タイムスリップ

ホウエンリーグ出場のため、ホウエン地方にやってきた少年サトシ。オダマキ博士の研究所があるミシロタウンへ向かっていた。
サ「ピカチュウ、ちょっと休憩しようぜ。」
ピ「ピカ。」
近くの公園のベンチに腰掛けた2人。ふと下を見ると、黒い石が落ちていた。それを拾うサトシ。
サ「なんだ?変な石だな・・・。」
サトシがその石を覗いた瞬間、ピカチュウを残して石とともにその場から消えてしまった・・・。
ピ「ピカ!?」

サ「ここはどこだ・・・?ピカチュウは?何が起こったのか全然わからない・・・。」
サトシの目に映ったのは、さっきまでいた公園とは別の場所だった。そこには多くの家が並んでいて、着物を着ている人や、刀を身につけているちょんまげ頭の人などがたくさんいる。
サ「どこだここは・・・時代劇の収録か?」
何がなんだかわからないサトシに、声をかける一人の少女。
ハ「あの、どうかしましたか?」
サ「え?・・・あの、その、えっと・・・ここはいったいどこですか?」
ハ「ここですか?ここは江戸城の城下町です。」
サ「・・・え、江戸城!?」
ハ「はい。私はこの町に住むハルカというものです。あなたはどこから来たのですか?名前はなんというのですか?」
サ「・・・マサラタウンから来ました。サトシといいます。」
ハ「マサラタウン?聞いたことないな・・・。」
サ「・・・あの、時代劇の収録ですか?」
ハ「時代劇?・・・あの、さっきから変な質問ばかりしてますけど、どうかなさったのですか?」
サ「・・・いや、なんでもないです・・・。」
ハ「もしよければ、うちへ来ませんか?」
サ「え?・・・あ、はい。」
ハ「じゃあ私についてきてください。」

謎の少女、ハルカについていくサトシ。
ハ「ここが私の家です。中へどうぞ。」
サ「おじゃまします。」
古びた畳に腰をかけたサトシ。
ハ「家は貧しいので何も出すものがなくて・・・すみません。」
サ「別に平気です。」
サトシはずっと考え事をしていた。そしていきなり大声で叫んだ。
サ「・・・タイムスリップだ!きっとそうだ!」
ハ「???・・・あの、どうかしましたか?」
サ「信じてもらえないかもしれないですが・・・俺、きっと未来からタイムスリップして来たのかもしれません。」
ハ「未来?」
サ「はい・・・ってことは、俺はこれからどうすればいいんだ!?元の世界には帰れないのか!?」
ハ「・・・あの、もしよければ、元の世界に帰れるようになるまで家にいてもいいですよ。」
サ「え?本当ですか?」
ハ「私も一人じゃ寂しいので・・・一緒にいてくれませんか?」
サ「え・・・はい。じゃあお言葉に甘えて・・・。」
サトシは顔を赤めて黙り込んでしまった。
ハ「サトシさん、どうかしましたか?」
サ「いや、なんでもないです・・・それと、なまえは呼び捨てでいいです。敬語も使わなくていいです。」
ハ「それじゃあ私も呼び捨てで・・・。」
サ「・・・ハルカ、これからよろしくな!」
ハ「うん♪」

サトシは、元の世界に帰れるまで、ハルカの家で暮らすことになった。
サ「そういえば、ハルカ、ずっと一人で暮らしていたのか?」
ハ「・・・うん。私がまだ幼いころ、両親が家出しちゃったの・・・。」
サ「・・・。」
長い沈黙が続いた。
サ「ごめん・・・変なこと聞いちゃって・・・。」
サトシが一言いうと、ハルカが急に泣き出して、サトシに抱きついた。
ハ「いいの・・・サトシのせいじゃない・・・でも、もう一人はいや!」
サ「・・・ハルカ。」
ハ「サトシ・・・もとの世界に帰るまで、私の側にいてね・・・。」
サ「ああ。もちろんさ。」
ハルカはその言葉を聞くと、安心したためか、急に立ち上がった。
ハ「そろそろ日が暮れるね、夕食にしましょう?」
サ「え?・・・ああ。」
ハ「(・・・私・・・サトシのことが好きになっちゃったみたい・・・。)」
サ「そういえば、夕食って何?」
ハ「今日は特別に、腕をふるってごちそうを作るわよ!」
サ「ラッキー!!!俺も何か手伝おうか?」
ハ「いいの、私一人でやる!」
サ「そうか、期待してるぜ!」
ハ「うん♪(がんばらなくっちゃ!!!)」

ハルカの料理でお腹いっぱいになった二人。
ハ「それじゃあ寝ようか。」
サ「ああ。」
寝室に来てハルカが言った。
ハ「あ!・・・布団一つしか無いや・・・。」
サ「え!?・・・あ、別にいいよ、俺、畳で寝るから・・・。」
ハ「いいよ、サトシが布団使って。」
サ「いいって!」
ハ「・・・じゃあさ、いっしょに寝よう?」
サ「!!!」
ハ「・・・ごめん、いやだよね?」
サ「いや、かまわないけど・・・。」
ハ「ありがとう♪」

