きっかけの町

これは、サトシ達が、ヒワマキシティに向かう途中に立ち寄った
町での出来事。
タ「着いたぞ、ここがビギニングタウンだ」
サ、ハ、マ「ビギニングタウン?」
タ「ああ、ここはなにかの[きっかけ]が起こる町だと言われてる
らしい」
サ「へ〜、きっかけかぁ。俺にはどんなきっかけが起こるんだろうな〜」
ピ「ピカピ〜カ」
マ「サトシのはどうせ大した事ないだろうけどね」
サ「ムッ、なんだよそれ」
ハ「マサト、それはちょっとあんまりよ」
マ「じゃあお姉ちゃんはサトシがどんなきっかけがあると思うの?」
ハ「そ、それは」
ハルカは少し戸惑い、自分にしか聞こえない位小声で言った。
ハ「私との恋とかがいいな」
マ「え、何か言った?よく聞こえなかったよ」
ハ「な、何でもないわよ、何でも。それより、早くポケモンセンターに行きましょ。私ショッピングに行きたいから」
サ「よし、じゃあポケモンセンターに行くか」
こうしてサトシ達はポケモンセンターに向かう事にした。

タ「じゃあとりあえず、6時まで自由行動にする」
ハ「ねえタケシ、ショッピングに付き合ってよ」
タ「いや、俺はまずやる事があるから買い物に行くのは4時くらいになるから無理だ」
ハ「え〜、そんな〜」
サ「しょ〜がない、俺がついてってやるよ」
ハ「本当!ありがとうサトシ」
本当に嬉しそうなハルカの顔を見たサトシは思わず横を向いて
しまった。照れた顔を見られたくなかったから
サ「気にすんなって、それより早く行こうぜ」
ハ「うん」
そしてサトシは、ハルカと一緒にポケモンセンターを出た。
マ「タケシ」
タ「何だ」
マ「サトシってさー、お姉ちゃんに甘くない?」
タ「甘いな〜、なんてったってあれだからな〜」
マ「あれって何?」
タ「ん〜、マサトが知るにはまだ早いな〜、二人を見てたら
分かるんじゃないか?」
マ「何なのさ〜、気になるじゃん」
タ「それくらい自分で見つけろ、じゃあ俺はやる事があるから」
そういってタケシは、電話ボックスの方へ歩いていった。
マ「タケシのケチ」
そんなタケシの後姿を見ながらマサトは呟き、すぐにポケモン達と
遊び始めた。

