応援

これは、サトシがトウカジムに再選する前のお話・・。

サトシ達一行は、キンセツシティをぬけ、トウカシティにむかっていた。しかしそんな中、ハルカは、あることに思い悩んでいた。
ハ(あ〜あ、どっちを応援すればいいのかしら・・)
マ「パパに決まってるでしょ!!」
ハ「えっ!?」
どうやら思っただけのことが口に出てしまったらしい。
ハ「そりゃぁパパの負けるところ見たくないけど・・、やっぱりサトシが負けるのもな〜。」
マ「僕は絶対パパを応援するんだからね、いくらサトシが強くてもパパにかなうわけないんだから」
タ「まぁまぁ、いいじゃないかマサト誰が誰を応援しようと・・」
いつの間にか横にいるタケシがマサトを弁解する。
マ「よくないもん。」
タ(汗)
サトシはジムが近いことを知り、300メートルほど先を歩いている。
ハ(そういえば、サトシと始めてあったときは、まだあんまりポケモンに興味なかったなぁ、どうして今はポケモンがすきなんだっけ)

今、ハルカは、トップコーディネーターを目指している。
目的こそサトシと違うが、ポケモンとの絆を深める点では一緒だ。
自分をコンテストへかりたたせたのは、めぐみさんとアゲハントを見てからだ。目標ができたのもそのおかげである。しかし、それではポケモンが好きという利用にはならない。
ハ「サトシと一緒にいると誰でもこうなっちゃうのかな。」
マ「え?なんかいった?サトシがどうかしたの?」
声に出ていたらしい。
ハ「え!?な、なんでもないわよ、あはは・・」
いいわけは行っているのだが、ちょっとした恥ずかしさから舌が回らない、顔も赤面だ。
マ「あやしい・・」
ハ「う、うるさいわね、なんでもないわよ」
マ「ふ〜ん。」
カンのいいマサトだが、それ以上の追求はしなかった。
タ「もうすぐトウカシティだぞ」
その言葉を聞いた、さっき連れ戻されたサトシが、当てもなく道を走っていく。
どうやらジム戦のことで頭がいっぱいでタケシの言葉以外は耳に入らなかったようだ。
そのとき、まだハルカは自分の気持ちが分からなかった。

サ「もう少しじゃなかったのかよ(怒)」
タ「仕方ないだろ、天気が急に変わったんだから」
その晩、彼らは野宿をしていた、途中で土砂降りになったからだ、
予定通り行かなくなったため、サトシはいささか不機嫌である。
タ「明日の昼までには付くから安心しろ」
サ「わかったよ。」
マ「ま、早くついてもムダだろうね、負けるに決まってるもん」
サ「ムカッ、何だよ、その言い方」
ハ「そうよマサト、いくらなんでもいいすぎよ。」
マ「お姉ちゃんは、サトシの味方なの〜。じゃあパパに負けろってこと〜」
ハ「え!?えっと、それは・・」
ハルカは近頃、マサトにサトシのことを聞かれると舌が回っていないその上赤面する。ハルカは自分でもきずけないうちに、サトシのことが気になっていたのだ。以前、鋼の谷でサトシに助けてもらった晩、ハルカは、サトシにありがとうといった。
しかしサトシは、「気にすんなって、当たり前だろ?」
この何気無い一言に、サトシの気持ち(最も今はまだ気付いていないようだが・・)と、計り知れないやさしさがこめられていた。
しかし、ハルカは、当たり前だろ?という言葉に、何か引っかかっていた。
ハ「サトシは私のことどう思っているんだろう?」
みんなが寝静まったころ、ハルカはキャンプをはった近くの小高い丘に来ていた。
?「なにやってるんだ?」
ハ「サ、サトシ」
今考えていた人物が現れたのだ、びっくりするに決まっている
サ「眠れないのか?」
ハ「うん、ちょっとね、サトシは?」
サ「あぁ、月が綺麗だなぁと思って」
ハ「月?」
サ「俺さ、一回負けて再選するときに月を見ることがあるんだ、なんか、すっきりするっていうか、落ち着くんだよ」
ハ「ふ〜ん」
サ「な、なんか俺らしくないよな」
サトシが照れ笑いをする。
ハ「その気持ち、なんとなく分かる。」
サ「?」
ハ「私ね、コンテストの前に夜空を見ると、なんか落ち着くの。真っ暗な空に、いくつもの光が点々としててきれいだなぁ、なんて」
サ「そっか、でも風邪ひくぞ、」
サトシは自分の上着をはるかに着せる。雨が上がってるとはいえ、1月の今は冷える。
ハ「ありがとう」
サ「帽子取りにいってくる。」
帽子を取りに戻ろうとするサトシを、ハルかが引き止める。
ハ「ちょっとまって・・」
ハルカがサトシの服を引っ張る。
サ「・・っと。」
急な行動に、サトシがバランスを崩す。
サ「わっ・・!!」
案の定、ハルカの近くにこけてしまった。
ハ「ごっ、ゴメン大丈夫?」
サ「あぁ。」
ところが、ハルかが近寄りすぎたのか、サトシが起きた瞬間、間近で目が合ってしまった。
サ「あっ・・」
ハ「えっ・・」
あまりの恥ずかしさに、とっさに距離をとる二人。
サ「・・・」
ハ「・・・」
しばしの沈黙・・。
サ「な、なぁ、さっきなんで止めたんだ?」
ハ「えっ!?エ、エ〜っトちょっと話がしたかっただけ。」
サ「話?何の」
ハ「うん、サトシにとって、私って、どうゆう存在なのかな〜と思って・・」
サ「そうだな〜。なんか、よくわかんない。」
ハ「?」
サ「よくわかんないけど、仲間とは、ちょっと違った、大切な人、かな。」
ハ「どうゆうこと?」
サ「タケシやマサトは大事な仲間さ、ピカチュウやスバメほかみんなも大切な仲間だ。でも、ハルカへの大切さは、自分でもよくわかんないけど、ちょっと違った感じなんだよなぁ。」
ハ「・・」
サ「って、なんからしくないな、おれ」
ハ「・・・こと・い」
サ「?」
ハ「そんなことないよ、だって、サトシはいつもストレートじゃない、私は、そんなサトシが、一番サトシらしいと思うよ、仲間を大事に思ったり、無茶だったり。」
サ「ハルカ」
ハ「私は、そんなサトシを応援してる、だから、パパとのジム戦がんばってよね」
サ「あぁ、ありがとう」

ハ(今分かったよ、サトシへの気持ちが何なのか。だから、ずっとあなたはあなたのままでね・・」


 

かいすのみさんに頂いた小説です。
トウカジム戦の時の、本心はサトシと父親のどちらを応援したいのか、ハルカの複雑な心が描かれています。
そして知らぬ間に芽生えていたサトシへの気持ちに気付き、無意識のうちにサトシのことを考えてしまう…
サトシもまたハルカを大切に思う心がある、それを知りサトシへの想いは確信となる。
勿論自分にとって、そして弟のマサトにとって最も尊敬する父親も大事でしょうが、
ハルカの中のサトシの存在はそれと同じ、もしかしたらそれ以上のものがあるのかもしれません。
ハルカの淡い恋心が細かに描写されています。
Commentator by 冬草


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