サ「・・・ん・・・。」
朝が来た。目覚めたサトシはそっと今までのことを振り返った。
サ「そうか、俺は確かタイムスリップして・・・。」
ふとサトシが横を見ると、ハルカが小さく寝息を立てていた。しかもハルカはサトシの手をがっちしと握っていて、ハルカの顔はサトシの顔とぴったりくっついていたのだ。
サ「わ!!!」
サトシはあまりに驚いて、大声をあげた。ハルカはその声に驚いたのか、がばっと上半身を上げた。
ハ「ど、どうかしたの!?」
サ「え?・・・あ、いや、ハルカの顔と俺の顔がくっついていたから、ちょっとびっくりして・・・。」
ハ「え、ああ・・・実はなかなか眠りにつけなくて、胸がどきどきして・・・サトシの手を握ったらなんか安心したから・・・ごめんね。」
サ「え?・・・いや、別に・・・。」
ハ「それじゃあ改めて・・・おはようサトシ!」
サ「おはよう。」
二人が寝床から出たその時、外が騒がしいことに気が付いた。
サ「なんだろ・・・ちょっと見に行こうぜ?」
ハ「うん・・・。」
外に出てみると、農民たちが集まってざわざわと騒いでいた。
サ「あの、どうかしたんですか?」
民「おめえさん見なれない顔だね?変なかっこうして、どこからきたんだい?」
サ「え?・・・えっと、一応・・・未来から・・・。」
民「おめえさん面白いこというねえ、未来からきたなんて冗談通じないよ!」
サ「いや・・・本当なんだけど・・・。」
ハ「あの、本当に何があったんですか?」
民「ハルカちゃんじゃないか、大阪で戦が起こるんだとよ!」
ハ「え!?本当ですか?」
民「ああ。豊臣の殿様と徳川の殿様が対立したんだとよ!」
ハ「え!?・・・そんな・・・。」
サ「???」
ハ「サトシ、私たちは江戸城の城下町に住んでるから、徳川の兵のために、武器やご飯を作ったりしなくっちゃいけないの。だからこれから江戸城に行かなくっちゃいけないの・・・。」
サ「・・・。」
ハ「サトシは家にいるといいわ、あまり巻き込むわけに行かないし・・・。」
サ「何いってるんだ、俺も行くよ、ハルカが心配だし。」
ハ「サトシ、ありがとう!」

サ「ここが江戸城の入り口・・・。」
サトシとハルカと農民たちは江戸城へ到着した。
サ「ハルカ、元気ないぞ、どうかしたのか?」
ハ「実は・・・私のパパが豊臣がたの武士なの・・・。」
サ「え・・・ハルカのパパさんて、ハルカが小さいころからいないんじゃ・・・。」
ハ「実は、パパは私が生まれる前には徳川がたの武士だったの。だけど、たまたまある戦で失敗しただけで、徳川がたに財産をとられて・・・くびにされて・・・貧乏な生活をしていた・・・。でもある日ね、豊臣秀吉って人に十年ぐらいは遊んで暮らしていけるほどのお金を恵んでもらったの。パパは豊臣氏に恩返しをするために、豊臣がたの大阪城にママを連れて、お金と私を残していってしまったの。」
サ「そんなことがあったのか・・・。」
そんなことを話しているうちに、城の中から兵士が出てきた。
兵「よく来た。十五歳以上の男子はここで待っていろ。十四歳以下の男子と女子は私についてこい!」
兵士に誘導されるサトシ達。すると、大きなホールのような場所に連れてこられた。
兵「おまえたちはここで武器を作ってもらう。徳川の勝利のために頑張ってくれ。」
そういい残すと、兵士は姿を消した。すれ違いで、大量の部品を持った侍が十人ほど入ってきた。
侍「この部品を使って武器を作るのだ!」
全員嫌ながらも生返事をする。侍たちは武品をおいて去っていった。
民「仕方ない、作るべ!」
ハ「サトシ、一緒に作ろう?」
サ「ああ。でもどうやって作るんだ?」
ハ「大体は知ってるから、任せて!」
武器を作り終わった一同。村に帰ってきたが、いきなり嫌な知らせを聞いた。
民「大変だ!徳川軍が出陣したぞ!」
ハ「とうとう来たのね・・・サトシ・・・大丈夫だよね・・・パパ・・・無事だよね・・・。」
サ「ああ、きっと平気さ!」
サトシはやさしくハルカを抱きしめて、震えるハルカの頭をなでて落ち着かせた。
ハ「(サトシ・・・。)」

サトシはやさしくハルカを抱きしめ、とんでもないことを言った。
サ「ハルカ、俺たちも大阪へ行こう!」
ハ「え!?」
サ「・・・。」
ハルカの顔をジーっとみつめるサトシ。
ハ「・・・でも・・・いきなりそんなこと・・・。」
サ「ここでじっとしていても意味がないよ!」
ハ「でも・・・どうやって?」
民「おまえさんたち、もしよければ家の馬を貸してやろうか?」
サ「本当ですか!?」
民「ああ。おまえさんたちの勇気と愛があれば、きっとハルカちゃんのパパを助けることができるよ。」
サ「勇気と・・・愛?」
ハ「・・・。」
民「さあ、行くんだ!」
サ「はい!ありがとうございます!」
サトシは馬に乗った。乗馬経験のあるサトシはすぐになれることができた。
サ「ハルカも乗れよ。」
ハ「で、でも・・・私、馬に乗ったことないの・・・。」
サ「大丈夫だよ、しっかりとつかまっていれば。」
ハ「う、うん。」
サトシの手につかまり、ゆっくりと馬に乗るハルカ。
ハ「(・・・サトシの手・・・あたたかい・・・。)」
サ「しっかりつかまってろよ!」
ハ「う、うん!」
サトシの合図とともに馬は全速力で走り始めた。
民「たまげたよ・・・あの坊主、いきなり現れてすごいことを言い出して・・・なんなのかね。」
ハ「怖いよサトシ!!!」
サ「安心しろ、しっかりと俺の背中につかまっていれば怖くない!!!」
ハ「うん。」
大阪へ向かうサトシ達。ハルカには、サトシの背中がとってもまぶしく感じた。果たして、この戦はどうなってしまうか・・・。
ハ「(サトシ・・・未来から来た謎の少年・・・私の初恋の相手・・・ずっと・・・ずっといっしょにいたい。)」