サ「で、ハルカ、どっから回るんだ?」
ハ「ん〜とね〜、まだお昼食べてないからとりあえず何か食べましょう」
サ「そういやぁまだ何も食ってなかったな、じゃあ何食いにいく?」
ハ「そうねぇ、じゃあパスタ」
サ「よし、じゃあ行くか」
そして二人は、パスタを食べに、店の中に入っていった。
20分後、
サ「あ〜うまかった」
ハ「あそこのお店のパスタ、結構おいしかったわね」
サ「ああ、まあな」
ハ「それじゃあサトシ、ショッピングに行きましょ」
サ「あ、ああ」
ハルカが隣にいるせいか、うまく言葉が出てこないサトシ
サ「それにしても、なんかやけに忙しそうだな」
ハ「本当、まるでお祭りでもするみたいね」
サ「まさかなぁ」
ハ「そうよねぇ」
そんな事を話しているうちに、ある店が、目に入った。
ハ「あ、この浴衣可愛いかも」
サ「入ってみるか?」
ハ「うん」
二人はその店に入っていった。
店「いらっしゃいませ〜」
ハ「あの〜、外のショーウインドウに飾ってあった浴衣って
ありますか」
店「はい、一つだけ残ってますよ」
サ「あの、今日は何かあるんですか」
店「はい、あれは、この町が出来て10周年たったからお祭りを
するんですよ」
ハ「本当にお祭りだったんだ」
店「あ、そこの貴方も浴衣、買いませんか?二つセットで二割引
して差し上げますが」
ハ「サトシ、買おうよ、安くしてくれるみたいだし」
サ「そうだな、じゃあ俺も買います」
店「ありがとうございまーす」
浴衣を買って店を出た、二人は他にも色々と回って、ハルカは
とてもご機嫌だった。
サ「なあハルカ、お前妙に機嫌よくないか?」
ハ「うん(サトシと一緒だから)」
サ「・・・まいっか」
ハ「それにしても、お祭りの日に来れるなんて、私達ちょっと
ラッキーかも」
サ「そうだな」
ハ「浴衣も買ったし、あ〜、早く夜にならないかなぁ」
サ「お前って本当にこうゆうの好きだなぁ」
ハ「今日はちょっと特別かも(サトシの浴衣姿見てみたいなぁ)」
サ「そうかもな(ハルカの浴衣姿見てみたいしな)」
ポケモンセンターに戻ると、ポケモンと遊んでるマサトがいた。
マ「あ、お帰り〜、あれ?その袋何?」
ハ「それは夜になってのお楽しみ」
マ「何だよそれ」
ハ「夜になったら分かるわよ」
マ「まあいいけどさ、それより、ここのポケモンセンター二人部屋
だからさ、お姉ちゃんとサトシが一緒だってタケシが言ってたよ」
サ、ハ「・・・・・・(タケシってわざとやってるのかなぁ)」
そう思うのも無理はない。なぜなら、二人部屋だと必ずサトシとハルカが一緒になるからだ。
マ「どうしたの?二人とも」
サ「あ、いや、なんでもない」
ハ「それより、どこの部屋?」
マ「一階の5号室だよ」
ハ「そう、ありがと」
サ「あ、俺は少しここにいるから、これ、頼んでいいか?」
ハ「うん、いいよ」
この会話には実は深い意味があった。それは、「俺はここにいるからハルカは早く浴衣に着替えといてくれ」とゆう意味があった。
ハルカはその意味を理解し、部屋に行った。
サ「サてマサト、俺達はどうする」
マ「ねえサトシ」
サ「ん?どうした、マサト」
マ「サトシにとって、お姉ちゃんってどんな存在?」
サ「え、そ、それは・・・」

サ「分かんない」
マ「どうゆうこと?」
サ「分かんないけど、他の人とは違う気がする」
マ「どんな風に?」
サ「なんてゆうか、その〜、特別、だな」
マ「ふ〜ん、分かった」
サ「なんで突然そんな事聞くんだ?」
マ「なんとなく」
サ「はあ?」
マ「そんな事より早く部屋に行きなよ、きっとお姉ちゃん待ってるよ」
サ「わ、分かった」
そう言うとサトシは、部屋へと向かった。
サ「ハルカ、入っていいか?」
ハ「うん、いいよ」
部屋に入ったサトシが見たのは、浴衣姿のハルカだった。
サトシから言わせれば、可愛いとしか言えなかった。
とにかく似合ってる、思わずサトシは見とれてしまった。
ハ「サトシ、どうしたの?着替えないの?」
サ「そ、そうだな、ハルカ、悪いけど手伝ってくれるか?」
ハ「うん、いいよ」
こうしてサトシは、ハルカに手伝ってもらい、浴衣に着替えた。
ハ「とっても似合ってるよ、サトシ」
サ「サ、サンキュー」
ハ「そういえば、自由行動って6時までだよね」
サ「じゃあそろそろ行くか」
ハ「うん」
そして6時、
タ「ふ〜、なんとか買い物は終わった、ん、どうしたんだ二人共、
浴衣なんかに着替えて」
マ「今日、お祭りがあるからだってさ」
タ「そういえばあったな」
サ「確か祭りって、7時からだろ」
タ「ああ、んで、花火が8時からある」
サ「じゃあ7じまでどうする?」
タ「荷物の整理、手伝ってくれ」
サ「OK、分かった」
ハ「私も手伝う」
マ「僕はここで、もう少しポケモン達と遊んどく」
タ「分かった、じゃあサトシ、ハルカ、頼む」
サ、ハ「任しとけよ(いて)」
そして1時間後、
サ「ふ〜、なんとか間に合ったな」
ハ「疲れたかも」
タ「サンキュー二人とも、助かったよ」
サ「そんじゃあハルカ、祭り行くか」
ハ「うん」

