温もりを感じて・・・

サ「タケシ〜出口はまだか〜」
ハ「もうクタクタかも〜」
マ「?どうしたのタケシ?」
タ「・・・スマン、迷った」
『ええ〜』
ハ「じゃあ、しばらくこの森にいるってこと?」
タ「そういう事になるな」
ハ「も〜、この森に入ろうって行ったの誰よ〜」
マ「お姉ちゃんなんだけど」
ハ「え、そ、そうだったっけ?」
マ「お姉ちゃんが言ったんだよ。この森なんかミステリアスとか
言い出したんじゃないか」
ハ「あ、あはははは、ま、まあいいじゃない。すんだ事は」
マ「第一、何でサトシも行こうってなんで言い出したの?」
サ「え、いや、それは・・・」
ハ「もう、そんな事どうでもいいじゃない、どこか休める所を
探そうよ」
サ「あ、ああ、そうしようぜ」
マ「ほら、またお姉ちゃんの意見にすぐ賛成する」
タ「まあまあマサト、今はそんな事どうでもいいだろ」
ハ「そうよマサト、早く休める所探そう」
マ「分かったよ」
こうして一行は、とりあえず休める所を探し始めた。
サ「サンキュータケシ、助かったぜ」
サトシは、マサトとハルカに聞こえない位の声で言った。
タ「気にすんなよ、それより、ハルカの傍にいてやれよ、疲れてる
みたいだし」
サ「ああ、そうするよ」
そう言うとサトシは、ペースを落として、ハルカの隣に行った。
ハ「どうしたの?サトシ」
サ「いやさ、しんどそうだったから」
ハ「ありがとサトシ、優しいね」
ハルカはニコッと笑った。サトシは恥ずかしくなって、自分の帽子を深く被る。
サ「そ、それより、疲れたら言えよ。おぶってやるから」
ハ「・・うん、でも・・大丈・・」
大丈夫と言いかけたハルカは言い終わらないうちに、崩れ落ちていった。
サ「おいハルカ、大丈夫か!?」
ハ「・・・」
サ「すごい熱だ、おいしっかりしろハルカ!」
タ「おいハルカ、大丈夫か!?」
マ「しっかりして、お姉ちゃん!」
サ「とりあえず、早く休める所を探そう」
タ「ああ、そうしよう」
ハルカは、意識を失う直前まで、サトシの温もりを感じていたが、
ハルカには、それが誰だか分からなかった。
ハ(誰だろう、とてもあったかい感じがする)
ハルカの意識はそこでいったん途絶えた。

ハルカが目を覚ましたとき、そこは草の生えていない広場のような
場所だった。
サ「目が覚めたか」
ハ「サトシ、あれ?タケシとマサトは?」
サ「ここの近くに水が湧いてたからな、水を汲みに行ってる、
ピカチュウも一緒に」
ハ「そっか」
サ「でもハルカ、あんまり無理すんなよ。心配したぞ、いきなり
倒れたから」
ハ「うん、ごめんね」
サ「別に誤る事ないけどさ、そうだ、ハルカ、お粥あるけど、食うか?」
ハ「うん、食べる、けど」
サ「けどなんだ?」
ハ「体が思うように動かないの、サトシ、食べさせて」
サ「しょーがねーなー、ほらよ」
サトシは、ハルカを起き上がらせると、お粥を一口、食べさせた。
サ「うまいか?ハルカ」
ハ「うん、とってもおいしい」
サ「それ、俺が作ったんだぜ」
ハ「え、サトシって料理できるの?」
サ「俺だってただタケシが料理するのを見てたわけじゃないぜ、
まあ、みようみまねってやつさ」
ハ「サトシってすごいね」
サ「何が?」
ハ「だって、私もみようみまねでタケシみたいな料理を作ろうと
した時あるのに、出来なかったから」
サ「ん〜、まあ俺の場合、ずっとみてたからなぁ、歳月の違いって
やつかな」
ハ「私も頑張ろう」
サ「え?何か言った?」
ハ「ううん、なんでもない」
サ「そっか、それより、早く食ってしまわないとな」
そう言って、ハルカにまた食べさせようとしたその時
マ「お姉ちゃんとサトシ、何やってんの?」
二人の肩が跳ね上がる。相当びっくりしたらしい。
サ「マ、マサト、あ、こ、これは、その・・・ハルカが、体が思うように動かないから、その、食べさせてって言われたから、その」
マ「サトシ、何でそんなに焦ってるの?」
タ「マサトはまだ知らなくていいんだよ」
ハ「そ、そうよマサト、マサトが知るにはちょっと早すぎるわよ」
ハルカも相当焦っていた。焦りすぎて、語尾に[カモ]をつけるのを
忘れていた。
マ「なんだよそれ、僕がまだ子供だから知っちゃ駄目なの?」
サ「ま、まあ、そういう事になるな」
タ「それよりサトシ、早く食わせてやれよ。冷めるぞ」
サ「あ、ああ、分かった」