こっそりと、大阪へ向かう徳川軍に着いていこうと考えたサトシ。
サ「ハルカ、大阪ってとこまではどのくらいなんだ?」
ハ「え?・・・すごく遠いよ。」
サ「・・・ちょっと待てよ、ハルカのパパさんを助けるのに、徳川軍に着いていくんじゃ徳川軍より早く大阪につけないぜ。」
ハ「あ・・・。」
サ「徳川軍より早く大阪に着かなくっちゃ意味ないよ!」
ハ「でも、大阪までの道はわからないよ・・・。」
数時間たつと、すっかり日が暮れ、ある洞窟で野宿することにした。
サ「仕方がない、こうなったら大阪までの道を人に聞いていくしかないぜ。」
ハ「うん。」
サ「それにしても腹減ったな・・・何か食べ物探してくるよ。」
ハ「私も行く!」
サ「危険だからここにいろよ、迷子になったりしたら大変だし。」
ハ「私、サトシと一緒にいたいの、お願い!」
サ「え、ああ・・・。」
サトシは顔を赤くして、ハルカとともに洞窟を出た。少し歩くとそこには小さな林があり、木の実がたくさんなっていた。」
サ「ポケモン図鑑に木の実の種類とかのってるかな?」
サトシがポケモン図鑑を開くと、ハルカはそれを不思議そうに見つめた。ポケモン図鑑が木の実の説明をすると、ハルカが驚いて腰を抜かした。
ハ「サトシ!?・・・い、今、その四角い箱がしゃべらなかった?」
サ「え?ああ。ポケモン図鑑の事か。この時代にはまだこんなものなかったのか。」
ハ「サトシの時代すごいね、こんな不思議な物があるんだ。」
サ「ああ。もっとたくさん便利なものがあるんだぜ。」
ハ「ふ〜ん。ちょっぴりうらやましいかも・・・。」
すると突然サトシの前を黒い影が通り去った。
ハ「キャ!」
ハルカはそれに驚き、サトシに抱きついた。
サ「ハルカ、平気だよ、ただのこうもりだ。」
ハ「はぁ・・・びっくりした。」
サ「ハルカ・・・悪いけどちょっと離れてくれないか?」
ハ「え?・・・あ、ごめん。」
二人は顔を赤らめて林の奥に入っていった。
ハ「ねえサトシ・・・迷子になったら嫌だから、サトシの腕につかまっててもいい?」
サ「あ、ああ。別に・・・。」
ハ「(サトシといると心が落ち着く・・・なんだかずっとこのままでいたいな。)」
サ「お!木の実があったぜ!」
ハ「え!?本当だ、結構なってるかも!」
サ「これはモモンの実だ。甘くてうまいんだぜ!」
ハ「サトシっていろんな事を知ってるね。」
サ「え?ああ。今まで旅してていろんな物を見てきたから。」
モモンの実をリュックに詰めるサトシ。
ハ「あ!あそこに別に木の実があるよ!」
サ「あれは・・・マトマの実だな。」
ハ「なんだかおいしそう!あれももって帰ろうよ!」
サ「あれはすごい辛いから食べるのはやめといた方がいいよ。」
ハ「そうなの?じゃあ一口食べてみよう!」
サ「おい、やめとけよ!」
サトシの言うことを無視してマトマの実を一気に口に放り込んだハルカ。
サ「うわ!派手にいったな。どうなってもしらないぜ・・・。」
ハ「!!!」
ハルカは残りわずかの水を飲みほした後、サトシに抱きついて泣きながらいった。
ハ「サトシ・・・水・・・。」
サ「はぁ〜。だからやめろっていったのに・・・。」
ハ「辛いよ〜!!!水!!!お願い!!!」
サ「俺も少ししか残ってないぜ。ちょっと待てよ、今コップにくんでやるから。」
サトシがリュックからペットボトルを出した瞬間、ハルカがそれを奪って口をつけて飲み干した。
サ「おい、ハルカ・・・。」
ハ「はぁ・・・少しはおさまった・・・。何であんなに辛いの!?」
サ「ハルカ、そのペットボトル、俺も口つけて飲んでたやつだぜ?」
ハ「え・・・うそ・・・?」