ポケモンセンターを出た二人は唖然とした
ハ「すごい人ごみかも」
ハルカは思った、この町に、こんなに人がいたかなぁと
サ「と、とりあえずハルカ、はぐれないようにしよう」
するとサトシは、ハルカの手を握った。
ハ「ねえサトシ、もっといい方法あるよ」
そう言うとハルカは、サトシの腕に自分の腕を絡めた。サトシの顔が、見る見るうちに赤く染まっていく。
ハ「行こう、サトシ」
サ「あ、ああ、そうだな」
二人は人ごみの中をひたすら歩いた。ピカチュウはサトシの肩に
しがみついていた。
やっと人ごみから開放された時、そこには小さな店があった。
ボ「やあ、久しぶりだね」
ハ「あ、ボギーさん」
サ「知り合い?」
ハ「ほら、あのウィッシュメーカー売ってくれた人」
サ「あ、思い出した」
ボ「お嬢さん、願いはかなったかい?」
ハ「まだですけど、もうすぐ叶いそうな気がします」
ボ「そうか、じゃあ、二人にこれをあげよう」

ハ「なんですかこれ?」
ボ「その首飾りには、あのジラーチの願いがこもっている。どんな
願いがこもっているかは、叶ってからのお楽しみ、あ代金はいいよ、仲のいい二人へのプレゼントだと思ってくれ」
サ、ハ「ありがとうございます」
思わず息が合う、二人の顔が赤くなる。
ボ「いいって事さ、それより、もうすぐ花火が始まるぞ」
サ、ハ「え、嘘!?」
ボ「この道の先にベンチがある、見晴らしもいいし、そこで見るといい」
ハ「ありがとうございます」
サ「行こうぜ、ハルカ」
ハ「うん」
少し歩くと、ボギーさんの言ったとおり、ベンチがあった。
しかし、少し小さい、二人が座ると、体が完全に密着してしまう。
サ「とりあえず、座っとくか」
ハ「う、うん、そうだね」
二人はとりあえず座った。心臓がバクバクいってる。
サ、ハ「・・・あのさ・・・」
二人は言いかけて赤面する。無理もない。お互いが向き合ったら、
キスできる位近いのだ。
ハ「何?サトシ」
サ「ハルカ、先にどうぞ」
ハ「う、うん、あのね、サトシにとって私ってどんな存在?」

ハルカにも、マサトと同じ事を聞かれてしまった。
サ「・・・・・・」
マサトと同じ質問に、どう答えたらいいのか分からないのか、
サトシは下を向いた。
ハ「私はね、サトシはとっても大きな存在だよ、私、サトシの事が
好きだよ」
サ「!?」
ハ「だから、ずっと一緒にいたいの、ホウエンリーグが終わっても
絶対に、離れたくないって思うよ」
サ「・・・れも・・・」
ハ「え、何?」
サ「俺もだよハルカ、今俺は、ハルカが隣で笑っていてくれるのが
当たり前だと思った。けど、ハルカのいない人生なんてもう想像
出来ない、これからもずっと一緒にいて欲しい。だって俺は、
ハルカの事が、好きだから」
ハ「ありがとうサトシ、約束する。絶対サトシの傍を離れないから、ずっと一緒にいるからね」
サ「ハルカ」
ハ「サトシ」
そして、二人はキスをした。その時、一発目の花火が上がった。
さらに、たくさんのチルットやチルタリスが飛んでいった。
まるで二人の愛を、祝福するかの様に。
二人はベンチで寝てしまった。ピカチュウは、すぐにタケシを呼びに走って行った。
〜翌朝〜
サ「あ〜よく寝た」
ハ「でも私達、いつポケモンセンターに帰ってきたのかしら?」
サ「別にいいじゃん、それより早く着替えようぜ」
ハ「そうね」
サ「着替えたら食堂に行こうぜ、俺腹減った」
そして二人は着替えて食堂へ向かった。タケシ達には、何も
変わってないようだったが、実際はかなり変わっている。
二人は、愛という名の絆で結ばれていた。そして、あの首飾りは、
何も彫られてなかったのにいつの間にか、表にはジラーチ、そして
裏には、サトシとハルカが抱きしめあっている絵になっていた。
二人はこれからも歩き続けるだろう。だがきっと、この町での
体験は、一生忘れる事はないだろう。


 

ある街での小さな、それでも二人にとっては大きな出来事が起こります。
あの時の願い事が本当にこうだったらいいなぁと思いつつ、更にそれが叶ったら嬉しいですね。
物語の中での雰囲気がとても良いです。
Commentator by 冬草


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