ねがいごと |
「わぁ、綺麗っ!」 満面の星空の下、夜道に少年と少女の影が揺れている。 「ねぇ見て、サトシ!天の川だよ!」
ハルカはまるで子どものようにはしゃいでいる。
今日は七夕。
タケシ、マサトは既にぐっすりと眠っている。
「ねぇ、サトシは今日どんな願い事をしたの?」 「俺?そうだな…世界一のポケモンマスターになることかな、やっぱり」
「へぇ、サトシらしいね」 「ハルカは?」 「トップコーディネーターになりたい、かな」 「なんだ、いつもと同じじゃないか」 「サトシこそっ」 二人は自然と笑顔になる。 「ちゃんと叶う日が来るのかな…」 「ハルカならできるさ」 「ありがと、サトシ」 いつからかサトシはハルカに優しい言葉をかけるようになっていた。 会話が途切れ、静かな時が流れる。 「ねぇ…手繋いでもいい?」 「えっ。べ、別にいいけど…」 そっとサトシの手をとるハルカ。 「サトシ、私ね…本当はもっと叶えたかったことがあるの」 「何?」 「こうして…サトシと一緒にいること」 ハルカはサトシに寄り添った。 「わ、ハルカっ…」 いつになく積極的なハルカ。 「サトシと二人っきりの時間が欲しかったの」 サトシの戸惑いもすぐに消えた。 「ハルカ…俺もだよ」 「えっ?」 「お前とこうしていると…幸せなんだ。ハルカと同じ願い事…」 サトシは立ち止まり、ハルカを強く抱きしめた。 「ずっと一緒にいれたらいいな…」 「サトシ…嬉しい…」 彼に身を委ねるハルカ。 「!」
ハルカがサトシの唇に自分の唇を重ね合わせる。 二人にはとても長い時間に感じられた。
眩い星の光が彼らを優しく包み込んでいる。 |
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七夕の時に書いたもの。 |
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