心の傷と、体の傷

ここは114番道路、サトシとハルカは、ハジツゲタウンのコンテストバトルの練習をしているところだった。しかし、そんな2人をある災難が襲う。それは一息ついている間の少しのときだった・・
サ「タケシ達遅いな〜。」
ハ「買出しに何時間かかってるのかしら・・」
そのとき、マサトとタケシは、薬の調達をしにいっていたのだ。
114番道路、平地が広がる草むらで、トレーニングにはもってこい、
草の高さは結構あり腰の辺りまで来る。それが、災難を招いた。
前後からしのびよる2つの影。

ガササァァ!!

それはハルカを襲ってきたのだ。
ところがその瞬間、ハルカは誰かに突き飛ばされた。
ハ「きゃっ」
ハルカガ目を開ける。
そこには、鮮血を流すサトシが倒れている。
ハ「サ、サトシ!!」
サトシの腕と肩には、2つの異なる種類の傷がある。傷は結構深い。
ハ「血を止めなきゃ。」
ハルカは自分のバンダナを応急処置に使った。
そばで動揺しているピカチュウに、助けを呼びに行かせ、傷の犯人をしらべた。
犯人は、ハブネークとザングース、縄張りに入ってしまったらしい。
ハ「どうしよう・・」

薄暗い治療室のなかで、サトシに付けられた治療器具が鈍く光る。
あれから助けが来たのだが、時間がかなり経っていて、急を要した。サトシの傷は、思ったよりも深く、最低2週間安静にしなければならない。ハルカは、自分のふがいなさとそれに対する嫌悪感と責任感、嫌悪感で、心に傷を負っていた。あれから、サトシは3日たってもおきない。
ハ「サトシ・・・」
不安とあせりで渇いたのどを、水を飲んで湿らせる。
ハ「私のせいだわ、私がもう少ししっかりしてれば・・」
サ「ハルカのせいじゃないよ」
ハ「サトシ、おきてたの?大丈夫?」
サ「あぁ、なんとかな・・」
ハ「ゴメンね」
サ「気にすんなよ・・、とっさのことだったし、仕方ないさ。」
ハ「でも・・・」
サ「過去を悔やんでも仕方ない、おまえらしくないぞ。」
ハ「うん、ありがとう」
2人は、この一晩を、話しふけってすごした。

ハ「クシュン!!」
サ「ヘックシ!」
マ「大丈夫〜?二人とも。」
タ「薄着で夜中まで話するからだぞ。ま、ゆっくり休んどけ」
ばたん、と扉を閉める音の後、2つの足跡が遠ざかっていく。
・・風邪を引いたらしい
サ「ゴメンなハルカ、お前まで」
ハ「いいのよ、サトシのせいじゃないかも。」
少し顔を赤くしてハルカが答える。
サ「?顔赤いぞ、熱でもあるのか?」
サトシはそれを確かめるため、ハルカのおでこにおでこを当てる。
と、そのとき、サトシがハルカにもたれかかった。
ハ「サ、サトシ!?」
ハルカは、急なサトシの行動に赤面するが、状況を理解したとき、はっとする。
ハ「そういえば、サトシのおでこ・・!!」
あわてて再度サトシにかけより、おでこを当てる。
ハ「やっぱり、すごい熱!!」
おそらく無理をしていたのだろう、話し方もぎこちなかった。
それにさえ気付かないなんて。ハルカは、また『責任』という文字で心に傷をつける。バンダナに水を浸し、荒い息をするサトシの頭にのせると一目散に医師に伝えに言った。

医師「毒にやられてますな。」
ハ「そんな・・・!!」

ハ「やっぱり私のせいだわ、私のせいでサトシが・・・」
タ「そんなことはないと思うぞ。」
マ「そうだよ、サトシはああ見えて、一度いったことは忘れないし、そんなことでおねえちゃんを嫌いになったりしないと思うよ。」
タ「嫌いな人を、体を張って助けるやつはいないからな。」
ハ「ありがとう。ちょっと楽になったかも・・、でも・・」
マ「でも、何?」
ハ「ううん、なんでもない(やっぱり心配だわ・・。)」
サトシの治療中、ハルカは、マサトとタケシとともに、サトシの回復を待った。医師の話によれば、ハブネークく毒にやられているので、最低でも三日必要だという。
ハルかがこんなに、自分のせいだと問い詰めるのは、過去にマサトと一緒に遊んでいるとき自分の不注意でマサトが怪我をしてからだった。
だが、旅をしている最中は、そんな表情の一つも見せなかった。
そんなことがなくなったからだ、頼りがいがある仲間がいた。
ハルカがサトシ行動をともにしたのも、サトシがあの時、自分をまもってくれそうだったから。実際サトシはハルカをまもってくれた。
しかしそれで得たのは、悲しみと不安だけ、ハルカは、自分のふがいなさや甘さを後悔した。

そして3日後・・・

ハルカは、この3日間ずっとサトシのそばにいた。今時分にできることがそれだったのだ。
サ「・・ウ・・・んぅ・・」
サトシが、寝ぼけたような声を上げる。ハルカは、そのとき、まさかと思いサトシを見つめた。
サトシがゆっくり目を開ける。
ハ「サ、サトシ!!」サトシが起きた瞬間ハルカガ、思わずガバッとサトシに抱きつく。
サ「ハ、ハルカ!?」
ハ「・・・か・・」
サ「へ?」
間の抜けた声を出すサトシだったが、服をぬらすもののおかげで、ハルカが泣いているのにきずいた。
ハ「サトシの馬鹿!!心配したのよ、三日も寝たきりで。」
サ「み、三日ぁ!?」
サトシは驚きハルカを見つめるが、ハルカの目には、涙がたまっていた。
ハ「無理しないで、お願いだから・・」
サ「・・・」
薄暗い病室に柔らかな光がさす。
サ「分かったからもう泣かないでくれよ。」
困ったような顔でサトシが言う。
サ「おまえが泣く所なんて見たくない・・。」
サトシがハルカを、優しく抱き返す。
ハ「すー、」
規則正しい呼吸が聞こえる。
サ「寝ちゃったか、」
ハルカは、サトシに抱きついたまま寝てしまった。よっぽど疲れたのだろう。
サ「おやすみ。」

柔らかい日差しが、病室を包み込む、2人の絆は、さらに深まった・・。


 

再びかいすのみさんに頂きました。
突然襲い掛かる不幸に自責の念を駆られるハルカ。
強さだけを頼りにしていた彼女を本気で護ってくれたサトシ対し、ハルカの心は大きく揺れる。
精一杯の看病でサトシへの感謝を表し、それを受けたサトシもまたハルカへの優しさを見せる。
心を見せ合い、絆をより深める話です。
きっともっと心の奥から分かり合える関係になっていくんでしょうね。
Commentator by 冬草


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