すっかり暗くなった窓の外に、白く淡いものが積もる。
「雪だ」相棒のピカチュウを肩に乗せたサトシが言う。
今日は、クリスマスということもあり、この日の雪は特別だった。
南のホウエン地方では、雪が降ることが少ないためである。
「きれいかもー。」赤いバンダナがトレードマークの少女、ハルカがサトシの隣に来る、それに続いてマサト、タケシの雪を堪能していた。
「めずらしいなぁ。」
「僕雪見たの初めて。」
マサトとハルカは、ポケモンの技でしか見たことのないため、感動していた。そばには、ハルカのポケモンであるアチャモやフシギダネ等がいる。
暖かな明かりのともった部屋で4人はそれぞれの時間を過ごしに、また別れる。
「すごいかも〜」
「子供だなぁ、お姉ちゃん」
「子供で悪かったわねぇ」
マサトの頭の軽く叩く、いつもの光景だった。
ところが、このクリスマスに、大変なことが起こるのは、まだ誰も知らない・・・。

ふと、サトシが窓を見て叫ぶ。
「おい、なんかあそこ光ってるぞ。」
指差す方向には緑色の淡い光。
「わぁ〜、綺麗かも〜。」
「もっと近くで見てくる!!」
そばにいたマサトが飛び出していってしまった。
「あっ、マサト!!」
ハルカは引止めにいく、それに反応して、サトシもハルカを追いかけた、すでにマサトハ光のそばに来ていた。タケシがとりのこされる。
とそのとき、光は、急に鼓動し始めた。
「マサト!!はなれて!!」
ハルカがマサトを突き飛ばし、逃げ遅れる。サトシはハルカを連れ戻しにそばへ駆け寄って手を引こうとした。が、そのとき。
球体がフラッシュを起こした、そしてそばにいたはずのサトシとハルカはいなくなっていた・・・。

なにがあったんだ!!とタケシがかけよる。
「お姉ちゃんたちがどこかに行っちゃった」
その目には、涙が浮かんでいた。
「落ち着いて話してみろ」
マサトは全てを話した。
「もしかしたら・・、時わたり・・。」感づいたタケシだが、あえて言わなかった、帰ってくると信じて。
「とにかく、戻ろう、ここはひえる」
「うん・・・。」

「・・っ、いたたた・・」
サトシが気が付いた。
「ハルカ、大丈夫か?」
それに呼応するようにハルかが起きる。
「サトシ・・、ここは・・?」
?「気が付いたようじゃな・・・」

彼らの前に現れたのは、ローガンと名乗る老人、肩には老いたピカチュウがいて、隣には老女がいた。
「ゆっくりしていきなさい」
去ろうとするローガンにサトシはこう問いをかけた。
「ほかに人はいないんですか?随分静かだけど・・。」
「ほかのものは、みな死んだ」
「なっ!?」
驚愕するサトシ達、ローガンは、去ってしまった。
「くそっどうなってんだ」
「それに、ここはいったい」
わけが分からないまま苛立ちを壁に打ち付けるサトシ。
そして隣でハルカは、何かを必死にこらえている。
「私たち・・どうなっちゃったの・・?」
「ハルカ・・・。」
「2年前、伝説のポケモン、グラードンとカイオーガが目覚めたんです」
そこにいたのは、先ほどの老女。
「あるところでは、日照りが続き、あるところでは、洪水が起きました」
サトシ達が来たのは70年もの時を越えた未来の世界だったのだ・・。

サトシとハルカは、外へ出た。目の前に広がる光景は雪景色。
でも、どこか、マサトやタケシと共に見たものと違う、寂しく、暗い闇の世界。
ローガンの話では、マグマ団、アクア団が伝説のポケモンを復活させた結果だったのだ。そしてまだ、2匹の戦いは続いているという。
サトシとハルカは、2匹を倒す決意をした。