洞窟へ戻った二人。ハルカはよっぽど疲れていたのかすぐに腰をおろした。
ハ「はぁ〜・・・ひどい目にあったかも。」
サ「だから食うなっていったのに。」
そういうとサトシは、リュックからモモンの実を出した。
サ「食えよハルカ、甘くてうまいぜ。」
ハ「うん、ありがとう。」
ハルカは一口モモンの実を口にすると、疲れが一気に吹っ飛んだかのような顔をした。
ハ「なにこれ・・・最高かも♪」
サ「さっきのマトマの実とどっちがいい?」
ハ「・・・こっちに決まってるでしょ!」
サ「実はもう一種類木の実を採ってきたんだけど、一つしかなってなかったんだよな・・・ハルカ食うか?」
ハ「なんていう木の実なの?」
サ「ヒメリのみって言うらしいんだ。」
ハ「サトシが食べていいよ。」
サ「ああ。リュックにモモンの実が後二個ぐらい入ってるから食っていいぜ。」
ハ「うん。ありがとう。」
サトシはヒメリの実を一口食べた。
サ「何これ・・・すごくうまいぜ!」
ハルカもモモンの実を一つ食べ終わり、サトシのヒメリの実を眺めていた。
サ「ハルカ、欲しいなら始めに言えばよかったのに。」
ハ「いいな・・・もう我慢できないかも。一口もらっちゃえ♪」
ハルカはサトシのヒメリの実を一口かじった。
ハ「うそ!最高かも♪」
サ「お、おい・・・ハルカ。また間接キス・・・。」
この時代には、まだキスというものを知っている人はおらず、ハルカももちろんそんなことは気にしていない。
ハ「サトシもモモンの実、食べてみれば?」
そういわれて差し出されたのが、ハルカの食べかけのモモンの実だ。
サ「え・・・でも、それ・・・。」
ハ「お腹すいてないの?」
サ「いや、別にそんなことは・・・。」
ハ「じゃあ食べなよ、美味しくってびっくりするから!」
サ「あ、ああ。」
サトシはモモンの実を一口食べた。
サ「すごいなこれ、甘くてうまいぜ!」
あっという間に木の実を食べ終えた二人。
サ「そろそろ寝るか。確か俺のリュックの中に・・・。」
サトシが取り出したものは、一枚の毛布だった。
サ「ハルカ使えよ。俺はいいから。」
ハ「え、悪いよ。サトシが使って!」
サ「遠慮するなって。ほら!」
ハ「それじゃあさ、二人で一緒に使おうよ?」
サ「え!?・・・それはちょっと・・・。」
その毛布はひとりサイズで、二人が入るには小さすぎる。サトシがそのことを説明すると・・・。
ハ「だいじょうぶよ。」
やっぱり聞いてくれなかった。仕方なく二人で一緒に布団を使うことになった。
サ「(う、またハルカの足に触れちゃった・・・。)」
ハ「サトシ、手を握ってもいいかな?」
サ「え?・・・別に。」
ハルカはサトシの手を優しく握ると、安心したかのように寝息を立て始める。
サ「全くハルカは・・・。こんな状況でよく眠れるよな・・・。」
サトシもしばらくして眠りについた。徳川の軍がサトシ達を狙って向かってきていると走らず、二人は幸せそうに眠っていた。

ぐっすりと眠っていた二人だが、サトシがある異変に築き、目を覚ました。
サ「ん・・・なんか変な音がする。」
サトシ達の寝泊りしている洞窟に、なんと徳川の軍が向かってきていた。
サ「何!?なんであいつらが・・・。」
兵「洞窟があるぞ!!!」
どうやら徳川軍の兵士たちもここで一晩を過ごすつもりだ。この洞窟は奥まで続いていて結構広く、徳川軍の兵士が全員寝泊りできるかもしれないくらいだ。
サ「くそ・・・仕方ない、かくれよう。」
サトシはすぐ隣で自分の手をしっかりと握りねむっているハルカを起こそうとした、その時だった・・・。
ハ「・・・サ・・・トシ・・・大・・・好きだよ・・・。」
サ「!!!」
ハルカの寝言に少し戸惑うサトシ。しかしこのままでは見つかってしまうので、ハルカを起こした。
サ「ハルカ、起きろ!」
ハ「・・・え?」
サ「やつらがくる・・・。」
ハ「え・・・。」
サ「かくれるぞハルカ!」
そういうとサトシは毛布を急いでリュックにしまい、ハルカの手をしっかりと握り走り出した。
ハ「・・・。」
二人は洞窟の岩の陰に隠れた。ここなら絶対に軍には見つからないだろう。
サ「ハルカ、ここなら平気だ、先に寝てていいぜ。」
ハ「サトシは?」
サ「俺はやつらを監視する。ちょっと気になってな。」
そういうとサトシは、リュックからさっきの毛布を取り出し、ハルカに差し出す。
ハ「(サトシと一緒に寝たかったな・・・)。」
ハルカは横になった。しかし、落ち着かない様子だった。
サ「ハルカ、眠れないのか?」
ハ「う、うん・・・。」
サ「じゃあこっちにこいよ。」
ハ「え?・・・うん。」
二人が岩陰から様子を見ていると、軍がいっせいに入ってきた。
サ「ハルカ、ここから離れるな!」
そういうとサトシは徳川軍のほうへ向かって走っていった。
ハ「うそ・・・サトシ!!!」