ハルカはまた一口食べさせてもらった。
ハ「ねえサトシ」
サ「な、何?」
ハ「このお粥、タケシのよりおいしい気がするんだけど」
サ「ああ、それは。隠し味をちょっと変えてみたからさ」
ハ「何を入れたの?」
サ「え〜と、タケシ、俺何入れたっけ?」
タ「確かあれは、モモンの実だったな」
ハ「へ〜、だからちょっと甘い感じがしたんだ」
サ「この辺は結構あったぜ、オボンとかもあったぜ」
ハ「サトシ、後でそこに連れてってくれない?」
サ「へ?何で?」
ハ「ポロックを作る材料にしたいの」
サ「分かった、これ食ったら行くか?」
ハ「うん」
サ「タケシ悪い、今日はここで野宿になるかもしれないけどいいか?」
タ「ああ、気にすんな。夕食作って待っててやるよ」
サ「悪いなタケシ、じゃあ行ってくる」
サトシはそう言って、ハルカを背負って森の中へと消えていった。
マ「お姉ちゃん大丈夫かなぁ」
タ「心配ないよ、サトシがついてる」
マ「その事じゃなくて、体のことだよ、思うように動かないって
言ってたでしょ」
タ「ああ、あれか、あれはハルカの嘘だ」
マ「え、どうゆう事?」
タ「正人も知ってる通り、サトシはハルカに甘いだろ」
マ「うん、超がつきそうな位」
タ「それと同じように、ハルカもサトシに甘えてるんだよ」
マ「お姉ちゃんがサトシに?なんで?」
タ「それはマサトにはまだ早い」
マ「なんだよそれ」 そう言ってマサトは、サトシとハルカの歩いていった方を見つめていた。

ハ「ねえサトシ、どこにあるの?」
サ「もうすぐ着くから我慢しろって」
そんな些細な会話をしながら、ハルカはあることを考えていた。
ハ(暖かい、あの時と同じ、何でだろう、サトシといると、安心する。もしかして私、サトシに恋しちゃってる?)
一方サトシはというと
サ(あ〜何か、ほんのりと甘い香りがする。ハルカの香水の匂いかな、いつか、この想いを伝えよう。)
とか考えていた。
そして、いろんな実のある場所に出た。
サ「おいハルカ、着いたぞ、て寝てるし」
ハルカは、いつの間にか静かに寝息をたてて眠っていた。
サトシは、ハルカが起きるまで待つ事にした。
ハ「ん、あれ?」
サ「目が覚めたか?」
ハ「私、また寝てたの?」
サ「きっと疲れがたまってたんだろう、無理もないさ、最近、
コンテストの練習とかであんまり休んでなかったろ」
ハ「うん」
ハルカは嬉しかった。サトシが私の事を見てくれていた。ハルカはもう、迷わなかった。やっと自分の気持に気付けたから自分の気持を伝えよう。そう思って口を開きかけたら、サトシが先に私に
話しかけてきた。
サ「あのさハルカ、いきなりだけど、伝えたい事があるんだ」
ハ「何よ、あらたまっちゃって」
サ「俺は・・・」

サ「俺は、ハルカが好きだ。ハルカさえよければ、これからもずっと一緒にいて欲しい」
ハ「なによ、何考えてるのサトシ」
やっぱり駄目か、そうサトシが諦めかけた瞬間
ハ「一緒にいるのは当たり前じゃない、それよりも言う事は
[結婚してください]でしょ」
サ「え、じゃあ」
ハ「もちろんOKよ、結婚もしてあげるから安心して」
サ「本当にいいのか?俺なんかで」
ハ「私にとってサトシは、とても大きな存在、そう、共に歩み続けたい存在なのでも驚いたわ」
サ「何が?」
ハ「鈍いサトシにさきこされちゃったもの」
サ「はは、と、それより、早く取っていこうぜ」
ハ「それもそうね」
サ「じゃあ、どれ取るか言ってくれるか?」
ハ「う〜ん、めんどくさいから、全種類二つづつ取ってきて」
サ「うへぇ、こりゃ大変だ」
ハ「愛する私の為に頑張って〜」
サ「はいよ〜」
〜1時間後〜
マ「お姉ちゃんとサトシ、遅いね」
タ「そろそろ帰ってきてもいいころなんだけどな〜」
マ「あ、帰ってきた、お〜い」
サ「ただいま」
タ「なんでそんなに取ってきたんだ?」
ハ「めんどくさいから全部二個づつとってきちゃった」
サトシの背中でハルカはとてもご機嫌だった。
マ「お姉ちゃん、何か妙に機嫌よくない?」
ハ「ええ、お姉ちゃんとってもご機嫌よ〜」
マサトは少し寒気がした。
マ(お姉ちゃんって、こんなキャラだったっけ?)
タ「サトシ、ちょっといいか」
サ「ああ、いいぜ」
すると、タケシは小声で
タ「ハルカに自分の気持、伝えたのか?」
サ「ああ、結婚の約束までされてびっくりしたよ」
タ「そうか、それより、ハルカの傍にいてやれ」
サ「ああ、分かった」
そう言うとサトシは、ハルカの元へと歩いていった。
その後、ハルカとサトシは、歩いているときは必ず手を繋いでいた。お互いの手にその手の温もりを感じながら、
二人の絆は日々深まっていき、10年後、二人はめでたく入籍した。
そしていつまでも、あの温もりを忘れる事は決してなかった。


 

ハルカにはいつも甘く、折れてしまうサトシ。
それも彼なりの気遣い、優しさなのかもしれません。
ハルカもそんなサトシに甘えながらも、お互いに歩き続ける、そんな関係が窺えます。
劇中でもそんなシーンが増えればいいですねぇ。
Commentator by 冬草


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