「そうか、ならばこの宝玉を持って行け。」
「ありがとうございます、じゃあ行ってきます」
しかし彼らが見たのは想像もしない世界。草木は1つも見当たらず、ポケモンはほとんどいない、しかしそれらも弱っている。

・・・そう、それは死の世界。

こうして、彼らの戦いは始まる。

 
「あち〜。」
「ほんとよね〜、さっきまで吹雪だったのに・・」
と、サトシは、暑さにがんをとばすように、太陽を睨みつける。
一方のハルカは、暑さにうなだれ少し遅れて歩いている。
目的地の北西の方向では、どんよりとした黒い雲がかかっている。
「どーなってんだよ、異常気象じゃないか。」
「もしかして、ローガンさんが言ってた伝説のポケモンかな。」
「そうかなー、そんなわけ・・」
そういいながらポケモン図鑑を開くサトシ、ハルカもポケモン図鑑を開いた。

(ピピッ グラードン大陸ポケモン、はるか昔、巨大な光で雨を蒸発させ人々を救った。)
(カイオーガ 海底ポケモン 大昔、大雨を降らせ、人々を干ばつから救ったと言い伝えのあるポケモン)

「あったな」
「ね、そうだったでしょ」
ポッポツ ポツ・・ザァァァ・・・
「今度は雨かよ」
「カイオーガよ」
と二人は洞窟を発見しそこに逃げ込む。
今日はそこで寝ることになった。、先ほどの雨は闇、雪が降り始める。
パチパチと燃える焚き木を囲む二人。
「なんか、サトシと2人っきりで寝るのって久しぶりね。」
「な、ナンダよ急に、」
あわてるサトシの様子に、ハルカが笑みをこぼす。
「あ、毛布忘れちゃったかも・・。」
「しょうがないなぁ、俺も毛布一枚しかないし・・、そうだ、ハルカに貸してやるよ。」
「いいわよ、サトシが風邪ひいちゃうじゃない。」
「俺は頑丈だからダイジョウブだって。」
「でも・・・、そうだ、一緒に寝ればいいのよ」
あまりにも意外なことを言うハルカに驚くサトシ。
「なに?あたしとじゃいや?」
「いや、そうじゃなくて・・。」
「じゃあなによ〜。」
「分かった、一緒に寝よう、一緒に・・。」
「よろしい。」
そういいながら、ハルカは寝てしまった。
一方のサトシは、ハルカの隣で寝転がっているが、なかなか眠れないようだ。
「よく寝れるよな、男と一緒なのに・・」
「そりゃぁ、今まで一緒に旅してたけどさ。」
「男として見られてないのかなぁ」
がくりとうなだれるサトシ。
(目だけでも瞑るか)
こうしてサトシは眠りに着いた。

「サ〜ト〜シ〜、早くしなさいよ〜。」
「う〜。」
目に熊を作っているサトシが、ゆっくり歩く、昨日は結局眠れなかったらしい。ハルカは数メートル先を歩いていた。
「具合悪そうよ、大丈夫?」
「だいじょぶ、たぶん・・」
「じゃあ早く行きましょう」
サトシの手を強く握り、サトシを引っ張るように歩くハルカ。
運良く今日は日照りも弱く、昨日よりは過ごしやすい。
途中、異常気象でも生き残った森に差し掛かる。
彼らはその中で、開けた場所を見つけ、休憩をとった。
「う〜ん、こんなにゆっくりしたの久しぶりかも〜。」
「そうだよな〜。」
いつ回復したのか、サトシもくつろぐ。
と、そのとき、後ろから2匹のポケモンが襲い掛かってきた。
ジュカインとジザリガーだ。
それぞれリーフブレードや破壊光線で襲い掛かってくる。
「何なんだこいつら!!コータス、オーバーヒート!!」
「アゲハント、銀色の風!!」
攻撃は相手に直撃し、去って行った。
「いったい、これは・・」
ローガン「ガんばったな、ジザリガー、ジュカイン。」