サトシは兵の方へ走っていくと、いかにもえらそうな武士の目の前で立ち止まった。
ハ「サトシ・・・何のつもり?」
武士が言った。
?「・・・おまえは誰だ?」
サ「俺の名前はサトシ・・・。」
武「サトシか、良い名だ。拙者はタケシ、武士だ。」
サ「なぜかわからないけど、あなたとはどこかであった気がする。」
武「ほう・・・私は記憶にないがな・・・。」
サ「(気のせいかこの人、タケシに似てないか?)」
武「おまえ、いい目をしているのう。きっと大物になるぞ。」
兵「こら!そこの坊主!無礼だぞ!」
武「まて、この子には手を出すな!」
兵「は、はい・・・。」
やはりこの武士は位が高いようだ。
サ「・・・なぜ・・・戦なんか・・・。」
武「私も戦は好まない。だが、拙者の母が豊臣の兵士に殺されてしまった・・・その恨みをはらしたいのだ。」
サ「豊臣はそんな事をするような人じゃない!」
武「・・・おまえとはまたどこかで会う事になるであろう。たとえ敵同士であっても・・・。」
サ「・・・。」
話し終えるとサトシは、ハルカの元へ戻っていった。
ハ「サトシ、知っている人なの?」
サ「・・・いや・・・。」
ハ「???」
サ「もう寝よう、明日はあの軍より早く起きて出発だ!」
ハ「う、うん・・・サトシ、入っていいよ。」
サトシはハルカの入っている毛布に入り、すぐに眠ってしまった。
ハ「どうしたんだろうサトシ、何だか気になるかも。」

サトシが起きた。まだ空は薄暗く、徳川の兵士たちもぐっすり眠っている。
サ「ハルカ、起きろ。」
ハ「ん・・・サトシ・・・。」
サ「そろそろ行くぜ?」
ハ「うん。」
ハルカはまだ半開きの目をこすり、サトシとともに馬に乗った。
サ「行くぜ!」
出発した二人。
サ「道は所々で人に聞こう。今は急いで大阪に行ってやるぜ!」
ハ「そうね、急ぎましょう!」

この調子で進んでいて、日が暮れかけたころ、ある町に立ち寄った。
サ「ここはどこだ?あの子に聞いてみよう。」
ハ「うん。」
サ「あの、すいません。ここはどこですか?」
?「は?・・・ここはどこって、いったいどこからきたの?君たち誰?」
サ「俺はサトシだ。」
ハ「私ハルカ。江戸からきたの。」
?「!!!」
サ「どうかしたのか?」
?「・・・僕マサトって言うんだ。ちょっと、僕についてきてよ。」
ハ「う、うん。」
謎の少年についていく二人。すると、少年の家についた。
マ「パパ、ちょっと来て。」
?「ん、どうしたマサト。」
マ「パパ、この女の人、ハルカって名前で、江戸からきたんだって!」
?「何!」
マサトの父らしき人が言う。
?「私の名前はセンリ。君、ハルカって言うのかい?」
ハ「は、はい・・・。」
セ「もしや・・・。」
センリは慌ててハルカに抱きついた。
ハ「なっ・・・。」
セ「ハルカ、私だ・・・おまえの父親だ!!!」
ハ「・・・え!?」
サ「何!?」

ハ「パ、パパ!?」
サ「ハルカのパパさん!?」
セ「ああ・・・大きくなったな!!!」
マ「僕のお姉ちゃん!?・・・うそ・・・。」

ハルカは今までの事をセンリに説明した。
セ「それは大変だったな・・・サトシ君、ハルカがお世話になったね、ありがとう。」
サ「いえ、大丈夫です。」
ハ「なんだか外が騒がしいかも・・・。」
民「徳川軍がきたぞ!!!」
セ「何!!!」
ハ「・・・。」
サ「どうやら来たみたいだな。」
セ「よし、マサト、ハルカ、サトシ君。私は行く。みんなはここで待っていなさい。」
サ「待ってください!」
セ「!?」
サ「・・・センリさん、戦なんてやめてください!」
セ「何を言っているんだ!?」
サ「戦なんて、ただ犠牲者が出るだけで・・・。」
サトシの言葉を聞かず、センリは外に出た。
サ「ちっ・・・。」
ハ「サトシ・・・。」

外が騒がしくなった。戦が始まるまで、もう時間の問題だ。
サ「・・・ハルカ、マサトと一緒にここで待ってろ。」
ハ「え?」
サ「俺は説得する・・・戦をやめてもらうよう説得する!」
マ「むちゃだよ!」
サ「止めるな、センリさんが死んでもいいのか!?」
マ「そ、それは・・・。」
ハ「なら・・・せめて私を連れてって!」
サ「え・・・。」
ハ「私も黙ってこんなところで見てられないよ・・・。」
サ「ハルカ・・・でも危険だ、それはちょっと。」
ハ「危険だっていい・・・サトシが行くなら、私も行く!!!」
サ「・・・よし、わかった。マサトはここでちゃんと待ってろよ。」
マ「う、うん。」
サ「行くぞハルカ、みんなを救うんだ!」
サトシがハルカに手を差しのべる。
ハ「うん♪」
サトシの手をとり、笑顔で振舞うハルカ。
マ「あのニ人ってもしかして・・・。」

二人はこっそりとセンリについていく。ついた所は、ものすごくでかい、立派な城だった。
サ「す、すげぇ・・・。」
ハ「大きいかも。」
サ「・・・。」
ハ「あ、パパが行っちゃうよ、早く行こう?」
サ「いや、罠があるかもしれない、ここは様子を見て・・・ってハルカ!」
ハルカはいつのまにか城の入り口の方にいた。つられてサトシも中に忍び込んだが、やはり罠がしかれられていた。
サ「ハルカ、危ない!」
ハ「?」
サトシは思いっきりハルカを突き飛ばした。
ハ「もう、いきなりどうしたの?」
ハルカが振り返ると、そこには腕から血が出て痛がっているサトシの姿があった。サトシの目の前の床には鈍く光るナイフがに刺さっていた。
ハ「サ、サトシ・・・うそ・・・。」
サ「危ねえ、腕でよかったぜ・・・。」
ハ「サトシ・・・私・・・。」
ハルカはサトシの腕にふきんのような物を巻きつけ、「ごめんね」を連発する。
サ「ハルカ、泣いてるのか?」
ハ「・・・。」
サ「気にするなよ、さあ、先に進もうぜ!」
ハ「・・・うん。」

