サトシとハルカ

とあるポケモンセンターの一室。
昨夕からサトシは風邪を引いて寝込んでいた。
朝、ハルカはサトシの様子を見に行ったのだが・・・

 
「サトシ?」
「あぁ、ハルカ。おはよう」
「あ、ちょっと」
ベッドから起き上がりすぐに外に出ようとするサトシをハルカが制止する。
「まだそんなに動いちゃだめ」
「もう行けるよ」
「ちゃんと治してからじゃないと」
「もう治ってるって」
「そんなこと言って、またぶり返したらどうするのよ」
「熱ももうないじゃないか」
「今はそうだけど・・・」
腕を掴んで寝かしつけようとするハルカ。
「大丈夫だって!」
それを振り解くサトシ。が・・・
パシッ!
勢いをつけすぎたのか、ハルカの顔に手が当たった。
「!」
「あっ、ごめん・・・」

「もう・・・知らない!勝手にすればっ!」
ハルカは部屋を飛び出していってしまう。

「あっお姉ちゃん、どうしたの!?」
入れ違いにタケシ達が来る。
「サトシ、どうしたんだ?」
「俺は・・・別に・・・ごほっ!」
咳き込むサトシ。

 
「おはよう。どうしたの?」
遅れてジョーイさんも入ってくる。
「調子はどう?」
「はい、もう大丈夫です・・・っ」
そう言いながらもまた咳払いをする。
「少しは良くなったみたいね。けど今日一日ゆっくりしてなさい。」
「でも・・・」
「今熱が下がってるからって、すぐに治ってるわけじゃないのよ」
「はい・・・」
そう言われて仕方なく横になる。

 
「早く行きたいのは分かるけどさ、そんなに無理すると余計悪くなるよ」
「たまには休養も必要だぞ」
「・・・」
タケシ達にも言われ、黙り込むサトシ。

 
「じゃあ、俺たちは買い出しに行ってくるから」
「あぁ・・・」
そう言って、タケシとマサトは出掛けていった。

 
・・・
少し体がだるくなってくる。
(ハルカには・・・悪いことしたかな)
考え込んだのもつかの間、また知らずの内に眠ってしまっていた。

 
――――――――――――――――――――――

 
少し離れた海岸。
ハルカは一人座り込んでいた。ついてきたピカチュウが肩に抱きつく。
「ふぅ・・・」
深いため息をつく。
(どうしてあんな言い方しちゃったんだろ・・・)
ジム戦を控えてこんなことになって、彼がイラついてることぐらい分かってたのに。
(もっと優しく言ってあげられなかったのかな・・・)

「ピカ?」
「なんであんなに無鉄砲なんだろ、サトシって」
ピカチュウを膝に抱き寄せ、見上げる顔につぶやく。
「無茶ばっかしちゃって、ねぇ」
「チュー」
「ほんとに・・・」

ピカチュウはハルカから離れ、傍で遊んでいるアチャモたちの方に駆け寄っていった。

 
静かに波が打ち寄せる。もう昼を過ぎていた。
(こんなとこで考えててもしょうがないか)
「ねぇみんな、そろそろ戻ろっか」
「ピカー」
「ちゃもっ!」

 
――――――――――――――――――――――

 
タケシたちは既に帰ってきていた。
「ハルカ、どこ行ってたんだ?」
「うぅん、ちょっとね・・・マサトは?」
「キモリやミズゴロウたちと遊びに行ったよ」
「そう」
「あぁ、それとサトシの事・・・」
「タケシ、ちょっとお願いがあるの。あのね・・・」遮るようにハルカが言う。

「あぁ、いいよ。」
頼みを聞いて、タケシはそれ以上は何も言わなかった。

 
――――――――――――――――――――――

 
「サトシ、晩御飯だぞ。体はどうだ?」
「あ、あぁタケシか。大分楽になったよ」
「もう大丈夫だな」
「ごめんな、みんなに迷惑かけて・・・」
タケシの持ってきた粥を啜りながら言う。
「なぁに、気にすることじゃないさ。」
・・・少しの沈黙。
「これ美味いなぁ。さすがタケシだよ」
「いや、それはハルカが作ったんだ」
「え・・・っ?」
「どうしても自分で作ってあげたいって言ってな。やり方は俺が教えたんだけどさ」
「・・・」
「本当に心配してたぞ。自分で持っていった方がいいって言ったんだけどな・・・
早く元気な姿を見せてやれよ。それがハルカにとっても一番いいことなんだからさ」

「・・・なぁ、今ハルカはどうしてる?」
「あっちで食事してるよ」
「そう・・・」
「呼んでこようか?」
「いや、いいよ」
「そうか。じゃ、俺も戻るぞ」
「ああ」

 
――――――――――――――――――――――

 
「サトシ」
ハルカがそっと部屋のドアを開けた。もう寝てるようだ。
起こさないように注意しながら近づく。
横の椅子に座り、そっと微笑みかける。
(良かった・・・もう大丈夫そうね)
まるで母親のように、頭を優しく撫でる。
(私の時もこうだったな・・・ママ、ほんとに優しくて・・・)

 
「ハルカ・・・」
(え?)

 
「・・・ありがとう」

 
夢現だったのか、それとも・・・
もうそんなことはどうでも良かった。

 
(いつものサトシに会えるのを待ってるよ・・・)

 

いつしかハルカもサトシに寄り掛かって眠っていた。


 

何を隠そう、私が初めて書いた小説です。
意外と良い評価も頂けたので嬉しかったです。
情景が飛び飛びになったり、まだまだSSもイラストと同じく初心者なのでもっと鍛えたいところ。
サトシの病気をハルカが一生懸命看病する、というところから思いついて描いてみたのですが、何だかちょっと違いますね…(笑)
なるべくアニメの性格に沿うように描くというのは難しいですね。
台詞回しや行動なども、できる限り違和感がないようにと自分は心掛けています。
by 冬草


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