「ねぇ、次の休憩地はまだ〜?」
「がんばれ、もう少しだ」
「あついかも〜」
そうこういいながら歩いていた彼らだが、突然後ろにいたハルカがばたりと倒れる。
「ハルカ?おいハルカ!!しっかりしろ!ハルカ!!」
ハルカは日射病になっていた。無理もない、さっきから照りつけてくる日差しの中を、かれこれ一時間は歩いている。
「あの洞窟に行こう」
その洞窟は置くに行くと涼しく、サトシは抱きかかえたハルカを毛布の上に下ろす。
そして自分の最後の分の水をハルカに渡した。
「サトシ・・、ごめん・・。」
「気にすんなって、飲めよ」
「うん・・。」
「ヘイガニ、水鉄砲で俺の上着をぬらすんだ」
「ヘイヘイ!!」
サトシはハルカに絞った上着をたたんだ物をおでこに乗せ、ピカチュウに見張りを頼んだ後奥へと進んだ。

「こ、これは・・・」
眼前を抜ける光景に、サトシは息をのんだ。
目の前にあるのは、壁に描かれた竜のような2つの玉を持つポケモンに、グラードンとカイオーガ、そして逃げ惑う人々の描かれた壁画・・。
「どうゆうことなんだ、図鑑と言ってることが違うじゃないか・・。」
と、その壁画に残されている絵の中に、自分とハルカにそっくりな人物が描いてあるのを見た、ほかの人と違い、ポケモンたちに立ち向かっているように見える。少し気がかりになったが、戻ることにした。
「・・とにかくもどるか・・。」
戻ってみると、少し治まったハルカがおきていた
「・・サトシ・・・」
「何だ、おきたのか?具合はどうだ?」
「うん、だいぶ楽になった・・」
「・・そうか・・よかったな」
「ごめん・・、あたしのせいで・・」
「いいんだって、それより水飲まなきゃだめだぞ」
「うん・・。」
かばんから水筒を出したハルカがまの抜けた声を出したのは数秒たってからだった。
「あ・・・。」
「どうした?」
サトシがハルカに問いかける
「水が・・、ない・・。」
「しょうがないな・・。俺の水飲めよ。」
「でも、サトシの分が・・」
「いいって、頑丈だから、俺。」
当てもない理由だと分かっていてもサトシのどこか不器用な優しさがハルカにはうれしかった。
(でも,間中キスって分かってるのかな・・。)
そんなことを考えながら、ハルカはサトシのペットボトルに口をつけた。

日が沈み、あたりは藍色の空になりかけている、先ほど降った夕立で光る雫が月明かりは反射し、不気味に輝く。
そんな時、異常を指摘したのはハルカだった。
「ねぇ、サトシ・・、月が・・・・二つある・・」
「本当だ・・。」
宙に浮くのは、ローガン夫婦からもらった宝玉のような赤と青の月。
その月は2つ重なるような位置にあり、だんだんと重なり、落ちてくるようにも見えた。
吹き抜けてくる風がいように冷たい。
と、そのとき少し月が重なった。強い明かりを発し、サトシ達はとばされた・・・。星の記憶へ・・。

「きゃぁぁぁ!!!」
戻ってきたとき、そこはあのポケモンセンター。
あれは夢だったのだろうか。現実だったのだろうか・・。
「急に倒れるからびっくりしたよ。」
2人の目に飛び込んできた、世界の終わり・・。
月は落ち、世界がなくなる。そんな力を持つ伝説のポケモン。
そしてそれをよみがえらせようとする組織。
これらをとめられるのは2人だけだから・・。


 

サトシ達が見た、恐ろしい光景。
強大な力を持つポケモンによって引き起こされる混乱。
それを止める為に立ち向かうのは、果たして彼らなのか…
夢(?)の中で見えたように、二人がお互い助け合い、協力する時が来るんでしょうか。
Commentator by 冬草


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