先に進んだ二人。またもや罠が待ち受けていた。
ハ「きゃ!」
いきなりハルカを抱きあげるサトシ。
サ「ハルカ、下を見るなよ!」
ハ「え?」
ハルカが下を見ると、目の前に大きな穴があって、下にぶくぶくと泡を吹いている液体があふれていた。それを越せば先に道があるのだが、とてもまたげるような距離ではない。
ハ「いや、嫌だよぉ・・・。」
サ「下を見るなっていったじゃないか、一気に行くぜ。」
ハ「やめてサトシ、絶対無理だよ・・・
サトシは数歩後ろへ下がった。
サ「ハルカ、俺を信じろ!」
サトシはいきなり走り出すと、一気に踏み込んだ。
ハ「!!!」
ハルカはサトシをギュっと抱きしめた。
サ「行っけぇぇぇ!!!!!!!!!!」
ハルカが目を開けた。どうやら着地したみたいだ。
サ「ハルカ、やったぜ!」
後数センチ後ろだったらおそらく落ちていただろう。
ハ「サトシ・・・。」
ハルカは涙を流してサトシに抱きついた。
ハ「怖かったよぉ、サトシ〜!!!」
サ「ハルカが俺を信じてくれたから飛び越せたのさ、サンキューな!」
しばらく歩き続けると、一つの部屋を見つけた。

 
サ「入るぞ、ハルカ。」
ハ「うん・・・。」

サトシは一気にふすまを開けた。
?「だ、誰じゃ!」
サ「俺の名前はサトシ。俺の話を聞いてくれ。」
?「どうやってここに来た!」
サ「罠を突破してきたのさ。」
兵「くっ・・・あれほどの罠を・・・無礼者!出て行け!」
?「待て!・・・いいだろう、話とやらを聞いてやる。おまえらは外に出ていろ。」
兵「しかし、徳川の軍がもうすぐそこまできています、そんな暇はないのでは・・・。」
?「ふん、大丈夫だ、すぐ終わらせる。」
兵たちが外に出て行くと、武士が重い口を開いた。
真「わしの名前は真田幸村。豊臣方の武士だ。」
サ「・・・。」
真「話とは何だ?」
サ「なぜ戦をするのですか?戦によってたくさんの犠牲者が出て、何の意味があるのですか!」
ハ「サトシ・・・。」
真「私も、戦は好きではない。だが、この世に争いをなくすためにも、ここで決着を付けなければならないのだ。」
サ「こうやって争いをするから、争いが絶えないんじゃないのですか!?」
真「・・・確かにそうだ、だが、戦によって手柄を立て、戦によって死ぬのが武士だ!しかも、この世で天下を統一するのは一人だけでいい・・・これは運命なんだ!」
サ「・・・そうですか・・・ハルカ、行くぞ!!!」
ハ「う、うん。」
真「待て!」
サ「!?」
真「これを持っていくがよい。」
幸村から渡されたのは、この城の地図だった。それには、罠の仕掛けてある場所や、一つ一つの部屋の位置などが詳しくのっていた。
真「わしもおまえを応援しているぞ!」
サ「ありがとう・・・。」
ハ「あ、あの・・・センリという武士はどこにいるのですか?」
真「センリ・・・この隣の部屋にいるぞ。」
ハ「あ、ありがとうございます!!!」
部屋を出る二人。
真「無事を祈るぞ・・・。」
隣の部屋の前に来た。さっきの部屋よりより少し狭い。
ハ「ここに・・・パパが・・・。」
サ「・・・怖いか?」
ハ「うんうん・・・サトシがいるから怖くなんかないよ。」
サ「ハルカ・・・。」
サトシはやさしくハルカを抱きしめた。
ハ「サトシ?」
サ「この戦、絶対止めてやろうぜ!!!」
ハ「う、うん!!!」
ふすまを開けた二人。
セ「・・・ハ、ハルカ!!!」

