そして二人と2匹は、バトルフィールドで向き合った。
サ「ピカチュウ、電光石火」
ピ「ピカ」
マ「バグル、念力」
バ「ブピ」
バグルの手から、見えない力がピカチュウめがけて突っ込んできた。
サ「ピカチュウ、右だ」
ピ「ピカ」
マ「何!?」
サ「次は左、次は上だ」
サトシは、ピカチュウに的確な指示を与える。
サ「今だ、突っ込め」
ピ「ピカ」
バ「ブピー」
マ「バグル!」
バグルの元へ駆け寄るマイル、しかしバグルは、まだ戦えるようだ。
その時、バグルの声が流れてきた。
バ(俺にも、あの者のように指示を送ってくれ、どこに攻撃すればいいか、分かるだろう)
マ「ああ、分かった」
サ「ピカチュウ、10万ボルト!」
ピ「ピカーチュー」
マ「バグル、右にかわせ」
バ「ブピ」
バグルは静かに、しかしすばやくかわした。
サ「いい動きになったな」
マ「感謝するよ。君達のおかげで、また僕は強くなれた」
サ「だからって手加減するなよ」
マ「当たり前さ」
その後、約20分間、2人と2匹は戦い続けた。
バ「ブピ、ブピ」
ピ「ピカ、ピカ」
サ(ピカチュウはもう限界だ)
マ(バグルはもう戦える体じゃない)
2人は、お互いの顔を見た。どうやらお互い、同じ事を考えている。
サ、マ「審判」
審「はい、なんでしょう」
サ、マ「俺達、棄権します」
『な、なんと、信じられない。お互いが同時に棄権した!』
審「それなら引き分けになるが、それでいいかね?」
サ、マ「はい」
審「分かった、両者棄権のため、この勝負引き分け!」

サ「また、どこかで会えるといいな」
マ「オリンピアの意思次第だな」
サ「またオリンピアに、導かれて行くのか?」
マ「ああ、俺はオリンピアの望む世界を作るのが夢だからな」
サ「今度あったら、またバトルしような」
マ「ああ、望むところだ」
サ「じゃあ、元気でな」
マ「君達にオリンピアのご加護があらん事を」
そう言ってマイルは、旅立っていった。
ハ「また、会えるといいわね」
サ「ああ」
マ「また一人、サトシのライバルが増えたね」
タ「次に会う時は、また強くなってるんだろうな」
サ「なーに、俺だって負けちゃいねえぜ」
こうしてサトシ達一行は旅立った。しかし、この時には、マイルとホウエンリーグで再開するなんて、思ってもいなかった。


 

ある少年?、マイルとの出会いと、その彼がメインの物語です。
サトシの力を借りようとハルカを利用するが、逆にそのことがきっかけで二人はより強い絆で結ばれる。
また、マイルの真の意図を知り、彼に協力する二人。
いずれ再会することにもなる彼は、二人にとっても運命的な人となったんですね。
Commentator by 冬草


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