ハルカの父、センリを見つけ出した二人。
セ「・・・どうやってここまで来たんだ。」
サ「センリさん、戦をやめてください、お願いします!」
ハ「お願い、パパ!」
セ「悪いがそれはできない、徳川はきっちりと倒さなければならんのだ。」
ハ「・・・。」
サ「俺たちは、戦を止めてセンリさんを助けるために、はるばると江戸からやってきたんです、考え直してください!」
セ「私を助けるために・・・だと!?」
サ「ハルカはずっと一人で暮らしてきたんだ、・・・ハルカが一人で寂しい思いをしていて、親として何も思わないのか!?」
セ「・・・。」
ハ「パパ、私・・・サトシと一緒にいてすごく楽しいの!でもね・・・サトシとはいつか別れる時が来ると思うの・・・だから、もう一人になるのは嫌なの!家族といっしょに楽しく話をしたい、一緒に暮らしたいよ!」
セ「・・・だからといって、戦をやめるわけには行かない・・・私は、豊臣にお世話になった恩がある・・・だから、ここで引き下がってはならんのだ!」
サ「戦と自分の子供、どっちが大事なんですか!!!」
?「センリ、出陣じゃ!準備せい!」
セ「はい、治長さま。」
サ「!?」
治「ん?・・・おまえらは誰だ。」
サ「・・・俺はサトシです。」
治「拙者は大野治長、ここは危険だ、早く外に出た方がいい・・・センリ、いくぞ。」
セ「はい。」
そういうと、二人は外に行ってしまった。
サ「くっ・・・。」
ハ「サトシ・・・。」
サ「安心しろハルカ、俺が絶対戦を止めて、センリさんを無事に助け出す。」
ハ「う、うん!」
サ「いくぜ!」
ハ「(サトシ・・・いつか別れが来るのかな・・・未来から来たって事は、また過去に帰っちゃうのかな・・・そんなの嫌だよ・・・できればずっといっしょにいて欲しいな・・・・・・。)」
サ「ハルカ?どうしたんだ?」
ハ「え・・・いや、何でもないかも。」
サ「元気出せよ!」
サトシが軽くハルカの肩をポンッとたたくと、ハルカも安心したためか、サトシの手をとった。
ハ「早くしないと戦が始まっちゃうよ!」
サ「あ、ああ・・・。」
兵「いくぞ〜!!!」
外から兵士の声が聞こえる。
サ「まずい・・・ハルカ、急ぐぞ!」
どうやら戦が始まったようだ。二人は外に出たが、両軍はすでに激突していた。
サ「遅かったか・・・ハルカ、ここで待ってろ!」
ハ「え・・・。」
サトシは、大激突している両軍の中に走っていった。
ハ「うそ!!!・・・サトシ!!!やめて!!!」
サトシが見えなくなると、自然にハルカの目から涙がこぼれる。
ハ「そんな・・・サトシ・・・。」

そのころサトシは・・・

サ「くそ・・・センリさんはどこだ!」
兵「そこのガキ!何をしている!」
サ「え・・・人探しを・・・。」
兵「何を考えている!しかも丸腰で・・・危ないぞ!」
その瞬間・・・グサッという鈍い音が響いた。
サ「!!!」
サトシの目の前で、話しかけてきた兵が刺されて倒れている。
兵「・・・はや・・・く・・・逃げろ・・・。」
そういい残すと、その兵は静かに息を引き取った。その死体は無様にも、たくさんの兵や馬に踏み潰されていく。
サ「・・・うそだ・・・。」
サトシは震えていた。
サ「センリさんも・・・こうなる前に助けなきゃ・・・。」
サトシは走り出した。あてもなくセンリを探すために・・・。
真「おまえは!」
サ「!!!」
そこに現れたのは、大阪城でであった武士、真田幸村だった。

サ「あなたは・・・。」
真「ここで話している場合ではない、乗れ!」
サ「は、はい!」
サトシは馬に乗った。前で幸村は、次々と敵をなぎ倒してゆく。
サ「なぜなんだ・・・人が次々に死んでいく・・・こんな事、あっていいのか・・・。」
真「・・・坊主、一緒にいた女の子はどうした?」
サ「危険だから、人に見つからないところにかくれさせました。」
真「・・・そうか・・・こんな戦なんて・・・無駄なのに・・・。」
サ「・・・まったくだよ・・・。」
幸村が人を次々と倒していく。そのたびにサトシは目をそらす。
真「くそ・・・きりがない。」
そして・・・
西「私の名前は西尾仁左衛門。真田幸村殿とお見受けいたす・・・。」
真「いかにも、拙者は真田幸村だ。」
サ「???」
西「いざ勝負!」
幸村と仁左衛門の一騎打ちが始まった。
真「しまった!」
幸村はバランスを崩し、一瞬の隙を見せた。
西「今だ!」
サ「幸村さん!」
幸村が刺されそうになったその時だった。
サ「やめろぉぉぉ!!!!!!!!!!」
サトシの声は、戦場全体に響いた。戦っている兵士たちは全員、その声に驚き手を止める。
セ「あれは・・・サトシ君・・・。」
しかし、幸村はすでに体をつらぬかれ、大量の血を流して倒れていた。
サ「・・・なんでこんな事をするんだ!多くの人が死んで、そこまでして天下を取って何がうれしいんだ!」
その声は、ハルカにも聞こえていた。
ハ「サトシ・・・。」
サ「徳川も豊臣も同じ人間じゃないか、わざわざ争いなんてしないで、協力し合って国を治めればいいじゃないか!」
治「その通りじゃ!」
声をあげたのは、大阪城でであった武士、大野治長だった。
サ「・・・。」
戦場がざわつき始める。
サ「おれ、ある一人暮らしをしている女の子と会いました。名前はハルカといいます。」
セ「!!!」
ハ「サトシ!?」
サ「俺は、大阪で戦が起きると聞いて、ハルカの父を救うために江戸から大阪にやってきました。ハルカはずっと一人ぼっちで、寂しい思いをしてきたのに・・・家族と一緒に暮らしたいって願っていたのに・・・悲しいよ・・・。」
ハ「サトシ・・・ありがとう・・・。」
サ「ハルカの願いをかなえるため、ハルカの父に会いに来たのに、こんな形でハルカの父親を死なせてしまってはハルカがあまりにもかわいそう過ぎるとは思いませんか!?・・・誰かが死んで・・・一番悲しむのは家族なんです・・・。殺されて悲しみを持つことによって、恨みも持つようになる・・・そしてまた争いが始まる・・・きりがないよ・・・こんな形で天下をとっても、人々から恨まれたままで・・・それでいいのかよ!」
兵士たちは皆、一気に力が抜けたかのように、その場に倒れ込む。
治「サトシ殿!」
サ「治長さん・・・。」
治「見事!」
サ「・・・。」
家「私の名前は徳川家康。徳川方の大将だ。おぬしの言うことは正しい、戦なんて無駄な事だ・・・。」
秀「私は豊臣秀頼!豊臣方の大将だ!私もその意見に共感だ!」
家「戦は・・・やめにしようじゃないか・・・。」
秀「ああ!」

 
戦は終わった。サトシはそっと馬から降りると、涙をこらえながら、幸村の死体に話をかける。
サ「戦・・・終わったよ・・・何で・・・死んでしまったんだよ・・・。」

兵たちはそれぞれ戦場を後にする。サトシと幸村の周りには、何人かの武士が駆け寄る。
タ「・・・よくやったな。」
サ「あなたは・・・。」
洞窟で出会った徳川方の武士、タケシだった。
セ「サトシ君・・・すまない。私は・・・ハルカのことを何も考えてやれずに・・・。」
サ「ハルカを呼んできます。」
ハルカの元へ向かうサトシ。
サ「ハルカ、こっちにこいよ。」
ハ「うん。」
ハルカを連れて、センリの元へやってきた。
セ「ハルカ・・・すまない・・・。」
ハ「うんうん・・・いいんだよ・・・。」
サ「よかったな・・・。」
幸村を殺した西尾は、涙を流してその場に立ちすくみ、後悔に襲われていた。
サ「もう終わった事は仕方ないですよ・・・幸村さんは・・・もういないのですから・・・。」
サトシは幸村をおぶり、皆とともに町へ向かった。

町の墓地

サトシはそっと、幸村を埋葬した。目からは涙があふれるばかりだった。
サ「戦がおさまったのも・・・あなたのおかげですよ・・・。」
墓地を後にし、ハルカの家に着いた。
セ「マサト、帰ったぞ!」
マ「聞いたよパパ!戦が終わったんだって!?」
セ「ああ、サトシ君のおかげでな。」
ハ「サトシ・・・ありがとう。」
サ「よかったなハルカ、これで家族と幸せに暮らせるぜ。」
外からは、戦を止めた少年の噂を聞きつけて、家を覗く人であふれていた。
ハ「サトシ、もしよかったら・・・私の側にいてくれないかな・・・。」
サ「え?」
ハ「元の世界に帰れるまで・・・だめかな?」
セ「ああ、それはいい。ハルカには君が必要だと思うんだ。」
その瞬間、サトシの足元に黒い石が現れた。そう・・・この時代に来たときに現れた謎の石だ。
サ「ごめん・・・俺・・・帰らなくちゃいけないみたいだ・・・。」
石とともにサトシのからだが光りだす。
マ「!?」
ハ「そ・・・そんな・・・もう行っちゃうの・・・嫌・・・嫌だよぉ・・・。」
セ「な、なんだこれは・・・。」
サ「俺、この世界に来ていろいろな経験をしたよ、ハルカとすごして・・・楽しい時もあった。辛かった時もあった。でも・・・いい思い出だったよ。」
ハ「嫌・・・そんな・・・。」
ハルカはサトシに跳びつき、目から溢れ出す涙をこらえて下を向く。
サ「ハルカ・・・ごめん・・・。」
サトシの目からも涙がこぼれだす。
セ「サトシ君・・・君はいったい・・・。」
サ「事情は・・・ハルカから聞いてください・・・。」
サトシがどんどん透けてくる。
サ「ハルカ、これ・・・。」
サトシはハルカに、モンスターボールを渡した。
サ「俺の世界で使われてるボールだよ・・・それを俺だと思って持っててくれ。」
ハ「・・・サトシ・・・大好きだよ!!!サトシのことは忘れない・・・また会えるよね!?私の事・・・忘れないでね!!!」
言い終えた瞬間サトシは黒い石とともに消えた。
セ「消えた・・・。」
外から見ていた農民たちも、びっくりしていた様子だった。
ハ「サトシ・・・私の大好きな・・・謎の少年・・・。」
ハルカはサトシからもらったモンスターボールを胸にあてて、ずっと泣いていた。

 
その後サトシは、争いを止めて消えていった謎の少年として皆からしたわれるようになった。ハルカの胸には、サトシの記憶が消える事はなかった。

現実世界

サ「・・・ここは・・・元の世界・・・。」
ピ「ピカピ〜!!!」
サ「ピカチュウ・・・ってことは・・・元の世界に戻ってきたのか・・・。」
サトシは、この出来事を忘れずに旅を続けた。
ミシロタウンについたサトシは、ハルカという少女に出会って、いっしょに旅をする事になったのだが、あまりにも過去の世界であったハルカに似ていたため、あの出来事は、これからの運命を告げる幻だったのだと、自分に言い聞かせるサトシであった。


 

ようやく終わりました・・・なんだか改めてみてみると変な小説です・・・。
次回作・・・ただいま考え中ですので、どうか宜しくお願いします。
今度は、もっと恥ずかしくないような小説を作ろうと、意識していこうと思います。
Commentator by UFOピカチュウ

 
突然時代を遡ってしまったサトシ。
そこで出会った、今のハルカにそっくりなハルカと出会い、事件に巻き込まれていく…
その中で育まれた愛が、元の世界でのハルカとの出来事になっていけばいいですね。
出会うべくして出会った二人だと信じています。
Commentator by 冬草


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